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医療情報62

医療情報61

20130301~

緑茶で脳卒中リスク低減 コーヒーでも、8万人調査

共同通信社 3月15日(金) 配信
 緑茶やコーヒーをよく飲む人は、飲まない人に比べて脳卒中になるリスクが2割程度低かったとの研究結果を、国立がん研究センター(東京)と国立循環器病研究センター(大阪)のチームが15日、発表した。
 緑茶の血管保護効果やコーヒーの血糖値改善効果が影響している可能性があるという。
 チームは、1990年代後半に東北から沖縄の9保健所管内に住んでいた45~74歳の男女計約8万2千人を平均13年間追跡した。この間に3425人が脳出血、脳梗塞、くも膜下出血といった脳卒中を発症した。
 追跡開始時点で、緑茶を「全く飲まない」「週1~2回飲む」「週3~6回」「毎日1杯」「毎日2~3杯」「毎日4杯以上」のグループに分けて解析すると、飲まないグループに比べ、毎日1杯以上のグループは脳出血のリスクが22~35%低かった。脳卒中全体では毎日2~3杯以上で14~20%低かった。
 コーヒーについては、飲まないグループに比べ、週1~2回以上のグループは脳梗塞のリスクが13~22%低かった。脳卒中全体では週3~6回以上で11~20%低かった。

人の細胞に結合するタンパク質発見 新種コロナウイルスでオランダ研究チーム

共同通信社 3月15日(金) 配信
 【ロンドン・ロイター=共同】新型肺炎(SARS)を引き起こすウイルスと同じ仲間のコロナウイルスの新種について研究しているオランダ・エラスムス医療センターの研究チームは、新種ウイルスが人の細胞に結合することができる細胞表面タンパク質を持っていることを突き止め、14日発売の科学雑誌ネイチャーに発表した。
 研究者はロイター通信に対し「ウイルスに対する(体内の)受容体が特定できれば発症の仕組みが解明され、治療薬やワクチンの開発に役立つ」と期待を表明した。
 同ウイルスは2012年9月、サウジを訪れた後、英国の病院に入院したカタール人男性から初めて見つかり、世界保健機関(WHO)によると、これまでに15人が感染、うち9人が死亡。英国で確認された3人の感染例から、このウイルスが動物から人にだけでなく、人から人にも感染する可能性が示されたと指摘されている。

がん・腫瘍抑制に期待 タンパク質の仕組み解明 東北大

河北新報社 3月14日(木) 配信
 東北大大学院生命科学研究科の福田光則教授(細胞生物学)の研究グループは12日、細胞がアミノ酸を取り込む際に働くタンパク質を特定し、その分解やリサイクルの仕組みを解明したと発表した。アミノ酸量の増大は細胞増殖と密接な関係があり、がんや腫瘍の抑制に役立つと期待される。
 生物の細胞は、細胞膜上の特定のタンパク質分子を通じて栄養物や刺激を取り込む。分子は必要に応じて細胞内に取り込まれて分解、またはリサイクルされる。
 研究グループは、分子のリサイクル過程で働く低分子タンパク質「Rab12」と、細胞膜上でアミノ酸の運び役を担う輸送体タンパク質「PAT4」をそれぞれ特定。
 Rab12を欠損させたマウスを調べると、PAT4とアミノ酸の増加が認められた。アミノ酸量増大により細胞増殖が活性化され、さらに細胞内の異物を除去する「オートファジー」の機能も低下した。
 PAT4はさまざまながん細胞で発現量の増加が報告されている。福田教授は「PAT4やRab12を標的とすれば、がんや腫瘍の治療薬開発が可能だ」と話している。

新種コロナウイルスの感染者が死亡 世界で9人目、感染例は15件に

共同通信社 3月14日(木) 配信
 【ロンドン・ロイター=共同】世界保健機関(WHO)は12日、新型肺炎(SARS)を引き起こすウイルスと同じ仲間のコロナウイルスの新種に感染した39歳のサウジアラビア人患者が今月2日に死亡したと発表した。
 これで同ウイルス感染による死者は計9人、感染例は15件となった。
 WHOによると、死亡した患者は先月24日に発症、入院治療していた。これまでの感染例とは接触がなく、ほかの感染源がないかどうか調査中という。

実施予定の16施設公表 新出生前診断

共同通信社 3月14日(木) 配信
 妊婦の血液で胎児のダウン症などの染色体異常を調べる新しい出生前診断で、国立成育医療研究センター(東京)などの臨床研究グループは13日、検査の実施を予定している16施設を公表した。近く、日本医学会に設置された認定・登録のための委員会に計画を申請する。委員会は3月中に審査を終え、認定された施設は4月から検査を始める見通し。
 施設は同センターのほか、北海道大、岩手医大、宮城県立こども病院、新潟大、東京女子医大、昭和大(東京)、横浜市立大、名古屋市立大、藤田保健衛生大(愛知)、大阪大、兵庫医大、徳島大、愛媛大、国立病院機構九州医療センター(福岡)、長崎大の各病院。
 これらは施設内の倫理委員会で臨床研究が既に承認されている。ほかにも数施設で実施を計画しており、準備でき次第、公表するという。

4月にも脳死膵島移植 京大病院など「治療効果高い」

京都新聞社 3月14日(木) 配信
 脳死と判定された人の膵臓(すいぞう)からインスリン分泌組織「膵島」を取り出して移植する脳死膵島移植手術が4月にも、京都大医学部付属病院(京都市左京区)などで始まることが13日、分かった。現在、心臓死からの膵島移植が行われているが、脳死移植は治療効果が高いとされ、期待が集まっている。
 膵島移植は、膵島の組織を分離し、点滴で血管に入れて肝臓に送り、定着させてインスリンを分泌させる。開腹手術をしないため、膵臓移植より患者の負担が少ない。
 国内では2004年に京大病院が心臓死した人から提供を受けて初めて実施。膵島を分離する試薬に牛海綿状脳症(BSE)を引き起こす恐れのある成分が含まれていたため2007年に中断、試薬を改善して昨年6月から再開できるようになったが、まだ手術は行われていない。
 脳死膵島移植は、提供者が高齢であったり、膵臓に脂肪が入っているなどして移植に適さない膵臓から膵島を取り出す。欧米では既に実施され、日本の心臓死からの移植と比較すると治療効果が高いという。心臓停止後の組織の損傷がないことが理由とみられる。
 4月以降、京大病院のほか、東北大病院、福島県立医大病院、千葉東病院、大阪大病院、福岡大病院で、重い糖尿病の患者を対象に実施する予定。京大病院で移植を担当する岩永康裕助教は「京大の待機患者は脳死移植を望む患者が多く、期待に応えたい」と話している。

心臓手術 青森県立中央病院チーム、人工弁使わず修復に成功 県内初、2人とも術後良好 柳沼部長、新手法で患者負担軽減

毎日新聞社 3月14日(木) 配信
心臓手術:県立中央病院チーム、人工弁使わず修復に成功 県内初、2人とも術後良好 柳沼部長、新手法で患者負担軽減 /青森
 県立中央病院(青森市)の柳沼厳弥・心臓血管外科部長(56)のチームが2月、心臓の弁を修復する県内初の外科手術を2例続けて成功させた。患者2人とも術後の状態は良好という。手術が短時間で済む上、人工弁などを使わないため患者の負担が少ないなどのメリットがあるという。
 この弁は、心臓が全身に血液を送り出す際に、心臓内部での逆流を防ぐ「僧帽弁」。弁を引っ張る「腱索(けんさく)」というひも状の組織が切れるなどして弁の利きが悪くなると、血液が逆流して心不全を引き起こす。通常の手術では、人工の腱索をつけたり、弁自体を人工弁に付け替えたりする。
 同チームは、腱索が切れた71歳の男性患者に対し、弁の一部を約6ミリ切り取って特殊な縫合を施し、人工腱索を使わずに弁を修復することに成功した。
 42歳の女性患者は、心臓の筋肉が次第に拡張する難病で、弁が閉じなくなっていた。通常なら人工弁をつけるが、同チームは弁にリングをかぶせ、弁自体を一部縫い合わせて広がりを防ぐ手法を採用した。柳沼部長によると、全国でもほとんど例がないという。
 同病院で13日記者会見した柳沼部長は「人工弁をつければ、血液を固まらなくする薬を一生飲み続けなくてはならない。新しい手法は長期的な再発防止も見込めるため、患者の生活が向上する」と話した。
 柳沼部長はこれまで約5000例の心臓手術を経験。今年1月、仙台厚生病院(仙台市)から県立中央病院に異動した。【酒造唯】

染色体入れ替わる仕組み 藤田保健衛生大が解明

共同通信社 3月13日(水) 配信
 染色体が切断され、別の染色体にくっつく異常で、不妊や流産、がんなどを引き起こすとされる「染色体転座」が起きる仕組みを、藤田保健衛生大(愛知県豊明市)の研究チームが解明し、12日に英科学誌電子版に発表した。
 染色体転座が体細胞で起きるとがんや白血病、精子や卵子で起きると不妊や流産が起きるといわれている。チームの稲垣秀人(いながき・ひでひと)助教(分子遺伝学)は「転座を起こしにくい状況をつくるなど、予防法の開発につながると考えている」と話している。
 研究チームは、精子で起こる染色体転座で最も頻度の高い11番と22番染色体に注目。この転座の切断点には特殊なDNA配列があり、DNAの通常の二重らせん構造とは違う「十字架型」の構造が生じるという。
 この十字架型DNAを培養細胞内に導入すると、本来はDNAを修復するために働く酵素が誤って十字架型DNAを切断し、11番と22番の染色体を修復しようと間違ってつなぎ直すことで染色体転座が起きることが分かったという。
 稲垣助教は「染色体転座で起きる疾患の発生メカニズム解明の手がかりになる」としている。
※英科学誌は「ネイチャー・コミュニケーションズ」

細胞感染の仕組み解明 一部ウイルス、九大

共同通信社 3月13日(水) 配信
 一部のウイルスが人間の細胞に入る仕組みを解明し、感染を阻止する方法が見つかったとの研究結果を九州大と宮崎大の研究チームがまとめた。13日、英科学誌電子版に発表した。新薬開発につなげたい考えだ。
 九州大農学研究院の角田佳充(かくた・よしみつ)准教授によると、エイズや手足口病など一部のウイルスは、細胞の表面にあるタンパク質に付着した「硫酸基」を目標に細胞に近づき、硫酸基と結合して細胞に感染することが分かっている。タンパク質に硫酸基が付着していない場合は、ウイルスは結合せず感染もしない。
 研究チームはこの点に注目し、タンパク質に硫酸基がどう付着するのか、研究を続けていた。
 大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県)などを使って硫酸基が付着するタンパク質を解析し、タンパク質の深い溝に硫酸基の付着する酵素が入り込んでいるのを発見。また、溝の周囲がプラスの電荷になっていることも分かった。
 この溝を埋める形のマイナス電荷を帯びた化学物質を見つければ、硫酸基の付着を防ぎ、ウイルス感染を予防できるという。今後、条件に合う化学物質を探し、薬を開発する。

マダニ媒介ウイルスで重篤、新たに3人感染確認

読売新聞 3月12日(火) 配信
 野山にいるマダニを介して感染する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスによる被害が相次いでいる問題で、厚生労働省は12日、新たに男女3人がSFTSで一時、重篤な状態に陥っていたと発表した。
 いずれも現在は回復している。国内で感染が確認されたのは8件(うち死亡5件)となった。
 同省などによると、新たに感染が確認されたのは、高知県の80歳代女性と佐賀県の80歳代男性、長崎県の50歳代男性の3人。
 高知県の女性は2012年4月、佐賀県の男性は10年8月、長崎県の男性は05年11月に、それぞれ38度以上の熱や血小板の減少などの症状が出た。佐賀県のケースでは、男性にかみ付いた状態でマダニが見つかった。国立感染症研究所で保存していた3人の血液などを調べたところ、いずれもウイルスに対する抗体やウイルスの遺伝子が検出された。遺伝子型は他の国内確認例とほぼ同じで、国内で感染したとみられるという。

ペースメーカー患者 MRIでの検査可能に

毎日新聞社 3月11日(月) 配信
ペースメーカー患者:MRIでの検査可能に
 一定の条件を満たせば、MRI(磁気共鳴画像化装置)で全身の検査を受けることができる植え込み型心臓ペースメーカーが、日本で初めて利用可能になった。従来のペースメーカーは、強い磁気のため発熱したり、不整脈を誘発したりするなど重篤な健康被害を及ぼす危険があり、MRIを使った検査は受けられなかった。
 検査が受けられるようになるのは日本メドトロニック社製の対応ペースメーカーに加え、心臓と機器を結ぶ「リード」も対応製品を使っている患者。リードは交換が難しいため、検査が可能になるのは新規に植え込む患者にほぼ限定されるという。また、他にMRI非対応の機器を植え込んでいないことや、検査に使用する装置のタイプが決まっているなど、患者、医療機関ともに条件がある。
 同社によると、国内の新規ペースメーカー植え込み患者は年間3万~4万人おり、最初の植え込み年齢の平均は74歳。また、植え込み患者の85%は別に一つ以上の病気がある。【瀬上順敬】

新患の36%アルコール依存 背景にストレス

共同通信社 3月11日(月) 配信
 東日本大震災の被災地で、住民の心のケアが重要な課題になっている。アルコール依存症患者の専用病棟を持つ仙台市の東北会病院では、新規患者に占める同依存症の割合が2012年、36・2%と、08~10年(平均32・2%)から4ポイント上昇。最も高かった12年6月は48・0%に達した。
 災害とアルコール依存症の医学的な関係は未解明だが、石川達(いしかわ・とおる)院長は「震災による喪失感がストレスとなった例も多い」と指摘。もともと飲酒に寛容な沿岸部で患者が増えたという。
 震災前に治療を受け断酒した宮城県の男性(61)は避難所から仮設住宅に移ったとたん飲みだし、3度入退院を繰り返した。「家を失い不安で眠れなくなった」
 日本医師会総合政策研究機構が昨年8~9月に実施した3県の医師の意識調査で、沿岸部で診療に当たる784人の医師の79・1%が「こころのケアが必要な住民がいる」と答えた。

肉や乳製品ほどほどに 脳卒中減り心筋梗塞は増加

共同通信社 3月11日(月) 配信
 肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸を多く取ると、脳卒中のリスクが下がる一方、心筋梗塞を発症しやすくなるとの研究結果を国立がん研究センターなどの研究チームがまとめ、11日公表した。チームは「肉や乳製品は、ほどほどに食べるのが良い」としている。
 チームは、国内の約8万2千人を追跡調査した。摂取量により5グループに分けて分析、摂取量が最も多いグループ(1日当たり21・6~96・7グラム)は最も少ないグループ(同0・8~11・7グラム)と比べ、脳出血や脳梗塞を含む脳卒中全体の発症率が23%低かった。
 脳卒中のうち、脳の奥にある細い血管から出血し、日本人に多い「深部脳出血」は、摂取量の増加に伴い発症率が下がる傾向が鮮明だった。飽和脂肪酸を取ると、血管を強くするのに必要なコレステロールが増えることが関係するらしい。
 一方、心筋梗塞は、摂取量が最多のグループは最少のグループと比べ発症率が39%高かった。
 総合的にみて、いずれの病気にもなりにくいのは、1日に20グラム前後取る場合で、牛乳を毎日コップ1杯(200グラム)飲み、肉を2日に1回(1回150グラム)程度食べるのに相当するという。研究チームは肉の種類は示していない。
 データを分析した山岸良匡(やまぎし・かずまさ)・筑波大講師は「飽和脂肪酸は、過去には摂取を抑えるべきだとされた一方、無害だとの説もあったが、取りすぎても少なすぎても良くないことが確認された」と話している。

学会指針のポイント

共同通信社 3月11日(月) 配信
 日本産科婦人科学会が策定した新出生前診断の実施指針のポイントは次の通り。
 一、簡便さだけで普及するとダウン症児などの出生の排除や生命の否定につながりかねない。
 一、妊婦が十分な認識を持たずに検査を受けたり、結果を誤解したりする可能性がある。
 一、十分な遺伝カウンセリングができる施設で限定的に行われるべきだ。
 一、施設には出生前診断に精通した常勤の産婦人科医と小児科医が必要。少なくとも一方は臨床遺伝専門医の有資格者。
 一、対象の妊婦は、染色体異常のある子どもを妊娠したことのある人や高齢妊娠など。
 一、医師は妊婦に安易に検査を勧めない。積極的に知らせる必要もない。
 一、施設の認定・登録や実施状況の評価をする制度の発足が必要。

表面化半年、研究開始へ 議論未成熟との意見も  「表層深層」新出生前診断

共同通信社 3月11日(月) 配信
 国内のほとんどの産婦人科医が所属する日本産科婦人科学会(日産婦)は、新しい出生前診断の実施指針を策定、国内の一部の医療施設で4月に臨床研究として検査が始まる見通しとなった。検査の導入が表面化してから約半年。性急な広がりに懸念がある一方、実施施設の条件緩和を求める動きや、出生前診断全般の在り方を問う声も。関係者は「慎重に運用し議論の積み重ねを」と訴える。
 ▽「異質排除」
 4月に出産予定の横浜市の妊婦(38)は「産後の準備のために受診したかった。流産のリスクを考えると(おなかに針を刺す)羊水検査には抵抗があり、選択肢は限られている。なぜ一学会が妊婦の権利を制限するのか。検査が即座に中絶につながるという発想こそ安易だ」と話す。
 ダウン症の当事者や家族でつくる日本ダウン症協会は検査導入計画が持ち上がった昨年8月、検査が急速に広がり、多くの妊婦が対象になることに反対する要望書を提出。玉井邦夫(たまい・くにお)理事長は「子どもの状態を知りたいと願うのは当然で、個人の選択に是非は言えない。ただこうした検査が異質なものの排除につながり得ることについて、社会全体で考える必要がある」と指摘した。
 日産婦は昨年12月、臨床遺伝専門医の勤務などを実施施設の条件などとする指針案を公表し、一般からの意見を募集。2月までに219件が寄せられた。
 ▽産科医の葛藤
 この中で、開業医らでつくる日本産婦人科医会は、検査を希望する妊婦が多いとして、実施施設の条件緩和を求めた。
 こうした動きに呼応するかのように、2月、民間会社が、海外に渡航して検査を受けられるサービスを始めると発表。2週間ほどで100件を超える問い合わせがあったという。
 この会社は渡航せずに国内で採血して受診する方法も検討中。会社の担当者は「精度の低い母体血清マーカー検査が十分なカウンセリングなしに一般の病院で行われているのが実体だ。今回の検査だけハードルを上げることには疑問がある」と話している。
 一般の病院への導入を見据え、地域の産科医も葛藤を抱える。1月、信州大で新出生前診断の研究会が開かれ、妊婦の診療に当たる産科医から質問が飛んだ。「検査を知らない妊婦にどこまで伝えるべきなのか」
 背景には新しい検査を説明することが、受診を誘導してしまうという懸念がある。日産婦の指針では「医師が妊婦に積極的に知らせる必要はない」とした。現行の母体血清マーカー検査と同列の位置付けだ。
 ▽議論未成熟
 妊娠中に胎児の異常の有無を調べる出生前診断は、血液のタンパク質を解析する母体血清マーカー検査や子宮の羊水に含まれる胎児の細胞を分析する羊水検査などがあり、これまでも導入のたびに議論になってきた。
 今回、全体の出生前診断に対する議論の未成熟さが露呈したとみる向きもある。臨床研究の取りまとめ役を務める国立成育医療研究センターの左合治彦(さごう・はるひこ)周産期センター長は「国内では出生前診断が中絶につながるものとして否定的にとらえられ、議論が抑圧されてきたのではないか。答えはないが、適切な検討に向けた資料を集めるためにも臨床研究が必要だ」と訴える。
 臨床研究では、千人程度の症例を集める中で、社会全体の議論を喚起し、理解の広がりや遺伝カウンセリング体制を底上げする狙いがあるとしている。

新出生前診断、4月開始 産科学会が指針策定 20施設が準備

共同通信社 3月11日(月) 配信
 日本産科婦人科学会(日産婦)は9日、妊婦の血液で胎児のダウン症など3種類の染色体異常を高い精度で調べる新しい出生前診断「母体血胎児染色体検査」の実施指針を理事会で決定した。日本医学会に設置した認定・登録機関で施設の審査を今月中にも終え、4月に始まる見通しという。
 国立成育医療研究センターなど約20施設が既に施設内の倫理委員会の承認を得て臨床研究として始める準備を進めている。安易に広がれば命の選別につながる倫理上の問題が指摘される検査技術が生殖医療の現場に登場することになった。
 指針では、検査対象を高齢妊娠としたが、指針案にあった「35歳以上」との年齢表現を削除した。学会は「35歳が高齢妊娠の目安」とし条件緩和が目的ではないとした。国立成育医療研究センターの臨床研究に参加する施設の規定では35歳以上に限っている。
 指針では、簡便さを理由に広く普及すると、ダウン症などの出生の排除や生命の否定につながりかねないと指摘。十分なカウンセリングのできる施設で限定的に行われるにとどめるべきだとして、臨床遺伝専門医の資格を持つ産婦人科医または小児科医の常時勤務などを求めた。妊婦の対象は高齢妊娠のほか、染色体異常の子どもの妊娠歴があることなどとした。
 施設の認定・登録は臨床研究だけを審査対象とする。指針検討委員会の久具宏司(くぐ・こうじ)委員長は「一般臨床に導入する場合は、指針の内容を見直す必要がある」とした。
 日産婦は産婦人科以外で検査が実施される可能性があるとして、日本医師会や日本医学会などと共同で指針の尊重を求める声明を出した。
 日産婦は昨年12月、対象妊婦や実施施設の条件などを定めた指針案を公表して、広く意見を募っていた。新出生前診断はダウン症のほか、呼吸障害などをもたらす18トリソミー、13トリソミーが検査対象。
※新出生前診断
 妊婦の血液に含まれるDNAを解析し、胎児のダウン症など3種類の染色体異常を調べる母体血胎児染色体検査。タンパク質を検出する母体血清マーカー検査や羊水中の細胞を分析する羊水検査などの従来の出生前診断よりも早い妊娠10週から検査できる。陽性だった場合、胎児がダウン症である確率は35歳以上で80~95%だが、確定診断には羊水検査が必要。陰性の場合は3種類の染色体異常ではない確率が99%以上と判断される。米シーケノム社が2011年に実用化、臨床研究でも費用は自己負担で約21万円。

女子中学生、子宮頸がん予防接種で副作用

読売新聞 3月11日(月) 配信
 東京都杉並区が無料で行っている子宮頸がん予防ワクチンの接種で、区内の女子中学生が2011年10月に接種後、手足のしびれなどの症状が出ていたことがわかった。
 1年以上通学できないほど重い副作用の症状だったことから、区はワクチン接種が原因として医療費などの費用を支給する。
 生徒の母親によると、生徒は中学1年の時に、子宮頸がん予防ワクチン「サーバリックス」を区内の診療所で接種。直後に、発熱や嘔吐のほか、腕、肩、背中のしびれの症状が出て、翌日から10日間入院した。
 退院後も足のしびれで車いすを使う状態が続き、今年1月までほとんど通学できない状態だったという。その後、症状が快方に向かっているため、通学を再開したが、関節痛と頭痛は続いているという。
 厚生労働省によると、同ワクチンは2009年12月から使用が始まった。12年8月末までの間に、失神や発熱など956件の副作用が医療機関から報告されており、死亡例も1件あるという。
 区の担当者は「任意の予防接種とはいえ、区も国も勧めている予防接種で副作用があった。お見舞いを申し上げ、誠心誠意対応したい」としている。

滑脳症 脳のしわがない難病、iPSで発症の仕組み解明

毎日新聞社 3月12日(火) 配信
滑脳症:脳のしわがない難病、iPSで発症の仕組み解明
 慶応大と国立病院機構大阪医療センターの共同研究チームが、脳のしわがほとんどない小児の難病「滑脳症(かつのうしょう)」が起こる過程の一部を、患者の細胞から作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)で再現することに初めて成功したとして、京都大iPS細胞研究所主催の国際シンポジウムで12日発表する。iPS細胞を使って小児難病の発症の仕組みを解明した例は少ないという。
 滑脳症は先天性難病で、国内の患者は1000人以下。脳の神経細胞の形成に関係する遺伝子の突然変異が原因で、重い発達障害やてんかん症状が表れる。根本治療薬はない。
 胎児は発達過程に伴い、神経細胞が脳の内部から脳の表面に移動して多数集積することで、しわのある大脳皮質が形成される。
 慶応大の岡野栄之教授と馬場庸平医師らは今回、滑脳症の赤ちゃんのへその緒からiPS細胞を作製、神経細胞の前段階の神経前駆細胞に変化させて培養し、大脳皮質が作られる過程の一部を再現した。健常な人からのiPS細胞も同様に変化させ、比較した。
 その結果、健常な神経前駆細胞の塊からは、足場となる細胞が放射状に伸び、それに沿って神経細胞が移動するのに対し、患者由来の神経前駆細胞では、足場になる細胞も神経細胞も極端に少なく、足場になる細胞の伸び方も乱れていた。
 一方、iPS細胞でつくった神経前駆細胞に特定の物質をかけると、神経細胞の形成が改善された。治療薬の開発につながる可能性がある。【須田桃子】

クローン26世代598匹 マウス、畜産や種保全に

共同通信社 3月8日(金) 配信
 クローン動物からクローン動物を生み出す「再クローニング」という技術で、1匹のマウスから26世代598匹のマウスを作製することに理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の若山照彦(わかやま・てるひこ)チームリーダーらのグループが成功した。
 クローン動物は遺伝的に同一のため、肉質の良いウシなど優良な家畜の大量生産や絶滅危惧種の保全につながる技術として期待される。成果は7日付の米科学誌セル・ステム・セル電子版に発表した。
 グループによると、クローン技術は、出産率が低いのが課題。これまでは、世代を追うごとに出産率が低下し、マウスでは6世代、ウシでは2世代が限界だった。ドナー動物が死ぬと遺伝情報は途絶えてしまう。
 若山さんらはクローンマウスを作る際、核移植した卵細胞を「トリコスタチンA」という薬剤にひたすことで出産率が上がることを2005年に発見した。技術の改良を重ねながら26世代に達し、出産率は最高で約15%。クローンマウスは健康で、繁殖能力や寿命も普通のマウスと変わりなく、グループは「再クローンを無限に続けることも可能」としている。

重症のインフル治療に光 DHA由来物質が増殖抑制

共同通信社 3月8日(金) 配信
 青魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)に由来する物質が、インフルエンザ感染で症状が悪化した後の投与でも治療に効果を発揮することを、秋田大大学院の今井由美子(いまい・ゆみこ)教授(ウイルス学)らのチームがマウスの実験で突き止めた。7日付の米科学誌セル電子版に発表した。
 タミフルなど従来の抗インフルエンザ薬は、発症後48時間を経過し、重症化した後では効果が薄いとされる。新たな治療法の開発につながる可能性もある。
 物質は、DHAが体内で代謝されてできるプロテクチンD1(PD1)。インフルエンザで重症になったマウスに、既に販売されている治療薬「ペラミビル」だけを投与した場合、18日後の生存率は40%未満にとどまったが、この薬とPD1を同時に投与すると、生存率は100%だった。
 インフルエンザウイルスは遺伝情報を担うRNA(リボ核酸)が細胞の核に入った後、増殖して核の外、さらに細胞の外へと出る。PD1はRNAが核から出るのを防ぐことが試験管の実験で分かった。ペラミビルは細胞から出るのを防ぐため、増殖を二重に抑える形で、より強力な効果が得られたとみられる。
 今井教授は「PD1が治療薬として有効である可能性は高い。人への応用については、副作用も含めて検証していきたい」と話した。

細胞や遺伝子の保管拠点 基礎生物学研に初開設

共同通信社 3月8日(金) 配信
 自然科学研究機構基礎生物学研究所(愛知県岡崎市)は7日、研究で使う細胞や遺伝子、受精卵などを災害や事故などの不測の事態に備えて保管する国内初の施設「大学連携バイオバックアッププロジェクトセンター」を所内に設置し、記念式典を開いた。
 東日本大震災では研究施設も被災。冷凍保存していた細胞が停電で使えなくなるなどし、研究中断や計画変更などの影響があったことから、同研究所と国立7大学が連携して研究資源の消失を防ぐのが狙い。
 施設は大規模な地震にも耐えられる構造で、自家発電装置を備える。細胞などは、停電しても約10日間は冷凍状態を維持できる液体窒素タンク内で凍結保存する。
 保管を希望する研究者は、7大学に申請。希少性や復元の難しさ、生物学的な意義などを基準に、研究所などでつくる委員会が審査し、認められれば3年を目安に保管される。
 センター長の西村幹夫(にしむら・みきお)教授(植物細胞生物学)は「災害で貴重な研究資源が無に帰するのは学術レベル低下にもつながる。施設開設で研究に与える損害をなくしたい」と話している。

「悪夢の細菌」の院内感染が拡大 昨年上半期は米病院の3.9%に、米CDC発表

共同通信社 3月7日(木) 配信
 【ニューヨーク・ロイター=共同】米疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は5日、ニューヨークで記者会見し、米国の病院ではカルバペネム耐性腸内細菌科(CRE)細菌の院内感染が過去10年間で徐々に拡大しており、2012年上半期は全病院の3.9%で院内感染が発生、一部の専門病院では17.8%に達したことを明らかにした。
 CRE細菌は、本来、ヒトの消化管や土壌に存在する大腸菌など70種超の細菌類の総称で、カルバペネムという強力な抗生物質も効かないため「悪夢の細菌」と呼ばれている。院内で治療を受けた際の血流感染によって広がるが、薬に対する耐性が次第に強まっており、死亡率は50%近くに達するという。
 フリーデン所長によると、2001年にはCRE細菌が見つかったのは1州だけだったが、現在では42州にまで拡大した。

身勝手嫌い、サルにも 感情的評価の力 京大、人以外で初確認

共同通信社 3月7日(木) 配信
 人の遠縁にあたるフサオマキザルは、自分とは利害関係がない第三者同士のやりとりを見て、身勝手な行動をする他者を嫌って避けるなど、感情的な評価をする能力があることを京都大の藤田和生(ふじた・かずお)教授のチームが解明し、5日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。
 チームによると、他者を感情的に評価する能力が人以外で示されたのは初めて。このサルは、人につながる系統から3500万年以上前に枝分かれした広鼻猿類。人に特有と考えられてきた能力が、より初期の霊長類にも備わっていることを示す成果としている。
 チームは、利害関係のない他人の行動を見た場合でも好感や怒りを抱く、人間のような複雑な感情を動物も持つのかを研究。他者が自分の食べ物をとるのを許すなど性格が寛容で、協力的な社会をつくるフサオマキザルを使って調べた。
 実験では、ふた付きの容器からおもちゃを取り出そうとする人が別の人に助けを求め、助ける演技と、横を向いて助けを拒否する演技をサルに見せた。
 それぞれの演技後、助けた人と、拒否した人が手に食べ物を載せ、サルが受け取る回数を7匹で計約千回調べた。
 すると、助けた人からは約50%の割合で受け取ったが、拒否した人からは約44%と、受け取り回数が減った。チームは、サルが他者を見て嫌悪したためだとみている。
 藤田教授は「今後は、人が公正な人物に好感を抱くようなポジティブな感情が見られるのか調べたい」と話している。
※フサオマキザル
 体長約40センチで、南米のアマゾン川流域の熱帯雨林に生息する。樹上生活をし、積極的に他者に食べ物をあげたり、他者がしてくれた協力に、おいしい食べ物でお返しをしたりするなど、寛容で協力的な社会を形成する。霊長類の中でチンパンジーとともに道具を使う能力が際立っており、石を使ってヤシの実を割る行動が知られている。手先が器用で表情が豊か。学習能力も高いことから、米国では、身体障害者の生活を支える「介助ザル」として飼われている。

プロ棋士の直観 あなたにも

読売新聞 3月6日(水) 配信
 素人でも訓練すれば、プロ棋士と同じような「直観」的な思考回路が持てるという研究結果を理化学研究所(埼玉県和光市)の脳科学総合研究センターが確認し、米科学誌「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」に発表した。
 直観的な思考は他者に伝えるのが難しく、仕組みの解明が期待される。
 プロ棋士は、将棋の盤面を見た途端に直観が働き、「次の一手」が浮かぶとされる。医師が診断画像を見てどこに異常があるかを見つけたり、システムエンジニアが膨大なデータの中から、故障の原因を探すのも同じ能力だとされている。
 同センターでは、プロ棋士の直観が働いている時に、脳のどこが活発に働くかを調べ、習慣行動の形成に関連があるといわれている「尾状核(びじょうかく)」と呼ばれる部分が働くことを突き止めて2011年に発表した。
 今回は電気通信大の協力で将棋をやったことがない20-22歳の男子学生20人に毎日約1時間、4か月にわたってコンピューターで詰め将棋に挑戦してもらい、訓練直後と4か月後で脳の活動にどんな変化があるかを調べた。
 その結果、訓練直後には見られなかった、尾状核が活発に働いている様子が4か月後に確認できたという。盤面を見た後に頭に浮かんだ複数の「次の一手」から尾状核が働くことでふさわしい手を選んでいるとみられる。最初はほとんど解けなかった学生も訓練をするうちに正答率が上がったという。
 答えを選択する時間が短いほど正答率が高かったが、これまでの研究でプロ棋士は時間に関係なく、尾状核が活動していることが分かっている。尾状核が活発に活動するには長年の訓練が関連しているとみられる。
 研究に携わった同センターの田中啓治副センター長は「尾状核の訓練方法が確立すれば、医療やコンピューターエンジニアなど、(直観が働く)熟達者の効果的な育成方法が提案できる」と話している。

全国の花粉症罹患者は山梨がトップ

薬局新聞 3月6日(水) 配信
全国の花粉症罹患者は山梨がトップ 東京都「花粉症予防・治療シンポジウム」実施
 スギ花粉症の有病率は全国平均26.5%。東京都がこのほど開催した『花粉症予防・治療シンポジウム』の中で講演した日本医科大学大学院医学研究科の大久保公裕教授はこのように指摘するとともに、全年代において有病率は増加傾向にあると報告した。近年で最も花粉の飛散が予測される本年においては、患者に対する早期から対応の呼びかけに加え、一般生活者を含む幅広い啓発がキーワードとなりそうだ。
 大久保教授の発表は独協大学の馬場廣太郎氏らの調査をベースに行われたもの。花粉症の罹患者割合は全国平均で26.5%となっており、最も多いのが山梨の44.5%で最少は北海道の2.2%。98年と08年の患者数の比較をすると、最も患者数の多い40~49歳の状況では98年は25.6%だったものの、08年は39.1%まで増加。4人に1人の割合から3人に1人程度の割合で罹患者となっている傾向が示された。
 加えてこれまで高齢者は花粉症を発症しにくいとされてきたが、08年調査では70歳以上が11.3%、60~65歳では21.8%などとなっており、98年から患者数は倍増している。
 患者数が増加傾向にある背景としてシンポジウムでは、戦後に植樹されたスギ・ヒノキの人工林が国土の約19%まで拡大したことを言及。花粉の生産能力が最も高い樹齢30年前後の樹木が使用されずに里山に点在していることが要因の1つと分析した。その一方で気象予報士の村山貢司氏は、「完全に今がピークといっても差し支えない。花粉症が国民病となっていることが社会問題になって以来、国内のスギを使用する動きは広まっており、このまま花粉症患者が右肩上がりに伸び続けることは考えにくい」との見方を提示した。

ロボでリハビリ、臨床試験 新潟病院、難病患者対象

共同通信社 3月6日(水) 配信
 国立病院機構新潟病院(新潟県柏崎市)は5日、人の動作を支援する装着型ロボットスーツ「HAL」を、神経や筋肉の難病患者のリハビリテーションで活用し、有効かどうかを調べる臨床試験を6日から始めることを明らかにした。ほかに全国9カ所の医療機関で実施する予定。
 研究グループ代表の中島孝(なかじま・たかし)新潟病院副院長は「希少性の難病を対象にすることで、さまざまな症例に応用できる医療機器の開発につながる」としている。
 臨床試験は、脊髄性筋萎縮症などの難病で歩行が不安定な18歳以上の30人が対象。HALを装着した状態で歩行練習などを行い、装着しなかった場合と比べてどのくらい改善するかを調べる。
 歩行機能を改善する医療機器として保険適用を受けることを目指しており、国の承認を得るための医師主導の臨床試験(治験)として行われる。
 HALは、筑波大の山海嘉之(さんかい・よしゆき)教授らが開発した、運動の際に脳から皮膚の表面に伝わる微弱な信号を読み取り、モーターで器具を動かして運動を補助する装置。福祉用が普及しているが、今回の臨床試験では治験用に改良されたHALを使う。

震災後の肺炎患者急増 埼玉の医師ら、宮城で調査

共同通信社 3月6日(水) 配信
 埼玉医科大の大東久佳(だいとう・ひさよし)医師(呼吸器内科)らの研究グループは5日、宮城県気仙沼市の3病院の医療記録を解析した結果、東日本大震災後に肺炎による入院患者の発生率が、震災前に比べ5倍以上に増えたことを確認したと発表した。患者の9割が65歳以上だった。
 大東医師によると、震災後、被災地では肺炎患者が増えたとの報道や報告が相次いだが、震災で比較に使うデータを失ったり、被災を免れた医療機関に患者が集中したりした事例もあり、実態はよく分かっていなかった。
 医師らは震災1年前の2010年3月から11年6月までに、気仙沼市立病院などに入院した18歳以上の患者550人分のカルテなどを調べた。統計学に基づき解析すると、震災後の肺炎による入院患者の発生率は震災前の5・7倍に、関連死は8・9倍にそれぞれ増えていたという。
 大東医師は「急激な環境変化や避難生活のストレスが原因とみられる。研究結果を、発生が予想される大災害の医療支援態勢を考える際に役立ててもらいたい」と話している。

妊婦健診を推奨 エイズ治療で国内関係者

共同通信社 3月6日(水) 配信
 エイズウイルス(HIV)に母子感染した子どもを完治させたと米ジョンズ・ホプキンズ大などのチームが4日発表。日本では母子感染は早期に対策を取ればほぼ防げることから、医療関係者は妊婦健診でのHIV検査を勧めている。
 厚生労働省疾病対策課によると、国内で初めてHIV感染者が確認された1985年から2011年までに、母子感染したと推定される子どもは、エイズ発症者を含め53人。
 妊婦健診で妊婦の感染が判明した場合、妊娠中の投薬や帝王切開による出産、子どもへの薬剤の予防投与、粉ミルクの授乳を徹底すれば、母子感染はほぼ防止できる。厚労省研究班によるとこうした対策が取られたケースでは1997年以降、母子感染した症例はないという。
 しかし、健診を受けない妊婦が増えてきているとされ、対策を取らずに母子感染が起きる恐れは残る。厚労省や専門家は早期に対策が取れるように、妊婦検診でHIV検査を受けるよう推奨している。

新生児のHIV完治 3種類の薬集中投与 撲滅に道か、米チーム

共同通信社 3月5日(火) 配信
 【ワシントン共同=吉村敬介】母親からエイズウイルス(HIV)に感染した生後30時間の新生児に3種類の治療薬を集中投与し、体内からHIVを実質的に消滅させたと米ジョンズ・ホプキンス大などのチームが4日、正式発表した。子どもの完治例は世界初とみられる。
 既に投薬をやめたが2歳半をすぎても症状は出ず、標準的な検査ではHIVが検出されない状態が続いている。この方法の有効性が確認され、世界で推奨されれば、子どものエイズ撲滅につながると期待される。
 国連の推計では2011年にHIVに感染した新生児は33万人。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は「大きな希望をもたらす成果だ。次世代がエイズに苦しむことのない世界に一歩近づく可能性がある」と歓迎した。
 チームは10年7月に米南部ミシシッピ州で生まれた新生児に、3種類の抗ウイルス薬の投与を開始。1カ月後にはHIVがほとんど検出されなくなった。1歳半で投薬を中断したが、その後もHIVの活動はみられないという。
 母子感染が確認されるまでは予防的な投薬にとどめるのが一般的な手法。ジョンズ・ホプキンス大のデボラ・パーサード准教授は「ごく早い段階で治療薬を投与することで体内の隠れた部分にHIVが潜むのを防ぐことができ、それによって治療できたのではないか」とみている。
 米ジョージア州で開かれた学会で発表。別のチームは生後2カ月で治療薬の投与を受けた10代の子どもが、それより遅く投薬された子どもよりHIVの検出値が低かったとの報告をした。
 ジョンズ・ホプキンス大のチームによると、過去に白血病治療のため骨髄移植を受けた男性がHIV感染も完治した例があるが、特殊な例で多くの人の治療には用いることはできないとしている。
※エイズの母子感染
 エイズウイルス(HIV)は性行為や血液を介して感染するほか、妊娠中や出産時に母親から赤ちゃんに感染することがある。HIV陽性の母親に治療薬を予防投与することで赤ちゃんへの感染を減らすことができ、先進国での母子感染は減少しているが、アフリカ諸国などで出生後も検査や治療を受けられない子が多いことが対策上の課題になっている。

抗酸化物質、脳守る作用も

共同通信社 3月5日(火) 配信
 玄米などに含まれる抗酸化物質フェルラ酸には、アルツハイマー病の原因とされる有害タンパク質「アミロイドベータ」が脳にたまるのを抑える作用もあるという動物実験結果を、森隆(もり・たかし)・埼玉医大准教授らが発表した。
 アミロイドベータが脳に蓄積しやすく、成長に伴い記憶力が低下する遺伝子操作マウスに、体重1キロ当たり30ミリグラムという大量のフェルラ酸を毎日半年間飲ませたところ、記憶力など認知機能の低下が抑えられたという。
 解剖の結果、フェルラ酸を飲んだマウスは、脳へのアミロイドベータ蓄積が少なかった。またフェルラ酸は、アミロイドベータをつくる酵素の働きを阻害することが分かった。

卵子老化は修復能力の衰え DNA損傷蓄積と米研究

共同通信社 3月5日(火) 配信
 女性が年齢とともに妊娠しにくくなる原因の一つである「卵子の老化」は、DNAの損傷を修復する遺伝子の働きが低下して起きるらしい。米ニューヨーク医大のチームが米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシンに発表した。
 DNA損傷が蓄積した細胞は、がん化などを避けるため「自殺」する仕組みが生体には備わっているが、卵子も同じ仕組みによって減っていることになる。
 修復能力を保つ方法が見つかれば、年齢が進んだ女性の妊娠率向上につながる可能性がある。
 女性は未熟な状態の卵子を約100万個持って生まれるが、一生に排卵するのは500個程度。30代後半から排卵しにくくなり、50代初めには卵子がほぼなくなって閉経する。なぜこれほど急速に減少するのかは謎だった。
 チームはまず、マウスと人で、高齢になると卵子のDNAの損傷が増えることを確かめた。次に「BRCA1」など、遺伝子損傷の修復に関わる数種類の遺伝子に着目。マウス、人いずれの卵子でも、高齢になるとこれらの遺伝子の働きが落ちていることが分かった。
 さらにBRCA1遺伝子が働かないようにしたマウスをつくって調べたところ、排卵する卵子が少なく、妊娠能力が低いことを確認した。
 BRCA1遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんになりやすいことが知られている。チームは同遺伝子に変異がある女性とない女性で、卵子残存数の目安になる血中ホルモンの値を比較した。すると変異ありの女性は、ない女性の半分程度の値しかないことが明らかになった。

知的障害発症の遺伝子特定

毎日新聞社 3月5日(火) 配信
知的障害:発症の遺伝子特定
 知的障害を起こすまれな病気の原因となる遺伝子を特定したと、横浜市立大の松本直通教授(遺伝学)のチームが発表した。この遺伝子は、細胞内の不要なたんぱく質を分解する「オートファジー(自食作用)」という現象に関わっている。2月24日付の米科学誌ネイチャージェネティクス(電子版)に掲載された。
 この病気は、脳に鉄が沈着して萎縮する「SENDA」。小児期に知的障害が表れ、20~30代に急激に症状が進み、数年で寝たきりになる。2011年に確認され、患者数は不明。
 チームは女性患者5人(25~46歳)の協力を得て遺伝子を解析し、全員に自食作用に関わる遺伝子に変異があることを見つけた。また、この遺伝子が作るたんぱく質が著しく少なくなっていた。
 オートファジーは、細胞内に異常たんぱく質がたまるアルツハイマー病、がんや老化などとの関連でも注目されている。松本教授は「SENDAの病気の早期発見や進行を抑える薬の開発だけでなく、他の疾患の原因解明にも役立てたい」と話す。【阿部周一】

薬に頼らず拒絶反応抑制 生体肝移植の負担軽減 北大など臨床試験で

共同通信社 3月4日(月) 配信
 肝臓移植後の拒絶反応を抑える新手法を使った臨床試験を北海道大と順天堂大のチームが行い、患者4人が免疫抑制剤に頼らずに生活できるようになったことが2日までに分かった。新手法は生体肝移植を受けた患者10人に対して行い、ほかの6人も薬の量を減らすことができた。
 拒絶反応は、移植された肝臓を、患者の免疫細胞のリンパ球が"異物"として攻撃することで起きる。免疫抑制剤なしで拒絶反応を抑えられれば、患者の負担軽減や生活の質の向上につながりそうだ。
 藤堂省(とうどう・さとる)・北海道大特任教授(移植外科)は「待っている患者がたくさんいるので、早期の実用化を目指したい」と話している。
 新手法は、臓器の提供者と移植を受ける患者の双方のリンパ球と、特殊な抗体を混ぜて培養。移植から2週間後に患者の体内に戻す。患者のリンパ球は、培養している間に提供者側の肝臓を異物として認識しないようになるという。
 北大病院で2010年11月から30~60代の男女10人に新手法を適用。このうち4人は2月末現在、半年から2カ月の間、免疫抑制剤なしで生活ができている。残りの6人も、週1回~1日1回程度まで薬を減らすことができた。免疫抑制剤は通常、1日2回服用する必要があるという。
 肝臓移植は、末期の肝不全患者への治療法として、国内で年500例前後行われている。免疫抑制剤を生涯飲み続けなければならず、発がんなどのリスクも指摘される。
※拒絶反応
 他人の臓器を移植した際に、移植された患者の免疫機構が"異物"と判断して、臓器を傷めてしまう反応。拒絶反応を制御できないと、移植した臓器の働きが失われてしまい、生命に影響が及ぶこともある。このため、免疫作用を抑える薬が必要になるが、体の抵抗力が弱まって細菌やウイルスに感染しやすくなるなどの副作用がある。

風疹 関東中心に大流行 20~40代男性多く 「妊婦の家族予防接種を」

毎日新聞社 3月2日(土) 配信
風疹:関東中心に大流行 20~40代男性多く 「妊婦の家族予防接種を」
 風疹が関東地方を中心に大流行している。予防接種を受けておらず、免疫のない人が多い20~40代の男性が患者の中心だ。妊娠初期の妊婦が感染すると胎児に障害が出る恐れがあることから、厚生労働省は夫など妊婦の家族に予防注射の接種を呼びかけている。
 風疹は、主に患者のせきやくしゃみで感染し、熱や赤い発疹が出る。同省によると昨年の患者報告数は2353人と過去5年間で最多。今年はさらに増え、2月20日時点で昨年同時期の約20倍にあたる745人となった。東京、神奈川、埼玉などで急増している。
 妊娠20週より前に妊婦が初感染すると、胎児に心臓の奇形や難聴などの「先天性風疹症候群」を引き起こす恐れがある。昨年10月から今年1月末までに、全国で6人の赤ちゃんが先天性風疹症候群にかかっていると報告された。
 感染は予防接種で防げるが、妊娠中は受けられない。そのため同省は2月末、妊婦の夫や家族に予防接種を促すよう求める通知を都道府県に出した。
 同省によると、昨年の患者は7割以上が男性で、うち20~40代が8割。今年も同様の傾向だ。風疹の予防接種は77年から女子中学生への集団接種が始まり、95年度から原則として生後12カ月以上36カ月以下の男女への定期接種になった。しかし、20~40代の男性の接種率は低く、11年度の調査ではこの年代の男性の15%に風疹の免疫がなかった。同省は「ちょうど妊婦の夫にあたる年代の男性に免疫のない人が多い。妊婦の家族や周囲の人は、予防接種を受けるなど、風疹の感染予防に努めてほしい」と話している。【斎藤広子】

HIV感染の新生児完治 ウイルス消滅と米紙報道 世界初か

共同通信社 3月4日(月) 配信
 【ニューヨーク共同】母親からエイズウイルス(HIV)に感染した生後30時間の新生児に治療薬を集中投与したところ、HIVが消滅したと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が3日報じた。世界初の例という。
 ジョンズ・ホプキンス大のデボラ・パーサード准教授らが明らかにした。国連の調査では2011年に世界で推計33万人の赤ん坊が新たにHIVに感染した。今回の症例が科学的に検証、確認されれば、世界的に推奨されるのは確実だ。
 HIVが消えたとされる新生児は10年秋、米南部ミシシッピ州で出生。名前や性別は明らかにされていない。分娩(ぶんべん)時ではなく妊娠中に子宮内で感染したとみられるという。感染を確認する検査結果を待たず、直ちに通常の予防措置と違う治療薬の大量投与などを行ったところウイルスの量が急減し、1カ月後には検出できなくなった。
 HIVが治療薬の到達できない体内の隠れた部分に蓄えられる前に、集中治療によってウイルスを殺せたのではないかとの仮説が考えられている。専門家は、大人のエイズ患者に対してはおそらく効果がないだろうとしている。

薬に頼らず拒絶反応抑制 生体肝移植の負担軽減 北大など臨床試験で

共同通信社 3月4日(月) 配信
 肝臓移植後の拒絶反応を抑える新手法を使った臨床試験を北海道大と順天堂大のチームが行い、患者4人が免疫抑制剤に頼らずに生活できるようになったことが2日までに分かった。新手法は生体肝移植を受けた患者10人に対して行い、ほかの6人も薬の量を減らすことができた。
 拒絶反応は、移植された肝臓を、患者の免疫細胞のリンパ球が"異物"として攻撃することで起きる。免疫抑制剤なしで拒絶反応を抑えられれば、患者の負担軽減や生活の質の向上につながりそうだ。
 藤堂省(とうどう・さとる)・北海道大特任教授(移植外科)は「待っている患者がたくさんいるので、早期の実用化を目指したい」と話している。
 新手法は、臓器の提供者と移植を受ける患者の双方のリンパ球と、特殊な抗体を混ぜて培養。移植から2週間後に患者の体内に戻す。患者のリンパ球は、培養している間に提供者側の肝臓を異物として認識しないようになるという。
 北大病院で2010年11月から30~60代の男女10人に新手法を適用。このうち4人は2月末現在、半年から2カ月の間、免疫抑制剤なしで生活ができている。残りの6人も、週1回~1日1回程度まで薬を減らすことができた。免疫抑制剤は通常、1日2回服用する必要があるという。
 肝臓移植は、末期の肝不全患者への治療法として、国内で年500例前後行われている。免疫抑制剤を生涯飲み続けなければならず、発がんなどのリスクも指摘される。
※拒絶反応
 他人の臓器を移植した際に、移植された患者の免疫機構が"異物"と判断して、臓器を傷めてしまう反応。拒絶反応を制御できないと、移植した臓器の働きが失われてしまい、生命に影響が及ぶこともある。このため、免疫作用を抑える薬が必要になるが、体の抵抗力が弱まって細菌やウイルスに感染しやすくなるなどの副作用がある。

クロレラ、油症治療に効果 ダイオキシン類を排せつ

共同通信社 3月4日(月) 配信
 微細な緑藻類「クロレラ」の市販粒剤がカネミ油症患者の体内に残るダイオキシン類の排せつに効果があることが、福岡工業大環境科学研究所の長山淳哉(ながやま・じゅんや)客員研究員(環境分子疫学)らの研究で分かった。2日に同研究所の発表会で報告する。
 福岡と長崎の油症患者37人を2グループに分け、市販のクロレラ粒剤(0・2グラム)を毎食後10粒ずつ8カ月間飲んでもらった。その結果、血中のダイオキシン類の濃度が1グループで平均約7%、もう一方のグループで平均約20%減少したことが判明。油症の主な症状である全身の倦怠(けんたい)感や手足のしびれなどの自覚症状も改善した。
 長山研究員によると、クロレラに多く含まれる葉緑素がダイオキシン類を覆い、腸での吸収を抑制し、そのまま排せつさせるとみられる。
 長山研究員は厚生労働省の全国油症治療研究班の一員として油症治療に携わっており「30年以上研究してきたが、今回ほど大幅にダイオキシン類の血中濃度を下げた食品はなかった。治療法として大いに期待できる」と話している。

iPS細胞 臨床申請 実用化へ、一歩の一歩 理研、過剰な期待懸念

毎日新聞社 3月1日(金) 配信
iPS細胞:臨床申請 実用化へ、一歩の一歩 理研、過剰な期待懸念
 世界初の臨床研究の審査は、国へ舞台が移された。28日、実施計画が厚生労働省に申請された人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った目の病気を治すための臨床研究。難病患者の期待が集まる中、記者会見した理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの高橋政代プロジェクトリーダーは「安全性の環境は整った。最初の臨床研究に適当だと思っている」と自信をのぞかせる一方、「まだ、(実用化へ)一歩を踏み出そうとしている段階」と慎重な姿勢を強調した。
 高橋プロジェクトリーダーは記者会見で、発がんの危険性について、臨床研究で使うヒトiPS細胞由来の網膜色素上皮細胞をマウスに移植しても、腫瘍にならないことを確認したと説明。日本人の場合、目ががんになるのは1000万人に2・5人と、リスクは小さいとも話した。
 iPS細胞の開発者、山中伸弥・京都大教授との連携についても「未発表のデータを見せていただき、協力していただいている」と明かした。
 一方、患者が過剰な期待を抱くことに懸念する声も上がった。加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の患者の中には、今までの治療を中断し、臨床研究への参加を求める患者もいるという。対象者が限られ実施するのも時間がかかるため、研究チームの一員の栗本康夫・先端医療センター病院眼科統括部長は「現在の治療を続けてほしい」と呼びかけた。
   ◇
 理研は将来の実用化に向けた準備も進めている。臨床研究後に求められる、多数の患者で有効性などを確かめる臨床試験(治験)を実施したり、実用化後に医療機関向けにiPS細胞由来の細胞を製造・販売したりするためのベンチャー企業「日本網膜研究所」(東京都、鍵本忠尚社長)を11年2月に設立。治験を日米で行う交渉を、日本の医薬品医療機器総合機構や米国の食品医薬品局と始めている。
 また同社は今年2月、京都大のiPS細胞の特許を管理する会社「iPSアカデミアジャパン」(京都市)と、ヒトiPS細胞の作製技術に関する契約を締結している。【吉田卓矢、須田桃子】
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 ■解説
 ◇安全性確認が主目的
 ノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授がマウスで初めてiPS細胞の作製に成功してから6年半。今回の臨床研究は、iPS細胞開発当初から期待されていた再生医療実現へ向けた第一歩だ。
 研究チームは00年ごろから、受精卵から作る胚性幹細胞(ES細胞)を使った網膜の再生医療研究に取り組んでいた。その下地があったため、ES細胞と性質がよく似たiPS細胞の登場に反応し、いち早く今回の臨床研究申請にこぎ着けた。
 国の審査では、動物実験で安全性が十分確認されているか、移植する細胞の品質管理が適正かなどの科学的妥当性と、患者への説明内容が適切かなど倫理的妥当性を議論する。
 しかし、今回の研究は、あくまで安全性の確認が主目的であり、大幅な視力の回復までは見込めないという。過度な期待は禁物だ。ある専門家は、有効性まで確認され、実用化されるには10年はかかるとみる。また目以外の組織や臓器で、臨床研究計画を国に申請するために手続きが進んでいるものはない。iPS細胞による再生医療が現実となるには、乗り越えるべきハードルがまだいくつもあると言える。
 iPS細胞研究の進展に詳しい須田年生・慶応大教授は「確実に段階を踏んで安全性や有効性、経済性を確認することが大事だ」と指摘する。【須田桃子】

iPS初の臨床申請 網膜再生、14年度にも開始 理研「治療へ第一歩」

共同通信社 3月1日(金) 配信
 理化学研究所は28日、さまざまな細胞に成長する人工多能性幹細胞(iPS細胞)で目の網膜を再生させる臨床研究を、先端医療センター病院(神戸市)で実施する計画を厚生労働省に申請した。
 厚労相の了承意見を経て実施されれば、iPS細胞を使った世界初の臨床応用になるとみられる。厚労省は早ければ3月27日の審査委員会で審議を始め、結論を出すのに数カ月かかるとみている。理研によると、患者の選定や細胞の加工には、了承されてから1年ほどかかり、網膜の細胞移植は2014年度になる見通し。
 研究責任者の理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代(たかはし・まさよ)プロジェクトリーダー(51)らが同市内で記者会見し、臨床研究の申請を「治療に向けた一歩を踏み出そうとしているところ」と説明。「研究生活が終わるまでには標準的な治療にしたい」と意気込みを語った。iPS細胞で懸念されているがん化については、目は腫瘍ができにくく、万が一の場合も早期に発見し、レーザー治療が可能とした。
 計画では、目の奥にある網膜が傷み、視力が急激に失われる「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」の治療法開発を目指す。国内の患者は推定70万人。患者自身の皮膚を採取してiPS細胞を作り、網膜の色素上皮細胞に成長させてシート状に加工したものを注射して移植する。移植後、数年にわたり安全性や有用性を観察する。
 現在、レーザーや薬剤を用いた治療で病気の進行を抑えられるが、根本的な治療には、傷ついた網膜を再生する必要があった。
 今回の計画では、人間への移植は初となるため、異常が起きないかを6人の患者で確認するのが主な目的。症状が進んで視力が相当落ち、既存の薬を使っても効果がない患者が対象で、移植による視力の大幅な回復は見込めないという。本格的な視力回復を図るのは、より早期の患者に試す次の段階になる。
※加齢黄斑変性
 目の奥にあり、光や色を感じる細胞でできた網膜の中でも、物を見る時に中心的な役割を果たす「黄斑部」が老化し、視野の中央部がゆがんだり暗くなったりする病気。中高年の失明原因の一つで、社会の高齢化により患者が増えている。網膜で出る老廃物を処理し、光を感じる細胞に栄養を与える色素上皮の組織が縮む「萎縮型」と、下にある脈絡膜から異常な血管が生えてきて色素上皮が傷む「滲出(しんしゅつ)型」がある。

過剰な期待すべきでない 識者談話

共同通信社 3月1日(金) 配信
 生命倫理に詳しい☆島次郎(ぬでしま・じろう)東京財団研究員の話 今回の手法は、網膜の一部の病気に限られたもので、うまくいったとしても波及効果は限定的だ。過剰な期待はすべきではない。iPS細胞の作製には遺伝子の組み換えを伴う方法とそうでない方法があり、患者には臨床研究で使う細胞がどちらなのかや、どういう影響があるのかを丁寧に説明しなければならない。国内外には胚性幹細胞(ES細胞)などで既に蓄積された知見がある。国はiPS細胞だけに偏るのではなく、再生医療全体を見渡しバランスの取れた支援をすべきだ。
注)☆は木ヘンに勝の旧字体

有毒の硫化水素、腎臓や脳に…組織保護に関与か

読売新聞 2月28日(木) 配信
 毒ガスとして知られる硫化水素が、体内で生成され腎臓や脳などの組織の保護機能を担っている――。
 そんな研究が国立精神・神経医療研究センター(NCNP)で進んでいる。同センター神経薬理研究部の木村英雄部長らの研究グループは、硫化水素が体内でより効率よく生成される新たな経路を発見し、1月22日、英国のオンライン科学誌に掲載された。
 硫化水素が哺乳類の脳に存在することは、1989年にカナダの研究者により初めて発表された。この報告をきっかけに、当時、米カリフォルニア州の研究所にいた木村部長が、ラットの脳で硫化水素が生成され、海馬での記憶増強に関わっていることを突き止めた。
 現在進めている研究で、木村部長のグループは、腎機能に障害を持つマウスに、D―システインというアミノ酸を与えたところ、腎臓で硫化水素が生成され、症状が著しく軽減したことを発見した。
 これまで、体内でL―システインと呼ばれるアミノ酸から硫化水素が生成されることはわかっていたが、D―システインは、腎臓内でL―システインよりも80倍効率よく硫化水素を生成し、しかも副作用が少ないこともわかった。
 腎不全の重症化を防止し、人工透析の導入を遅らせる治療薬は世界的にもまだない。現在、L―システインを使った新薬開発が、オランダで進んでおり、昨年末に治験の最終段階が終了している。D―システインの臨床試験が始まれば、より有効な新薬開発への期待が高まる。
 すでに、カナダの腎臓移植の研究者から木村部長らの研究グループに共同研究の打診があったという。木村部長は「今後研究が進めば、慢性の腎不全や糖尿病による腎機能低下の治療薬、さらに移植される腎臓の保護薬としても応用できるはず」と自信を見せる。
 この成果について、硫化水素が心筋細胞の老化を抑えることを九州大の研究グループと共に解明した熊本大大学院の赤池孝章教授は「新しい経路が発見されたことで、(腎不全など)臓器の障害に対して、予防的な治療につながる価値の高い研究だ」と評価している。

ドライアイの原因解明 東北大、薬剤治療に道

共同通信社 3月1日(金) 配信
 東北大大学院の牟田達史(むた・たつし)教授(免疫学)らの研究グループは28日、免疫疾患「シェーグレン症候群」の代表的な症状である目の乾燥(ドライアイ)が、涙腺で起きる過剰な細胞死によって引き起こされることをマウスの実験で解明した、と発表した。
 2月28日の米科学誌「イムニティー」のオンライン版に掲載。牟田教授は「細胞死を抑制する薬剤が有効なことを示した。治療に大きく貢献する」としている。
 ドライアイの原因にはさまざまあり、シェーグレン症候群もそのひとつ。他の症状には、口の中が乾燥するドライマウスがあり、同症候群の国内患者は数十万人いるとみられる。
 研究グループによると、マウスの涙腺で細胞死を抑える遺伝子を破壊したところ、免疫細胞のリンパ球が活性化して目の周辺に慢性的な炎症が起き、涙の分泌量が低下。ヒトのシェーグレン症候群と似た症状が現れた。
 このマウスの目に細胞死を抑える薬を投与したら涙腺の炎症が治まり、涙の分泌量も回復して快方に向かったという。

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