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2011 02 07~02 22

歌がつくる新しい記憶 妻の手を引き、お遍路へ 「いのちのコンパス-認知症・そのとき何が」7回続きの(2)

2011年2月22日 提供:共同通信社

 唇が周りの歌声より少し先に動き、歌詞を口ずさんでいる。夫婦で毎週通うカルチャー教室。森寛昭(もり・ひろあき)さん(68)は昨年1月、妻やす子さん(68)の様子に気付き、思わず目を見張った。

 やす子さんが認知症と診断されて4年半。きのう食べた料理、先週行った散歩、先月会った娘や孫との会話...。次第に思い出せないことが増えていた。

 中学時代を共に過ごした妻。せめて、おぼろげに残るあのころの記憶だけでも持っていてほしいが、それも無理かもしれない。やす子さんが歌詞を覚え始めたのは、そう思っていたころだ。

 やす子さんが最初に覚えた曲は「美しき天然」。昔、サーカス小屋から流れてくるのを2人で聴いた懐かしいメロディー。ほかの唱歌もいくつか歌えるようになった。

 半年後。教室の約40人で歌い終わった後、先生がやす子さんをほめた。「よく覚えたわね」。事情を知る生徒から拍手が起きる。「ありがとうございます」。何度も頭を下げるやす子さん。隣に立つ寛昭さんの目に、うっすらと涙が浮かんだ。

 「忘れる一方だと思っていたのに、新たな記憶が残ることに驚いた。一つの希望です」

 寛昭さんは介護に専念するため、2008年夏に退職。好きなゴルフや釣りに行くことはあまりできなくなった。その代わり、やす子さんと公園や海沿いの灯台へ、手作りのサンドイッチを持ってピクニックに出掛ける。

 寛昭さんには新婚時代の忘れられない思い出がある。仕事で帰宅が遅くなった夜、やす子さんは夕食を食べずに起きて待っていた。「なぜ先に食べなかったの」と聞くと、「ご飯は一緒に食べるものでしょう」との返事。家庭を持った幸せが胸にじわりと込み上げた。

 今では料理を作るのは寛昭さんの役割だ。おいしいものを食べさせたいと料理教室に通い、一から勉強した。食事の時は、食器を持つことができないやす子さんの口元へ箸で運ぶ。「自分で食べられます」と嫌がることもあるが、たまに「おいしいわ」とつぶやく。

 「この言葉を聞くと苦労がすべて吹き飛ぶ。あの日の妻の気持ちが、今は少し分かる気がする」

  *  *  *

 「ド、レ、ミ...」。昨年11月。晴れ渡った空の下、2人は四国にある88の寺を巡るお遍路を始めた。歩道橋を怖がるやす子さん。気持ちをほぐそうと寛昭さんは手を引きながら、音階で階段を数える。やす子さんが声をそろえた。

 「できるだけ歩いて回りたい」と寛昭さん。太陽の光を浴びたり、花の匂いを嗅いだり。全部回るのは無理かもしれないが、無心に一歩一歩。

 丸みを帯びた山々を眺めながら、緑の草が生えたあぜ道をゆっくり歩く2人。冷たい風に、息が少し白くなる。やがて、昼食の目標にしていたうどん店が見えてきた。

 「やっちゃん、あそこで少し休もうか」。寛昭さんが声を掛けると、「そうね」と笑顔で答えが返ってきた。

多くは成長につれ完治 食物アレルギー/2 あなたの処方箋/93

2011年2月22日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/93 食物アレルギー/2 多くは成長につれ完治

 赤ちゃんの10人に1人が発症すると言われる食物アレルギー。体質的なものなのでずっと治らないと思われがちだが、実は成長とともに改善するケースが多い。

 東京都目黒区の女の子は1歳のとき、茶わん蒸しを食べていて顔が赤く腫れ呼吸が激しくなった。血液検査で卵アレルギーと診断された。その後母親(37)は卵を含む食品を一切食べさせず、保育園でも給食を特別に調理してもらっていた。

 3歳になったある日、間違って隣の子の給食を食べてしまった。だが症状は全く出ず、5歳になった今では普通に卵を食べている。母親は「一生治らないと思い込んでいた」と話す。

 人間の体内には免疫グロブリンE(IgE抗体)というたんぱく質が微量にある。これを作りやすい体質だと、食べ物の中にあるたんぱく質と作用して、じんましんなどのアレルギー症状を引き起こしやすい。ただし、成長して食べ物に含まれるたんぱく質を十分分解できるようになるにつれ、症状は表れなくなる。

 日本保育園保健協議会が09年、全国953の保育施設の乳幼児約10万6000人に実施した調査によると、食物アレルギーの子は1歳9・2%▽2歳6・5%▽3歳4・7%▽4歳3・5%▽5歳2・5%--と年齢とともに減っていることが分かった。

 日本小児アレルギー学会理事長で岐阜大大学院医学系研究科の近藤直実教授は「腸管機能が発達する小学校入学前後に完治するケースが多い。治る病気と理解し、専門医の指示に従った食生活を送ることが大切」と話す。=つづく

早期治療が鍵 石川・がんと向き合う/6

2011年2月22日 提供:毎日新聞社

がんと向き合う:/6 早期治療が鍵 /石川

 ◇簡単な検査で体のメンテナンスを

 女性で1位、男性で肺がん、胃がんに次いで3位(09年、がんの統計)。大腸がんは、部位別にみた死亡者数で、男女とも長年上位を占める。1960年代以降、がんによる死亡率が右肩上がりの中、肺や肝臓と共に特に増えているがんの一つだ。患者数では2020年に肺がんや胃がんを抜いてトップになり、15万人が罹患(りかん)すると言われている。

 ただ、大腸がんは、患者数は死亡数の約2倍で、比較的生存率が高いことも特徴。早期で見つかれば100%近く、進行してもリンパ節転移がなければ9割が治るとされる。

 そこで、早期治療の鍵となるのが、便の中に微量な血液がないかどうか調べる「便潜血検査」だ。厚生労働省は40歳以上を対象に、毎年1回の受診を推奨。費用は市町で異なるが、1000円以下と安い。便の表面を細い棒でまんべんなくこすり取るだけ、と方法も簡単だ。

 確率を上げるため、2日分が必要だが、病院に提出すればその日のうちに、集団検診でも1週間ほどで結果がわかる。陽性なら、内視鏡による検査に進む。便潜血検査を受けた人のうち、最終的にがんと診断されるのは1000人に1~2人。その7割が早期がんで見つかるという。

 しかし、「どうにもイメージが悪いみたいで」と嘆くのは、金沢大付属病院の藤田秀人医師(43)。「いきなり内視鏡を入れる」「便を丸ごと提出する」など誤解している人も多く、他のがん検診同様、受診率は低い。全国16・1%、石川15%(08年度)と、国の目指す50%にはほど遠い。

 便潜血検査は、血液を含む部分を採取し損ねるなど見逃しも生じ、完璧ではない。そのため、毎年検査を受けることが大切だが、受診で死亡率は60~80%も下がるとされる。藤田医師は、大腸がんは「4期(末期)でも自覚症状はほぼない」と指摘。「冬に毎年タイヤを替えるように、自分の体もメンテナンスを」と話している。【近藤希実】

「頼む、殺してくれ」 問われた新薬 肺がん治療薬「イレッサ」訴訟/上

2011年2月22日 提供:毎日新聞社

問われた新薬:肺がん治療薬「イレッサ」訴訟/上 「頼む、殺してくれ」

 ◇激しい副作用に生存原告

 遠のく意識の中で、「間質性肺炎」と話す主治医の声がかすかに聞こえた。いくら吸い込んでも息ができず、水を張った洗面器に顔をつけているようだった。肺がん治療薬「イレッサ」の副作用を巡る訴訟で、15人の原告のうち唯一の生存原告である清水英喜さん(55)=三重県四日市市=は当時(02年10月)の苦しみを振り返る。清水さんは01年に手術で肺がんを切除したが02年7月に再発。「余命半年」と告げられた。2カ月後、主治医から「副作用が少ない」と聞き、承認(02年7月)直後だったイレッサの服用を始めた。

 飲み始めて1カ月ほどたった同10月21日、激しいせきが止まらず、40度近い高熱が出た。いくつかの病院を回ったが、原因が分からなかった。それまで自宅の寝室は2階だったが、息苦しさで階段を上れず、1階の居間に布団を敷いてうずくまった。苦しさのあまり「頼むから殺してくれ」と妻に口走った。再発から3カ月しかたっていない。「おれはまだ生きられるはずなのに」と悔しさがこみ上げた。

 同月27日朝、新聞でイレッサの副作用死問題の記事を見つけ、妻と共に病院に向かった。妻は新聞を手に「これじゃないんですか」と主治医に詰め寄った。清水さんは間質性肺炎と診断されて入院。ステロイド剤を集中投与されて一命を取り留めたが、現在も肺がんの再発を繰り返しながら闘病生活を続けている。清水さんは国と製薬会社に対し「必要な情報がなければ医者と患者はどうにもできない」と憤る。

    ◇  ◇ 

 兵庫県内の原告女性(48)の夫は01年12月、肺がんで「余命1年」と告げられた。夫は翌年11月9日、間質性肺炎で亡くなった。48歳だった。イレッサの服用開始からわずか2週間後の急死。女性は「少なくとも1年間は治療に専念できると思っていた。あまりにあっけなく、事故死のようだった」と話す。

 夫は02年5~6月、承認前のイレッサについて「副作用が少ない」などと紹介する新聞記事を見て、服用を楽しみにしていた。同年10月下旬、期待の薬を飲み始めたが、息苦しさを訴えるようになった。女性は「家族で一緒にがんの苦しみを受け止め、ゆっくりと(死を)覚悟していきたいと思っていた。でも何もしてあげられなかった」と悔やむ。

 訴訟に踏み切った理由について、女性は「勝ち負けやお金の問題ではない。副作用がほとんどない『夢の薬』のように宣伝されていた。あんな売り方ができないようにしてほしい」と明かした。

    ◇  ◇ 

 イレッサの副作用を巡る訴訟は、大阪地裁が25日、東京地裁は3月23日に判決が言い渡される。原告側は人為的に副作用被害が拡大した「薬害」であると訴え、被告の国・企業側は「対応に問題はなかった」と責任を認めていない。この裁判で問われるものを追った。【日野行介】

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 ■ことば

 ◇イレッサ

 アストラゼネカ社(英国)が開発した肺がん治療薬。錠剤の経口薬で、従来の抗がん剤より副作用が軽いとされた。厚生労働省は02年7月、世界に先駆けて輸入を承認。しかし、直後から間質性肺炎などによる副作用死が続出し、厚労省は同10月15日、緊急安全性情報を発表した。副作用を巡る東京・大阪両地裁の訴訟では、裁判所が今年1月、緊急安全性情報が出る前に服用した原告患者について、医師向け説明書に十分な警告がなかったとして、国とア社の救済責任を認めた和解勧告を行った。国とア社は和解を拒否した。厚労省によると、10年9月末までの副作用死は819人。

iPSから骨や筋肉のもと マウス体内で作製、近畿大

2011年2月22日 提供:共同通信社

 さまざまな細胞になることができるヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)をマウスに移植し、骨や軟骨、筋肉などのもとになる「間葉系幹細胞」を効率よく作る方法を近畿大医学部(大阪府大阪狭山市)のチームが開発し、21日発表した。

 従来、iPS細胞から目的の細胞を得るには、化学物質を含む液中で培養するのが一般的。福田寛二(ふくだ・かんじ)教授は「生体内で作らせると本来の環境に近いため、簡単に、より質の高い細胞を得られ、骨の再生医療や薬効試験に広く利用できる可能性がある」としている。

 チームは拒絶反応が起きないようにしたマウスにヒトのiPS細胞を移植。1~2カ月後、体内でiPS細胞から作られた直径約2センチの細胞の固まりを取り出し、ヒトの間葉系幹細胞だけを分離することに成功した。

 この間葉系幹細胞が骨などの細胞になることを確認。培養する方法では得にくかった膵臓(すいぞう)などの細胞も得られる可能性が高いという。

 間葉系幹細胞はヒトの体内にあり、再生医療に向けた研究が進んでいるが、採取には通常、手術が必要。増殖力が弱く、十分な量が確保できないなどの課題もある。

点滴薬に初の耐性ウイルス 新型インフルエンザ

2011年2月22日 提供:共同通信社

 昨年1月に販売が始まったインフルエンザ治療用の点滴薬ラピアクタ(成分名ペラミビル)を使った患者から、薬が効きにくい耐性の新型インフルエンザウイルスが検出されたことが22日、分かった。ラピアクタの使用による耐性ウイルス検出は国内初とみられる。

 国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターの小田切孝人(おだぎり・たかと)室長は「今回は1例だけで心配することではない。今後はラピアクタに対する耐性ウイルスが出現する頻度を注意深く見ていく必要がある」と話している。

 同研究所によると、1月に5歳の幼稚園児から検出された。園児は高熱と肺炎で入院、当初は抗生物質で治療したが呼吸状態が悪化し、インフルエンザ迅速診断キットで陽性と出たためラピアクタを投与。症状は改善し退院した。ワクチンは未接種だった。

 検出されたウイルスを調べると、薬に耐性を示す遺伝子変異が見つかった。ラピアクタのほか、別の治療薬タミフルも効きにくいと判明。リレンザとイナビルは効果があった。

 インフルエンザ患者に治療薬を使うと一定の割合で耐性ウイルスが出現するが、通常は感染力が弱いとされる。だが季節性インフルエンザのAソ連型では、タミフルに対して耐性を示す遺伝子変異があるウイルスが世界中に広がった。

※インフルエンザ治療薬

 日本ではタミフルとリレンザに加え、昨シーズンにラピアクタ、今シーズンにイナビルが承認され、4種類になった。いずれもインフルエンザウイルスの表面にあるタンパク質、ノイラミニダーゼの働きを阻害しウイルスの増殖を抑える。最も使われているタミフルは主にカプセル剤、リレンザとイナビルは吸入剤。ラピアクタは点滴薬で、薬を飲んだり吸ったりするのが困難な場合でも使える。タミフルはリレンザより耐性ウイルスができやすいとの研究結果もある。

9歳時の未接種者も公費で 日本脳炎ワクチンで厚労省

2011年2月22日 提供:共同通信社

 厚生労働省の小委員会は21日、日本脳炎ワクチンの予防接種が事実上中断した2005年から5年間に9歳時の接種が受けられなかった人について、希望があれば公費負担による定期接種が受けられるようにすることを決めた。意見を聞くなどした上で、早ければ5月ごろから実施の見通し。

 日本脳炎ワクチンの定期接種は通常、3歳で2回、4歳で1回、9歳で1回の計4回行う必要がある。接種後に神経障害などが起きる重症の「急性散在性脳脊髄炎(ADEM)」を発症したケースが報告されたことを受け、05年に事実上、中断されたため"空白期間"が生じた。

 その後、副作用が少ないと期待される新しいワクチンが承認され接種を再開。空白期間の未接種者についても、3歳の時点で受けられなかった人から順次、接種の積極的呼び掛けを進めている。

 この日の小委員会では、化学及血清療法研究所(熊本市)の新しい日本脳炎ワクチンが薬事法に基づく承認を受けたことも報告された。同研究所は11年度に240万本、12年度には300万本を供給できるとの見通しを示している。

 すでに使用されている阪大微生物病研究会(大阪府吹田市)の製品と合わせ、日本脳炎ワクチンの供給量が大幅に増えることになる。

アルツハイマー初の貼り薬 使用確認、目で見て容易に

2011年2月22日 提供:共同通信社

 アルツハイマー型認知症の治療薬としては初の貼り薬となるノバルティスファーマと小野薬品工業の「リバスチグミン」について、厚生労働省の医薬品第1部会は21日、製造販売を承認してよいとの意見をまとめた。上部の分科会への報告を経て正式に承認される見通し。

 2社によると、飲み薬と違い、患者の薬の使用状況を介護者が見て確認できるのが利点。海外では、吸収しやすい上腕、背中、胸に貼って使う。

 思考や行動などにかかわる脳内の物質を分解してしまう酵素の働きを妨げ、症状の進行を遅らせるという。

 ノバルティスからは「イクセロン」、小野薬品からは「リバスタッチ」との名前で販売される見通し。1月末時点で82カ国が承認している。

表示方法の指針決定 トランス脂肪酸で消費者庁

2011年2月22日 提供:共同通信社

 悪玉コレステロールを増やし心臓疾患のリスクを高めるとされるトランス脂肪酸について、消費者庁は21日、食品業者が容器や包装に含有量を表示する際の指針を決めた。

 トランス脂肪酸を含むマーガリンなどを製造する業者に今後、自主的に表示するよう要請する。将来的に表示を義務化する法案も検討する。

 指針によると、100グラム、1食分当たりなどの単位で、含有量をグラムで表示。技術的に検出が困難な0・3グラム未満の場合、「ゼロ」「フリー」などと表示できる。

(千葉)的中9割 がん探知犬

2011年2月22日 提供:読売新聞

患者の呼気嗅ぎ分け

 がん患者の呼気を嗅ぎ分ける「がん探知犬」の訓練が、南房総市白浜町白浜の「セントシュガー がん探知犬育成センター」で行われている。先月、英国の医学誌に掲載されたラブラドルレトリバーの探知犬「マリーン」(雌・9歳)は、9割以上の精度で嗅ぎ分けるというスーパー犬だ。

 訓練では、健康な人の呼気を入れた袋を四つ、がん患者の呼気を入れた袋を一つ用意。それぞれ箱に入れ、マリーンに嗅ぎ分けさせる。マリーンが患者の呼気を入れた箱の前に座ると、センター所長の佐藤悠二さんはほめるようにマリーンの体をなで、「こいつの鼻は抜群の精度だ」とたたえた。

 九州大医学部第二外科のグループが同センターと共同研究を行い、同様の方法で嗅ぎ分け実験を行ったところ、36回のうち33回、がん患者の呼気を選び、9割以上の精度が確認されたという。グループは、この結果を英国の医学誌「GUT」で「がん患者特有のにおいが存在することが探知犬を用いた実験で判明」と発表した。

 グループの園田英人助教(40)は「同様の研究は英米でも行われているが、初めて明確にがん特有のにおい物質の存在を示せた。がんの早期発見や治療への応用につながれば」と期待している。

 では、どんな犬でもこうした能力を持つのか。マリーンは佐藤さんのひらめきで見いだされた。

 東京都内で会社員をしていた佐藤さんは、「田舎で大好きな犬を育てるのを仕事にしたい」と1988年に白浜に移り住み、専門知識はなかったが、水難救助犬を育てる訓練を始めた。

 ブリーダーからマリーンを購入した当時、生後3か月ながら、深さ10メートルの海中に沈んだ物のにおいも嗅ぎ分ける嗅覚に佐藤さんは驚いた。訓練を重ね、カレー粉と野菜を一緒に瓶に入れて何重にも包んだ場合でも、野菜のにおいを嗅ぎ分けるほどの能力を持つようになった。

 7年前、佐藤さんは「がん患者は特有のにおいを持つ可能性がある」という論文がオランダの医学雑誌に載っていたことを知り、「マリーンなら嗅ぎ分けるのでは」とひらめいた。全国の病院に電話をかけ、「がん患者の方の呼気を提供してくれませんか」と頼んだが、「においで病気がわかれば医者はいらない」と断られ続けた。1年後にやっと、興味を示した都内の医師が、胃がんや大腸がんの患者の呼気を提供してくれた。訓練を繰り返すうちにがんの種類まで嗅ぎ分けられるようになり、評判を聞きつけた園田助教との共同研究が始まった。

 現在はマリーンを含め5頭が訓練を受ける。「犬ががんを見つけるなんて誰にも想像出来なかった。何でも挑戦してみないと」と笑う佐藤さんは、がん探知だけでなく、民間での麻薬探知犬育成も目標にしている。

心臓手術 日本医療に感謝、来日のサウジ男性退院

2011年2月22日 提供:毎日新聞社

心臓手術:日本医療に感謝、来日のサウジ男性退院

 重い心臓病のため、自身の細胞を使って心臓機能を回復させる最先端の手術を大阪大病院で受けたサウジアラビア人の男性が22日、退院した。手術は先月末に行われ、経過は良好。男性は、執刀した澤芳樹・阪大教授(心臓血管外科)らと大阪市内で会見し、「日本の医療関係者は、昼夜を問わず尽くしてくださった。ありがとうございました」と感謝の思いを述べた。

 男性はサーレハ・アルシャリーダさん(58)。症状が進むと移植が必要となる拡張型心筋症で、心機能が健康な人の半分程度だった。23日離日し、経過観察のため3カ月後に再来日する予定。帰国後は治療経験を自国で広めるため、本を執筆したいという。【野田武】

「あなたは誰?」と聞く妻 隣人に決意の手紙 「いのちのコンパス―認知症・そのとき何が」7回続き(1)

2011年2月21日 提供:共同通信社

 「あなたは、ひろあきさんなの?」。3年前のある朝、森寛昭(もり・ひろあき)さん(68)はベッドの上で肩をたたかれ目を覚ました。妻の不安そうな目が、まっすぐに自分を見つめている。一呼吸置いて、何が起きているのか悟った。

 「そうだよ、やっちゃん。ぼくが、ひろあきさんだよ」。優しく答えると、やす子さん(68)はほっとした様子で小さくうなずき、うつむいた。

  *  *  *

 似たようなことは、その半年前にもあった。離れて住む娘が泊まりに来た翌朝、やす子さんは部屋で寝ている娘を見て「あそこにいるのは誰?」と聞いた。「次は自分の番だ」。寛昭さんは覚悟していた。

 2人は徳島県の中学時代の同級生。放課後に学校で遊んだり、みんなで一緒に川で泳いだり。「初恋の人はいたの?」。思い出話の途中、寛昭さんがふと尋ねると、やす子さんは「あなたではないわ」とほほ笑んだ。

 交際が始まったのは、寛昭さんが京都の大学院に進学した後のこと。やす子さんが京都へ遊びに行くようになった。「おしとやかで気品があって、心ひかれた」。寛昭さんが就職して間もなく2人は結婚。子ども3人を育て、休日には家族でよく釣りやサイクリングに出かけた。

 子どもたちが独立し、転勤のため高松市へ夫婦2人で移り住んだ2005年、寛昭さんはやす子さんの変調に気付く。

 友人との待ち合わせをすっぽかす。達筆だったのに、手が震えて名前が書けない。外出を嫌がり、表情が乏しくなった。

 間もなく香川大病院で認知症と診断された。症状が進んだやす子さんは、買い物先から帰れなくなったり、自分の指輪や財布を「盗まれるから」と隠したり...。

 07年春、自宅があるマンションの住民とトラブルになった。やす子さんが、共用廊下で立ち話をしていた女性たちを不審者と思い込み、「どこから来たの」と詰め寄ったのだ。管理組合へ苦情が寄せられた。

 「迷惑が掛かるなら引っ越してしまおうか」。1カ月以上思い悩み、「せめて説明だけでもしなければ」と決意した寛昭さんはマンションの全世帯に手紙を書いた。

 妻が認知症に苦しんでいること。迷惑へのおわび。「見掛けたら、ゆったりと接してほしい」

 住民の反応は、温かいものだった。「困ったことがあったら声を掛けて」。ほとんど付き合いのなかった女性からの電話。「ご夫妻が笑顔でいられることを祈っています」との手紙も届いた。

 それまで寛昭さんは、妻の認知症のことを人に知られたくないと思っていた。「勇気がいったが思い切ってオープンにして、霧が晴れるように心のもやもやが消えた」

 2人で行く散歩や買い物。寛昭さんは、人前でもやす子さんと手をつなぐようになった。周囲の助けを借りながら、普通の生活をしていこう。そう胸に誓った。

  *  *  *

 高齢化が進む中、認知症患者が増えている。近い将来、300万人を超えるとの推計も。親や配偶者が認知症になった時、家族は何を思い、どんな状況に直面するのか。きめ細かいケアを目指す介護現場の取り組みとともにリポートする。

※認知症

 脳の細胞の働きが悪くなり、物忘れや妄想、徘徊(はいかい)などの症状が出る。アルツハイマー病や脳血管障害、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮する「前頭側頭型」によるものなど原因はさまざまで、根本的な治療法は確立していない。厚生労働省は2010年時点で介護が必要な65歳以上の患者数を208万人と推計。25年には323万人になると予測している。

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漢方最前線(4)葛根湯、2000年の歴史

2011年2月21日 提供:読売新聞

 中華料理店で「湯(スープ)」のメニューを見ると、煎じ薬を連想してしまう。クコ、百合(ゆり)根、ショウガなど、薬食共通の素材も多いからだ。富山大学和漢医薬学総合研究所の小松かつ子教授(54)は「東アジア全域から集めた数百種の薬用資源が、漢方処方に投入されています」という。煎じ薬は「機能性食品」の究極だと感じる。

 落語にも登場する風邪薬、「葛根湯(かっこんとう)」は、桂皮(けいひ)、麻黄(まおう)、甘草(かんぞう)、大棗(たいそう)など7種類の生薬をブレンドし、数十分煮込んだスープだ。桂皮はベトナム、麻黄や甘草はモンゴルや中央アジア、大棗は黄土高原からもたらされる。

 「インフルエンザ初期の典型的な症状、首や背中に痛みがあり、悪寒が強く、熱も出てきた、こんな時期に、熱々の葛根湯を飲んで寝ると、汗が出て、ぐったり疲れを感じます。でもこれが回復への第一ステップ。私たちに備わる治癒力のプログラムが起動したというサインで、多くの人はこのまま休んでいれば治ります」

 日本東洋医学会長の寺沢捷年(かつとし)・前千葉大教授(66)は、ウイルスを直接攻撃するのではなく、免疫系を調整して短時間に自然治癒力を引き出す治療薬だという。「タミフルなどない時代の知恵ですが、現代の治療薬に劣らず、今も有効です」

 1種類の生薬ではこの効果は出ず、7種の組み合わせ、配合比に秘密があるようだが、それにしても、だれがそんな遠隔地の材料を集め、薬効を実験したのか。

 葛根湯のレシピが記載された最も古い中国の文献は、2世紀の「傷寒(しょうかん)雑病論」。しかしその3世紀前、ゴビ砂漠の前漢の城塞跡などで出土する木簡文書に、すでに同種の感染症の処方せんが残っているという。

 2000年以上、人々の健康を支えてきた生薬資源が今、危機を迎えている。甘草は、モンゴルなど砂漠周辺部の野生種。「地下2メートルにも伸びる地下茎を掘るため、採取自体が砂漠化を促進し、資源の枯渇を早めている」(小松教授)という。

 中国政府は、甘草や麻黄など重要生薬の輸出管理を強化している。「レアアース」に加えて「レアハーブ」問題も懸念されるため、国内の製薬会社も生薬国産化を始めている。武田薬品工業・京都薬用植物園の尾崎和男主席部員(58)は、「甘草、大黄(だいおう)などは自社製品を全量調達できるよう、国内各地で栽培実験を進めています」と話す。

 小松教授は「栽培、遺伝子組み換え技術など、生薬確保にも科学の知恵が欠かせなくなる」とみている。(編集委員 小出重幸)

負荷試験で程度見極めを 食物アレルギー/1 あなたの処方箋/92

2011年2月21日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/92 食物アレルギー/1 負荷試験で程度見極めを

 グラタンを食べた瞬間、生後7カ月の次男が激しく泣き出し、次第に顔全体が腫れあがった。「このままでは死んでしまう」。神奈川県横須賀市の母親(33)は慌てて救急車を呼んだ。

 搬送先で、呼吸困難などを伴うアナフィラキシー(急激なショック状態)と判明。血液検査の結果、牛乳、小麦、卵、大豆などの食物アレルギーと分かり、医師に食べさせないよう注意された。その後も「牛肉もだめ」「鶏肉も控えて」と指示され「何を食べさせればいいのか悩み、精神的に追い詰められた」と母親。次男は栄養を十分取れず、体格も他の子に見劣りした。

 食物負荷試験を知ったのは4歳の時。医師の立ち会いのもとで原因食材を少量ずつ食べ、症状が出るか見極める。専門病院で受けると、牛乳は1滴でだめだったが、卵黄は全く問題なし。牛肉や鶏肉も大丈夫と分かり、食べられるものが増えた。小学校高学年の今ではソフトボールチームの主将を務める。母親は「あのまま食べずにいたら、どうなっていたか」と振り返る。

 厚生労働省研究班の「診療の手引き」によると、原因食材は鶏卵、乳製品、小麦のほか、魚、果物、肉など多岐にわたる。発症を心配するあまり、食べられるものまで敬遠する人は少なくない。

 負荷試験は06年から9歳未満には保険適用となり、実施する医療機関が増えた。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の斎藤博久副研究所長は「食べる物を制限し過ぎ、栄養失調や脳が萎縮した子もいる。ぜひ活用して」と訴える。実施医療機関は食物アレルギー研究会のサイト(http://www.foodallergy.jp/)で確認できる。(中西拓司が担当します)=つづく

感動した新しい患者会 Dr.中川のがんから死生をみつめる/95

2011年2月20日 提供:毎日新聞社

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/95 感動した新しい患者会

 前立腺がんは、いま日本で一番増えているがんで、この30年で患者の数は15倍以上になっています。年齢とともに増えるがんの代表で、70歳を超えると、2~3割の男性に前立腺がんができるといわれます。

 私が非常勤でがん治療のサポートをしている江戸川病院(東京都江戸川区)では、放射線治療に「トモセラピー」を導入しています。トモセラピーは、正常な臓器を守りながら、がんに放射線を集中させる「強度変調放射線治療」のための専用装置で、「ハイテク治療」の代名詞といえます。午後10時まで治療を行っていることも特徴で、「仕事帰りにも治療を受けられる」と、現役世代の人たちに好評です。

 江戸川病院は、特に前立腺がんの放射線治療に力を入れています。2007年6月の治療開始以来、800人近い前立腺がんの患者の皆さんにトモセラピー治療を実施し、手術と同程度の効果をあげています。

 先日、同院でトモセラピーを受けた前立腺がんの患者の皆さんが、自ら「TOMOの会」という患者会を設立しました。今月17日に1回目の会合が都内で開かれ、200人もの人たちが参加しました。

 講演に続いて、6人ずつのグループに分かれた「交流会」が始まると、招待された私もびっくりするほど、雰囲気が一変しました。皆さん、すぐに打ち解けて、笑顔のおしゃべりが始まったのです。200人もの同じがん治療を受けた「戦友」が、ひざを交えて語らう姿には大きな感動を覚えました。

 前立腺がんは、排尿などのトラブルがつきものですし、放射線治療の副作用で下血が起きるケースもあります。しかし、従来のがんの患者会活動は女性が中心のため、こうしたデリケートな問題を男性が相談しにくい面がありました。

 そもそも、いまだに「がん=弱者」のイメージが強く残っています。日本の男性は、女性の前では弱みを見せたがらない傾向がありますし、高齢者が多い前立腺がんの患者の皆さんはなおさらそうでしょう。

 男性同士で弱音を吐き、先輩患者からアドバイスを聞ける、そんな新しい患者会の誕生でした。(中川恵一・東京大付属病院、緩和ケア診療部長)

障害年金、重病患者にも 治療の支え 読者の反響/下 命を削る

漢方最前線(3)日本が伝える「Kampo」

2011年2月18日 提供:読売新聞

「Kampo」って、漢方のこと?

 慶応大学医学部・漢方医学センター(東京・信濃町)は、お灸(きゅう)や煎じ薬のにおいという漢方イメージとはかけ離れた雰囲気だ。共通語は英語。2001年以来、オーストリア、米国、ブラジル、中国--世界各国の医学生が研修に集まり、数か月から1年間、英語で討論し、漢方を学ぶ。漢字の羅列だった漢方は、Kampoとして紹介され、国際的な関心を集める。

 日本の漢方は、西洋医学に理解されやすかったと、同センター診療部長の渡辺賢治准教授(51)は語る。「実は日本の医師だけが、漢方、西洋両医学を自在に使いこなすことができるのです」

 中国伝統医学は東アジア各国に伝わったが、日本以外では漢方医(伝統医)と西洋医、二つの医師資格があり、お互い別世界だ。ところが日本では明治初期に医師を西洋医学に統一したため、日本には「漢方医」はいない。医学部を卒業し、さらに漢方も学んだ日本の医師は欧米研修や英語文献を読む機会も多く、1980年代から漢方医療の成果を英語で発表してきた。

 また、煎じ薬を粉末化したエキス製剤は品質が均一で、漢方を学ばない医師にも薬効がわかりやすい。英語で説明しやすい。だからKampoを学びに各国から留学生が集まるようになったのだ。

 国際的な関心を集める代表的な薬があるという。

 朝鮮人参(にんじん)、山椒(さんしょう)、ショウガなどの生薬から作られる「大建中湯(だいけんちゅうとう)」。外科出身の北島政樹・国際医療福祉大学長(69)は、「大腸がんの手術後など、腸閉塞症状を起こす人が多いが、大建中湯は腸閉塞を早期に回復させ、予防にも効果がある」という。伝統的な胃腸薬に、手術後の主治療薬として、新しい活用法が見いだされた形だ。

 北島学長らは09年から、国内64医療施設で数千人規模の大規模臨床試験を続けている。メイヨー・クリニックなど米国の医療機関でも効果を確認しており、「欧米の研究者の目をKampoに向けさせる論文になると思う」(北島学長)。

 一方中国も、国家戦略として伝統医学の国際化に着手。世界各国で活用される針灸(しんきゅう)治療をユネスコに申請し、昨年、世界無形文化遺産リストに採択されている。

 「新たに漢方のインフルエンザ治療薬も開発。成果をアピールしており、日本漢方も外に目を見開かなければならない時代です」と、渡辺部長は話している。(編集委員 小出重幸)

障害年金、重病患者にも 治療の支え 読者の反響/下 命を削る

2011年2月20日 提供:毎日新聞社

命を削る:治療の支え 読者の反響/下 障害年金、重病患者にも

 ◇周知されていない仕組み 生活に重大な支障あれば

 免疫疾患の一種で難病の全身性エリテマトーデスを患う岐阜県の無職男性(60)は2年前に障害年金請求のため診断書作成を依頼したとき、主治医の返事にショックを受けた。「手足を切断したような人のための制度だから、あなたみたいな病気の人は受給できませんよ」

 男性は会社員だった03年に発症。一度復職したが、09年に症状が悪化して介助なしでは歩けなくなり2度目の休職をした。働けないときに健康保険から給付される傷病手当金(最長1年6カ月)は、発症直後の最初の休職期間中に受け取っていたので給付されなかった。親の介護費用、子どもの学費が家計に重くのしかかり、食費捻出にも困っていたとき、同僚から障害年金の話を聞き「救われるかもしれない」と期待した。

 主治医の言葉ではあきらめきれず、年金事務所や他の診療科に何度も相談し、昨年障害厚生年金3級と認定された。「医療関係者、患者どちらにも正しい情報を知らせる仕組みがほしい。また患者が自分で手続きをしやすいようにもっと簡素化できないのか」と訴える。

     *

 「ことあるごとに、知人に障害年金についての話をしています」。昨年2月から受給している千葉県内の男性会社員(61)も制度周知の必要性を指摘する。

 男性は01年に発症した脳出血の後遺症で、右半身にまひがある。復職することはできたが、言語障害もあって電話の応対は難しく、書類作成なども時間がかかるという。

 約2年前、同じ後遺症を持つ知人から「君はもう障害年金を受給しているよね」と尋ねられた。男性は身体障害者手帳は持っていたが、障害年金は全く知らなかった。インターネットで制度を調べ、知りたいことの一覧を作って社会保険事務所(当時)に通った。

 「多くの人は会社や病院でも制度について説明を受けず、知るきっかけがほとんどない。国などがすぐに動けないなら、まずは自分でできることからやろう」と思い、最近は障害年金に関する資料を常に持ち歩いている。男性の話がきっかけで受給にこぎつけた同僚もいるという。

     *

 障害年金は老齢、遺族年金と同じ公的年金制度の一つだ。ここでいう「障害」とは、手足が不自由などということだけでなく、病気やけがで生活や仕事に重大な支障があることを意味する。症状や生活、仕事への影響の程度によって、国民年金は1級(10年度は年99万100円)と2級(年79万2100円)、厚生・共済年金は1~3級と障害一時金があり、がんや化学物質過敏症、うつ病なども対象になる。手続きは、年金事務所や市区町村、共済年金の場合は加入する共済組合で行う。

 社会保険労務士で作るNPO法人「障害年金支援ネットワーク」の藤井雅勝代表理事によると、原則として(1)病気やけがの「初診日」が証明できること(2)初診日に年金に加入していること(3)保険料を一定期間納付していること(4)障害の程度が法令で定められた基準以上であること――のすべてを満たした場合、障害年金が受給できる(障害、年金の種類などによって例外がある)。一般的には、初診日から1年6カ月たった日が障害年金の「認定日」となり、手続きを取れば、認定日にさかのぼって支給される(さかのぼれるのは5年間)。

     *

 分かりにくいのが「初診日」だ。障害の原因となった症状が出て、最初に診察を受けた日のことで、検査結果が出た日や、正式な病名を言い渡された日ではない。例えば職場の健診でがんの疑いと指摘され、その後病院で確定診断を受けた場合でも、健診を受けた日が「初診日」になる。

 初診日の証明は、ずっと同じ主治医に診てもらっている場合はその医師に、医師が変わっても当時のカルテが残っている場合はその医療機関の医師に、所定の書類を書いてもらう。だが、初診日から10~20年もたってから重い障害が生じた場合は証明が難しい。障害年金に詳しい京都市の社労士、中家延子さんによると、診察券や領収書、自分の手帳の記載などでも認められることがあり、「万が一のことを考えて診察券くらいは保存しておいてはどうか」と提案する。

 医師に書いてもらう診断書の様式は障害別に8種類あり、医学的な診断だけでなく、日常生活への影響を尋ねる欄も多い。自身も胃がんを経験した中家さんは「『普段こういうことで困っている』と積極的に医師に伝え、診断書により正確な記載をしてもらうことが重要だ。治療も請求手続きも誰かに任せきりではなく、自分で自分の命を守るつもりで臨んでほしい」と話す。【大場あい、河内敏康】

夜明け早まり春ホルモン 脳内に、光で季節感知

2011年2月21日 提供:共同通信社

 夜明けの光が照り始める時間が早まることで、生物が春の訪れを知る仕組みを理化学研究所神戸研究所(神戸市)や近畿大(大阪府)、京都大のチームが突き止めた。

 理研の上田泰己(うえだ・ひろき)プロジェクトリーダーは「生き物が季節を感じ取り、発情期を迎えたり冬眠したりする生態の一端が分かった。人間でも季節によって気分が浮き沈みする季節性情動障害が知られており、治療に寄与できるかもしれない」としている。

 チームは、春になると脳内で作られる特有のホルモンを2008年に名古屋大と共に発見。

 今回、マウスに光を当てる時間を調節し、昼間が短い冬の日照条件(昼8時間、夜16時間)で3週間飼育。この状態では、春ホルモンはほとんど分泌されなかったが、夜明けを8時間早めると分泌されるようになった。

 日没を8時間遅らせて昼を長くしても春ホルモンは作られず、夜明けの光で季節変化を認識していることを確かめた。

 春ホルモンが出るようになるには、夜明けが早まると働き始める遺伝子「Eya3」が必要なことも発見した。

 成果は米科学誌カレント・バイオロジーに掲載された。

前立腺がん、薄毛と関連?…男性ホルモン影響か

2011年2月21日 提供:読売新聞

 前立腺がんを発症した男性が、20歳の頃に薄毛だった割合は、前立腺がんを発症しなかった男性の約2倍あることが、フランスの研究チームの調査でわかった。

 チームは、男性ホルモンが作用した可能性を指摘している。欧州臨床腫瘍学会誌に発表した。

 フランスの病院で前立腺がんの発症経験がある男性388人と、発症したことがない281人に対し、体質的な薄毛とされる男性型脱毛症の有無を尋ねた。

 その結果、20歳時点ですでに薄毛だった人の割合は、前立腺がんの経験がない人が5%だったのに、経験者は2倍近い9・5%に達した。30、40歳時の薄毛で大きな違いはみられなかった。

虫歯のもと「ねばねば」作る酵素、初めて解明

2011年2月19日 提供:読売新聞

 虫歯のもとになる“ねばねば成分”を作り出す酵素について、静岡県立大などの研究チームがその立体構造を初めて解明したと17日発表した。

 この酵素だけをねらい撃ちし、虫歯を効果的に予防する薬などの開発に役立つと期待される。

 虫歯は、糖分の一種で粘着性の「グルカン」にすむ細菌から出る酸が、歯を溶かして起こる。グルカンは歯周病を起こす歯垢(しこう)の原因にもなる。グルカンを作るのはミュータンス菌の出す酵素「グルカンスクラーゼ」で、でんぷんを分解する酵素アミラーゼなどと似た構造だが、詳しい違いまではわからなかった。

 同大の伊藤創平助教らは、この酵素を人工的に大量に作り出すことに成功。X線を使って分析した結果、アミラーゼにはないらせん状構造の部分などが、グルカンを作り出す機能にかかわっていることがわかった。グルカンスクラーゼの働きを邪魔する物質には、緑茶に含まれるカテキンがあるが、立体構造がわかれば、他の食品での探索や化学合成の手がかりになる。

X線 軟骨もくっきり 従来より1000倍高感度 コニカミノルタ、東大などが開発

2011年2月21日 提供:毎日新聞社

X線:軟骨もくっきり 従来より1000倍高感度 コニカミノルタ、東大などが開発

 ◇乳がんなど早期診断可能に

 東京大、兵庫県立大とコニカミノルタエムジーなどの研究チームは、従来より約1000倍も高感度のX線撮影装置を開発したと発表した。骨など硬い組織に比べ、従来のX線装置では撮影が難しかったがん細胞や軟骨などを画像化することができ、指先を動かす細い筋肉まで判別できる。実用化すれば、乳がんのより早期の発見や、関節の軟骨の異常からリウマチの早期診断が可能になるという。

 従来の装置は、X線が体を透過する時に吸収される量が多いほど濃い画像になる仕組みで、X線をあまり吸収しない軟骨などの撮影は困難だった。百生(ももせ)敦・東大准教授(X線光学)らは、X線が透過時にわずかに屈折することに注目。体の組織による屈折率の違いを識別し、画像にする技術を開発した。この方法なら軟らかい組織でも鮮明に写せるうえ、特にがんの診断に重要な線維組織や石灰化した組織が見分けやすいという。

 埼玉医科大と名古屋医療センターで献体の指やひざ、切除した乳がんの標本を撮影したところ、関節部分の軟骨が判別できたほか、乳管内にとどまっているごく初期のがんを見つけることができた。

 チームは今年中に生体の患部などを撮影する試験を始める方針だ。さらに開発を進め、集団検診などで使えるような装置の実用化を目指すという。

 百生准教授は「開発した新装置は、超音波診断装置やMRI(磁気共鳴画像化装置)より細かい部分まで撮影できる。造影剤も不要で、患者の負担軽減になる」と話す。【山田大輔】

重体患者より「先に診ろ」…院内暴力が深刻化

2011年2月20日 提供:読売新聞

 香川県内の医療機関で、職員が患者から暴力や暴言を受ける被害が深刻化している。先月には県内で、傷害や暴行の疑いで逮捕される患者も相次いだ。

 これらの「院内暴力」に対処するため、ここ数年、専門部署を設置したり、警察OBを常駐させたりする病院も増えている。

 県も今年度、暴力の予防に重点を置いたマニュアルづくりに乗り出しており、医療現場での対策強化が進んできている。

 ◆深刻化

 「何で俺を先に診察せんのや」。先月初旬、ある病院の救急処置室。路上で倒れ、救急車で運ばれてきた男が声を荒らげ、男性医師に突っかかった。病院には当時、心肺停止状態の別の患者がおり、その処置を優先したことに激高した。

 職員や看護師6人が取り押さえようとしたが、男は医師の胸を数十回突き飛ばし、病院が警察に通報。男は暴行容疑で逮捕された。

 別の病院でもその数日後、「質問が気に入らない」と、職員の顔を殴った男が傷害容疑で逮捕された。

 「早く処置をしろと言って胸ぐらをつかんだり、備品を蹴ったりするのは日常茶飯事」「看護師の首を絞め、殺すぞとすごむ患者までいる」……。複数の病院の担当者がそんな現場の現状を明かす。ある病院が職員約100人を対象に院内で調査したところ、4割が「患者から、身体的暴力を受けた」との結果が出た。

 県によると、県立の4医療施設では、2-3年前から医師や看護師への暴言が目立ち始め、次第にエスカレートしているという。最近では、被害に悩んで辞職した看護師も出ている。担当者は「理不尽な暴力にじっと耐えている職員も多く、把握できているのは氷山の一角。本当の被害は計り知れない」とため息を漏らす。

 ◆対策

 院内暴力の深刻化を受け、ここ数年、対策を本格化させる病院が出てきている。県立中央病院では2008年、マニュアルをつくった。騒いだり、必要のない治療を強要したりした患者には、院長が退去を命令できることなどを盛り込んだ。昨年には初めて、警察官を講師に、院内暴力の対処法講座も開いた。

 高松赤十字病院は05年、院内暴力などのトラブル対策を担う「医療安全推進室」を設けた。各科の待合室には「脅迫的言動をした患者は診療を断る」などと書いたポスターを張り出した。

 両病院と、香川大医学部付属病院では、3-5年前から、県警OBの職員が常駐。警察とも緊密に連絡を取れる態勢を整備した。

 ◆予防へ

 県は今年度、予防に重点を置く県立病院共通のマニュアルづくりも進めている。「見せる警備」を行う▽待ち時間を短縮し、待合室を静かにして、患者をいらだたせないようにする--といった内容で、3月末までに完成させ、来年度から県立の各医療施設で運用することを目指している。県立病院課は「院内暴力がこれ以上ひどくなれば、医療が崩壊しかねない。先手を打ち、食い止めたい」としている。

「胎児への虐待」防げ 0歳児死亡増の背景に 日本医師会が対策検討

2011年2月21日 提供:共同通信社

 虐待によって亡くなる0歳児が増えており、中でも生後1カ月未満での死亡が目立っている。日本医師会は、母親が妊婦健診を受けないなど、妊娠中に胎児に関心を払わない"胎児への虐待"が背景の一つになっているとして、妊婦教育も含めた対策の検討を19日までに始めた。

 今村定臣(いまむら・さだおみ)常任理事は「一般的に虐待は出生後に始まるが、妊娠中に芽生える虐待の兆候を発見したり、胎児の健康を損なう行為を虐待とみなしたりして、早めに対応すべきだ」と指摘している。

 2008年度に、心中を除き、虐待が原因で死亡したと厚生労働省が確認した18歳未満は67人で、0歳児が39人(58%)を占めた。うち26人は生後1カ月未満で、その中でも生後1日以内に死亡した子どもが16人いた。

 親への聞き取り調査などを通じた検証で、死亡につながった虐待行為は「身体的暴力」「放置」などだが、1日以内に死亡した子どもでは、75%は母親が妊婦健診を受けておらず、81%は母子健康手帳の発行を受けていないと判明。69%は望まない妊娠だった。

 今村さんらは、妊娠中に胎児に関心を払わないことが、その後の虐待につながっている可能性が高いと分析。

 また妊婦健診を受けず、産気づいてから初めて医療機関へ飛び込むと、死産したり、新生児の健康状態が悪く早期に死亡したりする恐れもあり、今村さんは「これを胎児への虐待ととらえると、虐待死の数はさらに増える」と指摘する。

 医師会は対策として、性教育のあり方、妊婦健診についての広報活動、妊婦が小児科を訪れて育児の相談をする「ペリネイタルビジット」の普及などを検討。具体的な方法について話し合う初のシンポジウムを20日に都内で開く。

 厚労省によると、0歳児の虐待死は05年は20人(全体の36%)、06年も20人(同33%)、07年1月から08年3月は37人(同47%)と増えている。

※妊婦健診

 妊娠に伴う病気や流産を防ぐため、病院で行う妊婦と胎児の健康診断。血液検査や超音波検査などがあり、14回程度受けるのが望ましいとされている。受診しないで出産すると、死産と生後1週間未満の赤ちゃんの死亡を合わせた「周産期死亡」や、赤ちゃんが千グラム未満の「超低出生体重児」が増加するとの報告もある。健診の費用は1回当たり5千~1万円程度。経済的な理由などから健診を受けずに病院に駆け込む「飛び込み出産」が社会問題化したこともあり、費用を助成する制度がある。

冬眠クマ、驚くほど省エネ 代謝活動は4分の1に

2011年2月18日 提供:共同通信社

 冬眠中のアメリカクロクマは、生命を維持するための代謝活動が通常時の4分の1のレベルにまで低下していたと、米アラスカ大フェアバンクス校などのチームが、18日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 体温の低下は6度ほどにとどまっており、動物は体温が10度下がると代謝が半分程度に低下するとの通説を覆す結果。厳しい自然環境で暮らすクロクマの、驚くほどの"省エネ"が示された。

 5~7カ月に及ぶ冬眠中には筋肉や骨の量は減らないことが分かっており、チームは今回のデータを骨粗しょう症防止の薬や、将来の宇宙旅行などの分野に応用できるのではないかとしている。

 研究対象は、アラスカ中南部などで人里に近づき捕獲された5頭。人工の巣に入れ食べ物や飲み物は与えずに、赤外線カメラや体内に埋め込んだ無線送信機で冬眠中の生態を調べた。

 クロクマの通常の体温は37~38度。冬眠中は30度を下回ることはなく、数日間隔で30~36度の範囲を上下していた。冬眠から覚める前には36~37度に上昇した。

 一方、代謝活動は大幅に低下したまま推移。心拍数も、通常時の1分間55回程度から14回程度に減っていた。冬眠から覚めて2~3週間は、体温が上がっても代謝活動レベルは半分ほどだった。

 ただ、妊娠した雌の体温は冬眠中でも高いままだった。胎児の成長には、体温の低下や変動は望ましくないとみられる。

子供の無呼吸症、サイン見逃さないで いびき/4止 あなたの処方箋/91

2011年2月18日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/91 いびき/4止 子供の無呼吸症、サイン見逃さないで

 滋賀医科大付属病院の睡眠呼吸外来には、年間約250人が受診する。そのうち約1割は乳幼児や学童期の子供だ。中年男性に多いいびきだが、同大睡眠学講座の宮崎総一郎教授は「寝ている子供が出すサインを見逃さないで」と注意を喚起する。

 成人のいびきは肥満が原因であることが多いが、子供の場合、口蓋扁桃(こうがいへんとう)やその奥にある咽頭(いんとう)扁桃(アデノイド)の肥大が大半だ。6歳ごろまでは生理的に扁桃が大きくなるが、大きくなり過ぎると気道を狭め、いびきや無呼吸を引き起こす。日本学校保健会が07年、小学生1764人を対象にした保護者アンケートでは、26%が「寝息が荒いか、いびきをかく」と回答。「寝ている間に息が止まる(無呼吸)」は4%あった。

 宮崎教授によると、いびきで睡眠の質が下がると、イライラとして落ち着きがなくなったり、集中力が続かず学習意欲が低下するなど学校生活に影響が出る。また、睡眠中の成長ホルモンの分泌が低下し、発育に支障を来すこともある。扁桃を切除する手術をした途端、身長や体重が増え出す子供も少なくないという。

 親や学校が注意すべきサインはいくつかある。最も顕著な例は胸の変形だ。無理に呼吸を続けると胸の中央部がへこんだり、突き出たりする。宮崎教授は「いびきがひどいなら、パジャマの胸を開いて寝ている様子を5分間ほどビデオ録画し、耳鼻科医に見せると診断しやすくなる」と助言する。=おわり(阿部周一が担当しました。21日からは、食物アレルギーです)

咀嚼、脳にもいい「よくかむ」 刺激伝わり覚醒/認知機能に影響も/食事は繊維を多く

2011年2月18日 提供:毎日新聞社

咀嚼:脳にもいい「よくかむ」 刺激伝わり覚醒/認知機能に影響も/食事は繊維を多く

 食べ物をよくかむことは、消化促進や肥満予防につながることが知られている。最近は脳の働きとの関係の研究も進み、心身の健康へのプラスの効果など、咀嚼(そしゃく)の重要性がさらに注目されている。【大場あい】

 「よくかんで食べるということは、人間の健康にとっては、いいことずくめの行為だ」。脳と咀嚼との関係について詳しい小野塚實・神奈川歯科大教授は強調する。料理や器の見た目(視覚)、味、香りなどの五感への刺激に加え、かむという行為で脳に刺激を与えられるからだという。

 小野塚さんらはこれまで、65歳以上の高齢者1000人以上を対象に、かむことと記憶の関係について調べてきた。64枚一組の写真を覚えてもらい、一部を差し替えたもう一組の写真を見て「同じものを見たかどうか」を答えてもらうテストで、約2割の人はガムを2分間かんだ後に記憶してもらったときのほうが、かまずに記憶したときより正答率が15%以上アップした。

 東北大などが仙台市内の70歳以上の高齢者約1200人を対象に実施した調査では、健康な人は平均14・9本の歯が残っていたのに対し、認知症の疑いのある人は9・4本だった。脳をMRI(磁気共鳴画像化装置)で調べると、歯が少ない人ほど、記憶に関係する海馬付近の容積が減少していた。小野塚さんは「歯を使ってかむという行為自体に、認知機能にプラスの効果があるのではないか」と見る。

   □   □

 泰羅雅登・東京医科歯科大教授(神経生理学)によると、よくかむからといって、アルツハイマー病や脳血管疾患など認知症の原因を予防できるという根拠はないものの、脳に刺激を与え続ける一つの方法にはなりうるという。

 脳からあごを動かす筋肉に信号を伝える「三叉(さんさ)神経」は、歯ごたえなど歯や口の粘膜の感覚を脳に伝えるルートでもある。三叉神経は、覚醒(頭がさえた状態)をコントロールする「脳幹」と呼ばれる部分につながっているため、何かをかんで脳幹に刺激が伝わると脳の覚醒につながるという。泰羅さんは「ガムをかむと頭がすっきりするといわれるのは、三叉神経を介したこうした働きも関係している」という。

 だが、かんで食べるという行為は非常に複雑で、脳との関係についてはまだ分からないことも多い。例えば、あごと舌では、それぞれ動かしたときに働いている脳の領域が少し異なるという。泰羅さんは「咀嚼は、大脳の内側の大脳辺縁系がつかさどる本能的なシステム(生きるために食べること)と、大脳新皮質がコントロールする人間の意思や理性に関係するシステム(楽しんで食べること)の両方が、うまくバランスをとっていると考えられ、非常に興味深いメカニズムだ」と話す。

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 「よくかむこと」の目安として、厚生労働省などは「一口30回」を例に挙げている。だが、「数えるのが面倒くさい」という人も少なくない。猪子(いのこ)芳美・日本歯科大新潟生命歯学部講師は「食物繊維を多く含む食品をメニューに加えると、意識しなくても30回の咀嚼と同程度、食べ物をかむことができる」と提案する。

 猪子さんらは、健康な成人男女12人にピーナツ(2粒)と生のニンジンの角切り、それぞれ約2グラムずつを食べてもらい、咀嚼回数や咀嚼に関係する筋肉の動きなどを調べた。咀嚼回数を指定しなかったとき、のみ込むまでの咀嚼回数は、ピーナツが平均24・5回、ニンジンは27・1回だった。ちょうど30回咀嚼した場合と比べると、ピーナツの場合だけ咀嚼時間が短く、筋肉の活動量も少なかった。

 猪子さんは「どちらも歯ごたえのある食品だが、ピーナツはすぐに砕けて、のみ込めてしまう。一方、食物繊維の多いものは、かんでもなかなか小さくならないので、時間をかけてかむことになる。咀嚼回数を増やすことに一生懸命になるのではなく、繊維を多く含むものをメニューに取り入れて、食事を楽しむ中でしっかり食べ物をかんでほしい」と話す。

インフルエンザ患者数、2週連続減少

2011年2月18日 提供:読売新聞

 国立感染症研究所は18日、全国約5000医療機関を対象にしたインフルエンザの定点調査で、最新の1週間(7-13日)の新たな患者数が1機関当たり21・5人となり、2週連続で減少したと発表した。

 前週の28・93人から大きく減った。流行のピークを越えたとみられるが、患者はまだ多く発生しており、厚生労働省は引き続き感染予防の徹底を呼びかけている。

 この1週間の推定患者数は全国で約109万人(前週155万人)。過去3週で検出されたウイルスは新型が約7割で、依然として多くを占めている。

 都道府県別の1医療機関当たりの患者数は、愛知が37・01人で最も多く、富山の32・56人、福岡の31・75人、新潟の30・89人、長崎の30・07人と続いている。他の42都道府県では警報レベルの30人を下回った。

立体的な膵島作製 糖尿病治療に道 微小重力環境で培養

2011年2月18日 提供:共同通信社

 微小な重力を模擬した環境でインスリンを分泌する膵臓(すいぞう)のベータ細胞を培養し、立体的な組織を作ることに、横浜市立大の谷口英樹(たにぐち・ひでき)教授(再生医学)らがマウスの実験で成功した。

 この組織は、膵臓の中にあってベータ細胞などから構成される膵島に似ており、通常のベータ細胞よりインスリンを作る能力が高い。将来は1型糖尿病患者への膵島移植につながる技術という。3月に都内で開かれる日本再生医療学会で発表する。

 ベータ細胞を培養皿などで培養しても平面的な組織しかできず、インスリンを作る能力は低い。谷口さんらは、培養液が入った容器を回転させることで内部が微小重力を模擬した状態になる装置を使い、容器の中でマウスのベータ細胞を培養。数日後、大きさが0・1ミリ程度で通常のマウスの膵島と同様の組織ができた。ラットでもできた。

 この組織では、インスリンに関係する遺伝子の働きが、平面的に培養したベータ細胞の約2倍と高かった。糖尿病のモデルマウスにこの組織を移植すると、血糖値が下がった。

 谷口さんは「人工多能性幹細胞(iPS細胞)などからベータ細胞を大量に作ることは相当難しい。危険性が少ない人間のベータ細胞株を樹立し、この方法を使って膵島移植を目指したい」と話している。

サルへiPS網膜細胞移植成功…臨床応用へ一歩

2011年2月18日 提供:読売新聞

 様々な組織の細胞に変化するiPS細胞(新型万能細胞)から網膜の細胞を作り、サルの目に移植することに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターのチームが成功した。

 人に近いサルでの成果により、iPS細胞を使った世界初の臨床応用に近づいた。3月に東京で開かれる日本再生医療学会で発表する。

 高橋政代チームリーダーらは、カニクイザルの皮膚からiPS細胞を作り、視細胞に栄養分などを補給する「網膜色素上皮細胞」に変化させ、縦1ミリ、横2ミリの細胞シートを作製。サルの網膜の裏に移植した。約2か月たった現在も異常はなく順調に定着している。

 サルの実験では、慶応大が人間のiPS細胞を使い脊髄損傷の治療に成功している。ただし脊髄損傷では神経細胞に変化する途中のものを使う。網膜では、完全に変化した少数の細胞で治療が可能なため、実用化が近いと期待されている。

確立した治療法、合併症も予防 いびき/3 あなたの処方箋/90

2011年2月17日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/90 いびき/3 確立した治療法、合併症も予防

 「接客中も睡魔に襲われた。家族はうるさくて眠れず、家庭崩壊寸前だった」。福岡県那珂川町で理髪店を営む梁瀬憲二さん(43)は09年、重症の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された。その日から始めたのがCPAP(シーパップ)療法。枕元に置いたティッシュ箱大の装置で空気を加圧し、ホース伝いに鼻マスクから送り込む。保険が適用され月約4500円で貸してもらえる。「10代のころのような爽快な目覚めが戻った」と梁瀬さん。眠気がなくなっただけでなく、食事制限もあって90キロあった体重は75キロに減り、頻繁だった風邪もかかりにくくなったという。

 現時点で有効薬のないSASには、CPAPがほぼ唯一の治療法だ。対症療法なので使い続けなければならないが、まず、いびきを止めることで生活の質は改善し、心血管疾患のリスクを抑えることができる。SAS患者らで作る東京のNPO法人「SASネット」によると、鼻が乾くなどの理由で装置が合わない患者は2~3割。圧力の微調整が欠かせず、同ネットは相談に応じてくれる推薦医療機関をホームページ(http://www.sas-j.org/)に掲載している。

 SASは命にかかわる合併症を引き起こす。健康な人に比べ、高血圧が3倍▽心疾患が2倍▽脳血管障害が2倍--とされ、1時間に20回以上の無呼吸がある人は8年後の生存率が63%に落ち込むという米国の調査もある。

 軽~中等症者は横向きで寝るだけでも効果がある。下あごを少し前に出すマウスピースも市販されている。同ネットの渡辺了之副理事長は「治療法はそろっている。放置さえしなければ治る病気だ」と話す。=つづく

漢方最前線(2)近代薬に変身、必須科目に

2011年2月17日 提供:読売新聞

 漢方医学はどこで、誰が作り出したのだろうか。

 「神農(しんのう)さん」の名前で親しまれる大阪市の少彦名(すくなひこな)神社。毎月23日に漢方薬の神、神農にお湯を奉納する献湯祭が続けられている=安斎晃撮影 三浦於莵(おと)東邦大学医学部教授(63)は「易経、老荘など古代中国の自然思想と、生薬の膨大な知識とが結びついて、漢代に集大成された」という。奈良時代に日本に持ち込まれている。

 同大学の講義室。三浦教授は「漢方は日本の気候・風土に合わせて独自の発展をしましたが、生薬など周囲のいのちが、人体という小宇宙の健康を支えるという思想は、現代の漢方薬にも生きています」と説く。

 全国には80の医学部があるが、漢方医学は現在、そのすべてで必修科目となっている。実は明治政府が1874年、医師資格を「西洋近代医学」に統一して以来、漢方は1世紀以上、医師教育から姿を消していた。それが表舞台に復権できたのはなぜか。

 突破口は、煎じ薬をインスタントコーヒーのように乾燥、粉末化させた「漢方エキス製剤」だった。

 小太郎漢方製薬(大阪市)が1957年に開発、薬局用漢方薬として販売した。続いてツムラ(東京都)が医師向けのエキス製剤を発売し、医療現場にも普及した。煎じ薬から近代的な医薬品への変身。効果も煎じ薬と大差なく、飲みやすい。これが漢方の世界を変えた。

 当時の武見太郎・日本医師会長の要請もあり、厚生省(現厚生労働省)は70年代から、健康保険で漢方薬が投与できるよう、漢方処方や生薬の認可をしていった。

 それでも医学界や厚労省には、「東洋思想など荒唐無稽」「漢方薬は科学的な裏づけがない」という批判、不信が根強かった。

 「主治医に見つかると治療を拒絶されるのでと、こっそり漢方治療を受けに来る患者が多かった」

 三浦教授は、診察の様子をこう振り返るが、この30年で、漢方の受け止め方は大きく変わってきた。

 古代中国思想とは無縁な現代人にも、エキス製剤は効いたのだ。厚労省研究班の臨床試験などで効果を確認するデータが報告され、漢方薬を使う臨床医が増加。これを受けて文部科学省は2001年、医学部のカリキュラムに「漢方薬の知識」を加えた。

 講義を聴いて「最初は漢文の時間かと思った」という東邦大医学部1年、西田藍さん(19)は「内科医の父も患者さんの希望で漢方薬を使っており、学んでおいて損はないと思う」と現実的な感想を語る。

 130年の空白を超えて、医師国家試験に漢方薬の知識が出題されるのも間近になっている。(編集委員 小出重幸)

コーラ着色料はがんの原因 米団体が禁止求める

2011年2月17日 提供:共同通信社

 【ワシントン共同】米消費者団体、公益科学センター(CSPI)は16日、着色料としてコーラ飲料やソースなど幅広い食品に使われる特定のカラメル色素が、がんの原因になるとして、米食品医薬品局(FDA)に禁止を求める請願書を提出した。

 請願書によると、米政府による動物実験で、アンモニウム化合物を加えて製造されるカラメル色素に発がん性があると報告されている。

 CSPIは、コーラ飲料などに含まれる糖分の方が肥満などにつながる「より大きな健康リスク」と指摘。その上で、カラメル色素が「何千人もの米国民のがんを引き起こしている可能性がある」と訴えている。

アレルギー反応、体内時計が制御…山梨大

2011年2月17日 提供:読売新聞

 じんましんなどアレルギー反応は、体内時計に制御されていることを、山梨大医学部の中尾篤人教授(免疫学)の研究チームがマウスの実験で明らかにした。

 アレルギー性疾患の新たな予防や治療法の開発につながる可能性があるという。米国の学会誌に近く掲載される。

 中尾教授は、鼻炎やぜんそくの症状が朝方に悪化することが多いなど、アレルギー反応が特定の時間帯に起きやすいことに着目し、睡眠や血圧など一日のリズムを制御する体内時計がアレルギー反応と関係しているとの仮説を立てた。実験では、体内時計で中心的な役割を果たす遺伝子を変異させてマウスの体内時計を乱した。その結果、特定の時間帯だけでなく、一日中アレルギー反応を示すようになったという。

軟骨、がんも撮影可能に エックス線で新装置開発

2011年2月17日 提供:共同通信社

 人体を透過するエックス線は体内の臓器などによって進行方向がわずかにずれることを利用し、これまで撮影が難しかった軟骨やがん組織などを画像化する新装置の試作機を開発したと、百生敦(ももせ・あつし)東京大准教授らが16日、発表した。

 超音波診断装置や磁気共鳴画像装置(MRI)より細かな画像を得ることができ、関節の軟骨が破壊されるリウマチや乳がんの早期診断に応用できる可能性があるという。

 従来は、エックス線の吸収率の違いを利用しており、エックス線をよく吸収する骨はきれいに撮影できるが、吸収しにくい軟骨などは写らなかった。

 百生准教授らは、体内を透過するエックス線の進行方向がずれ、そのずれ方は筋肉や骨、臓器など被写体の形や性質によって違うことに着目。ずれ方の違いを画像化する装置を開発した。

 これによって、輪郭が分かりやすい画像と、がん組織などの微小構造が密集していることが分かる画像を新たに得ることができた。

 共同研究グループの埼玉医大は、膝や指の軟骨、腱(けん)が識別できると確認。国立病院機構名古屋医療センターは、患者から切除された乳がんの断片を撮影し、微小ながんが従来よりはっきり写った。コニカミノルタエムジーは、検診に使えるような装置の実用化を目指すとしている。

神経へのスイッチ遺伝子 ES細胞で発見、理研

2011年2月17日 提供:共同通信社

 さまざまな組織になれるとされる胚性幹細胞(ES細胞)が神経細胞に変化する際にスイッチとなる遺伝子を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)と京都大のチームがマウスで見つけ、17日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

 ES細胞や人工多能性幹細胞(iPS細胞)などの万能細胞から神経細胞を作ると、他の種類の細胞もできて混入し、再生医療での移植時にがん化などの危険性が増すと指摘されていた。

 理研の笹井芳樹(ささい・よしき)グループディレクターは「スイッチ遺伝子の働きを促進して万能細胞から神経細胞だけを高効率に作れれば、他の細胞が混入するのを防げ、再生医療の安全性を向上できる」としている。

 チームは、マウスES細胞が神経のもとになる細胞に変化する際に「Zfp521」という遺伝子が働いていることを発見。Zfp521の働きを抑えたES細胞を受精後3日のマウス受精卵に移植すると、7日後には全身の細胞に変化したが、脳の神経細胞だけにはならないことが分かった。Zfp521は、神経のもとになる細胞に特有の遺伝子の働きを活発にしていた。

 ヒトの万能細胞でも同じ仕組みが働いているとみられるという。

神経、骨に共通の幹細胞 大阪大、定説覆す

2011年2月17日 提供:共同通信社

 脊椎動物の胴体の中枢神経と、骨や筋肉が「体軸幹細胞」と呼ばれる共通の細胞からできる仕組みを、大阪大の竹本龍也(たけもと・たつや)助教らと米コロンビア大などの国際チームがマウスで明らかにし、17日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。

 これまで、表皮や神経は「外胚葉」、骨や筋肉は「中胚葉」、肺や消化管は「内胚葉」と呼ばれる別々の組織の細胞から作られるのが定説だったが、これを覆す研究成果。大阪大の近藤寿人(こんどう・ひさと)教授は「教科書を書き換える必要がある。体軸幹細胞の理解が進めば再生医療の発展にも大きく貢献できる」としている。

 チームは、胴体部分が作られる受精後7~12日のマウス胎児を解析し、中枢神経にも骨や筋肉にもなることができる体軸幹細胞を発見。

 体軸幹細胞で「Sox2」という遺伝子が働くと神経に、「Tbx6」が働くと骨や筋肉のもとになる細胞へと変化することを突き止めた。Tbx6が働かないマウスでは、体が作られる初期の段階で、骨や筋肉となる場所に神経ができた。

 こうした仕組みは胴体のみで当てはまり、頭部では異なるという。

高齢者の所得格差、がん死亡リスクに反映…日本福祉大調査

2011年2月17日 提供:読売新聞

 高齢者で所得の低い人は高い人に比べ、がんで死亡する危険性が2倍高いことが、日本福祉大などの研究グループの調査でわかった。

 愛知、高知県の65歳以上の高齢者で、要介護認定や、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器系疾患の治療を受けていない1万5025人を対象とし、2008年5月まで、最長約4年間調査した。調査開始時点にアンケートした所得、教育年数などの情報と、死亡原因を照らし合わせた。

 それによると、男性高齢者で所得400万円以上の層に比べ、200万円未満の層では、がんによる死亡のリスクは1・9倍高かった。また、男性高齢者で教育年数が13年以上の層に対し、6-9年の層では、がんによる死亡リスクは1・46倍高かった。

 過去の調査で、教育年数が少ないほど健診の受診率が低いことがわかっている。健診受診率と死亡率との関係を分析したところ、1年以内に健診を受けた高齢者に対し、受けなかった層は、がんで約1・3倍、心疾患で約1・6-1・7倍死亡リスクが高かった。

 調査した日本福祉大健康社会研究センター長の近藤克則教授(社会疫学)は、「社会経済階層が低いほど、喫煙や過剰な飲酒などがんになりやすい生活習慣を持つ傾向にあり、健康意識が低い人が多い。病院にかかる金銭的な余裕がないことも重症化を招いていると推測される」と話している。

後にノーベル賞続々…山中伸弥氏にウルフ賞

2011年2月17日 提供:読売新聞

 イスラエルのウルフ財団は16日、今年のウルフ賞(医学部門)を京都大の山中伸弥教授(48)に贈ると発表した。

 米マサチューセッツ工科大のルドルフ・イエーニッシュ教授との共同受賞となる。財団は授賞理由について「様々な臓器の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)を開発し、新たな医療の可能性を開いた」と説明している。賞金10万ドルを2人で分ける。

 ウルフ賞の対象は、科学、芸術分野で顕著な功績があった人物。受賞者が後にノーベル賞を受賞することも多く、日本人では、小柴昌俊・東大特別栄誉教授(84)や野依良治・理化学研究所理事長(72)らが受賞している。

漢方最前線(1)ずばり的中、ツボ診断

2011年2月16日 提供:読売新聞

 漢方--日本に根付いた中国伝統医療だ。明治以来主流からはずれていたが、1980年代から漢方薬を使う医師たちが増え始めた。

 根強かった医学界の反発も和らぎ、現在、漢方は医療現場に広く普及している。その最前線を訪ねる。

   ◇

 7か月待ちという人気の医療ドックがある。東京女子医大・東洋医学研究所(東京・北区)の「漢方養生ドック」。通常の臨床検査と同時に漢方的な体質診断を行い、食事、運動、節制など日常生活の養生法を伝えるという。

 「この電極を左手で握ってください」。手渡された金属棒を握ると、針灸師(しんきゅうし)の吉川信(きっかわまこと)さん(48)はもう一つの電極を記者の左右の手や足のツボに当て、体の電気抵抗を読み取ってゆく。そして良導絡(りょうどうらく)という針灸診断結果がプリントされた。

 「筋肉のこりや痛み、目の疲労がありませんか」。こころの余裕がない、手足が冷えやすいなど、体質がずばりと診断された。

 2年前に始まった漢方ドック、針灸以外にも、同研究所長の佐藤弘教授(63)らが受診者の手首に指先を当てて脈の拍動の様子を調べたり、痛みはないか、夜は良く眠れるかなど、会話をしながら「漢方データ」を集めてゆく。

 「漢方医学には病気になる前の段階、未病(みびょう)を診断する方法があり、未病を治して長生きにつなげる養生法があります。これは数値化できるようなものではありませんが、1人ずつ体質に合わせたアドバイスができるのです」という。

 それは、西欧近代医学とは全く違う診断体系だ。

 「気」「血」が全身をバランスよくめぐることで健康が支えられる、という身体論に基づいて、体が健康状態からどのくらい、どの方向にズレているのかを診る。漢方薬もこれに基づいて処方される。

 その漢方医学は明治以降、政府の西洋医学一本化政策で臨床医療現場からはほとんど姿を消していた。

 ところが80年代、臨床現場で漢方医療に取り組む医師たちを取材して驚いた。患者の身体に丁寧に触れ、患者の訴えに真剣に耳を傾ける医師の姿があったのだ。「漢方では、脈に触れたり、訴えを聞かないと診断できないのです」(佐藤教授)

 臨床検査データに頼り、患者には触れない医師、患者の顔もきちんと見ない医師が増えている傾向とは、正反対だったのだ。現代の患者の多くが求めているのは、身近なまなざしで心身の健康を見守ってくれるこうした医療ではないのか。

 果たして漢方への蔑視、批判は次第に減り、漢方薬を使用する医師は増え続けた。最近の臨床医を対象とする実態調査では、80%以上の医師が「漢方薬を使用する」と回答。漢方診療機関は全国に広がっている。(編集委員 小出重幸)

重症者は脳や血管に負担 いびき/2 あなたの処方箋/89

2011年2月16日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/89 いびき/2 重症者は脳や血管に負担

 「あなたもいびきをかくのでは?」。国立病院機構福岡病院の中野博・睡眠センター長は記者(33)を見て言い当てた。身長173センチ、体重65キロ。あごは細めで「標準体形」を自任してきたが近年、おなかが出てきた。就寝時は別室に避難する妻の観察によると、睡眠時無呼吸症候群(SAS)ではないようだが、中野センター長は「音の強いいびきはそれだけで要注意」と警告する。

 中野センター長によると、SASを発症していない88人を、いびきの音の強弱で4段階に分けて調べたところ、最も弱いレベル1は就寝前と起床時の血圧に差がなかったのに対し、レベル4は起床時に13%上昇した。別の調査では、いびき重症者は軽い人より脳に血液を送る頸(けい)動脈に動脈硬化が起きる確率が3倍に増えた。

 いびきによる呼吸は、睡眠時に舌やのどの筋肉が緩み、舌根(ぜっこん)が沈み込んで気道咽頭(いんとう)をふさぐため、細いストローでするようなもの。専門家は「努力呼吸」と呼び、強い音は努力が激しい証拠だ。睡眠中も盛んに心臓が働き続ける上、血中の酸素飽和度が繰り返し下がるので脳や血管に負担がかかる。

 体形もカギになる。首やのどに脂肪がつく肥満は一大因子だが、細身でもあごが小さいと舌が収まらず気道に落ち込みやすくなる。あごの細いスリムな人が中年太りすると黄信号だ。

 いびきが強いほどSASを発症する傾向も高まるという。中野センター長は「家族が眠れないような音なら早めに治療を」と呼びかける。=つづく

大人の「リンゴ病」要注意…4年ぶり流行

2011年2月16日 提供:読売新聞

関節痛、流産も

 ほおがリンゴのように赤くなる「リンゴ病」(伝染性紅斑)が流行している。幼児の病気として知られるが、大人が感染するとひどい関節痛などを併発するほか、妊婦では流産や死産の恐れもある。

 国立感染症研究所では注意を呼び掛けている。

 伝染性紅斑は、4、5歳を中心に、9歳以下の子どもで約9割を占めるウイルス性感染症。同研究所によると4-5年に1度の流行がある。

 全国約3000か所の小児科からの報告によると、1月24-30日の患者数は2008人で昨年の同時期と比べて約6倍。2002年、07年に次ぐ流行という。患者数が最も多くなる夏に向け、今後も流行が続く見通しだ。

 伝染性紅斑に感染すると、1週間ほどで鼻水やせき、発熱など風邪に似た症状が出る。このころウイルスの排出量が最も多くなるが、この時点で病名を特定することは難しい。

 感染から10-20日経過すると両ほおが赤くなったり、腕や足にレース状の発疹が見られたりと、リンゴ病特有の症状が出るが、すでにこの時には感染力がほぼ失われている。ワクチンもなく、予防は難しいとされる。

 子どもが感染しても大半は症状が軽いことから、あまり深刻な病気ととらえられていないが、大人が感染すると重い症状が出ることがあるので注意が必要だ。成人はほおが赤くなることは少ないが、合併症として関節痛や関節炎を訴える人が男性では約3割、女性では約6割に及ぶ。中には起きあがれないほどの痛みが1-2日続く人もいるという。

 また、妊婦が感染した場合、胎盤を介して胎児も感染。流産、死産に至るケースもある。

 同研究所感染症情報センター主任研究官の安井良則さんは「保育園や幼稚園などで感染者が出た場合は、速やかに保護者に情報提供し、妊婦は居室内に立ち入らせないようにするなど、徹底した対応を取ってほしい」と話す。感染力の強いインフルエンザやノロウイルスなどに比べ、危機感の薄い施設が多いという。

 伝染性紅斑の感染経路の中心は飛沫(ひまつ)と接触による感染だ。マスクを着用し、手洗いを徹底することが予防の第一歩となる。風邪のような症状が出た場合、鼻水などの飛沫を飛ばさないよう「せきエチケット」を守ることも必要だ。

血液がんの増殖機構解明 京大、ウイルス遺伝子特定

2011年2月16日 提供:共同通信社

 血液のがん「成人T細胞白血病」(ATL)の原因ウイルスHTLV1の特定の遺伝子が、がん細胞を増殖させるメカニズムを、京都大ウイルス研究所の松岡雅雄(まつおか・まさお)教授らのチームが15日までに解明した。

 HTLV1は主に母乳を通じて母親から赤ちゃんに感染し、成長してからATLやHTLV1関連脊髄症(HAM)を発症することがある。国内感染者は約108万人とされる。

 チームはこれまでにATL患者で働いていた「HBZ」という遺伝子が、がん細胞を増加させていることを確認。

 今回、マウス実験でHBZ遺伝子を強制的に働かせたところ、正常のマウスと比べ約5倍の数のマウスががんになった。HBZは別のタンパク質を介して、過剰な免疫反応を抑制する「制御性T細胞」を異常増殖させ、免疫不全を引き起こした。また制御性T細胞ががん化しており、これがATLにつながると考えられるという。

 松岡教授は「この遺伝子の働きを抑えられれば、感染しても発症抑制などの治療につながる」と話した。成果は米科学誌プロスパソジェンズに発表した。

ルーバッグ病の手術成功 徳島、フィリピン人男性に

2011年2月16日 提供:共同通信社

 体が動かせなくなるなどの症状が出る神経の病気「ルーバッグ病」のフィリピン人男性(49)の手術に15日、徳島大病院(徳島市)が成功した。

 神経の働きを正常化させるため脳に細い電極を埋め込むもので、同病院によると同方法での手術は日本では2例目、世界で5例目。

 同病院によると、ルーバッグ病は主にフィリピン人を母親に持つ男性に発症する病気で、発症から10年ほどで寝たきりになることが多い。推定患者はフィリピンなどで約6千人。

 今回の手術法は、脳の特定部位を熱で壊す従来の手術に比べて神経症状などの後遺症が少ない。歩行が困難なほど重症化した患者への手術は初めてで、今後、電極から微弱な電流を流し、神経の働きを正常化する。

 同病院はフィリピンの病院との共同研究で2007年に同病の原因遺伝子を発見するなど研究を進めており、梶龍児(かじ・りゅうじ)神経内科長は「良い結果が出れば、さらに治療法を研究する基礎になる」と話した。

「中皮腫登録」検討 石綿被害、治療に活用へ

2011年2月15日 提供:共同通信社

 環境省は14日、アスベスト(石綿)の暴露による健康被害の一つで、診断や治療が難しい「中皮腫」の患者情報を集約し、治療法の開発に生かす「中皮腫登録」の実施を検討していることを明らかにした。

 石綿健康被害救済法の見直しなどを検討している環境省の小委員会で報告された。

 中皮腫は、救済法の指定疾病の一つ。救済制度で患者の認定や医療費の支給などを行っている環境再生保全機構によると、昨年末までの中皮腫の認定者は計約5600人。

 まれな疾患で、発症までの潜伏期間は数十年に及ぶこともあり、ほかの悪性腫瘍に比べ病後の経過が悪いという。

iPSから生殖細胞作製へ 慶応大、倫理委が承認

2011年2月15日 提供:共同通信社

 慶応大は14日、人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から精子や卵子などの生殖細胞を作製する研究を岡野栄之(おかの・ひでゆき)教授らが計画し、医学部生命倫理委員会が承認したと発表した。文部科学省にも届け出をしており、受理されれば始める。人間のiPS細胞から生殖細胞を作る試みは国内初とみられる。

 さまざまな細胞になる能力があるiPS細胞などの万能細胞から生殖細胞を作る研究は、文科省の指針で昨年5月に解禁された。生殖細胞を受精させ胚を作るのは個体づくりにつながる恐れがあるため禁止されており、今回の研究でもしない。

 岡野教授らは、人間の皮膚から作製したiPS細胞4株を使って、精子や卵子の元になる始原生殖細胞を作り、それから精子や卵子ができるかなどを調べる予定。「生殖細胞はほかの細胞に比べて特殊な性質を持っており、iPS細胞が生殖細胞に分化できるかを検証することが、多分化能を評価するために重要」としている。

病気の苦しみ和らげる「臨床僧」、育成へ

2011年2月15日 提供:読売新聞

 入院患者の心のケアや在宅介護に従事する僧侶を「臨床僧」と名付けて育成していこうと、僧侶で医師の対本宗訓(つしもとそうくん)さん(56)らが16日、「臨床僧の会・サーラ」を京都・長岡京市を拠点に設立する。

 全国的にも珍しい取り組みで、対本さんは「生老病死の苦しみや恐怖と向き合う人に寄り添うことにこそ宗教者の役割があるはず」と、賛同者の広がりに期待している。

 愛媛県の寺に生まれた対本さんは京大で哲学を学んだ後、天龍寺(右京区)で修行し、38歳で臨済宗佛通寺派管長に就任。父親や信者を看取った経験から、次第に終末期ケアや生命倫理への関心が高まった。

 一念発起して受験勉強を始め、2000年、帝京大医学部に入学。管長を辞任して勉学に打ち込んだ。06年に医師資格を取り、研修医や総合病院での勤務を重ねる中で現代医療の限界も目の当たりにした。

 医師不足による過酷な勤務。「病気を診て患者を診ない」と言われるように、がんや難病の患者が直面している死への恐怖を和らげるすべを十分には持ち合わせていない。かといって、宗教家が病院に出入りすれば「縁起でもない」と白い目で見られる--。

 欧米の病院には、臨床教育を受けた「チャプレン」と呼ばれる聖職者がいる。これを参考に、「僧侶の役割」を追い求めて同会を発足することにした。

 同会では、医療ソーシャルワーカーやホームヘルパーなどの資格を取得した僧侶に研修を行ったうえで「臨床僧」に認定。約1週間の病院実習を行った後、病院や在宅での法話や相談、入浴や移動の介助などに従事してもらう。賛同する僧侶はすでに約20人おり、今後、受け手となる病院や介護業者を募るという。

 12日に開いた医師や看護師、NPO関係者らとの意見交換会では、「安楽死や尊厳死は医師だけの問題ではない」「僧侶が現場になじむには十分なカリキュラムが必要」などの声が上がった。小泉欣也・京都大外科交流センター理事長は「現代医療は心の問題が大切になっており、ともに考える時期だ」と話した。

 16日には参加する僧侶らが顔合わせし、会がスタートを切る。現在は英国で臨床学を学び、日本とを行き来している対本さんは「患者に『人は死んだらどこに行くのか』と問われたら、宗教者としてなら語り合える。宗派を超えて活動を広げていきたい」と話す。(岡田英也)

 問い合わせは同会(075・954・1005)へ。

眠気のない睡眠時無呼吸症候群も いびき/1 あなたの処方箋/88

2011年2月15日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/88 いびき/1 眠気のない睡眠時無呼吸症候群も

 熊本県上天草市で09年10月、遊漁船が岩に激突し、釣り客2人が死傷する事故が起きた。原因は男性船長(当時53歳)の居眠り。国土交通省運輸安全委員会の今年1月の報告書によると、船長は睡眠中いびきをかき、就寝後3~4時間で目が覚めることが頻繁にあった。船長は事故後、中等度の睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された。一方で船長は「目覚めの悪さや眠気はなかった」と証言。安全委は本人に自覚のない慢性的な睡眠の質の低下が居眠りの誘因と結論づけた。

 いびきによって一時的に息が止まるSASは、03年にJR山陽新幹線の運転士が居眠り運転したトラブルをきっかけに注目を集めた。いびきは、舌根(ぜっこん)が沈み、気道咽頭(いんとう)がふさがれて起きる。その時、10秒以上の呼吸停止が1時間に5回以上、あるいは一晩(7時間)に30回以上でSASと診断される。

 熟睡感が得られず、常に眠気が抜けないイメージが一般的だが、谷川武・愛媛大医学部教授は「眠気の自覚がないSASの方がむしろ多く危険」と指摘する。06年にトラック運転手5287人を対象とした調査では、10%に中等度以上の睡眠呼吸障害を確認した。だが、眠気を聞くテストでは、重症者の76%が自覚していなかったことが判明。慢性的な眠気を加齢による疲れやすさと誤解し、缶飲料やたばこで紛らわすことが多いと考えられるという。

 国内のいびき人口は推定約2000万人。そのうちSAS患者は200万人以上とされるが、受診者は約20万人。谷川教授は「運転手なら事業者が精密検査を奨励し、一般の人は家族が気付いてあげて」と早期発見の意義を強調する。(阿部周一が担当します)=つづく

3月中の和解目指す 救済申請は3万9千人 「水俣病問題」

2011年2月15日 提供:共同通信社

 水俣病未認定患者らでつくる最大の訴訟団体「水俣病不知火患者会」が国と熊本県、チッソに損害賠償を求めた集団訴訟は昨年3月、熊本地裁が提示した一時金210万円の支給を柱とする和解所見に原告と国側が基本合意した。双方は3月中の正式な和解成立を目指している。

 新潟、東京、大阪の各地裁の訴訟も昨年11月までに和解に向けた基本合意が成立。基本合意に至った原告は計3千人以上となった。これらの訴訟が終結すれば、原告9人の「水俣病被害者互助会」訴訟が、唯一の水俣病集団訴訟となる。

 政府は昨年4月、和解所見と同じ条件で、特別措置法に基づく未認定患者の救済策を閣議決定し、5月1日に申請の受け付けを開始。1万人以上が応じた1995年の村山政権の「政治解決」以来となる大規模救済が始まった。

 新潟、熊本、鹿児島の3県で1月末までに3万9千人余りが申請。保健手帳所持者や公害健康被害補償法に基づく認定申請者の数などから想定された「3万5千人以上」を大幅に上回った。

 環境省は、2004年の水俣病関西訴訟の最高裁判決後、訴訟が相次いだ経緯を踏まえ、「特措法の救済対象地域から外れている人でも、あたう限りの救済に努力したい」との考えだ。

 原告の平均年齢は70歳に近く、問題の解決に向けて残された時間は限られている。園田昭人(そのだ・しょうと)弁護士は「最初の提訴から5年以上経過しており、早く解決できるようにしたい」と話している。

笑いヨガ 心身元気に 簡単な動作で「アハハハ」 脳が活性、リラックス

2011年2月15日 提供:毎日新聞社

笑いヨガ:心身元気に 簡単な動作で「アハハハ」 脳が活性、リラックス

 声を出して笑いながら体を動かす「ラフターヨガ」(笑いヨガ)が注目されている。ヨガといっても難しいポーズはなく、子どもから高齢者まで参加しやすいのが特徴だ。約5年前に日本に紹介され、既に全国に約120のクラブがあり、笑顔の輪が広がっている。【下桐実雅子】

 東京都武蔵野市で毎週水曜日に開かれる「吉祥寺ラフタークラブ」には、毎回15人前後が参加する。日本に初めてラフターヨガを紹介した田所メアリーさん(56)と夫の孝さん(60)が講師。メアリーさんが「息が切れたら座ってもいいですから、自分のペースを守って。笑うときに、目と目を合わせるコミュニケーションを大事にしてください」と声をかけた。

 この日は軽いストレッチの後▽インドのあいさつをイメージして両手を胸の前で合わせる▽ミルクセーキを作って飲むまねをする--など8種類の動作をしながら、参加者は「アハハハハハ」と声を上げて笑った。最後はみんなで車座になり、ひたすら笑う。記者もつられて笑ってしまった。

 約1年半クラブに通っている神奈川県大和市の男性(60)は「リストラで職を失い不安な日々を過ごしていたが、ここに来て少しずつ前向きになった。笑っていると幸福感に包まれる」。現在は整体師を目指して勉強中という。

 「日常生活でも以前より笑うことが多くなった」と話すのは50代の女性。夫を病気で亡くし食事もとれなかったが、ラフターヨガと出合い元気を取り戻したという女性もいた。メアリーさんは「笑いには脳の活性化などの効果がある。作った笑いでも、自然に笑うのと同じ効果を期待できる」と語った。

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 ラフターヨガは1995年にインドの医師夫妻が考案した健康法で、笑いを取り入れることで自然に腹式呼吸ができる。世界60カ国以上に広がっており、米国ではがん患者の病棟で取り入れている例もあるという。

 大阪府立健康科学センターでは数年前から、「健康教室」に笑いヨガを取り入れている。担当している大平哲也・大阪大准教授(公衆衛生学)によると、実施後では唾液中のストレス関連ホルモンの値が低下する傾向があるという。「運動効果に加え、心理的ストレスを減らすリラックス効果が得られるのではないか」と大平准教授は話す。

 笑いのためのエクササイズは「あいさつ」「ライオン」「言い争い」などたくさんの種類があるが、どれも簡単で慣れれば自宅でもできる。高齢の愛好者も多く、仙台市の「りらくらぶラフターヨガ教室」のリーダー、佐藤四郎さん(63)は「地域の公民館などに出張実演すると、1人暮らしのお年寄りから『こんなに笑ったのは何カ月ぶりかしら』と言われる」と話す。

 人気の背景について、普及に取り組む「ラフターヨガ・ネット」(東京都中野区)の杉浦彰・代表理事は「経済状況が厳しく、ストレスの多い現代社会で、心身をリフレッシュできる笑いが見直されている。笑いも運動。誰でもできる手軽さがいいのではないか」と話した。

 ◇全国に約120のクラブ

 全国のクラブは「ラフターヨガ・ジャパン」のウェブサイト(http://laughteryoga.jp/)から検索できる。「日本笑いヨガ協会」のサイト(http://waraiyoga.org/)でも、体験会の情報が掲載されている。「ラフターヨガ・ネット」のサイト(http://laughteryoganet.jp/)も参考になる。

 参加費はクラブによってまちまちだが、1時間~1時間半で500~1000円程度が一般的。「吉祥寺ラフタークラブ」のように寄付制のところもある。高血圧や心臓病、腰痛などの持病がある人は、医師と相談の上で始めるのが望ましい。

視神経脊髄炎の原因解明 薬効く可能性、臨床試験へ

2011年2月15日 提供:共同通信社

 視覚障害やしびれ、痛みが繰り返し起きる難病の視神経脊髄炎(NMO)の患者では、血液で特定のリンパ球が増え、神経系の細胞を破壊する抗体をつくり出していることを突き止めたと、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の荒浪利昌(あらなみ・としまさ)室長と山村隆(やまむら・たかし)部長らが14日付米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

 このリンパ球は「プラズマブラスト」と呼ばれ、免疫活性物質「インターロイキン(IL)6」によって増えていた。山村部長は「IL6を阻害する薬を使えば、NMOを治療できる可能性が出てきた」と話し、臨床試験を計画している。

 NMOの患者は日本で約4千人。中枢神経系の難病「多発性硬化症」に似ており難病と扱われているが、研究が進み、二つは別の病気と考えられるようになってきた。

 荒波室長らはNMO患者24人の血液を分析し、プラズマブラストが健常者や多発性硬化症患者より多いことが分かった。このリンパ球はIL6に刺激され、NMOを起こす「抗アクアポリン4抗体」を作っていることを確かめた。

 IL6を阻害する薬は既にリウマチなどで使われている。この薬を試験管内で加えると、プラズマブラストは減少した。

 NMOはステロイドで治療されているが、効果が不十分で、病気の原因解明と根本的な治療法開発が課題となっている。

はしか、目立つ「輸入例」 1月は患者の約3割 国内で感染拡大も

2011年2月14日 提供:共同通信社

 ウイルスによって感染が広がるはしかが、海外から持ち込まれるケースが増えていることが国立感染症研究所の集計で12日、分かった。患者のうち「輸入例」は2008年は0・3%だったが、09年は2・4%、昨年は7・3%に。ことしは1月の3週間分だけだが28%になった。

 以前は日本でしばしばはしかが流行、日本人が海外で感染を広め、はしかの「輸出国」と批判されたが、最近ではそうしたケースも少なくなり「輸入国」に転じた形だ。海外から持ち込まれ国内で感染が広がる場合もあり、専門家はワクチン接種を受けておくよう訴えている。

 はしかは全身に発疹ができて高熱が出る感染症。合併症として肺炎や脳炎を引き起こすこともある。同研究所によると、1月3~23日の3週間に全国の医療機関から報告された患者は18人。そのうち5人はフィリピン、英国、スペイン、ベトナムで感染していた。

 海外の感染地域の中心はフィリピン、中国などのアジア。09年の場合、計17人が感染した国の大半を占めていた。

 日本では、07年春に全国で流行したが、その後は大きな流行はない。一方、ウイルス検査体制が整い、日本には通常いない遺伝子型のウイルスを見分けられるようになり、輸入例が目立つようになったとみられる。

 昨年は国内のはしか患者は457人(速報値)と過去最少になった。この中には、海外で感染した人からの"二次感染"も複数含まれている。日本は12年度までに国内でのはしか流行ゼロを目指しているが、輸入例からの感染の広がりを防ぐことも重要になっている。

 現在は小学校入学までにワクチンの2回接種と、08年度から5年間の時限措置で中学1年と高校3年への追加接種が進んでいる。

 同研究所感染症情報センターの多屋馨子(たや・けいこ)室長は「はしかのウイルスは感染力が強いが、多くの人が免疫を持っていれば感染は広がらない。対象者はワクチンを接種してほしい」と話している。

※はしか

 医学的病名は麻疹(ましん)で、はしかは一般的な名称。麻疹ウイルスが原因で、患者のくしゃみやせきで広がる。感染力が極めて強いのが特徴で、10~12日間の潜伏期間を経て発症、高熱やせき、全身の発疹などのほか、合併症として肺炎や中耳炎、まれに脳炎を起こし死につながるケースもある。特効薬はないが、予防にはワクチンの2回接種が有効。

新型インフル傾向「季節性」に近づく

2011年2月14日 提供:読売新聞

 厚生労働省は10日、今シーズンの新型インフルエンザの流行パターンや重症者の傾向をまとめ、「季節性インフルエンザのパターンに近づきつつある」との見解を明らかにした。同省は今年度末、今回の新型インフルエンザを感染症法に基づく「新型」の類型から外し、来年度以降は「季節性」の扱いにする見通しだ。

 まとめによると、流行の中心を新型が占める今季は、昨年12月中旬に流行入りし、今年1月下旬に新規患者数が警報レベルへと増加した。例年11月から翌年1月にかけて流行入りする季節性と同様の傾向だという。

 また、今季は先月30日までに重症者が188人、死亡者が57人報告された。重症者の平均年齢は、昨季の20歳から今季は37歳に上昇、死亡者の平均年齢も48歳から57歳に上がり、重症・死亡者のほとんどを高齢者が占める季節性の傾向に移行しつつあるとみられる。

初期人類、足に土踏まず…地上生活への移行示す

2011年2月12日 提供:読売新聞

 【ワシントン=山田哲朗】370万-290万年前にいた初期人類アウストラロピテクス・アファレンシス(アファール猿人)は、アーチ形で土踏まずがある現代人と似た足を持っていたとする研究結果を米ミズーリ大の研究者らがまとめ、10日発行の米科学誌サイエンスに発表した。

 人類は約300万年前には樹上生活を捨て、地上生活に移行していたことを示している。

 アファール猿人は、1974年にエチオピアで見つかった推定身長110センチ・メートルの女性「ルーシー」の化石で知られる。直立二足歩行をしていたと考えられていたが、カギとなる足の指の骨が見つかっておらず、木に登ることもあったか議論が続いていた。

 研究チームは、エチオピアで新たに発掘された約320万年前のアファール猿人の足の甲の骨(中足骨)を分析。現生人類の足と同様に足の裏がアーチ状になり、歩行時に地面をけったり衝撃を吸収したりできたと確認した。二足歩行が完成し、地上生活に完全に適応していたことになる。

もし進行が遅ければ… Dr.中川のがんから死生をみつめる/94

2011年2月13日 提供:毎日新聞社

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/94 もし進行が遅ければ…

 1895年にエックス線が発見され、身体の内部を見ることができるようになるまでは、がんと言えば、「乳がん」を指していました。

 江戸時代には、「肺がん」や「胃がん」といった病名は存在しませんでした。また、がんは一種の老化症状ですから、「人間50年」の昔は、がんで亡くなる人は、今と比べて珍しかったことでしょう。

 それでも、がんで亡くなったと思われる歴史上の人物は少なくありません。たとえば、武田信玄は三方ケ原の戦いで、徳川家康を圧倒し、天下は目の前にありました。しかし、一説には、このときすでに末期の胃がんに侵されていたと言われ、この戦いの翌年、世を去っています。

 一方の徳川家康は、大坂夏の陣で豊臣家を滅亡させ、天下統一を成し遂げた翌年、亡くなりました。死因は、信玄と同じ胃がんだったと思われます。

 家康は、元祖「健康オタク」として知られます。外国から伝来したばかりの「たばこ」を吸おうとしなかったばかりか、喫煙禁止令まで出したほどです。また、肥満体だった今川義元を反面教師として、粗食とタカ狩りなどの運動を心がけたと言われます。

 しかし、1616年1月21日、タカ狩りの後、「タイの天ぷら」を食べた家康は、激しい腹痛と嘔吐(おうと)に襲われました。おそらく、胃がんが大きくなって、天ぷらが詰まってしまったのでしょう。

 「天ぷらの食あたりが家康の死因」と言われることもありますが、おそらく誤解です。家康が死亡したのは、4月17日。天ぷらを食べてから3カ月近くたってからです。その前から徐々にやせてきていたこと、侍医の触診で腹部に「しこり」を認められていたことなどから、胃がんの可能性が高いといえます。

 家康のがんは、1600年の関ケ原の戦いのころには、胃の粘膜を侵し始めていたのだと思います。しかし、家康の胃がんは、天下統一までの時間を与えました。逆に、信玄の胃がんの進行がもう少し遅ければ、歴史は大きく変わっていたかもしれません。歴史に「もし」はありませんが。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

慢性痛 上手に付き合う 悩む人多く/原因不明の病気も

2011年2月11日 提供:毎日新聞社

慢性痛:上手に付き合う 悩む人多く/原因不明の病気も

 ◇正しい理解で緩和/国も調査開始

 腰、ひざ、足などに慢性の痛みを抱える人は多い。厚生労働省の国民生活基礎調査(04年)から推計すると、関節症を持つ人は全国で約1560万人、腰痛症は約2400万人に上り、介護が必要になるきっかけの上位でもある。厚労省の検討会は昨年9月、慢性の痛みに対する医療体制の構築や情報提供の充実などを求める報告書をまとめた。痛みの仕組みと、痛み医療の現場を取材した。【永山悦子】

 「先生、この痛みをとってください」「その痛みを完全にとることは無理。『魔法のつえ』はないのです」

 愛知医科大病院(愛知県長久手町)が開設する「痛みセンター」でのやりとりだ。同センターには整形外科、麻酔科、神経内科という痛み治療の専門医と、医療スタッフが配置されている。同センターの牛田享宏(たかひろ)教授(整形外科)は「実は、痛みを完全に治すことは難しい。だが、日常の生活に困らないようにすることはできる。痛みや背景を正しく理解することが、改善の第一歩になる」と話す。

 「夜、寝ることが怖かった」。約3年前から同センターに通院する同県尾張旭市の男性(68)は、こう振り返る。腰痛のため、8年ほど前に椎間板(ついかんばん)ヘルニアの手術を受けた。だが痛みは残り、追加の手術を受けても効果がなく、布団で上向きに寝ると激痛が走った。主治医に相談しても改善せず、日中は痛みで頭がいっぱいだった。

 同センターに転院後、自分の痛みや生活で困っていることを医師とじっくり話し、運動機能と生活能力を改善するストレッチ運動を始めたところ、痛みが和らいだ。「今も痛むことはあるが、喫茶店にも出かけられるようになった。痛みと上手に付き合うことが大切と分かった」

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 慢性の痛みには、(1)患者が多い既知の病気による痛み(変形性関節症、椎間板ヘルニア、関節リウマチなど)(2)原因が解明されていない痛み(線維筋痛症、複合性局所疼痛(とうつう)症候群、脳卒中後疼痛など)(3)それ以外の痛み(頭痛、婦人科の病気など)――がある。

 なぜ、完全に治すことが難しいのか。老化による関節の変形や神経の障害は元通りにできない▽痛みが起きる仕組みが完全には解明されていない――などが理由だ。投薬や運動で改善は望めるが、必ず治るわけではない。原因によって診療科が異なることや、痛みを周囲に理解してもらいにくいことも、患者を苦しめる。

 中でも、治療を難しくしているのが、心因的な痛みだ。牛田教授らが、腰痛のある人とない人に、腰痛を起こしやすい重い荷物を持ち上げる動作の映像を見せたところ、腰痛のない人は何も感じなかったが、ある人たちは痛みや不快感を持った。牛田教授は「梅干しを見ただけで酸っぱさを思い出し、唾が出るように、明確な炎症や障害がなくても痛みを感じることがあるようだ」という。「気のせい」と思われがちだが、このような痛みも患者にとっては深刻で、長引きやすい。精神医学や心理学の専門家による早期の治療が効果的だが、ほとんど実施されていない。

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 米国の調査では、慢性の痛みに悩む米国人患者は成人の約1割、経済損失は年約9兆円と推定されるという。

 厚労省の報告書は「慢性の痛みは患者の生活の質を著しく低下させる一方、有効性が乏しい治療が実施されるなど、適切な治療がされていない」と国内の現状を分析。総合的に治療を進めるチーム医療の体制構築や、啓発の重要性を訴えた。

 厚労省は来年度から慢性の痛みに関する研究班を設置するため、1億3000万円を予算案に計上した。慢性の痛みに苦しむ患者の人数や痛みの原因を解明する大規模調査、手術後などにも痛みが残る患者の実態調査などが始まる。

 牛田教授は「調査結果は、慢性の痛みの実態把握や、緩和できない痛みを和らげる研究に生かしたい。医療者自身も痛みの仕組みを正しく理解し、患者本人に分かってもらえるようにすることが必要。将来は、我々のような総合的なセンターが全国に整備されることを目指したい」と話す。

確実な治療が多剤耐性菌の発生防ぐ 結核/5止 あなたの処方箋/87

2011年2月11日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/87 結核/5止 確実な治療が多剤耐性菌の発生防ぐ

 結核は11種類の薬の中から複数を選び、6カ月間服用することで治すことができる病気になった。だが不完全な治療を繰り返すことで菌に薬剤が効きにくい性質が備わり、近年欧米各国で治療薬が効かない患者が増加している。

 日本の結核患者の治癒率は80%以上。だが最も有効な治療薬「リファンピシン」と「イソニアジド」が効かない多剤耐性結核菌に感染した場合、治癒率は50%程度に下がる。

 「死の恐怖も感じました」。中国から東京大大学院に留学している男性(30)は06年に来日して間もなく結核を発症した。飲食店アルバイトの同僚から感染したと考えられている。治療から2年後に再発、さらに1年後に再発した時には4種類以上の薬が効かない「超多剤耐性結核菌」に感染していた。昨年、肺の一部を切除した。

 全国の保健所調査によると、09年に菌を調べた6920人の結核患者のうち、一つの薬に対する耐性を備えた割合(耐性率)は5・0%(346人)、複数の薬への耐性を備えた多剤耐性率は0・8%(56人)だった。

 国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)の大島信治医師は「耐性結核菌の発生を防ぐためにも、最初の治療を確実に行うことが重要」と指摘する。

 世界保健機関は95年、患者が完全に服薬して完治することで薬剤耐性結核の出現を予防することを目指し「直接服薬確認療法(DOTS)戦略」を提唱した。行政や医療機関などが連携して患者の服薬を直接確認する方法だ。

 厚生労働省も日本版戦略を発表。05年の改正結核予防法(07年に感染症法に統合)で「確実な服薬」に関する規定が盛り込まれ、同戦略は全保健所で実施されている。戦略の背景には66年にリファンピシンが開発されて以降、有効な治療薬やワクチンが生まれていないこともある。大島医師は「自治体は管内に何人の多剤耐性結核患者がいるか把握し、医療機関は効果がある複数の薬を見極めて患者と協力して確実な治療をすることが大切だ」と話している。=おわり(関東晋慈が担当しました。15日からは、いびきです)

続・トラブルと対話(5)信頼関係 まず事実共有

2011年2月11日 提供:読売新聞

医療現場のコミュニケーションに詳しい 岡本 左和子(おかもと・さわこ)さん

Q&A

 患者と医療側の対話をどう進めるか、取り組みの盛んな米国事情に詳しい岡本左和子さんに聞きました。

   ◇

 Q 米国での仕事について教えて下さい。

 A 病院で患者や家族の苦情、不満を聞き、医師らとの対話を促進する手助けをする「ペイシェント・アドボケイト(患者の擁護者)」を務めていました。米国では多くの病院で配置されています。米国は訴訟の多い社会ですが、法律家を交えた紛争処理に至る前に、当事者同士が率直に話し合うのが普通です。誤解や行き違いを調整しながら、公平な立場で対話を支援するのです。こうした努力の結果、多くの病院で訴訟が減りました。

 Q 日本でも、似た役割の人材を配置する病院が増えてきました。

 A 米国に比べ、実は大きな違いがあります。事故の時など、米国では、病院は起こったことを包み隠さず説明するのが大前提ですが、日本では事実の説明が十分行われないことがあるようです。事実を共有せず、ただ話を聞いてあげても、患者や家族は「丸め込もうとしているのでは」と疑念を抱いてしまうでしょう。

 Q 米国の病院での体験を聞かせてください。

 A 心臓病の手術で女児が亡くなった事例がありました。担当医らと一緒に母親に会い、「残念ですが、体力が持たず亡くなりました。手術はビデオで記録していて詳しくご説明したいと思っていますが、今そういうお気持ちかどうか聞かせてください」と尋ねました。その間に医師の一人が女児を抱きかかえてきて母親に渡し、私たちも順番に抱かせてもらってお別れをしました。母親は悲しみにくれながらも、「娘のために一生懸命してくれたのですね。説明は落ち着いてから聞きます」と言いました。

 逃げないですべて話そうとしたこと、すぐ説明を押しつけず家族の気持ちを優先したことで、不信感やすれ違いを招かずに済んだのではないかと思います。

 Q 問題のある対応とはどういうものですか。

 A 少し前まで元気だった人が急に亡くなり、家族が動転して「何が起こったのか」と詰め寄ったとします。それは自然な気持ちの表れです。その時に医療側が慌てて十分な対応ができなければ、不信を増幅させ、信頼関係は築けません。

 Q 対話の意義はどんなところにあるのでしょう。

 A 事故の時は、患者や家族はもちろん、当事者の医師らも動揺しショックを受けます。双方の傷を癒やせるのは、事実を共有できるよう語り合いながら歩み寄る過程しかありません。

 対話を促すには、双方の話によく耳を傾け、患者が重要と考えることに焦点を当てながら、行き違いを解く様々な話し合いの技能が必要です。現実は型通りにはいきません。基本的な考え方を理解し、現場で応用できてこそ、受け入れられるのではないでしょうか。(高梨ゆき子)

続・トラブルと対話(4)橋渡しの 「あり方」 模索

2011年2月10日 提供:読売新聞

 医療事故などの問題が起きた時、患者や家族と医師らの対話を促し、対立を改善しようとの取り組みは、2000年代半ば以降、注目されるようになった。対話を橋渡しする担当者を置く病院も増えている。厚生労働省によると、大学や国立病院機構の病院では半数以上が配置。自治体病院や民間病院にも広がる。

 養成活動も盛んに行われ、例えば、法律家や医師らでつくる日本医療メディエーター協会は大規模な研修を実施。10年度は、看護師を中心にすでに2500人が受講したという。同協会代表理事(早稲田大教授)の和田仁孝さんは「導入が進めば、裁判より双方が納得のいく形で、現場で関係を修復できるケースが増え、患者と医療者の信頼関係も深まる」と語る。

 一方で、日本ではまだ新しい試みだけに、必ずしもうまくいっている例ばかりではない。

 入院した病院で急死した東京都内の女児の両親は、病院の対応にわりきれない思いでいる。病院には対話の橋渡し役がおり、時々、話をしている。穏やかな物腰で共に涙を流してくれ、病院側の窓口になってくれる存在だ。

 しかし「私たちは慰めてほしいわけじゃない。娘がなぜ亡くなったか、病院として原因をちゃんと調べて、素人にもわかるように説明してほしいのに」と両親。橋渡し役の対応について「自分たちが求めていることとは、ずれている」という違和感が消せない。

 医師らからも疑問の声がある。患者の死亡事故を経験した西日本の医師は「病院として事実を検証しないまま、対話というより紛争処理に走ってしまったように感じた」と振り返る。

 その上で、事故を通じて学んだことをこう話す。「ミスがなかったとしても事実関係を検証して遺族に話し、謝るべきところがあれば、形式的にでなく、お悔やみの気持ちも含め心をこめて謝るべきだ」

 橋渡し役自身にも葛藤がある。研修を受け、都内の病院で働く看護師は「研修で学ぶ以上に現場は複雑」とため息をつく。対話を促そうとしても、患者には「病院の人は信じられない」と言われ、医師は「苦情は担当者が処理して」と非協力的。この看護師は「双方からたたかれ、まるでサンドバッグ」と肩を落とした。

 対話やその橋渡し役はどうあるべきか。厚労省は11年度から、あり方の本格的な検討を始める予定だ。

脳梗塞もっと救える…発症6-8時間でも可能に

2011年2月10日 提供:読売新聞

 新潟大学脳研究所神経内科の下畑享良・准教授(43)らの研究グループが、脳梗塞治療で合併症(脳出血)を引き起こすたんぱく質を特定、その働きを抑える治療法を開発した。

 9日付の米学術誌「ジャーナル・オブ・セレブラル・ブラッド・フロー・アンド・メタボリズム」に掲載された。これまで発症後3時間以内でないと間に合わないとされてきた「血栓溶解療法」が、6時間から8時間まで可能になるという。

 脳梗塞治療では、血管の詰まりを溶かす同療法が効果的とされる。しかし、発症から3時間を超えて同療法を施すと、血管が破れて脳出血を引き起こす副作用の危険が高まり、これが難点とされていた。

 下畑准教授らは、同療法を施すと血管をもろくする働きを持つたんぱく質「血管内皮細胞増殖因子」が多く生成されることを突き止めた。そこで、このたんぱく質の働きを抑える薬剤とともに同療法の薬剤をラットに投与すると、死亡率が下がり、後遺症のまひも減ったという。

すべての国民に肝炎検査を 厚労省が基本指針

2011年2月14日 提供:共同通信社

 厚生労働省は10日、すべての国民に対し、肝炎ウイルス検査を受けるよう働き掛けることを柱とした肝炎対策の基本指針を大筋でまとめた。

 同日、肝炎対策基本法に基づき東京都内で開かれた協議会で公表した。出席した患者代表などの意見を踏まえて語句を修正し、4月以降の早い時期に告示する方針。

 指針は、国民が少なくとも一度は検査を受けるよう、国や地方自治体が情報提供や検査体制の整備を進める必要性を強調。感染者が治療をしながら働き続けられるよう、国が企業などに協力を求めることも定める。

 厚労省によると、ウイルス性肝炎患者は300万人を超えるとされる。感染経路はさまざまで、感染してもすぐに症状が出ず気付かない人も多い。一方で、感染者への差別や偏見が問題となっている。

 協議会は肝炎患者やその家族、有識者で構成。昨年から指針について話し合いを続けてきた。

飲酒起因の死者250万人 WHO、加盟国に対策要請

2011年2月14日 提供:共同通信社

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は11日、過度の飲酒などが原因となった病気や事件・事故による死者が世界で年平均250万人に上り、うち32万人を15~29歳の若者が占めるとの調査結果を発表した。

 昨年5月には、酒類の安売りや広告宣伝の規制案を盛り込んだ決議がWHO総会で採択された。しかし、法的拘束力はなく、アルコール規制や健康被害防止策を強化している加盟国は少ない。WHOは若者の健康被害を防ぐためにも、飲酒を制限する年齢の引き上げなど、対策の強化を要請している。

 発表によると、2005年の15歳以上の1人当たりのアルコール消費量は6・13リットル。男性の約半数、女性の3分の2がアルコール類をまったく口にしていないことから、飲酒人口の1人当たりの消費量は平均を大幅に上回るとみられる。

 また04年の世界全体の肝硬変による死者の半数以上、交通事故死の約20%は飲酒が原因とみられるという。

がん不死化抑える遺伝子 鳥取大、治療や再生医療に

2011年2月14日 提供:共同通信社

 がん細胞が不死化し増殖し続けるのに必要なテロメラーゼという酵素の働きを抑制する遺伝子「PITX1」を発見したと、鳥取大の久郷裕之(くごう・ひろゆき)准教授らのチームが10日、発表した。

 がんの新しい治療法や診断法の開発のほか、再生医療で注目される人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用する際に懸念されるがん化を防ぐのにも役立つと期待される。

 遺伝子の集合体である染色体の末端には、テロメアという部分がある。正常な細胞では分裂のたびに短くなり、細胞は老化、死滅する。がん細胞ではテロメラーゼがテロメアの短縮を防ぐため、がん細胞は増殖し続ける。

 チームは、マウスのがん細胞にヒトの染色体を1本ずつ導入し、培養。5番染色体を導入した細胞では、テロメラーゼの働きが抑えられた。

 准教授らは5番染色体からテロメラーゼを抑制する遺伝子PITX1を特定、PITX1だけをマウスのがん細胞に導入したところ、テロメラーゼの抑制が確認された。

 成果は米科学誌モレキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー電子版に掲載された。

退職強要の事例、他にも 治療の支え 読者の反響/上 命を削る

2011年2月13日 提供:毎日新聞社

命を削る:治療の支え 読者の反響/上 退職強要の事例、他にも

 ◇会社の姿勢に募る不安 意思なければ応じる義務ない

 病気の発覚後に解雇されるなど患者らの不十分な就労支援や、あまり知られていない障害年金を巡る実態を追った連載「命を削る 治療の支え」(昨年12月上旬掲載)に、同じ経験や悩みを持つ患者らから意見が寄せられた。「(治療で)休むなら辞めてもらう」「友人から聞くまで障害年金を知らなかった」。こうした読者の体験を紹介するとともに、就労の支援制度や障害年金の仕組みを計2回にわたって解説する。【大場あい、河内敏康】

 「がん治療中の部下が退職を強いられるのを止められなかった」。神奈川県の無職男性(49)はこう言って悔しさをにじませた。

 男性が会社勤めをしていた08年。50代の部下が食道がんの治療のため、3カ月間の予定で休職した。治療開始直後、男性は人事責任者に呼ばれ、こう告げられた。「(部下は)辞めることになったから」。人事責任者が病室で、「一定の収入を3年間保障する」と説き、部下の自己都合という形で退職を決断させたという。

 部下は以前から会社幹部の評価が低く、男性は「病気をきっかけにした事実上の解雇だ」という。その後「がんになったら辞めさせられるのか」と職場の士気は下がり、男性も上司と折り合いが悪くなって退職した。

 男性は「会社は、社員を取り換え可能な道具としか見ていなかった。誰でも病気になる可能性はあり、みんなが働き続けられるような人間的な社会を目指すべきだ」と話す。

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 大阪府の男性会社員(37)は昨年2月、急性リンパ性白血病と診断された。移植を受け経過は良好だったが、12月に肺炎を起こし、まだ復職の見通しは立っていない。

 職場の同僚は「いつ戻ってこれるんや」と気遣う。だが他の社員が男性の以前の職務を担当しており、会社は別のポストを用意する余裕もないように見える。「自分の体調や会社の対応を見ながら身の振り方を判断していくしかないと思うが……。先が見えない」と不安を隠せない。

 「あまりに事例が似ているのでびっくりした」と、本紙連載を振り返りながら語るのは神奈川県の無職男性(74)。難病の潰瘍性大腸炎を発症した40代の親類の女性が、手術を受けるため勤務先の社長に休職を申し出たところ、「休むのなら辞めてもらう」と告げられ、どうすべきか悩んでいるという。

 男性は「病気で命を落とすか、職を失って餓死するか、という選択を迫られているようにさえ思える」と怒りをあらわにする。

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 最近、病気やけがをした従業員が会社から退職を迫られるケースが多い。この場合、会社を辞めなければならないのか。がんを経験した社会保険労務士の近藤明美さんは「退職の意思がなければ、辞める必要はない」と指摘する。

 会社が従業員に退職を働きかける「退職勧奨」は、従業員が自由な意思によって退職するかどうかを決められる。このため退職する気がなければ応じる義務はない。逆に退職勧奨に合意すると、法的に有効とみなされて撤回するのが難しくなるため、注意が必要だ。

 従業員が、業務外の病気やけが(私傷病)による治療のため会社を休みたい場合、どんな制度が活用できるのか。まず挙げられるのは「年次有給休暇(有休)」。6カ月以上の勤続年数、全労働日の8割以上出勤していれば、どんな従業員でも取得でき、解雇につながる欠勤とはならない。例えば勤続年数が半年で年10日、6年半以上で年20日取れる(有効期限は2年)。ただし私傷病の場合、労働者の権利として法律で守られた休暇はこれしかない。

 一方、私傷病で働けない場合、会社に在籍したまま一定期間休める休職制度がある会社も多い。例えば、私傷病によって療養が必要な場合に使える「傷病休暇」。これを使うと、休職中、会社から給与が出なくても、加入している健康保険から「傷病手当金」が支給される。支給額は、給与に基づき算定される「標準報酬月額」の3分の2、支給期間は支給開始日から最大1年半。だが休職制度は法律で決められていないため、制度の有無は会社の裁量にまかされているのが実情だ。

 近藤さんは「休職制度のある会社は、就業規則によって規定している。がんなど私傷病の治療で休みたい場合、まず就業規則で休職制度を確認することが重要。私傷病だからといって休むことをあきらめるのではなく、会社の人事部や、専門家に相談してほしい」とアドバイスを送る。

………………………………………………………………………………………………………

 ■専門家への相談窓口

 ▽日本労働弁護団

 電話03・3251・5363

 (電話相談は無料。ただし、火、木曜の午後3~6時)

 ▽全国社会保険労務士会連合会労働時間等相談センター

 電話0120・08・1744

 (電話相談は無料。平日は午後2~8時。土曜は午後1~6時)

人知れぬ悩み、この一冊 石蔵文信さん新著、過敏性腸症候群など詳説

2011年2月12日 提供:毎日新聞社

出版:人知れぬ悩み、この一冊 石蔵文信さん新著、過敏性腸症候群など詳説

 このページの連載コラム「医療再生への道」の筆者、石蔵文信・大阪大学大学院医学系研究科保健学准教授の本「下痢、ストレスは腸にくる」(大阪大学出版会)が出版された。【神崎和也】

 出勤中に必ず便意をもよおし、自宅に戻ってトイレに駆け込んで遅刻。通勤電車でもよおして途中下車。我慢し続けて冷や汗と動悸(どうき)が激しくなって「このまま死んでしまうのでは」という恐怖感……。そんな男性の物語から始まる一冊。

 ストレスや緊張といった要因が下痢を引き起こすメカニズムや腸の仕組み、原因が不確かな「過敏性腸症候群」(IBS)などを一般向けに分かりやすく紹介。「引きこもり」の原因が、頻繁にトイレに行きたくなることだった子どもの例のほか、メンタルケアやさまざまな治療法、薬の説明もしている。

 大阪市内で「男性更年期外来」を開設している石蔵さんは、うつ病の患者が7割も占め、しかも下痢に悩んでいる人が多いことに気づいたといい、「まるでIBS外来のようになっている」と語る。「人に言えない下痢に悩んでいる方の役に立てば」と話している。

 B6判204ページ。1365円。

 ◇初版限定で特典、電子書籍無料で

 購入者には、石蔵さんが08~09年の毎日新聞夕刊で執筆したコラムを基にした電子書籍「こころに華咲かそ ラフ・アンド・ピース」(大阪大学出版会)を無料で読める特典(初版限定)がある。

 問い合わせは同出版会(06・6877・1614)。

がん、なったら何が心配? 「治療費」72%、「死」56% 1000人調査

2011年2月12日 提供:毎日新聞社

がん:なったら何が心配? 「治療費」72%、「死」56%--1000人調査

 がんになった場合に心配なこととして「治療費(経済的負担)」を挙げた人が72%と最多で、「死」の56%を上回ることが調査会社「日本能率協会総合研究所」(東京都)のアンケートで分かった。がんは治る病気と考える人も4割強に上った。同社は「新聞など報道によって、治療の進歩から『がん=死』では必ずしもないという理解や、治療に伴う大きな経済的負担に苦しむがん患者の問題が、広く知られるようになったため」と分析している。

 調査は全国の20~69歳の男女計1000人を対象に、昨年12月21日から1週間かけてインターネットで実施。6割強が健康状態は悪くないと答えた。

 がんになった場合に心配することを複数回答で尋ねたところ、治療費(経済的負担)が72・3%で最多。▽死(55・5%)▽痛み(53・3%)▽家族(45・9%)--などが続いた。就労(失職)も20・9%いた。

 がんになった場合の対応を複数回答で尋ねると、「かかりつけの医師・担当医がすすめる治療を受ける」が44・1%でトップ。▽自分で良いと思う治療を受ける(41・5%)▽費用がかかっても先端治療を受ける(18・7%)--なども目立った。

 また、将来がんになる可能性について、「非常にあると思う」が17・5%、「ややあると思う」が37・8%で、半数を超える人ががんになる可能性を感じていた。さらに、がんは治る病気と思うか尋ねたところ、「非常にそう思う」が5・3%、「ややそう思う」が38・8%で、全体では4割強ががんは治る病気と考えていた。【河内敏康】

外国人医師の受け入れ手続き簡素化へ…厚労省

2011年2月12日 提供:読売新聞

 厚生労働省は、外国人医師の受け入れ促進に向け、入国手続きを緩和する方針を固めた。

 国際医療交流推進などを掲げた政府の「新成長戦略」の一環で、外国人医師が日本で医療知識や技能を学ぶ「臨床修練制度」の運用を見直す。応募手続きの簡素化など関係省令を4月に改正する。

 臨床修練制度では、日本の医師免許を持たない外国人医師が最長2年間、指定医療機関の指導医の下で、医療行為ができる。ただ、許可を得るには多くの証明書が必要で、審査手続きに2か月もかかるのが実情。手続きが煩雑なため、同制度を利用して来日する外国人医師数は年間40-50人程度と伸び悩んでいた。

 省令改正により、一部の提出書類を不要とするほか、母国の医師免許証もコピーによる提出を認める。来日から1週間程度で許可を出せるようになるという。

特集 がん抑制遺伝子「REIC」 岡山大病院、世界初の臨床研究

2011年2月11日 提供:毎日新聞社

特集:がん抑制遺伝子「REIC」 岡山大病院、世界初の臨床研究

 ◇「夢の治療法」現状を探る

 岡山大病院で1月から、世界で初めて、がん細胞だけを選択し、死滅される遺伝子「REIC」を使った臨床研究が始まった。REICは、岡山大が00年に発見したがん抑制遺伝子だ。治療の効果を実証できれば、新しいがん治療法として確立されることが期待される。医療関係者が注目する「夢の治療法」の現状を探った。【石戸諭】

 ◇マウスで効果確認、医療関係者が注目

 岡山大病院で先月25日、REICを用いた前立腺がん治療の臨床研究が始まった。岡山県在住の70歳代の男性患者の患部に、REICと遺伝子を運搬する役目を担うアデノウイルスを組み合わせた薬を直接、注入した。人体への投与は世界で初めてのことだ。患者には実験の目的を丁寧に説明したという。

 岡山大の那須保友・新医療研究開発センター教授、公文裕巳・遺伝子細胞治療センター長らがプロジェクトを進め、研究では手術のみでは再発の可能性が高いと判断された患者など24~36人を対象にREICを使った薬を投与し、その反応を見る。

 そもそもREICは岡山大が00年に発見し、特許を取得した遺伝子だ。画期的だった点は何か。がんを死滅させる遺伝子と体内の免疫機能を活性化させる遺伝子、両方の特徴を併せ持っていたことにある。

 関係者は当時から、「夢の治療法」と口をそろえてREICへの期待を熱く語っていた。実際、期待を膨らませる実験結果も出ている。

 腫瘍を持ったマウスを使った実験では効果が確認できた。今回の臨床研究同様に腫瘍に直接、REICを注入した。その結果、腫瘍の消滅、縮小などが見られた。さらに、抗がん免疫を活性化してがんの転移を防ぐ効果が確認できた。

 岡山大では米国の大学と共同して人への臨床研究を進めてきたが、結果的に世界初の臨床実験は岡山大病院になった。マウスであらわれた治療効果が人でどこまであらわれるのか。那須教授は「がんの縮小効果を期待している。研究でいくつか成果が明らかになるだろう。再発リスクの軽減にも一定の効果が見込めるのではないか」と期待感を示す。

 今後、REICは前立腺がんだけでなく、他のがん治療やアスベスト(石綿)が原因で発症する悪性胸膜中皮腫の治療にも応用する方針が決まっている。中皮腫治療について、臨床研究の申請段階まで進んでいる。岡山大発、がんの遺伝子治療は確立できるだろうか。実験の行方が注目されている。

インフル、ピーク越えか 患者数やや減少

2011年2月10日 提供:共同通信社

 国立感染症研究所は10日、1月31日~2月6日の1週間に全国約5千の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者は1医療機関当たり28・93人で、前週(31・88人)からやや減少したと発表した。

 同研究所感染症情報センターの安井良則(やすい・よしのり)主任研究官は「流行のピークはすぎつつあるが、流行の規模はまだ大きいため引き続き注意が必要だ。今後はB型の患者が増える可能性がある」と話している。

 この1週間に全国で医療機関を受診したのは推定約155万人。

 都道府県別では、長崎(44・13人)、宮崎(42・28人)、群馬(41・22人)、福岡(40・90人)の順。これまで流行が大きかった関東、九州地方を含め、33都府県で患者数が減少しているという。

 直近5週間に検出されたウイルスは新型が最も多く、季節性のA香港型、B型の順。

危険性高いエイズ合併、子どもの感染 結核/4 あなたの処方箋/86

2011年2月10日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/86 結核/4 危険性高いエイズ合併、子どもの感染

 結核は免疫力が下がってきたとき、感染や発症の危険性が高まる。糖尿病などの関連疾患、さらに典型的な状態がHIV(エイズウイルス)感染だ。

 「結核が見つかってラッキーだったとも言えます」。東京都内に住む元福祉士の男性(52)は02年6月、自宅で意識不明で倒れていたところを同僚に発見された。衰弱状態による結核感染が判明。その後転院した国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)の検査でHIVに感染し、エイズを発病していたことが分かった。

 男性は倒れる1年前の職場健診でX線検査や血液検査をしていたが、結核感染は見つからなかった。「のどの痛みがあり体重も今より約20キロ落ちていたが、結核やエイズになっているとは思いもしなかった」と振り返る。

 結核予防会によると、日本人の結核患者の約1%がHIVにも感染している。国内ではHIV感染者は20~30代の若者に多く、結核は高齢者に多いため、いずれも感染した患者はまだ少ない。だが、HIV感染は結核の発症率を数十倍高めるとされる。同病院の永井英明・外来診療部長は「日本は先進国で唯一HIV感染が増え続けている国で、今後合併患者も増える恐れがある。結核患者の重複感染に気を付けて診断する必要がある」と指摘する。

 また14歳以下の子どもの患者は、年間100人未満と少ないものの、重症化の危険性が高い。

 国立病院機構南京都病院(京都府城陽市)の徳永修医師は「小児結核は、診断が遅れれば結核性髄膜炎など全身に感染が及び神経的な後遺症を残すこともある。感染源となる大人の結核感染を早期に診断、治療することが大切だ」と警告する。=つづく

リンパ全切除の有効性疑問 乳がん、生存率変わりなし

2011年2月10日 提供:共同通信社

 【ワシントン共同】早期の乳がん患者の外科手術で、転移を防ぐために脇の下のリンパ節全体を切除する「郭清」をしても、リンパ節の一部しか切除しなかった場合と生存率に変わりはないとする米国の多施設臨床試験の結果が、9日付米医学会誌に発表された。

 「郭清」はがんの再発を防ぐために広く行われているが、むくみが出るリンパ浮腫などの合併症が起きやすいとされる。研究グループは「(郭清をやめる)新手法を取り入れることによって、術後の生活を改善できる」と指摘している。

 100カ所以上の医療機関が参加。1999~2004年に、手術前に脇の下の「センチネルリンパ節」を検査して転移が見つかった早期がんの患者を対象に、リンパ節全体の郭清をした場合と、転移が見つかった一部だけを取り除いた場合の生存率を比較した。

 転移を防ぐための抗がん剤や放射線治療なども続けた結果、5年後の生存率は全切除した445人は91・8%、一部切除の446人は92・5%と、ほぼ同じだった。

 一方、合併症は全切除では70%で起きたが、一部切除では25%で、大きな差が出た。

 乳がん細胞は早い段階で全身に広がることが分かっており、研究グループはリンパ節切除よりも、抗がん剤や放射線による全身的な治療が再発を防いでいるのではないかとみている。

今年のがん死亡率は男女とも5年前に比べ減少見通し EU加盟27カ国で調査

2011年2月10日 提供:共同通信社

 [ロンドン・ロイター=共同]欧州連合(EU)加盟27カ国で今年中にがんで死亡するとみられる人数は10万人当たりの死者数でみると、男性が2007年の153・8人から142・8人、女性が90・7人から85・3人へそれぞれ減少する見通し。8日発行された国際がん関連雑誌「アナルズ・オブ・オンコロジー」に掲載された調査報告で明らかになった。

 調査によると、死亡率の低下は女性の場合は主として乳がん、男性は肺がんおよび結腸がんによる死亡率の減少が主因だという。ただ全体の死者数は、人口増加や高齢化の影響で2007年の125万6001人から2011年は128万1460人へ微増が予想されている。

 調査はイタリアのミラノ大学研究グループが中心となって数学モデルを使って予測、来年も調査する予定。

 報告によると、西欧における死亡率は中欧および東欧に比べて相対的に低く、調査グループは、この傾向は予測可能な将来も続く見通しだと述べた。がんの種類による死亡率をみると、肺がんの10万人当たり死亡率は2007年12・55人から2011年には13・12人に上昇する見通しで、特にポーランドと英国では女性のがん死亡原因の首位は乳がんから肺がんに代わった。

腸内細菌、脳の発達にも影響…マウス実験で

2011年2月10日 提供:読売新聞

 【ワシントン=山田哲朗】腸内細菌がマウスの行動に影響を与えることをスウェーデンのカロリンスカ研究所などの研究チームが発見、米科学アカデミー紀要で発表した。

 腸内細菌が肥満や免疫に関わっていることは知られていたが、脳の発達や行動にまで影響をおよぼすことが示されたのは初めて。

 研究チームは、通常の腸内細菌を持つマウスと、無菌で育てたマウスの行動を比較した。箱の中で陰の区画に隠れ、警戒している時間が多い普通のマウスに比べ、無菌マウスは明るく広い場所をうろつくなど行動が大胆だった。

 脳の変化を調べたところ、無菌マウスでは、不安や感情に関わる脳内物質の量が少なかった。研究チームは「進化の過程で、腸内細菌の作用が、新生児の脳の発達過程に組み込まれたのではないか」としている。

発症解明に手掛かり アルツハイマー病で名大

2011年2月9日 提供:共同通信社

 アルツハイマー病の発症に関わる遺伝子の移動メカニズムを線虫の実験で明らかにしたと、名古屋大大学院の松本邦弘(まつもと・くにひろ)教授らが9日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンスに発表した。

 この遺伝子が移動する際に起きる異常で発症するとみられており、詳しい発症の仕組みや予防・治療薬開発につながる可能性があるという。

 原因遺伝子は「APP」と呼ばれ、神経細胞内にある。細胞中心部と末端の間を行き来し、異常が起きて末端に蓄積されると脳に染みができ、アルツハイマー病を起こすと考えられている。

 松本教授らは、緑色蛍光タンパク質を使い、線虫の神経細胞内のAPPの移動を観察。末端部分でダイニンというタンパク質がAPPを載せ、中心部に運び出していることを突き止めた。

 中心部から末端への移動の際は、キネシン1というタンパク質が「モーター」の役割を果たすことは既に分かっていた。

 線虫と人ではAPPやダイニンがほぼ同じ構造をしており、人にも同じメカニズムがあるとみられるという。

貧困層、外国人の増加が蔓延要因に 結核/3 あなたの処方箋/85

2011年2月9日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/85 結核/3 貧困層、外国人の増加が蔓延要因に

 「去年の猛暑がこたえました」。埼玉県ふじみ野市の塗装工の男性(62)は仕事が減り始めた約1年前から工事現場などの警備員を掛け持ちしていた。昨年8月ごろからのどの奥の方から出る変なせきが続き、交通整理のための声も出なくなった。数カ所の医療機関を回り、昨年9月に専門病院で結核の感染が判明した。

 結核予防会複十字病院(東京都清瀬市)の尾形英雄副院長は「結核患者には臨時労働者や住所不定者など、社会経済的弱者が多い」と指摘する。

 同会の調査によると、結核患者の生活保護割合が高い自治体では全体の罹患(りかん)率も高い傾向があり、東京都と政令市の患者数が全国の約38%(09年)を占めている。仕事を休めなかったり、無保険で受診できないことなどから感染が広がりやすいと考えられている。

 さらに近年、20代の若者の罹患率の高さも問題になっている。活動範囲の広さや不規則な生活が発病の危険性を高めていると見られている。

 大阪府出身の医療従事者の男性(26)は09年11月、職場の健診で感染が判明した。症状はなかった。男性は「職場の病院で結核患者に接する機会もあった。だが、なぜ自分が(感染するのか)とショックだった」と話す。

 98年以降、20代を中心に外国籍の患者の割合も増えている。09年の全国の20代の患者1699人のうち外国籍の患者は、母国でも患者の多い中国、フィリピンを中心に427人(25・1%)に上る。

 世界保健機関(WHO)の推計によると、世界で毎年約900万人の結核患者が発生し、約300万人が死亡。その99%が途上国に集中している。

 日本は先進国にもかかわらず人口10万人当たりの患者数は19人と、10人を超える「中蔓延(まんえん)国」のままだ。米国(4・3人)、カナダ(4・7人)、スウェーデン(5・4人)、オーストラリア(5・5人)など「低蔓延国」の水準になるのに20~30年はかかると考えられている。尾形副院長は「今の日本では誰もが結核に感染する可能性があると思って早期に受診することが大切。地域の感染を減らすため保健所などの対策も必要だ」と話している。=つづく

続・トラブルと対話(3)家族の願い 寄り添う医師

2011年2月9日 提供:読売新聞

 医師の考える治療方針と、患者側の望む医療に違いが生じた時、どうしたらよいか。

 時間をかけて、患者や家族の話をよく聞く--。安城更生病院(愛知県安城市)神経内科の杉浦真さんの答えは、そんな基本に立ち返ることだった。

 同市の宮川やすよさん(68)の夫、一夫さんは、2003年にくも膜下出血で倒れ、右半身まひや失語症状など重い障害を負った。娘一家と一緒に自宅で闘病していたが、10年1月、とうとう何も食べられなくなった。

 訪問診療の担当医だった杉浦さんが診察したところ、一夫さんは肺炎を起こし、栄養が取れずに体力的にも弱っていた。杉浦さんは、入院して治療するのが良いと判断。体力回復のため、胃に穴を開けて管から栄養を送る胃ろうを作ることも勧めた。

 しかし、やすよさんの答えは違った。

 「もう治療しなくていい。うちで一緒にいたい」

 登山好きで健康そのものだった一夫さん。「食べられなくなったら延命治療はしないでくれ」「管につながれて最期を迎えたくない」と以前、やすよさんや娘に語っていた。

 実は最初に倒れた時にも、当時の医師に胃ろうを強く勧められた。断りの言葉を言い出しにくくて困惑したが、勇気を出して拒否した経緯もあった。

 当初は「家族を説得してでも入院して治療を」と考えていた杉浦さん。家族内でもう一度話し合ってもらうよう頼んだが、「これ以上、無理させるのはかわいそう」との家族の意見は変わらなかった。

 「医師の立場からすれば、何もしないのには抵抗がある。しかし家族の気持ちもくみたい」

 杉浦さんは訪問看護師らとも話し合い、宮川さん一家に「できる範囲の治療をしながら、おうちで見てあげましょう」と提案。一夫さんは約2週間後、自宅で眠るように亡くなった。

 やすよさんは、「先生が家族の気持ちに寄り添ってくれて、ありがたかった」と振り返る。

 患者を救いたいとの医療者の思いが、かえって患者や家族の望まない治療の押しつけになる可能性もある。同病院神経内科部長の安藤哲朗さんは「宮川さんの事例は、医師と家族が対話することで考えをすりあわせ、治療の道筋を見いだすことができた。まずは医師が、ふだんの診療から患者や家族との対話を心がけることが大切」と話す。

iPS細胞から生殖細胞…慶大倫理委が研究承認

2011年2月9日 提供:読売新聞

 さまざまな臓器の細胞に変化できる人間のiPS細胞(新型万能細胞)を使って、精子や卵子などの生殖細胞を作製する慶応大などの研究計画を、同大の生命倫理委員会が承認していたことがわかった。

 人間のiPS細胞から生殖細胞を作る研究は昨年5月、文部科学省の指針で解禁され、実施されれば国内では初めてとなる。研究を計画するのは、慶応大医学部の岡野栄之(ひでゆき)教授らや加藤レディスクリニック(東京都)などで、文科省の了承を得た上で研究を始める方針だ。

 研究チームは皮膚細胞から作ったiPS細胞に試薬を加えるなどして、生殖細胞に変化させる方法を探る。生殖細胞が生まれる仕組みはほとんどわかっておらず、その仕組みを解明して不妊症や先天性疾患治療への応用を目指す。作製した精子と卵子を受精させることは倫理的な問題があり、文科省の指針で禁止されているため、受精はさせない。

免疫反応抑えるタンパク質 徳島大発見、治療法開発も

2011年2月8日 提供:共同通信社

 免疫細胞が体の組織を異物と認識し攻撃する自己免疫疾患を抑えるタンパク質を徳島大と京都大、金沢大のグループがマウスで突き止め、7日付の米科学誌に発表した。

 こうした疾患には1型糖尿病や関節リウマチなどさまざまなものがあり、徳島大の岡崎拓(おかざき・たく)教授(免疫学)は「このタンパク質の機能を強化する薬剤を開発すれば、治療法開発につながる可能性がある」としている。

 タンパク質は「LAG3」。血中のリンパ球の表面にあり、免疫反応を起こす物質から受ける刺激を弱める働きを持つ。

 グループはこれまでに、リンパ球上のタンパク質「PD1」がLAG3と同様の働きをすることを発見。PD1の遺伝子を欠損したマウスを作製したところ、心臓の筋肉に炎症が起きる自己免疫性の心筋炎で死んだマウスと死ななかったものがあった。死んだマウスはLAG3を作る遺伝子が変異し、LAG3タンパク質が不完全で、機能しないことが分かった。

 LAG3の遺伝子だけを欠損させても症状は出ないため、PD1などほかの物質とともに免疫反応を抑制するとみられる。

※米科学誌はジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン電子版

がんは愛に弱い…末期だった妻、夫と夢マラソン

2011年2月8日 提供:読売新聞

 末期がんで2年前に医師から「余命3か月」と宣告された滋賀県長浜市の元看護師・泉みどりさん(26)が、病魔に負けずに治療とトレーニングを重ね、昨年暮れにホノルルマラソン(42・195キロ)で完走を果たした。

 心身ともに支えたのは、宣告後に結婚した夫の浩太さん(26)だ。2人は5日、同市勝町の六荘公民館で約120人を前に〈二人三脚〉の2年間を振り返り、「生きようと思うことが大事。大切な人の愛がそう思わせ、元気をくれた」と語った。

 同市内の病院の看護師だった泉さんは、体調に異変を感じて2009年1月に受診し、胃がんと告げられた。家族の前では毅然(きぜん)としていたが、当時、交際していた浩太さんから「みどりの体は僕の体でもある。一緒に乗り越えよう」と言われ、初めて涙を流した。

 同年2月、家族や浩太さんは「余命3か月、長くても年を越せない」と医師から告げられたが、泉さんには伝えられなかった。不安を感じた泉さんだったが、余命以外を質問すると浩太さんが答えてくれ、「自分の余命は自分で決める。生きたいと思ったら、体は応えてくれる」と考えられるようになった。

 抗がん剤による治療を続ける一方、「病気だからこそ夢を持ち、できることをとことんやろう」と、1000個の夢を書き込む「夢ノート」を作った。おしゃれな店で食事する、旅行に行く……とつづった。

 浩太さんの応援で、2人で次々と夢を現実に変えていった。同年4月には「結婚しよう」という浩太さんの申し出を受け、泉さんの意志で婚姻届は出さずに、泉さんの誕生日に市内のホテルで結婚式を挙げた。

 同年7月頃には症状が改善を見せ、2度目の手術で胃の3分の2を摘出。泉さんは、「結婚」を説得し続ける浩太さんの思いを受け入れられるようになり、10年4月に婚姻届を出した。

 ホノルルマラソン出場も夢ノートには記していたが、この頃から具体的に考えるように。2人でジムに通うなど練習を積み、同年12月12日、浩太さんと一緒に、フルマラソンを約8時間で走りきった。

 泉さんは今も、通院治療を続ける。「『がんは愛に弱い』は本当だった! 末期からの復活」と題した講演会で、浩太さんは「今という瞬間を目いっぱい生きる大切さを、妻から教わりました」と話し、泉さんは「大きな暗闇に放り投げられた感じでしたが、自分は十分幸せだと実感し、人生をリセットできました。夫や支えて下さる人に感謝しています」と話した。(生田ちひろ)

男性限定の前立腺がん患者会、17日設立 悩み語り合う場に

2011年2月8日 提供:毎日新聞社

前立腺がん:男性限定の患者会、17日設立 悩み語り合う場に

 男同士、がんの悩みを語り合おう--。東京都江戸川区の江戸川病院(加藤正弘院長)で前立腺がんの治療を受けた男性たちが17日、患者会を設立する。前立腺がん治療は排尿などのトラブルがつきものだが、従来のがんの患者会活動は女性が中心で、男性は悩みを打ち明けにくかった。「男性限定の患者会」は、弱みや悩みを共有しながら前向きにがんと向き合う後押しになりそうだ。【永山悦子】

 同病院には、放射線をピンポイントで照射できる「トモセラピー」が2台あり、全国各地から多くの前立腺がん患者が通う。

 同病院がん相談支援室の川副由美子さんによると、女性は待合室などで積極的に情報交換するが、男性は静かに待つ傾向がある。男性患者から「体験談を聞きたい」との要望があり、治療経験者も含め患者会への参加意欲を聞いたところ、多くの手が挙がった。

 前立腺がんは放射線治療によって排尿回数が増えたり、腸の炎症から下血することがある。いずれも人前では話しにくい悩みだ。

 会の名前は「トモセラピー」と「友」をかけて「TOMOの会」。17日に都内で開く第1回患者会には、200人を超える人が参加する予定だ。当面、同病院の患者中心に活動する。

 代表に就任する鳴川洋一さん(77)は「病気のことはなかなか人に話せないが、知りたいことはたくさんある。それをオープンに語り合える場にしたい」と話す。

 同病院の放射線治療を支援する中川恵一・東京大付属病院准教授は「男性にはいまだに『がん=敗者、弱者』のイメージが強い。男性同士で弱音を吐き、治療の先輩から話を聞くことによって、がんのイメージも変わるのではないか」と話す。

園芸療法の園芸員・加藤勉さん スマイル写真館

2011年2月8日 提供:毎日新聞社

スマイル写真館:園芸療法の園芸員・加藤勉さん

 ◇緑の勢い感じ、体が喜ぶ--加藤勉さん(39)

 種まきから収穫まで、園芸作業を通じた高齢者や障害者のリハビリを園芸療法という。介護が必要なお年寄りの通所施設で、園芸療法の園芸員として週3日働く。農薬を極力使わずにトマトやサツマイモを育てるため、主な仕事は草むしりだ。夜明け前に起き、日没間もなく就寝する。

 専門学校で建築を学び、建築設計会社に入社。コンピューターで図面を描いていた。2級建築士の資格を取った入社2年目から急に仕事が増えた。図面を描くだけで精いっぱいなのに、チェックを任された他の図面が机に積み上がる。ミスを連発し、夜になると「寝ないで働け」という上司の声の幻聴に襲われた。

 その後設計システムの更新を担当したが、やり終えた途端に疲れ果て精神科に入院、1年休職した。「周囲に手伝ってと言えず、パンクした」と振り返る。復職して数年は会社と1人暮らしの自宅を往復し、職場ではコンピューターを操作するだけの日々。幻聴も消えず、再び休職した。

 そのころ自分の世界を広げようと、農業体験の合宿に参加してみた。ゴム長靴でぬかるみを踏みしめ、カマで稲の束を刈り取る。「体が喜んでいる感じで、とても楽しかった」。農業を学びたくなった。

 休職中にリストラされ、農業大学校に入学。しかし卒業後に就職できず、投げやりになった。「いくら頑張っても、つぶれてばかり。でも自分から逃げていたら、いつまでたっても同じ事の繰り返しだ」。まずは病気と向き合わねばと再入院した。そこで初めて統合失調症と告げられた。

 NPO法人が実施している園芸療法に通い始めたのは、退院して2カ月後のことだ。畑に種をまき、水をやり、緑の勢いを感じる。小さなスイカが一つできたとき、無性にうれしかった。わずかなずれも許されない図面作りと違い、形がいびつでも構わない。

 同じ病気の小百合さんとは畑で出会った。もうすぐ結婚3年。お互い「ありがとう」「ごめんね」と言葉にするよう心掛け、いたわり合い、ゆっくりと歩いている。【中村美奈子】=次回は3月8日掲載

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屋内で感染拡大、換気や日光消毒を 結核/2 あなたの処方箋/84

2011年2月8日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/84 結核/2 屋内で感染拡大、換気や日光消毒を

 「自分には関係ない病気と思っていたけど、こんな身近に潜んでいたなんて」。京都市内に住む主婦(25)は09年9月、会社員の夫(36)が結核を発症し、そして長男(1)に感染した体験を振り返った。

 出会う前の夫は8年前、一度結核を発症していた。完治したはずだったが、仕事の内容が変わり、「環境の変化がストレスになり、影響したのでは」と考えている。母子で健診した結果、当時6カ月だった長男の発症も判明。主婦は「乳幼児にしては発熱が多かったが、気づかなかった」と話す。夫は4カ月間の入院、長男は今月まで約1年3カ月間、外来治療が続いた。

 結核予防会結核研究所(東京都清瀬市)の森亨名誉所長によると、結核は空気感染し、換気が不十分な屋内で感染が広がる危険性が高くなる。結核菌は乾燥に強く、生命力が強い。日光が遮られていれば2カ月間は生存が可能とされる。ネットカフェなど建物の密閉度が高く、人が集まる都市部で感染率が高い傾向があり、09年は大阪市▽名古屋市▽東京23区▽神戸市▽堺市▽京都市--の順だった。

 発症の期間には個人差がある。感染者の1、2割はほぼ半年後に発症する。何年も経過し、加齢やストレスなどで免疫力が落ちて発症するケースもある。年齢とともに感染率は高まるが、生涯発症しない人もいる。子どもの感染は少ないが、進行が早いので注意が必要だ。治療が遅れて悪化すると、たんに血が混じったり、胸の痛み、体重減少、呼吸困難などの症状が出る。

 森名誉所長は「結核菌は紫外線に弱い。学校や家庭でも換気したり、日光を入れて菌が生存しにくい環境を心がけてほしい」と指摘する。=つづく

「曜日」考 魔の月曜にご用心 特集ワイド

2011年2月8日 提供:毎日新聞社

特集ワイド:「曜日」考 魔の月曜にご用心

 月曜日は何となくやる気が起きない、水曜日の会議は気が重い……こんな経験、ありませんか。本当に、曜日によって、人の心や体は変わるのか――取材してみました。【宍戸護】

 ◇血圧は日曜朝の1.43倍、自殺も増/時計遺伝子が生体リズム作る/1週間を制す「ブロック分け」

 「病気になりやすい曜日はあるのか」を聞きたくて、東京女子医大東医療センター病院長の大塚邦明教授を訪ねた。教授の専門は老年医学で、約40年前から「時間医学」を研究している。

 「さまざまな生体リズムをつかさどる時計遺伝子が、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センターの程肇(ていはじめ)助手らによって発見されたのは1997年。時間医学が認知されてきたのは2000年くらいからですかね。その前は占星術扱いです。ははははは」。大塚教授は、応接室で笑顔でそう話した。分かりやすくいえば体のリズムの専門家。いきなり本題に切り込んだ。曜日と病気は関係あるんでしょうか?

 「月曜日は医師の間で『魔の曜日』と呼ばれています。脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞が昔から多いからです。なかでも起床後数時間、血圧が大きく上昇する『早朝高血圧』は、これらの病気を引き起こす主因とされます。私たちが1週間、300人を対象に、起床後2時間の血圧上昇度を調べたところ、月曜日の朝は日曜日の朝に比べ1・43倍も上昇することが分かりました。月曜日から働くという思いがストレスになるのでしょう。自殺が多いのも月曜日で、やはり精神的な負担になるのだと思います」

 大塚教授によると、時計遺伝子を持つ細胞数は年々減り体のリズムを調整するホルモン、メラトニンは65歳以上で思春期の10~20分の1。お年寄りのほうがリズムが狂いやすく、月曜日朝、血圧が上がりやすい傾向にあるという。

 著書「病気にならないための時間医学」には、単細胞を含む全ての生物がリズムを刻んでおり、宇宙や自然の現象に応じて生物が進化を繰り返した結果、生体リズムを獲得したと考えられる、とある。朝、晴れた青空を見上げるとすがすがしい気持ちになるのも時計遺伝子のせいだとか。「青を感知する遺伝子が体に組み込まれています。朝の青い光がスイッチになって、規則正しい夜の眠りを促す。体のリズムを、地球の自転(24時間)と合わせる仕組みとして体に取り込まれたと思われます」と大塚教授。

 時計遺伝子は脳だけではなく、皮膚など体中の細胞にある。親時計である脳の指令に従って子時計である各細胞は働き、90分間、12時間、24時間、3・5日、7日、1カ月、10年などのリズムを刻んでいるという。例えば、胎児は7日のリズムを刻み、生後1年かけて24時間のリズムを獲得する。眠いピークは午前2時ごろと午後2時ごろの12時間周期で、女性の生理は約1カ月だ。

 コロンブスの卵……。言われてみれば、合点がいく。

 ■

 体がリズムを刻んでいることは分かったが、そもそも「曜日」は人間が作り出したものではないのか。山口大時間学研究所長の辻正二教授(社会学)に聞いてみた。この研究所は、数学のノーベル賞と呼ばれるフィールズ賞を受賞した広中平祐氏が学長時代の2000年に設立。「時間の観点から研究者間の交流を図り、新たな学際領域を創造する」のが目的だ。

 1週間の由来は何ですか。「1週間を7日とする根拠を明快に示しているのは旧約聖書。6日働いた後は安息日で神に感謝します。安息日はキリスト教が日曜日、ユダヤ教は土曜日、イスラム教は金曜日。いずれも中東地域を起源とする一神教に由来します」

 明治以降、国内でも七曜制が採用された。辻教授によると、七曜制が導入される以前は「ハレとケ」といわれる社会の時間があった。ハレは祭りを指し、庶民にとって楽しみ、希望の時間だった。「昔の人々は普段は多少しんどい思いをしても、ハレの場で周囲の人と心を通わせ、喜びを分かち合っていました」。時の流れ方についても、もっと緩やかだったと指摘する。「時間は寺が鐘で告げ、個人は時計を持っていません。農作業は雨が降れば休み、秋の収穫が終われば湯治に出かけました」

 辻教授は今の時間のあり方について「情報はインターネットの普及でものすごい速度で伝わり、パソコンや携帯電話で自らの時間を管理しようと思えばいくらでもできます。半面、日本人は勤勉だから、休みも働き、せき立てられる時間の流れに多くの人がのみ込まれている」と厳しい目でみる。

 不登校や引きこもりも、時間学から見ると「せき立てられる時間の流れについていけない、今の社会の問題を見越した存在かもしれない」という。「日本社会の長い歴史のもと、その経験から出てきた習慣を生かした時間に切り替えないといけないと思っています」

 ■

 実際には七曜制は揺らぎそうにない。ならば具体的には、主婦やビジネスマンはどうやって1週間を過ごしたらいいのだろう。4000人以上の時間意識や生活時間を分析、企業などに時間の使い方をアドバイスしている「時間デザイナー」、あらかわ菜美さんに聞いてみた。

 あらかわさんは「水曜日を軸にするといい」と提案する。「1週間を土日と平日5日で考えるのをやめ、水を軸に、月火、木金、土日のブロックで考えます。忙しいと1日でできる家事や仕事に限りがありますが、2日=48時間で考えると、調整もでき、スムーズにいきます」

 メーンの用事は月火、木金のブロックでこなし、水曜日はフリーにするのがコツという。「余計な用事を入れずに、エネルギーを蓄えておく。月火にやり残したことをし、木金に向けた準備をする。高速道路にたとえれば、ちょっと寄りたくなる休憩所です」

 そして土日は「休日らしく過ごす」のが、当たり前だが大事。金曜日は早く寝て、土曜日は早起きして、昼寝をするのが理想という。ブロックごとに頭の中で色分けするのも有効だ。「例えば月火は黄色、水曜日は緑、木金は青、土日はピンクとか……。色に合わせて時間の質も変えるイメージを持つ。意識的にメリハリをつけることが大切です」

 あらかわさんは、曜日と時間について「固定観念や習慣に縛られないことです。時間は、人とモノとの関わり合いの中で、自由に組み替えていく。時間に追われる身になるのではなく、自ら時間を操らないといけません」という。

 なかなか難しそうだ。

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東京・たばこ増税で…禁煙が増加 販売量は漸減 売上高は増税前水準に

2011年2月8日 提供:毎日新聞社

たばこ:増税で…禁煙が増加 販売量は漸減 売上高は増税前水準に /東京

 昨年10月の増税による値上げと9月の値上げ前の駆け込み需要で、10月に前月比マイナス約4400億円と大幅に減ったたばこの全国売上高が、12月には3000億円を超え、増税前の水準に戻ったことが東京財務事務所などの調査で分かった。一方で販売数量は増税前約180億本の水準には戻らず漸減傾向が続き、増税を機に禁煙した人が多かったこともうかがえる。

 同事務所などの調査によると、昨年4~8月のたばこ販売実績は約180~200億本、売上高は約2700億から3000億円で推移していた。増税前の駆け込み需要で、同年9月のたばこ販売数量は374億本、5671億円と大幅に増加した。その反動で10月には61億本、1261億円と減少していた。11~12月はともに増加傾向が続いているが、たばこの単価が増税で上がったため、本数は少ないままだが、売上高は元の水準に戻った。

 また、都内で廃業したたばこ小売店が増税前後の8~10月だけで471店と、急増したことも分かった。特に9月は202店が廃業した。09年度の廃業数は年間でおよそ800店。たばこ販売が許可されるのは月4万本(2000箱)が一つの目安で、同事務所は「増税で売り上げが落ちると予想した小売店が多かったのでは」と分析している。【神足俊輔】

大幅値上げでも喫煙者減らず、本数は減少

2011年2月8日 提供:読売新聞

 昨年10月のたばこの大幅な値上げ後も喫煙者は減っていないことが8日、厚生労働省研究班の調査でわかった。

 1人あたりの喫煙本数は減っており、1箱60-140円の値上げ効果は、「禁煙」ではなく「節煙」にとどまったようだ。

 鳥取大学の尾崎米厚(よねあつ)・准教授(環境予防医学)らは昨年11-12月、全国から無作為で選んだ成人男女1146人に喫煙の有無や喫煙本数などを面接調査。値上げ前の一昨年11-12月に調べたデータと比較した。

 喫煙率は男37・1%(一昨年36・1%)、女8・9%(同8・3%)で、値上げ前後でほとんど変化がなかった。一昨年の調査時には、喫煙者のうち男36・8%、女53・9%が、値段が2倍になったら禁煙すると回答。20円値上げなら、男6・2%、女9・2%が禁煙すると答えていた。この禁煙への決意が、現実には守れなかったことになる。

新規エイズ患者、過去最多 2010年、検査は減少

2011年2月8日 提供:共同通信社

 厚生労働省のエイズ動向委員会は7日、昨年1年間にエイズウイルス(HIV)感染が新たに判明した人は1503人報告され、うち既に発症したエイズ患者は453人で過去最多だったとの速報値を発表した。1503人は2008年に次ぎ2番目に多い。エイズ患者が占める割合は30%で2年連続で増加した。

 一方、保健所などでの抗体検査は約13万件で、2年連続の減少。委員長の岩本愛吉(いわもと・あいきち)東京大教授は「HIVへの認識が薄らいでいる。早期発見し治療を始めれば発症を抑えられるので、積極的に検査を受けてほしい」と訴えた。

 同委員会は、ウイルスに感染後、発症した人をエイズ患者と定義している。

 1503人のうち、男性が95%。同性間の性的接触によるものが63%だった。

 この日は昨年の第4四半期(10~12月)の状況も発表。感染が新たに判明したのは422人で、四半期ベースでは過去最多を更新。うちエイズ患者は119人だった。

生きる勇気がわく…気管切開、奇跡のソプラノ

2011年2月7日 提供:読売新聞

 気管切開により、のどに穴を開けたハンデキャップを乗り越え、澄んだソプラノを響かせる京都府右京区の声楽家、青野浩美さん(27)が、府内外でコンサート活動を続けている。

 声楽家にとって最も大切な声を失った時、その困難とどう向き合ったか。車いすに座り、のどにそっと右手を当て、のびやかに発する歌声は、聞く者に強いメッセージを伝える。

 同志社女子大(京田辺市)で声楽を専攻していた2006年、突然、難病にかかり、四肢にまひが残った。そのうち異変は呼吸器にまで及び、無呼吸発作に悩まされるようになった。

 医師から気管切開を勧められたが、「声が出なくなる」と言われ、深く悩んだ。しかし友人が「いくら大切な声でも、命とてんびんにかけるのはおかしいやろ」と諭してくれ、決断した。

 2008年5月に手術。のどに直径1センチの穴を開け、管状の器具「カニューレ」を装着した。安定して呼吸はできるようになったが、声は全く出ない状態に。しかし、会話ができる「スピーチカニューレ」の存在を知り、複数のメーカーの品を取り寄せた。当初、医師からは「歌うのは難しいだろう」と言われていたが、訓練を重ねることで、少しずつ力のこもった声が出せるようになり、「よし、もう一度歌おう」と決めた。

 しっかりと歌うためには十分な声量が欠かせない。息継ぎのタイミング、空気が漏れないよう右手でカニューレとのどの穴をどのように密着させるか……。課題を一つずつ克服し、声楽家としての「声」を取り戻していった。

 コンサートを始めたのは2008年暮れの頃から。やがて口コミで評判が広がり、「青野さんから生きる勇気を学びたい」と各地から招かれるようになった。

 現在も1年のうち数か月は入院するが、それでも月に3、4度、ステージに立つ。イタリアやフランスの歌曲に加え、童謡や歌謡曲などにも幅を広げた。

 今の声について「苦しい体験をした分、深みが出てきたと思う。自分の姿を包み隠さず伝えようと、前よりも素直に表現できるようになった」と話す青野さん。「どんな境遇になっても、夢を追うことをあきらめないで」との思いを乗せ、精いっぱい歌うのだという。(木須井麻子)

「別人格が殺害決意」 兄の告白、激しく動揺 「虐待―私が私でなくなる」

2011年2月7日 提供:共同通信社

 警察の取調室で吉本友佳(よしもと・ともか)(32)は激しく取り乱した。兄やいとこが自身への性的虐待を認めた、と捜査官から知らされた時だった。「いまさら認められても...。自分は単に頭のおかしい人間でよかった」

 2009年、友佳は近畿地方のマンションで夫=当時(42)=に睡眠薬を飲ませ、電気コードで首を絞め殺したとして殺人容疑で逮捕された。

 起訴前の精神鑑定で、解離性同一性障害と診断された。多重人格と呼ばれることもあり、友佳の中には六つの人格が存在していた。

 昨年開かれた裁判員裁判。「私は生きている女のおもちゃ」「兄やいとこはまるでご飯を食べるように虐待した」

 弁護側の冒頭陳述や被告人質問で、小中学校の6年間に受けた虐待を明らかにした。友佳は父親にネグレクト(育児放棄)され、事実上、自宅で1歳違いの兄と2人きりで生活していた。保護者の目がない密室の空間で兄と伯父、2人のいとこ、父の会社同僚の計5人から性的虐待を受けていた。

 夫を殺害したのは、犯行の1カ月半前に友佳が後に「レイプ」と形容した夫との意に沿わない性交渉がきっかけだった。この時、虐待された当時の光景がフラッシュバックしてそれまでの人格は意識を失い、代わりに出てきた別の人格が犯行を決意し、実行に移したという。

 裁判所は、障害が犯行に一定程度影響を与えたと認めたが、計画性や殺意の強さ、証拠隠滅行為があったことを重視し、懲役12年(求刑懲役14年)の判決を言い渡した。

 友佳にとって、性的虐待の過去はこれまでずっと心の奥底にしまい込んできたタブーだった。自分の心の中に複数の人格が潜んでいたことは、事件後に知人から指摘されるまで気付かなかった。

 虐待と精神障害、事件の間にどんな因果関係があるのか。友佳は3日間の審理で解明してくれると期待していた。だが、一人の人間に複数の人格が存在することを裁判員が理解するのは困難だったようだ。虐待の内容について突っ込んだ質問もなかった。

 結審した日、法廷から戻った拘置所の面会室で、友佳はアクリル板越しに記者と向き合った。「2度と私のような人間を生まないよう虐待が背景にあることを(世間に)伝えてほしい。私にはそうする以外に頼るべきところがない」。真っすぐ見据えて強く訴えた。(文中仮名、敬称略)

  ×  ×  ×

 長く身内の性暴力にさらされた女性は、大人になってからも苦しみ続けていた。幼少期に虐待を受けた者が行き着く"終着駅"とされる解離性同一性障害。複数の人格がせめぎ合い、自分が自分でなくなる-。混乱の中で夫をあやめた女性の軌跡から、虐待が残した傷痕の深さを見つめる。

英語で「カニ」と呼ぶわけ Dr.中川のがんから死生をみつめる/93

2011年2月6日 提供:毎日新聞社

Dr.中川のがんから死生をみつめる:/93 英語で「カニ」と呼ぶわけ

 財団法人癌(がん)研究会は、1908(明治41)年に創立された日本初のがん専門の研究機関です。付属病院の「癌研有明病院」は、東京のベイエリアにある最先端のがん専門病院です。ビルの外壁に「カニ」のシンボルマークがあり、大変印象的です。

 がんは英語では、カニやカニ座を意味する“cancer”と言います。カニと言っても、毛ガニよりは、ゴツゴツとしたタラバガニのイメージです。医学の父と呼ばれる古代ギリシャの名医ヒポクラテスが、進行した乳がんなどがカニの甲羅のように硬いことから、「カルキノス(カニ)」と名付けたことに由来します。

 がんは触ると分かりますが、「岩のように硬い塊」です。がん細胞は、ものすごい速さで細胞分裂を繰り返して大きくなるため、細胞の密度が高いことが理由です。

 江戸時代には、乳がんを「乳岩」と書くこともありました。四谷怪談に登場する「お岩さん」は、頬の奥にできる「上顎(じょうがく)がん」だったと思われます。治療法がなかったため、顔の皮膚にまで岩のようながんが顔を出していたのでしょう。

 ところで、この連載で一貫して使っている「がん」という言葉は、悪性腫瘍全般を指しており、漢字の「癌」とは微妙な違いがあります。

 医学用語としての「癌」は、臓器の表面を覆う「上皮」の細胞から発生する悪性腫瘍を指します。上皮細胞とは、簡単に言えば「外界と交通のある」細胞のことです。たとえば、胃癌ができる胃の粘膜は、口や肛門を通じて外界とつながっていますから上皮の一つです。肺癌ができる「気管支上皮」や、腎臓癌ができる「尿細管上皮」も、鼻や尿道を通して外界と連続しています。がんのほとんどは、この上皮細胞に由来する悪性腫瘍です。つまり、「癌」なのです。

 一方、骨や筋肉など、外界とつながっていない「肉」にあたる細胞からできる悪性腫瘍は、医学用語で「肉腫」と呼ばれます。癌と肉腫、白血病や脳腫瘍など、すべての悪性腫瘍の総称が「がん」です。種類は100以上になります。そして、がんごとに、治療法も治癒率も違うことを忘れてはいけません。(中川恵一・東京大付属病院准教授、緩和ケア診療部長)

高齢者中心に年2000人以上死亡 結核/1 あなたの処方箋/83

2011年2月7日 提供:毎日新聞社

あなたの処方箋:/83 結核/1 高齢者中心に年2000人以上死亡

 「患者のせきが長引いていたが、感染が分かった時には職員に広がっていた」。JA府中総合病院(広島県府中市)で先月、90代と40代の入院患者女性2人が結核を発症し、職員14人が集団感染した。久保田義則事務長(51)は「対応に最善は尽くしたが、結核という病気を忘れていた患者や医師も多い。職員全員に結核の免疫レベルを調べる血液検査を実施し、結核への認識を高めたい」と話す。

 結核予防会結核研究所(東京都清瀬市)によると、結核は国内で1910年以降に急増し、35年には死因の1位になった。死者数がピークとなった40年には15万人以上が死亡、「不治の病」「国民病」と恐れられた。だが44年に米国で優れた薬が開発され、戦後国内にも導入。51年に結核予防法が制定されて定期診断などの対策がとられた結果、感染者数は減少し続け、過去の病気として忘れられるようになった。

 しかし、97年以降国内で再び患者が増加。厚生省(当時)は99年「結核緊急事態宣言」を出した。以降も高齢者を中心に年間約2万5000人が発症。死者は年間2000人以上で単独の感染症による死者数は国内最大。集団感染も毎年40件程度報告されている。

 同研究所の加藤誠也副所長は「現在の結核の最大の問題は、国民の病気に対する認識の低さ」と指摘する。

 結核には特有の症状がない。せきやたん、発熱など風邪の症状とよく似ているため、本人や家族、時に医療従事者でさえ結核と気づかない場合がある。診断や治療が遅れると、集団感染を招く。加藤副所長は「風邪の症状が長引いたり、周囲にそういう人がいたら、結核や肺の病気を疑い、受診してほしい」と話す。(関東晋慈が担当します)=つづく

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