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医療情報63

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20130318~

降圧剤 京都府立医大の論文撤回騒動 製薬社員も名連ね クローズアップ2013

毎日新聞社 3月28日(木) 配信
クローズアップ2013:降圧剤 京都府立医大の論文撤回騒動 製薬社員も名連ね
 ◇1億円の寄付金/製品のPRに利用
 京都府立医大のチームによる降圧剤「バルサルタン」の臨床試験論文3本が、掲載した学会誌から「重大な問題がある」との理由で撤回された。血圧を下げる本来の効能は否定されていないが、脳卒中などのリスクを下げる働きもあるとした論文の信頼性は揺らいでいる。論文をPRに利用してきた製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が、試験に関係する別の論文で統計解析責任者として名を連ねていたことや、ノ社が論文責任者側に1億円余の奨学寄付金を提供していたことが取材で判明した。関係者の説明責任が問われている。【河内敏康、八田浩輔】
 問題の臨床試験は、京都府立医大の松原弘明・元教授(56)=2月末に辞職=のチームが04年にスタートさせた。高血圧の患者約1500人にバルサルタンを飲んでもらい、経過を追跡。薬の効果を確かめていった。
 松原元教授は試験中だった08年に、問題の3本に先だって、試験の実施要綱をまとめた論文を英医学誌電子版で発表する。この論文には、データの統計解析に責任を負う「統計解析の実施組織」として、ノ社の社員の名前が別の統計の専門家と共に記載されていた。しかしノ社の記載はなく、所属は「大阪市立大」とだけ記載されていた。
 この点について、3月に取材に応じたノ社の三谷宏幸社長は「どんな統計方法がいいかについてアドバイスしただけ。試験内容や、試験の組み立て方などデザインに関わる相談を受けたことはない。社員は大阪市立大の非常勤講師を兼任していた。統計の世界では有名な人物だ」と説明した。
 問題の3論文は、09~12年、日欧の2学会誌に相次いで発表された。09年の最初の論文は「従来の降圧剤に加えバルサルタンを服用すると、血圧の低下と関係なく、脳卒中や狭心症のリスクも下がった」と、欧州心臓病学会誌に発表された。
 ノ社は、この論文を基に、バルサルタンの効果をアピールする広告を医学雑誌にたびたび掲載するなど営業活動を展開。コンサルタント会社によると、11年度の売上高は、日本の医家向けの医薬品中3番目の約1192億円に上った。
 だが欧州心臓病学会は、今年2月になって「複数のデータに重大な問題がある」と、論文を撤回。関連する論文2本を掲載していた日本循環器学会誌も、昨年末に「データ解析に多数の誤りがある」との理由で撤回する事態となった。いずれの学会誌も「重大な問題」の詳細は明らかにしていない。
 松原元教授は「データ集計の間違いでしかない。論文の結論に影響を及ぼさない」と声明を出し、京都府立医大は今年1月、学内3教授による予備調査で「研究に不正はなかった」と日本循環器学会に報告した。
 この試験を巡っては1年ほど前から、「試験終了時の血圧値の平均値と(データのばらつきを表す)標準偏差のデータが、薬を飲んだ患者群とそうでない群で一致している。試験終了時に異なるのが自然なはず」「同じ薬を使った国内外の臨床試験の結果と合わない」などと、専門家から不自然さを指摘されてきた。
 毎日新聞は松原元教授に一連の経緯について再三取材を申し込んできた。しかし松原元教授は「大学に聞いてほしい」とし、面談での取材に応じていない。
 ◇研究責任者と密接な関係 個人的謝金も
 京都府立医大は、毎日新聞の情報公開請求に対し、松原元教授への奨学寄付金などに関する資料を開示した。
 それによると、大学に記録が残る08年1月以降、松原元教授の研究室に提供された民間からの奨学寄付金は、253件計4億2800万円。このうち、ノ社からは18件計1億440万円あり、金額は約4分の1を占めていた。
 また、12年度は、ノ社から松原元教授個人に講師謝金として2件40万円が支払われていた。
 ノ社は「奨学寄付金を出してはいるが、大学を通じてであり、試験を行う医師に直接ではない。この臨床試験を目的に提供したことはなく、ノバルティスファーマが松原元教授に試験の実施をもちかけたこともない」と説明する。
 2月のノ社の社長定例会見では、記者が松原元教授側への奨学寄付金提供の有無を問うた際、ノ社側は提供してきたことを認めたものの、金額は明らかにしなかった。三谷社長は「大学側の同意が得られれば、一緒に公表していきたい」とする一方、論文が撤回されて営業活動に臨床試験のデータが使えなくなったことには「非常に残念。今後、(顧客の)医師にも説明していきたい」と話していた。
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 ■ことば
 ◇バルサルタン
 ノバルティスファーマが商品名「ディオバン」として、00年に発売を開始した血圧を下げる薬。血管を収縮させ血圧を上げる血中成分の働きを阻害する効果がある。約100カ国で承認を受けている。
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 ◇松原元教授チームのバルサルタン臨床試験をめぐる動き
00年11月    ノバルティスファーマが降圧剤「バルサルタン」の国内販売を開始
04年       松原教授(当時)のチームが臨床試験を開始
09年 8月    「脳卒中や狭心症などのリスクも下げる効果」と欧州心臓病学会誌(電子版)に発表
11年 3月    「心臓肥大の症状がある患者にも同様の効果」と日本循環器学会誌(同)に発表
12年 9月    「糖尿病患者にも同様の効果」と日本循環器学会誌(同)に発表
12月   27日 日本循環器学会誌が掲載論文2本を撤回。京都府立医大に調査を要請
13年 1月31日 京都府立医大が学内3教授による予備調査で撤回論文に「不正はなかった」と学会に報告
    2月 1日 欧州心臓病学会誌が掲載論文を撤回
      12日 ノ社が定例記者会見で「データ解析に会社は関与していない」と説明
      15日 日本循環器学会が京都府立医大に再調査を要請
      28日 松原教授が大学を辞職
    3月 1日 京都府立医大が検証チーム設置を発表

脳梗塞後遺症、機能回復へ幹細胞治験 治療薬「早期に実用化」 札医大・本望修教授に聞く

北海道新聞社 3月29日(金) 配信
 札医大は脳梗塞の後遺症を改善する治療法として、患者本人の骨髄の細胞(骨髄幹細胞)を培養してつくる細胞製剤を実用化するための臨床試験(治験)を開始した。研究チームを率いる同大医学部付属フロンティア医学研究所の本望(ほんもう)修教授(49)は、これまでに行った12人の患者に対する臨床研究では身体まひや失語症の後遺症も劇的に改善した例があったといい、早期の実用化を目指すと語った。(安藤徹)
 ――今回の治験の意義は。
 「脳梗塞は脳の血管が血栓(血の塊)で詰まり、脳細胞が栄養や酸素の不足などで壊死(えし)してしまう病気で、国内で年間42万人が発症している。死亡することがあるほか、体のまひや失語症など重い後遺症に悩まされる。現在は後遺症に対して有効な治療法がないので、実用化すれば助かる人も多い。幹細胞を使った脳梗塞治療に向けた本格的な治験は、世界的にもまだ例がない」
 ――脳梗塞の後遺症の改善に骨髄幹細胞が働くしくみは。
 「脳梗塞の患者に投与した本人の骨髄幹細胞は、ダメージを受けた場所に集まる性質がある。集まった直後から、死にかけた神経細胞を助ける物質を放出し、細胞の機能を復活させる。約1週間後には血管が再生され、さらに約2週間後には神経細胞が再生される。その結果、体の機能も改善する。いずれも、1990年代から進めてきた私たちの研究で分かったことだ」
 ――これまでの研究で投与された患者への効果は。
 「2007年から3年間に、41~73歳の男女12人に初期の臨床研究を行った。半身まひで手がほとんど動かなくなった人が、翌日から動くようになった。失語症で人の話を理解したり言葉を発したりすることができなくなった人が、会話できるようになった。患者によって異なるが、投与後おおむね数カ月から1年間は改善が進行する。また、改善後に再び悪化した人はいない」
 ――感染症や拒絶反応の心配もないというが。
 「患者本人から採取したのだから、他人のものを投与するのと比べて安全性は高い。これまで数多くの動物実験をしてきたが、問題は起きていない。今回の治験では、さらに高い安全性の実証を目指している。今後2年間をめどに110人の症例データを集める。その後医薬品としての承認申請を出す。その1年後には承認が下りると期待している」
 ――脳梗塞以外への将来的な発展性は。
 「これまでに行った動物実験では、脊髄損傷、パーキンソン病、ヤコブ病などで効果が確認された。時間はかかるが、一つ一つ実用化を目指したい」
 札医大は治験の参加者を募集している。対象者は20~64歳で、発症後20日をめどに札医大病院に転院できる人といった多くの条件がある。問い合わせは専用コールセンター、フリーダイヤル0120・265・016(平日の午前9時~午後5時)へ。
▼京都大学名誉教授で先端医療振興財団臨床研究情報センター(神戸)の福島雅典センター長の話 未曽有の超高齢社会に向けて、要介護者数を激減させる切り札の一つが脳梗塞後の後遺症の回復。今回の治験はその答えを出してくれると期待している。
▼札医大が進めている脳梗塞治療法の開発研究の概要
 脳梗塞の患者本人から骨髄液を採取し、骨髄幹細胞を抽出して培養。増殖した骨髄幹細胞から細胞製剤をつくり、発症からおおむね2カ月の患者に投与する。採取は局所麻酔で10分ほどで済み、投与も静脈点滴のため患者への負担は少ない。患者本人の骨髄幹細胞を使うため拒絶反応や感染症などの問題も低いという。

神戸大がiPS研究拠点 臨床応用、京大に学ぶ

共同通信社 3月29日(金) 配信
 神戸大大学院は28日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の臨床応用の研究拠点を医学研究科内につくると発表した。京都大iPS細胞研究所の青井貴之(あおい・たかし)教授(39)が特命教授として着任し、研究体制の確立や人材育成を目指す。
 4月1日に科内に「iPS細胞応用医学分野」を新たに開設する。研究プランや学生の受け入れなどは具体的に決まっていないが、iPS細胞の作製など、京大の先進的な研究手法を神戸大に根付かせ、創薬や再生医療といった成果につなげたい考え。
 青井教授は「この分野は京大や理化学研究所など大きな施設が成果を上げてきた。これからはさまざまなところで研究の芽が出て、育てられるようにしたい」と意義を強調した。
 杉村和朗(すぎむら・かずろう)医学部付属病院長は「すぐに臨床ができるとは思っていない。若い人を育てることが大きな目的の一つ」と話している。
 青井教授は2005年から、iPS細胞の作製でノーベル賞を受賞した京大の山中伸弥(やまなか・しんや)教授のもとで研究を進めてきた。
 iPSの研究は京大のほか、慶応大や理化学研究所、大阪大などが進めている。

ビフィズス菌を静脈注射し抗がん剤、治験を開始

読売新聞 3月28日(木) 配信
 官民ファンドの産業革新機構が出資する創薬ベンチャー「アネロファーマ・サイエンス」が、ビフィズス菌を利用した抗がん剤新薬の臨床試験(治験)を米国で開始した。
 胃がんや肺がんなどの患者に投与して安全性や薬効を調べた上で、2020年代前半の実用化を目指す。
 臨床試験は米国内の治験施設で実施している。ビフィズス菌を人体の静脈に注射するのは世界で初めてで、他の抗がん剤の薬効改善などにつながる可能性もある。28日発表する。

若年層への慎重投与を指示 抗うつ薬6種

共同通信社 3月29日(金) 配信
 厚生労働省は29日、1999年以降に国内で承認された6種類の抗うつ薬について、若年層への投与は慎重に検討すべきだとする内容を添付文書の「使用上の注意」に記載するよう製薬関連団体に指示した。
 若年層への有効性が確認できなかったとする、海外からの臨床試験の報告を受けた措置。エスシタロプラムシュウ酸塩(一般名)は12歳未満、塩酸セルトラリン、デュロキセチン塩酸塩、ミルタザピン、フルボキサミンマレイン酸塩、ミルナシプラン塩酸塩(同)の5種類は18歳未満への慎重投与を求めている。
 ただ服用を中止したり薬の量を減らしたりすることで精神障害などが現れる場合があるため、厚労省は「自己判断せずに医師の指示に従ってほしい」と呼び掛けている。
 99年以降に承認の「新世代」と呼ばれる抗うつ薬は7種類。残るパロキセチン塩酸塩水和物はすでに添付文書の「警告」欄に同様の記載がなされている。
 厚労省によると、改訂を提案した医薬品医療機器総合機構では6種類についても警告欄に加えるべきかどうかの検討があったが、パロキセチン塩酸塩水和物で報告されているような自殺衝動との関連が、それぞれの薬の服用だけでは明確でないとして使用上の注意への記載にとどまった。

風疹患者2千人超 東海や九州にも拡大 大流行の恐れも

共同通信社 3月27日(水) 配信
 国立感染症研究所は26日、今年の全国の風疹患者数が21日までに累計2千人を超えたと発表した。全数報告の対象になった2008年以降で最多だった昨年1年間の2353人に迫る勢いで流行が拡大している。妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに心臓疾患や難聴といった「先天性風疹症候群(CRS)」が起こる可能性があるため、専門家は妊娠前のワクチン接種などを呼び掛けている。
 同研究所によると、21日現在で患者は2021人。首都圏や大阪、兵庫で目立って多く、東海や九州などほかの地域にも広がり始めた。推計で約3万9千人の患者が出た04年以来の大流行となる恐れがあり、厚生労働省は「4月に向けて人の移動も多くなる。一部の地域の問題と考えずに注意してほしい」としている。
 今回の流行では患者の4分の3が男性。年代別では20代~40代男性と20代女性が多い。ワクチンの接種機会がなかったことが背景にあるとみられ、家庭や職場などで感染を広げてしまうことが懸念されている。今年に入って、ワクチン接種歴のない母親からのCRSの報告が2例あるほか、脳炎を合併した25歳男性の重症例もあった。
 日本産婦人科医会幹事で横浜市立大の奥田美加(おくだ・みか)准教授は「妊婦はワクチン接種を受けられない。周りの人も、うつさないためにも、自分は関係ないと思わずに受けてほしい。過去の接種歴が分からない人が受けても問題ない」と話している。
 風疹ワクチンは現在、男女とも1歳と小学校入学前の計2回が予防接種法に基づく定期接種になっている。接種機会がなかった人のために、今月末までは、中学1年と高校3年が無料で接種できる。
※風疹
 風疹ウイルスによる感染症で、感染者のせきやくしゃみに含まれるしぶきを吸い込んでうつる。2~3週間の潜伏期間後、発熱や、全身の淡い発疹、耳の後ろなどのリンパ節の腫れが出現する。まれに急性脳炎などの重い合併症が起きるが、普通は3日程度で熱も発疹も治り、三日ばしかとも呼ばれる。例年、春先にはやり始め、ピークは5、6月。妊娠初期の感染で新生児に心臓疾患や難聴、白内障などの症状が出る「先天性風疹症候群(CRS)」が高い割合で発生する。

小児がん、半数に後遺症 研究班調査、就職へ障害

共同通信社 3月28日(木) 配信
 小児がん経験者の半数近くが化学療法の影響で起きる低身長や記憶力低下、不妊といった後遺症「晩期合併症」を抱え、就職する際の障害になっていることが、28日までに厚生労働省研究班が初めて実施した追跡調査で分かった。
 研究班は昨年、経験者の自立・就労などについてアンケートを実施し、239人から回答を得た。うち112人が「晩期合併症がある」と答えた。企業の障害者枠採用で必要とされる障害者手帳を持っているのは29人だけだった。
 学生以外で就職していない経験者は33人で、うち23人に晩期合併症があり、ほぼ全員が「就職は困難だ」と回答。「外見を理由に採用を断られた」「通院費や薬剤費が高額な上に、体調不良で就職できず不安」といった声の一方で「理解ある職場があれば働きたい」と答えた経験者もいた。
 研究班メンバーで愛媛県立中央病院の石田也寸志(いしだ・やすし)小児科主任部長は、就職が困難な状況について、後遺症の他に長期入院の影響を指摘。治療中は人付き合いが限定され、社会に出ても自己主張できなかったり、退院後も過剰に親に頼ったりする傾向があるという。
 石田部長は「健康状態は治療後もフォローできるが、医師に社会性を育てるノウハウはない」と話す。米英などの小児がん治療の先進国では患者の登録が進み、長期にわたる心身のケアが常識だが、日本は個人情報保護の観点から登録が進んでおらず、「国を挙げての課題だ」としている。
※晩期合併症
 放射線治療や抗がん剤投与の影響で、治療後に出る二次がんや免疫不全の症状。15歳以下がかかる小児がんは、未発達の体への治療となるため、低身長、知能障害、不妊などの症状を引き起こし、就職や結婚の障害となる可能性がある。数十年後に発症するケースもあり、長期的なケアが必要とされる。

原発避難1年で施設入所の高齢者死亡率2・7倍

読売新聞 3月27日(水) 配信
 東京電力福島第一原発事故後に避難した福島県南相馬市の高齢者施設5か所(入所者計328人)で、75人が事故1年以内に死亡し、死亡率が例年の2・7倍になっていたことが、東京大大学院医学系研究科の渋谷健司教授らのグループの調査でわかった。
 グループは「避難に伴うリスク」の検討が必要としており、原発事故を想定した自治体の地域防災計画や避難計画にも影響を与えそうだ。調査結果は27日付の米科学誌「プロスワン」(電子版)に発表される。
 グループは、同市内にある8施設のうち、調査に応じた特別養護老人ホームなど5施設について、各入所者の避難回数や移動距離、ケアの状態などを調べた。政府は2011年3月12日に原発20キロ圏内に避難を指示し、同18日には30キロ圏内に拡大。5施設も避難を余儀なくされ、事故後1-2週間で、神奈川県や新潟県などへ避難していた。
 1年間の結果を分析したところ、5施設のうち、要介護度が比較的低い人が入所する2施設の死亡率は事故前5年間とほぼ同じだが、3施設では3・01-3・93倍だったことが判明した。
 1年以内に死亡した人の多くは、特殊な介助が必要な高齢者。避難中は介護士が付き添っていたものの、避難先で別の担当者を充てられたケースが目立った。

パパになる前に予防接種を…風疹流行の兆し

読売新聞 3月21日(木) 配信
 風疹の感染拡大に歯止めがかからない。
 今年に入って厚生労働省に報告された患者は関東地方を中心に1656人で、昨年同期の20倍以上。患者の約7割を占める20-40歳代の男性のワクチン接種率が、費用負担などの問題で低迷しているためだ。妊婦が感染すると胎児に重い障害が残るケースもあり、同省は「特に妊婦の夫は予防接種を受けてほしい」と呼びかけている。
 厚労省によると、風疹の患者は昨年後半から増え始め、この3週間は毎週200人以上が報告されている。都道府県別では今月10日現在、東京が755人、神奈川205人、千葉139人、埼玉132人など、首都圏を中心に流行の兆しをみせており、同省は「推定で約3・9万人の患者が出た2004年以来の流行になる恐れもある」としている。
 子どもの病気というイメージが強い風疹だが、現在の流行の中心は大人の男性。患者の約8割が男性で、そのうち9割近くを20-40歳代が占める。1977年に女子中学生を対象とした定期予防接種が始まったが、男子が対象になったのは10年以上も後で、その間に接種を受けなかった男性が多いためだという。
 特に注意が必要なのが妊娠中の女性だ。妊婦が感染すると、胎児に心疾患や白内障、難聴などの重い障害が出る「先天性風疹症候群」(CRS)を引き起こすことがあり、今年もすでに1例確認されているという。
 このため、厚労省は1月末と2月末、妊婦の夫にワクチン接種を呼びかけるよう自治体に通知。千葉県や川崎市が独自のポスターやチラシを作って医療機関や商工会議所に配布するなどしているが、思うように効果は上がっていない。

「被災者の脳卒中対策を」 学会が声明発表

共同通信社 3月27日(水) 配信
 日本脳卒中学会(小川彰(おがわ・あきら)理事長)は26日、東日本大震災の被災者に脳卒中発症が増えているとして、政府に対応を求める声明を発表した。
 岩手医大(盛岡市)が岩手県陸前高田市、山田町、大槌町で脳卒中の発症件数を調べた結果、震災前と比較して震災1年後で増加、震災2年後にはさらに大幅に増加したことが判明したという。
 小川理事長によると、被災者には高血圧、高脂血症、肥満などの傾向があり、糖尿病を悪化させる人もいた。震災から時間が経過するとともに、長距離を歩かなくなった人も増加した。
 小川理事長は「運動量が減りがちな仮設住宅での暮らしを長期に強いられたことが原因ではないか」と説明。政府が早期に被災者の生活環境を改善させる必要があるとした。

iPS細胞 4疾患、研究拠点を選定

毎日新聞社 3月26日(火) 配信
iPS細胞:4疾患、研究拠点を選定
 科学技術振興機構は25日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った再生医療の実現のため、病気ごとの研究事業拠点を公募で選定したと発表した。脊髄(せきずい)損傷・脳梗塞(こうそく)など神経疾患▽パーキンソン病▽網膜色素変性症▽重症心不全の4疾患が選ばれた。今年度で終わる文部科学省の「再生医療の実現化プロジェクト」の後継事業。13年度から10年間続け、事業費は総額約430億円が見込まれる。
 現行事業は、拠点を大学や研究機関ごとに設置。それぞれが他の機関と協力して複数の病気の研究を進め、5年間で約217億円を使った。だが責任の所在があいまいで、狙った成果が得られていない分野もあり、病気の種類ごとに改めた。
 拠点長は、岡野栄之・慶応大教授(脊髄損傷)、京都大の高橋淳教授(パーキンソン病)、笹井芳樹・理化学研究所グループ・ディレクター(網膜)、澤芳樹・大阪大教授(心不全)。3~5年後に臨床研究を始め、治療応用を目指す。
 がん化しにくい再生医療用のiPS細胞を京都大iPS細胞研究所が作製し、中核拠点として分配する。分配は13年度から段階的に始め、14年度に本格実施する。【野田武】

膵臓がん新薬、効果確認へ 国立がんセンターなど

共同通信社 3月26日(火) 配信
 国立がん研究センターは25日、既存の抗がん剤を使っても効果が出なくなった膵臓(すいぞう)がん患者に対する新しい抗がん剤候補「GBS01」の臨床試験(治験)で安全性を確認し、有効性を調べる段階に進んだと発表した。
 有効性を調べる治験は、同センター東病院(千葉県)と中央病院(東京都)、がん研有明病院(同)で患者計37人を募り、1日1回飲んでもらう。効果が見られれば、さらに多くの患者で次の試験を行い、新薬としての承認取得を目指す。
 GBS01は、生薬の牛蒡子(ごぼうし)(ゴボウの種)に多く含まれるアルクチゲニンという成分を薬にしたもの。同センターと富山大、クラシエ製薬(東京都)のグループがマウスの実験で膵臓がんに対する効果を確かめている。
 膵臓がんは早期発見が難しい難治がんで、診断時に手術が可能な患者は2~3割。手術ができなかったり再発したりした患者は、放射線や抗がん剤を使った治療に入る。

そのほくろ、大丈夫? 悪性度高いメラノーマ 画期的診断法が普及 「医療新世紀」

共同通信社 3月26日(火) 配信
 がんの中でも特に悪性度が高いことで知られる皮膚がんの一種、メラノーマ(悪性黒色腫)。高齢化や日光の紫外線にさらされやすい生活スタイルを背景に、患者数や死亡者数が近年増加傾向にある。ほくろやシミとの鑑別が難しく診断が遅れがちだが、この5~6年の間に「ダーモスコピー」と呼ばれる画期的な検査方法が普及し、早期発見が可能になってきた。
 ▽3割が足の裏
 埼玉県に住むY子さん(82)は数年前、左足の裏に薄茶色のシミがあるのに気付いた。知人から「足の裏のほくろは怖いがんの可能性がある」と言われて心配になり、昨年、自宅近くの皮膚科を受診した。大きさは7ミリで形がややいびつ。医師がダーモスコープという特殊な拡大鏡で観察すると、色素の分布がメラノーマに特徴的なパターンであることが判明した。
 幸い早期だったため、病変と周囲の皮膚を小さく切除しただけで完治した。医師は「ダーモスコピーでなければ、こんな早期のメラノーマは見逃されていた可能性が高い」と説明したという。
 メラノーマは、肌の色に関係するメラニン色素を作る細胞「メラノサイト」ががん化する。ごく小さいうちからリンパ管や血管を通って全身どこにでも転移する極めてたちの悪いがんだ。日本人では足の裏や手のひら、手足の爪に生じるタイプが最も多く、特に足の裏は約30%を占めている。
 ▽機械的刺激
 皮膚がんに詳しい斎田俊明(さいだ・としあき)・信州大名誉教授によると、日本人の罹患(りかん)率は人口10万人当たり2人程度。年間に推定1500~2千人の患者が発生している。太陽の強い紫外線が重要な危険因子とされるが、足の裏や手のひら、爪については、けがや、日常の機械的刺激の影響が考えられる。
 患者の救命には転移前の発見が不可欠。米国対がん協会の診断基準は、病変が(1)非対称性(2)境界が不規則(3)色の濃淡が一様でない(4)直径が6ミリ以上(5)大きさや形状、色調が変化する―といった特徴を示す場合はメラノーマを疑うとしているが「早期の病変は、ほくろやシミとの区別が難しい。見た目が似た良性腫瘍も多く、しばしば誤診される」と斎田さんは話す。
 そこで注目されるのがダーモスコピー。1987年にオーストリアで考案され、日本では斎田さんがいち早く導入した。
 ▽パターンに特徴
 この検査では、病変のある皮膚表面に超音波診断で使われるゼリーなどを塗り、さらにガラス板を当てる。そこに強い光を照射しながらレンズで病変を10~20倍に拡大して観察すると、肉眼では見えない皮膚内部の色素の分布が見えてくる。
 ゼリーやガラス板を使うのは、皮膚表層での光の乱反射を防ぐため。「箱眼鏡」を水面に押し当ててのぞくと海や川の中がよく見えるのと同じ理屈だ。偏光フィルターを組み込み、ゼリーを用いないタイプもある。
 手足の皮膚表面には指紋や掌紋、足紋がある。斎田さんらはダーモスコピーで観察すると、通常のほくろでは紋の「溝」に一致してみられる色素沈着が、メラノーマでは「丘」の部分にみられるなど、特徴的パターンがあることを突き止めた。
 「パターンを照合すれば、ごく早期の病変も診断できる。以前は診断に迷うと組織を採取して調べていたが、患者さんにとって苦痛で、むだな検査を減らすこともできる」と斎田さん。2006年には保険も適用され、普及に弾みがついた。
 メラノーマに従来の抗がん剤は効かない。転移すればもはや切除もかなわず、なすすべが無かったが、米国で11年、延命効果のある二つの分子標的薬が承認された。診断と薬の進歩で、メラノーマの治療が大きく変わりつつある。(共同=赤坂達也)

貼るパーキンソン病の薬 「医療新世紀」

共同通信社 3月26日(火) 配信
 神経難病のパーキンソン病と、レストレスレッグス(むずむず脚)症候群の治療薬として、大塚製薬が国内初の貼り薬「ニュープロパッチ」を発売した。海外では30カ国以上で使われている。
 パーキンソン病は、脳内の神経伝達物質ドーパミンの不足で動作が緩慢になったり手足が震えたりする病気。ニュープロパッチを肩や上腕部、腹部などに貼ると、有効成分が皮膚から吸収され、ドーパミンの代わりに受容体に結合して神経伝達を活性化させる。
 1日1回の貼付で効果が24時間持続。早朝の症状による寝不足、着替えや食事の不自由などの改善効果が期待できる。貼った部分の皮膚症状には注意が必要という。

mRNAを脳の神経細胞に、神経疾患に効果期待

毎日新聞社 3月26日(火) 配信
 たんぱく質を作る時の設計図「mRNA」を脳の神経細胞に届ける技術を、東京大の片岡一則教授(材料工学)のチームが開発したと発表した。アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経疾患への効果が期待できるという。
 神経細胞の治療薬を外部から投与しても、病変部に届くまでに分解されることが多く、治療が難しい。チームは、神経細胞が治療効果を持つたんぱく質を持続的に合成できるよう、mRNAを外部から細胞に届けることを着想。途中でmRNAが分解されるのを防ぐため、30~100ナノメートル(ナノは10億分の1)のカプセル「高分子ミセル」で包んだ。
 実験では、光るたんぱく質を作るmRNAを内包した高分子ミセルを、ラットやマウスの首から脳脊髄(せきずい)液に注入した。その結果、神経細胞が高分子ミセルを取り込んで、5日間にわたって光るたんぱく質を作り続けることを確認した。片岡教授は「今後、治療に効果のあるたんぱく質をつくるmRNAを細胞に運んで、効果を確かめたい」と話す。【斎藤有香】

印刷会社で多発の胆管がん、産業医大准教授ら英誌に論文 「インキ洗浄2物質原因」

毎日新聞社 3月25日(月) 配信
 大阪市中央区の印刷会社、サンヨー・シーワィピーの胆管がん多発問題で、産業医科大の熊谷信二准教授(労働環境学)らによる論文が英国の国際的な医学誌「産業・環境医学(OEM)」オンライン版に掲載された。インキ洗浄用の2種類の化学物質が原因と推測し、「知られていなかった職業がん」と結論づけている。各国の胆管がん予防に寄与すると期待される。
 熊谷准教授は、サ社でインキ洗浄が頻繁に行われた校正印刷部門で91~06年に1年以上勤務した男性62人を調査。一昨年12月にとりまとめた段階で11人が発症、うち6人が死亡したことを確認した。死亡率は全国平均の2900倍で、仕事との関係が明確とした。
 発症者は全員が塩素系有機溶剤の1、2―ジクロロプロパンを7~17年浴び、10人はジクロロメタンに1~13年さらされた。2物質とも動物実験などから発がん性が認められ、職場は高濃度だったことから、「職場での濃度が最低限になるように管理するべきだ」と提言した。
 サ社での発症者は現在、17人(うち死者8人)と判明している。
 掲載は今月14日付。OEMは1960年(当時別名)、アスベストの住民への影響の論文を初めて掲載した。【大島秀利】

脊髄損傷、4年で臨床研究 iPSで患者10~20人に 慶応大チーム

共同通信社 3月25日(月) 配信
 慶応大の岡野栄之(おかの・ひでゆき)教授(生理学)は22日、横浜市で開催中の日本再生医療学会で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を利用して脊髄損傷の治療を目指す臨床研究を4年後に開始したいとの考えを明らかにした。
 患者10~20人を対象にする。サルなどを使った動物実験では既に、けがでまひした足の機能回復に成功している。使う細胞の安全性や、移植後に問題が起きた場合の対処法を確立した上で、2017年にも臨床研究にこぎ着けたいとしている。
 計画では、京都大の山中伸弥(やまなか・しんや)教授らが現在、備蓄を準備している高品質のiPS細胞を利用し、神経細胞になる手前の細胞に成長させ、凍結保存しておく。
 事故やスポーツなどによるけがで治療が必要な患者が発生した場合、最も効果的と考えられる受傷後2~4週間に、保存していた細胞を解凍し、500万~1千万個を脊髄に移植する。患者にとっては他人の細胞となるため、免疫を抑える薬を使う予定という。
 岡野教授は、傷ついてから時間がたった脊髄損傷についても、細胞移植と薬剤、リハビリを組み合わせる方法で、7~10年程度で臨床研究に入りたいとしている。同じ細胞は脳梗塞など、別の病気にも使えるとみて、適用拡大も狙う。
 体のさまざまな細胞になるiPS細胞を使った臨床研究は、理化学研究所のチームが2月、世界初の臨床応用を目指し、目の難病「加齢黄斑変性」の患者に対する網膜再生の計画を国に申請している。
※人工多能性幹細胞(iPS細胞)
 皮膚や血液など、特定の機能を持つまでに成長した細胞に数種類の遺伝子を導入して、受精卵に近い状態に戻した細胞。ほぼ無限に増殖させることができ、培養の条件を変えることで心臓や神経など目的の細胞に変化させることができる。事故や病気で機能を失った部分を修復する再生医療や薬の開発への応用が期待されている。文部科学省の将来展望では、今後10年以内に、心不全や脊髄損傷、パーキンソン病、筋ジストロフィーなどの臨床研究が構想されている。山中伸弥(やまなか・しんや)京都大教授が開発、2012年にノーベル医学生理学賞を受賞した。

ウイルスの殻、中にDNA 安全な遺伝子治療へ

共同通信社 3月25日(月) 配信
 ウイルスの微小な殻を人工的に合成し、その中に、生物の遺伝情報を担っているDNAを入れることに鳥取大と九州大のチームが25日までに成功した。チームは世界で初めてとしている。
 一般的な遺伝子治療で投与する、治療用DNAを組み込んだ天然ウイルスよりも安全、効率的にDNAを運ぶことが期待できるという。4月からは、がん治療のための人工ウイルス殻の開発を始める。
 チームの鳥取大大学院工学研究科の松浦和則(まつうら・かずのり)教授によると、殻は球状で、主要部分はペプチドという物質でできている。
 松浦教授らは、水中で自然に集まって殻を作るペプチドの化学合成に成功。人工殻の内部には、DNAなどマイナスに帯電している物質が入りやすいことが分かった。
 DNA水溶液にペプチド水溶液を加えたところ、直径約95ナノメートル(ナノは10億分の1)の殻にDNAが入っているのを確認した。
 天然ウイルスよりも毒性を低く抑えられると考えられる上、殻表面に付けるタンパク質や糖を選択することで、免疫反応を抑え、治療の標的となる細胞に作用しやすくなる可能性もある。

ヒアルロン酸の分解遺伝子特定 肌の潤い続けられる?

毎日新聞社 3月24日(日) 配信
ヒアルロン酸:分解遺伝子特定 肌の潤い、持続可能に?--カネボウなど
 肌の潤いを生み出し、関節の動きを滑らかにするヒアルロン酸を分解する遺伝子を、カネボウ化粧品と慶応大のチームが特定し、米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。肌の老化防止や関節炎の治療に役立つ物質の開発につながる可能性がある。ヒアルロン酸の合成を巡っては、関節を覆う膜の中や皮膚で作られるなど仕組みが解明されてきた。しかし、美容で体に注入しても、効果が長続きしないといった課題があり、分解の仕組み解明が重要になっていた。
 チームは、人間の皮膚にある2500以上の遺伝子を解析した。その結果、「KIAA1199」と呼ばれる遺伝子の働きを抑えると、ヒアルロン酸が分解されなくなることを発見した。また、関節リウマチや変形性関節症の患者では、通常より働きが約9倍も活発で、ヒアルロン酸が盛んに分解されていた。同社の吉田浩之主任研究員は「今後、加齢で遺伝子の働きが高まるのかどうかを調べたい」と話す。【久野華代】

iPSから角膜表面の細胞作製…阪大チーム

読売新聞 3月24日(日) 配信
 大阪大の研究チームが、様々な細胞に変化する能力を持つiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、目の角膜表面の細胞を作製した。
 将来は、角膜表面がにごって視力低下などが起きる原因不明の難病「スティーブンス・ジョンソン症候群」などの治療につながる可能性があるという。
 同大の西田幸二教授と林竜平助教らの研究チームが23日、横浜市で開かれた日本再生医療学会で発表した。研究チームが作製したのは、角膜表面を覆い、細菌など病原体の侵入を防いでいる「角膜上皮細胞」。人のiPS細胞に特殊なたんぱく質などを加え変化を誘導し、角膜上皮細胞と良く似た構造を持つ細胞を作って、シート(薄膜)の形状になるように培養した。このシートをウサギの目に移植し、病原体を防ぐ機能を確認した。

胎児の心電図わかります…センサー付けるだけ

読売新聞 3月23日(土) 配信
 東北大の木村芳孝教授(産婦人科)のグループは22日、妊婦のおなかの上から胎児の心電図検査が出来る装置を世界で初めて開発したと発表した。
 今後、同大病院で臨床試験を行う。現状の妊婦健診では、胎児の心拍数を測ることはできたが、心電図で心臓の動きをより詳細に調べることで、胎児の心疾患の有無だけでなく、ぜんそくなどの診断や早産のリスクを調べることも可能になるという。
 臨床試験で使用する装置は、成人の心電図測定と同様、妊婦のおなかにセンサーを付けるだけで、検査の際の母子への負担はほとんどない。
 木村教授らは2004年、妊婦の体からも出る様々な電気信号の中から、胎児の心臓が発するわずかな電気信号だけを抜き取る情報処理技術を開発。この技術をもとに09年から、国内の医療機器メーカーと共同で装置の開発に乗り出し、妊娠中のヒツジなどの腹部から、胎児の心臓が出す微弱な電流を測ることに成功した。

赤血球の大量製造に道 iPS細胞から理研

共同通信社 3月22日(金) 配信
 体のさまざまな細胞になる人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から赤血球を大量に作れる細胞を作製したと、理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)の中村幸夫(なかむら・ゆきお)細胞材料開発室長が21日、横浜市で開催中の日本再生医療学会で発表した。輸血用の血液製剤の大量製造につなげたいとしている。
 中村室長のチームは以前、赤血球になる手前の「赤血球前駆細胞」をマウスの胚性幹細胞(ES細胞)から作製した。このときの培養方法を改良、人間のiPS細胞に遺伝子操作を加えるなどして前駆細胞を作り、ほぼ無限の増殖能力を持たせることに成功した。さらに、前駆細胞から作った赤血球に酸素を運ぶ能力があるのを確認した。
 赤血球は200ミリリットル製剤を作るのに1兆個も必要なため、大量に作る技術開発が課題だった。前駆細胞の状態で増やしておけば、そこから3~4日で赤血球が作れる。
 前駆細胞には遺伝子の入った核があるが、赤血球になると核が抜けるため、人体に入れても遺伝子操作による影響はなく、がん化の恐れもないという。
 ただ、現状では最大で前駆細胞の3割ほどしか赤血球にならない。コスト削減のため、より効率的に赤血球を作る技術を開発したいとしている。

iPSで白血球大量生産 免疫疾患などに応用期待

共同通信社 3月22日(金) 配信
 人間の白血球の一種、マイト細胞から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作製し、大量生産に成功したと、北海道大大学院医学研究科の若尾宏(わかお・ひろし)准教授らのグループが22日付の米科学誌電子版で発表した。
 マイト細胞は人間の免疫機能で重要な役割を果たすといい、主な治療薬が効かない多剤耐性結核や自己免疫疾患、院内感染などの治療や予防への応用が期待される。
 若尾准教授によると、遺伝子を傷つけない特殊なウイルスを使い、マイト細胞からiPS細胞を作製。マイト細胞になる細胞を取り出し、培養した。
 マイト細胞は、これまで人工的に増殖させることが難しいとされ、iPS化することで大量生産が可能になった。
 大量生産されたマイト細胞は人間の体内にあるものと同じ機能を持つと確認された。マウスで実験したところ、細菌の増殖が抑えられる抗菌活性が現れたという。
 若尾准教授は「作りたい細胞をiPS化することで効率的に大量生産でき、新たな治療法の研究に道が開けた」と話している。
※米科学誌はセルステムセル

痛風は細胞内「炎症の連鎖」…発症の仕組み解明

読売新聞 3月22日(金) 配信
 痛風やじん肺を発症するメカニズムを細胞レベルで解明したと、大阪大の審良あきら静男教授(免疫学)らの研究グループが、科学誌ネイチャー・イムノロジー電子版に発表した。
 中皮腫や動脈硬化も、ほぼ同じ仕組みで発症すると考えられ、幅広い病気の治療法開発に役立つことが期待される。
 痛風やじん肺は、過剰な栄養摂取によって、分解できない尿酸が体内に蓄積して結晶化したり、土ぼこりなどに含まれるケイ素の結晶を大量に吸い込んだりして発症するが、詳細な仕組みは不明だった。
 グループの齊藤達哉・特任准教授らは、マウスの細胞に尿酸やケイ素の結晶を取り込ませ、内部の変化を詳細に調査。鋭くとがった結晶が細胞内の構造を破壊すると、これが刺激となって多数のたんぱく質が細胞内の1か所に集中し、炎症の連鎖反応を起こす「インフラマソーム」という複合体ができ、強い症状につながることを突き止めた。従来の痛風の薬にはインフラマソームをできにくくする作用があることも確かめた。

記憶忘却促す細胞発見 九大と名大、線虫で実験

共同通信社 3月22日(金) 配信
 九州大と名古屋大の研究グループは線虫を使った実験で、記憶を積極的に忘れさせる働きをする神経細胞が見つかったとの研究結果をまとめた。21日、米オンライン科学誌に発表した。
 九州大の石原健(いしはら・たけし)教授(分子遺伝学)によると、情報を記憶したり、それを保持したりする仕組みは解明されているが、忘却のメカニズムは詳しく分からなかった。研究グループは単純な神経回路を持つ線虫を使った実験で、においの記憶の忘れ方を調べた。
 その結果、忘却を促す作用をしていると分かったのは、頭部にあって、においや温度を感じる「AWC」と呼ばれる神経細胞。近くにある嗅覚神経細胞に忘却を促す物質を放出することで、においの記憶を約4時間で忘れさせてしまうという。
 実験では、線虫に突然変異を起こさせた上で、においの記憶が24時間以上も続く個体を選別し分析。この個体のAWCは忘却促進物質の放出を制御する仕組みが壊れ、忘れにくくなっていることが分かった。
 石原教授は「ヒトなどの高等生物にも、類似のメカニズムが働いている可能性がある」と話している。
※米オンライン科学誌はセル・リポーツ

母と一緒の父は子育て マウスの神経回路が変化

共同通信社 3月21日(木) 配信
 父マウスが子育てするのは、相方の母マウスと一緒に過ごすことにより、本来なら子を攻撃する信号を伝える神経回路が働かなくなったためだとする研究成果を理化学研究所のチームがまとめ20日、米科学誌に発表した。
 直ちに人には当てはまらないが、刀川夏詩子(たちかわ・かしこ)研究員は「哺乳類が父親として行動するようになる神経のメカニズム解明につながる成果だ」としている。
 母マウスの妊娠中から同居した父マウスは、自分の子以外の子マウスでも体をなめるなどの子育てをする。一方、交尾の経験がない独身の雄は、子マウスを見ると直ちに攻撃。子を排除して雌を自分のものにしようとする行動とみられる。
 チームは、独身の雄と父マウスをそれぞれ子と一緒にして神経回路を調べた。独身の雄は、鼻の奥の下側にあり、子が出すフェロモンを受け取る神経細胞が稼働。そこから脳の攻撃行動に関与する部位に回路がつながり活性化していた。
 父では、この神経細胞が働かず、フェロモンの情報が伝わらなかった。独身の雄もこの神経細胞を切除すると、子を攻撃しなくなるばかりか、自分の子でなくても子育てするようになった。
 チームは、父マウスは交尾や妊娠中の同居などを経験することで、ホルモン量が変化して神経回路に影響が表れ、自らの子を殺さないよう攻撃行動が抑えられるとみている。
※米科学誌はジャーナル・オブ・ニューロサイエンス

脂肪のもとで乳房再生 鳥取大、5人成功 がん切除部に移植

共同通信社 3月21日(木) 配信
 脂肪の組織になる能力がある「脂肪幹細胞」を本人の体から採り、乳がんの手術で乳房を部分的に切除した部位に移植し、乳房を再生する臨床研究を鳥取大病院(鳥取県米子市)が5人に実施し、成功したことが同病院への取材で20日、分かった。担当の中山敏(なかやま・びん)准教授によると、患者の経過は良好という。
 鳥取大病院によると、移植手術は昨年9月~ことし1月、神奈川県や大阪府など5府県の30~60代の女性に実施した。乳がんで、乳房をできるだけ残す温存手術を受けてから1年以上経過し、がんの再発や転移がない人が対象。手術後5年間、安全面など経過を見る。
 手術では、患者の太ももや腹部から吸引した脂肪組織の半分から脂肪幹細胞を分離して、残り半分の脂肪組織とまぜたものを、乳房が欠損した部位に注入した。
 ほかの手法として、患者本人から採った脂肪組織自体を移植する方法もあるが、移植した組織が残りにくい課題がある。
 今回の方法では、移植した組織に脂肪幹細胞が多く含まれるため、新しい血管が作られやすく、組織が生きた状態で残りやすい。中山准教授は「脂肪そのものを移植するよりも定着しやすい」と話す。
 鳥取大病院は、実施症例を増やし、有効性を確かめる研究をする予定で、今後普及を目指す。成果は、21日から横浜市で開かれる日本再生医療学会で発表する。
※脂肪幹細胞
 脂肪のもとになる細胞で、腹部や太ももなどの脂肪組織に含まれる。脂肪以外にも、骨や筋肉、神経などの組織や細胞になる能力があるとして体を修復する再生医療分野のほか、美容分野でも研究が進む。比較的、体から採取しやすいことや、本人から採取して移植に使う場合、拒絶反応が起きない利点がある。一方で安全面など、利用後の長期的な経過を見る必要がある。

新型多剤耐性菌を初検出 帰国患者から、発病なし 千葉県内病院

千葉日報社 3月21日(木) 配信
 ほとんどの抗菌薬が効かない新しい多剤耐性菌が昨年、千葉県の病院で入院患者1人から国内で初めて検出されていたことが19日分かった。この病院と国立感染症研究所、名古屋大などのチームが菌を特定、欧州を中心に急拡大し問題になっていることから医療現場に警戒を呼び掛けている。
 チームによると、患者は海外で感染したとみられ、症状は出ず、病院内での拡大もなかった。健康な人にはほぼ無害だが、抵抗力が落ちた患者に感染すると、重い合併症や死亡につながる率が高いと報告されている。
 患者は60代男性で、東南アジアで頭部の手術を受けて帰国し、昨年11月に千葉県内の病院に入院した。たんや便の中に、多くの抗菌薬に耐性を示す肺炎桿菌(かんきん)や大腸菌が見つかったため、チームが遺伝子などを分析。その結果、抗菌薬を強力に分解する酵素をつくる「OXA48型」と呼ばれる菌であると分かった。
 男性は感染症を発病せず、しばらくして菌は検出されなくなった。

働かないとメタボ、脂肪蓄積調整する遺伝子発見

読売新聞 3月21日(木) 配信
 脂肪の蓄積を体内で調整することに関わっている遺伝子をマウスの実験で発見したと、大阪大の審良(あきら)静男教授(免疫学)らの研究グループが21日、英科学誌ネイチャー電子版で発表した。
 この遺伝子が働かないマウスは、人間で言う「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)」の症状を示した。メタボを改善する薬剤の開発などに生かせる可能性があるとしている。
 グループは、肝臓や脾臓(ひぞう)などで働く免疫細胞の中に、「Trib1」という遺伝子からの指令で作られるものがあることを突き止めた。この細胞は、免疫だけでなく、脂肪の蓄積をコントロールする役割を果たすことも確認した。
 Trib1が働かないようにしたマウスは、高脂肪の食事を与えると糖尿病を発症し、血液中のコレステロールや中性脂肪の濃度も、正常なマウスに比べて高くなった。

潤い長持ちさせられる? ヒアルロン酸分解に関与

共同通信社 3月19日(火) 配信
 肌の潤い成分として知られるヒアルロン酸の分解に関係する遺伝子を特定したと、カネボウ化粧品価値創成研究所(神奈川県小田原市)などのチームが18日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。分解を抑制することで、ヒアルロン酸の効果を長持ちさせることができるかもしれないという。
 ヒアルロン酸は保湿による美容効果があるほか、潤滑油のような性質を利用して変形性関節症の治療にも使われる。だが体に注入すると素早く分解されてしまい、効果が長続きしない欠点がある。今回の発見を応用すると、分解スピードを遅くできる可能性もある。
 人の皮膚表面の奥にある線維芽細胞を使って実験。この遺伝子の働きを抑えた細胞では、細胞にヒアルロン酸を与えても分解されなかった。遺伝子が働く状態に戻すと、細胞は分解能力を取り戻した。遺伝子の一部の塩基配列を操作するだけでも、ヒアルロン酸を分解する能力は大幅に落ちることも分かった。
 この遺伝子は先天性難聴の患者の内耳や、老化が早まるウェルナー症候群の患者の皮膚などで活発に働いていることも分かっている。これらの病気がヒアルロン酸分解に関する異常で起きている可能性もあるという。

脳卒中の発症予測 高血圧など6項目指標

共同通信社 3月19日(火) 配信
 国立がん研究センターなどのチームは19日、年齢と性別、喫煙、肥満度(BMI)、糖尿病、血圧の6項目でそれぞれ点数を付け、合計点で今後10年間に脳卒中を発症する確率を示すシステムを作成した。
 例えば、58歳の喫煙男性で、身長170センチ、体重75キロでBMIが26、降圧薬服用なしで最高血圧が145、最低血圧が89、糖尿病ありの人は、それぞれの項目点数の合計が39点で、10年間の発症確率は12%以上15%未満となる。
 発症確率は最も低い点数で1%未満、最も高いと20%以上となる。BMIは体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割った数値。血管の健康度を示す「血管年齢」も算出される。
 茨城など5県の40~69歳の男女1万5672人を1993年から平均14年間追跡し、脳卒中を発症した790人の解析に基づいた。日本人の脳卒中の原因は、高血圧(35%)、喫煙(15%)、肥満(6%)、糖尿病(5%)などと推計されたという。
 調査した藤田保健衛生大の八谷寛(やつや・ひろし)教授(公衆衛生学)は「高血圧や喫煙でリスクが高まることがあらためて示された。生活習慣を見直すきっかけにしてほしい」と話している。

糖質制限「勧められない」 日本糖尿病学会が提言

共同通信社 3月19日(火) 配信
 ご飯やパンなどの炭水化物を控えて糖質を制限する糖尿病の食事療法について、日本糖尿病学会は19日までに、「安全性などを担保するエビデンス(科学的な根拠)が不足しており、現時点では勧められない」とする提言をまとめた。
 生活習慣が主な原因となる2型糖尿病では肥満の改善が重要。そのためには「総エネルギー摂取量の制限を最優先とする」としたが、欧米での研究で注目された炭水化物の摂取制限の有効性については賛否が分かれ、今後の調査が必要とした。
 炭水化物の制限で短期的には体重が減っても、その後、血中の悪玉コレステロールが増加したなどとする報告がある。また腎機能障害や、代わりに摂取するタンパク質や脂質の増加による影響が検証されていないという。
 同学会は「欧米の研究で対象となる肥満度(BMI)は30~35以上が多く、肥満度の異なる日本人の糖尿病に合った炭水化物の摂取量については、十分な科学的根拠がそろっていない」とした。
 BMIは体格指数とも呼ばれ、体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割った数値で、日本では25以上を肥満としている。

新型多剤耐性菌を初検出 帰国患者から、発病なし 医療現場に警戒呼び掛け

共同通信社 3月19日(火) 配信
 ほとんどの抗菌薬が効かない新しい多剤耐性菌が昨年、千葉県の病院で入院患者1人から国内で初めて検出されていたことが19日分かった。この病院と国立感染症研究所、名古屋大などのチームが菌を特定、欧州を中心に急拡大し問題になっていることから医療現場に警戒を呼び掛けている。
 チームによると、患者は海外で感染したとみられ、症状は出ず、病院内での拡大もなかった。健康な人にはほぼ無害だが、抵抗力が落ちた患者に感染すると、重い合併症や死亡につながる率が高いと報告されている。
 患者は60代男性で、東南アジアで頭部の手術を受けて帰国し、昨年11月に千葉県内の病院に入院した。たんや便の中に、多くの抗菌薬に耐性を示す肺炎桿菌(かんきん)や大腸菌が見つかったため、チームが遺伝子などを分析。その結果、抗菌薬を強力に分解する酵素をつくる「OXA48型」と呼ばれる菌であると分かった。
 男性は感染症を発病せず、しばらくして菌は検出されなくなった。
 OXA48型は2001年ごろトルコで見つかった後、数年前から欧州全域で院内感染を引き起こしており、米国でも最近死亡例が報告された。
 「切り札」とされる抗菌剤カルバペネムを中心にほとんどの薬剤が効かず、免疫が弱い患者の血液に入ると45%が重篤化したとの欧州の研究もある。
 チームの荒川宜親(あらかわ・よしちか)名古屋大教授(細菌学)は「今回は感染症を念頭に置いた適切な対応で素早く抑え込めたが、OXA48型が国内で広がると医療上のリスクは極めて大きい。監視を強める必要がある」と話している。

認知症を注射で治療へ

長崎新聞社 3月19日(火) 配信
 長崎大と自治医科大、理化学研究所の共同研究チームが、中高年での発症が多く、記憶障害を伴う認知症「アルツハイマー病」について、治療遺伝子をマウスの血管から注射器で投与して症状を緩和させる実験に世界で初めて成功した。今後、アルツハイマー病の予防、治療法の確立に向け実用化を目指す。
 チームリーダーの一人、長崎大大学院医歯薬学総合研究科の岩田修永教授によると、アルツハイマー病はタンパク質「アミロイドβ(ベータ)ペプチド」が脳内に蓄積し、神経伝達を阻害することなどが原因とされ、確実な治療法はない。
 一方、脳内では「ネプリライシン」というアミロイドβペプチドを分解する酵素も作られている。加齢やアルツハイマー病の進行とともにネプリライシンの量は減少することから、研究チームはこの酵素を増強することで病気の症状を緩和しようと試みた。
 そこで、ネプリライシンを作る治療遺伝子(ネプリライシン遺伝子)を脳内に届ける"運び屋"となるウイルスを開発。末梢(まっしょう)血管に投与しても脳の神経細胞だけに作用する無害なウイルスで、長期間にわたって効果が保たれるという。これにネプリライシン遺伝子を組み込んだ。マウスに注射した結果、アミロイドβペプチドが減少し、学習・記憶能力も通常のマウスのレベルにまで回復したという。
 これまで脳疾患の遺伝子治療では、頭蓋(ずがい)骨に穴を開けて直接注入する方法しかなかった。今回の成果で、脳の広い範囲に作用し、かつ簡単に遺伝子治療をすることが可能になる。"運び屋"ウイルスに組み込む遺伝子を変えれば別の疾患にも応用できるという。
 今後、ウイルスの大量生産技術の開発や安全性といった問題を解決する必要はあるものの、岩田教授は「5、6年ほどで実用化できれば」としている。研究成果は、18日付の英国のオンライン科学雑誌にも掲載された。
 ▼分解の過程に光当てた/アルツハイマー病の治療に詳しい里直行・大阪大准教授の話 原因物質の生産を阻む薬の開発が進んでいるが、今回は分解という光が当たっていなかった過程に着目した研究だ。マウスで原因物質を減らしただけでなく、学習・記憶能力の改善を示した点も新しく、前進といえる。ただ、長期間効くということは、副作用があった場合に飲み薬のように簡単には中止できないということでもあり、安全性をどう担保するかが課題だ。また認知症の薬は血圧を下げる薬などと違ってすぐに効果が見えないため、有効性を示すためには大規模で長期の試験が必要になるだろう。

多発性硬化症 改善へ道筋…NCNP研究グループ

読売新聞 3月19日(火) 配信
 免疫の異常で脳や脊髄などの中枢神経に炎症が起き、視力低下や手足のまひなどを引き起こす神経難病「多発性硬化症(MS)」。この病気の発症メカニズムを国立精神・神経医療研究センター(NCNP、小平市)神経研究所免疫研究部の山村隆部長と大木伸司室長らの研究グループが解明した。専門家は「より効果的な新薬の開発につながる」と期待する。
 山村部長らのグループはこれまでに、中枢神経を攻撃し炎症を起こすTリンパ球の働きに「NR4A2」というたんぱく質が関わっていることを明らかにしていた。しかし、「『事件の現場』に必ずいることはわかっていたが、NR4A2が犯人かどうかは、この時点ではまだわからなかった」と山村部長は話す。
 今回は、このたんぱく質にさらに着目し、MSに似た症状を示すマウスに、NR4A2の合成を妨げる物質を注射したところ、症状に改善が見られた。この結果から、体内でNR4A2の合成を抑えることでMSの症状を軽減できることが明らかになった。
 国内のMSの患者数は推定約1万3000人で、この30年間で20倍以上に増加したといわれている。山村部長によると、MSは元々、欧米人に多い病気で、近年の食生活の欧米化が原因の一つと考えられるという。
 現在、ステロイド投与などの治療法があるが、すべての患者に効果があるわけではなく、より効果的な治療法の開発が待たれている。同センターには2010年、医師と研究者が連携してMSの治療と研究開発を進める「MSセンター」が開設され、全国から患者が訪れている。
 MSセンター長でもある山村部長は「MSは20代を中心に若くしてかかる人が多く、一生病気を背負っていかなければならない。既存の治療薬が効かず絶望感を持っている患者も少なくない。今回の研究で新しい治療法の戦略が見つかった。臨床研究に発展させ、新薬開発につなげたい」と話している。
◆他の研究にも 広がる可能性
 東北大大学院でMSの治療法を研究している藤(ふじ)原(はら)一男教授は「発症に直接関わるたんぱく質を見つけたことは、MSだけでなく似たメカニズムを持つ他の自己免疫疾患の研究にも役立つ可能性がある。人においてどのくらい有効かが気になるが、その臨床研究への道筋を示してくれた」と評価している。

がんのもと、退治に成功 九州大、再発防ぐ可能性

共同通信社 3月19日(火) 配信
 がん細胞を生み出すもとになるが、抗がん剤の効きにくい「がん幹細胞」を、薬が効くように変化させ死滅させることに九州大の中山敬一(なかやま・けいいち)主幹教授(分子生物学)らのチームがマウスで成功し18日、米医学誌電子版に発表した。がんの再発を防ぐ、根本的な治療法開発につながる可能性があるという。
 がん幹細胞は、体内でほとんど増殖せず"休眠状態"で存在するとされる。抗がん剤は、細胞が増えるのを抑える働きがあり、増殖しないがん幹細胞には効きにくい。治療でがんが消えたように見えても、わずかながん幹細胞が残り、再発や転移につながる問題があった。
 チームは、細胞分裂を抑えるタンパク質「Fbxw7」に注目。血液のがんである慢性骨髄性白血病のマウスで、がん幹細胞がこのタンパク質をつくれないように遺伝子を操作したところ、がん幹細胞が増えだしたことを確認した。
 人の治療にも使われる抗がん剤イマチニブを投与し、35日後に投与を中断。通常の白血病のマウスは60日後に9割が再発したのに対し、タンパク質をつくれないマウスの再発は2割にとどまったことから、がん幹細胞が死んだと判断した。
 中山主幹教授は「このタンパク質の働きを阻害する薬剤を開発して抗がん剤と併用すれば、がんの根治が期待できる」としている。
※米医学誌は「キャンサーセル」

パーキンソン病 抜本治療へ

読売新聞 3月18日(月) 配信
シリーズ「iPS細胞 臨床への挑戦」 高橋淳・京大iPS細胞研究所教授
パーキンソン病 抜本治療へ
 iPS細胞(人工多能性幹細胞)の臨床応用で、最も期待される分野の一つがパーキンソン病など中枢神経の難病治療だ。従来の治療法では困難なパーキンソン病の抜本的治療の実現に挑む京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授(51)に、研究の現状を聞いた。
■進行すると治療困難に
 パーキンソン病には現在、薬物と外科による治療がある。薬物治療では、脳内で不足しているドーパミンを補う薬を服用する。外科治療には、心臓の不整脈の治療に使うペースメーカーのような装置によって脳の深部に一定の電気刺激を与え、症状を改善させる「脳深部刺激療法」がある。
 この病気は、発症に気づいた時点で、ドーパミンを作る細胞の数が健康な人の約20%まで減っている。進行性の病気なので、ドーパミン産生細胞はさらに減少していく。現行の治療法も、症状が軽いうちは効果がみられるが、進行すると次第に効かなくなってしまう。
 神経の細胞はいったん傷つくと、ほとんど再生しない。それならドーパミン産生細胞を移植して補ってやろう、というのが再生医療の考え方だ。
 ES細胞(胚性幹細胞)やiPS細胞は、大量に増やしてから様々な種類の細胞に変化させられる。移植に必要なドーパミン産生細胞も量産できる。
 人のES細胞からドーパミン産生細胞を作って、パーキンソン病のカニクイザルに移植する実験を行った。すると、ほとんど動けなかったサルが動き回れるようになり、その効果は1年後も続いた。移植した細胞がきちんと定着し、ドーパミンを作ったのだ。iPS細胞でも、ES細胞とほぼ同じ実験結果が得られた。
■第1例目指して
 iPS細胞の最大の利点は、拒絶反応が起きにくい患者自身の細胞を使って移植できることだ。だが、患者の細胞自体に病気の原因遺伝子がある場合、患者の細胞を用いた移植治療では十分な効果が得られない可能性もある。
 そこで、複数のサルからiPS細胞を作り、自身の細胞と、他のサルの細胞をそれぞれ移植して、拒絶反応の違いがどの程度あるのかなどを比較する研究を進めている。より効果的な臨床応用の方法を見つけたい。
 パーキンソン病の治療では現在、第1例の治療実施へ向け、最終段階の動物実験を行っている。今後は大学の倫理審査委員会などで治療法の審査を受け、早ければ3年以内に、国へ臨床研究の計画を申請したいと考えている。(聞き手・今津博文)
<パーキンソン病> 脳内の神経伝達物質「ドーパミン」を作り出す細胞が何らかの理由で減少し、手足の震えや筋肉の硬直、動作が緩慢になるといった症状が進行する。主に40-50歳代以降に発症。日本では10万人以上の患者がいると推計されている。
<高橋さん こんな人>
 脳神経外科医。妻は、目の難病「加齢黄斑変性」を治療するため、iPS細胞を使う初の臨床研究を国へ申請した理化学研究所のプロジェクトリーダー・高橋政代さんだ。学生時代からの同級生。家庭では再生医療の研究を巡って、「いつも議論になります」と笑う。
◆中絶胎児の細胞移植も 倫理面で課題 日本は認めず
 ドーパミン産生細胞をパーキンソン病患者の脳に移植する治療法は、薬が効かないような重症患者でない場合、一定の効果が海外の研究で確認されている。
 スウェーデンや米国、カナダなどでは1980年代後半から、中絶胎児の中脳細胞を移植する試験的な治療が400-500例実施された。中には、1回の移植で10年以上も治療効果が続いた例もあった。脳のような中枢神経組織は、他人の細胞を移植しても拒絶反応が起きにくいとみられる。ただし、1回の移植には5-10体もの中絶胎児が必要とされる。日本では倫理面の問題があるなどとして、受け入れられていない。
 移植時にドーパミン以外の神経伝達物質を作る細胞が混入しやすいとされ、不随意運動などの副作用も報告されている。

iPS細胞から膵島 糖尿病マウスで機能確認

共同通信社 3月18日(月) 配信
 体のさまざまな細胞や組織に成長させられる人間の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、血糖値を調節する膵臓(すいぞう)の組織「膵島」を効率よく作ることに、東京大分子細胞生物学研究所の宮島篤(みやじま・あつし)教授、渡辺亜美(わたなべ・あみ)研究員のチームが17日までに成功した。
 血糖値を下げるホルモン「インスリン」を作れない1型糖尿病を発症させたマウスの腎臓の皮膜の下に移植すると、血糖値が正常な値に下がって保たれ、生体で十分に働くことが確認できた。22日に日本再生医療学会(横浜市)で発表する。
 今後はiPS細胞から安価で大量に膵島を作る技術を開発し、糖尿病患者への移植治療に利用したい考え。現段階ではiPS細胞の状態から1カ月以上かかる作製期間の短縮も課題だ。
 宮島教授らはこれまでにマウスの膵臓細胞の培養方法を応用して、複数の種類の細胞がモザイク状に集まった膵島に特有の立体構造を人間のiPS細胞から作ることに成功していた。ただ、作製効率やインスリンの分泌機能が低いのが難点だった。
 今回は、培養の際に加える物質を工夫するなど方法を改善。効率を100倍程度と大幅に高めることができたという。

難病「メラス」で医師主導治験を年内着手へ 倉敷・川崎医科大

山陽新聞社 3月18日(月) 配信
 川崎医科大付属病院(倉敷市松島)の砂田芳秀教授(神経内科学)らの研究グループは、国が指定する難病のミトコンドリア脳筋症の一種「MELAS(メラス)」の患者に、体内で不足しているタウリンを大量に内服してもらう治療法に取り組んでいる。保険適用を目指し、近く薬事法に基づく医師主導治験を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請し、年内にも着手する方針。
 メラスはヒトの細胞内に共生するミトコンドリア遺伝子の変異によって発症。主な症状は筋肉が痩せて力が弱くなったり意識障害やけいれんで、言語障害やまひなど後遺症が残る発作が度々起こり、心不全になることもある。死に至る危険性があるが、有効な治療法はほとんどなく、国内患者は約300人と少ないため、採算面などから製薬会社が治験を行う可能性は低いという。
 タウリンは体内でさまざまな働きをし、健康維持に欠かせない物質。砂田教授らは、健常者ではミトコンドリア遺伝子に関係するRNA(リボ核酸)にはタウリンが結び付いているが、メラス患者にはなかったなどとする国内の研究成果に着目した。
 2002年から患者2人に強心剤として承認されている国内製薬会社のタウリン剤を1日12グラムずつ服用してもらう治療を自由診療で開始。その結果、発作は10年以上起きず心不全の症状も改善、明らかな副作用はなかった。
 治験に向け、薬剤としての承認作業も担うPMDAと相談中。計画では全国の患者10人に服用してもらい、有効性をさらに確認して早期の保険適用を目指す。砂田教授は「患者さんの救命と負担軽減に向け、申請作業や協力病院の確保を急ぎたい」としている。

膵島移植 脳死者から、重度糖尿病患者に 京大など6病院、実施へ

毎日新聞社 3月15日(金) 配信
膵島移植:脳死者から、重度糖尿病患者に 京大など6病院、実施へ
 重い糖尿病患者を対象に、脳死者から膵臓(すいぞう)の一部でインスリンなどを分泌する「膵島(すいとう)」(ランゲルハンス島)を移植する治療を、京都大病院(京都市左京区)など6病院が4月以降に実施することが分かった。膵臓が移植に適さない状態でも、膵島だけを移植できる可能性があり、治療の選択肢が増えるという。
 日本膵・膵島移植研究会(会長、後藤満一・福島県立医大教授)によると、実施するのはこのほか、東北大病院▽福島県立医大病院▽国立病院機構千葉東病院▽大阪大病院▽福岡大病院。
 体内でインスリンを全く分泌できない「1型糖尿病」患者が対象。提供者(ドナー)の膵臓の組織を薬剤処理して膵島を分離し、点滴で膵島を移植する。今後3年間で約20人に臨床試験として実施し、免疫抑制剤の効果などを経過観察する。同会は昨年、部分的に保険適用される混合診療での実施を国に申請。厚生労働省の専門家会議が2月に了承した。
 京大病院で移植に当たる岩永康裕助教(膵臓外科)は「臓器移植手術より患者の負担も小さく、治療効果が期待できる」と話している。【五十嵐和大】

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