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医療情報65

医療情報64
20130515~

人工膝関節置換手術に新技術 3D画像で骨切断正確に

北海道新聞 5月31日(金) 配信
 変形性膝(しつ)関節症などで傷んだ膝の骨を切り取り、人工関節に取り換える置換手術。損傷部の骨を正しい角度で切らないと、取り付けた人工関節がずれて再手術が必要になることもある。昨年、3D画像を活用して正確な角度を算出する技法が日本に導入された。道内では札医大病院が取り入れ、実績を挙げている。(安藤徹)
 札医大で導入、角度0.5度単位で算出 患者の負担も軽く
 人間の膝関節は、クッションの役割となる軟骨を挟んで、大腿(だいたい)骨の先端を頸骨(けいこつ)が受け止める形をしている。理想的な脚は正面から見た時、腰、膝、足が一直線。だが、変形性膝関節症の患者は軟骨がすり減って膝関節の骨が変形し、O脚になることが多い。
 人工膝関節置換手術は、大腿骨と頸骨の先端を切り取ってそれぞれ人工関節を取り付け、軟骨の代わりに樹脂製のベアリングを挟む。腰から足までが真っすぐになるように人工関節を取り付けてO脚が矯正されると、痛みはほとんどなくなる。
 だが、その前提として正しい角度で骨を切ることが難しい。角度が正確でないと脚が曲がり、人工関節が緩んだり脚の痛みも消えなかったりで、せっかく取り付けた人工関節も取り換えなくてはならなくなる。
 現在主流となっている置換手術の技法は複雑だ。まず骨のエックス線画像を基に、切る角度をある程度決める。次に金属棒を大腿骨内部に差し込んで、棒を基準に切断角度を確定させる。骨の切断は専用の器具を骨に固定して行うが、その前に器具を固定するためのピンを骨に打たなければならない。そのピンを打つにも骨の形に合った専用の器具が必要だ。
 金属棒を差し込む作業は熟練が求められ、技術が伴わないと角度がずれる可能性がある。金属棒は長さ30~40センチもあるので患者の負担になる。
 新たに開発された技法は、磁気共鳴画像装置(MRI)などの画像を3D化し、骨の切る角度を0.5度単位で確定させる。ピンを打つ器具は、3D画像を基に患者ごとに個別に作るため、骨にぴたりと合う。金属棒を使わないので患者の負担も軽くなる。
 人工膝関節を取り付ける角度の許容範囲は、誤差3度以内といわれる。昨年11月に導入した札医大病院では、それ以前は10件に1件ほどこの範囲を超えていたが、新技法で行った13件では、どれも3度以内に収まったという。

鳥インフル、勢いに衰え 対策一部解除も予断許さず

共同通信社 5月31日(金) 配信
 【上海共同】鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の人への感染が、世界で初めて中国で確認されてから30日で2カ月が経過した。感染拡大の勢いは以前に比べて衰え、中国当局が対策として実施した生きた鳥の売買禁止を解除する動きも出てきた。しかし、大流行の危険性は依然消えておらず、予断を許さない状況が続いている。
 これまでに判明した感染者は台湾の1人を合わせて計133人。うち37人が死亡した。中国本土の感染者は上海市や北京市、江蘇省、浙江省など2市8省に広がっている。5月に入ってから新たに判明する感染者が減り、新華社電(電子版)によると、感染者が出たすべての地方政府が30日までに警戒態勢を解除した。
 中国では食用の生きた鳥を客の前で殺して売る習慣がある。上海市などの地方政府は、患者らが食材市場で感染した可能性があるとみて売買を禁止。ただ、中国メディアによると、浙江省は衛生管理の徹底などを条件に売買再開を認めることを決めた。
 地方政府は冷凍肉の消費を促進したい方針だが、中国では食品の品質への不信感が強い。「新鮮な生きた鳥でないと信用できない」という消費者の不満を無視できない状況だ。
 発症者は気温の上昇とともに減ったが、秋以降に再び増える可能性がある。治療に有効だとされている抗ウイルス薬、タミフルが効かない例も一部で見つかっており、油断できない状況だ。

心臓3D画像でカテーテル…岡大グループ

読売新聞 5月31日(金) 配信
複数の穴治療 患者の負担大幅軽減
 岡山大病院の赤木禎治准教授らの治療グループは30日、心臓内部で複数の穴が開いている状態の多孔性心房中隔欠損症について、3次元画像処理技術を用いることでカテーテル(管)治療が可能になったと発表した。
 同症患者の96%で治療が成功したといい、患者に大きな負担がかかる開胸手術を避けることができるとしている。
 心房中隔欠損症は、心臓の左心房と右心房を隔てる筋肉の壁(心房中隔)に、生まれつき穴が開いている病気。約1500人に1人の割合で見つかり、進行すると、心不全や脳梗塞につながる不整脈などを引き起こすことがある。
 岡山大病院では2005年以降、同症において国内最多となる700例の治療を実施。大半が直径約3ミリの細いカテーテルを足元から入れて穴を塞ぐ内科治療だが、患者の約9%は心房に複数の穴が開いている多孔型で、胸部を切開しない状態では各穴の位置を把握することが難しく、開胸する外科手術を選択することが多いという。
 同病院では、先端から超音波を発する管を口から食道に入れ、心臓内部を3次元画像化。その画像で穴の位置や大きさを正確に診断できるようになり、カテーテル治療が可能になったという。11年以降、27人の多孔性患者に実施し、26人で成功が確認された。
 赤木准教授は「2~3週間かかる入院が必要な外科手術を避けることができる。新たな診断方法を広めたい」としている。

インフル流行衰えず 昨年同期比11倍…奈良

読売新聞 5月30日(木) 配信
目立つB型患者
 例年なら終息するインフルエンザの流行が奈良県内でまだ続いており、今月中旬の患者数は昨年同期の11倍に上った。
 原因は不明といい、県感染症情報センターは「帰宅したあとの手洗いやうがいの徹底などでかからないよう気をつけてほしい」と呼びかけている。
 センターによると、県内55か所の指定医療機関で5月13-19日の週(第20週)に確認された患者は1機関あたり1・47人。昨年同期(5月14-20日)は0・13人だった。過去10年の平均値は0・3人で、今年の多さが際立っている。
 患者が目立つのはB型。例年、冬に爆発的に広がるA型より遅れて流行し、A型の終息後も感染の報告がしばらく続くが、5月半ばにはほとんど報告されなくなるという。
 国立感染症研究所感染症疫学センター(東京)によると、全国でも患者の報告が続いているといい、担当者は「流行する時期には毎年、ばらつきがあるが、今年は特に長引いている」と指摘する。
 県感染症情報センターの担当者は、「家族らへの拡大を防ぐには、冬場の最盛期と同様の対策が欠かせない。ウイルスが飛散しないよう、熱が引いたあとも、せきをする時はハンカチを口元にあてるといったエチケットを守ってほしい」と話している。(上羽宏幸)

「説明を」 日本医師会見解、ノ社の姿勢批判 バルサルタン 臨床試験問題

毎日新聞社 5月30日(木) 配信
バルサルタン:臨床試験問題 「説明を」 日本医師会見解、ノ社の姿勢批判
 降圧剤「バルサルタン」の臨床試験問題で、日本医師会が29日、販売元の「ノバルティスファーマ」に説明責任を早急に果たすよう求める見解を発表した。ノ社は社内調査をして一部の関係学会に報告したものの、全容は公表しておらず、情報開示に消極的な姿勢に批判が高まっている。
 東京都内で記者会見した今村聡副会長は「社内調査したといっても、どんな人がしたのかすら不明だ。疑念を持たれても仕方がない」と述べ、批判した。
 医師会は▽臨床研究への疑念は患者の健康に影響を与えかねない▽この薬には医療費が支払われていることを重く受け止めるべきだ▽海外からも疑惑を持たれており、成長戦略と位置づける日本の医薬品の信用にとってマイナス▽研究成果は販促に利用された。製薬企業による公正性を欠く関与は許されない――との見解を示した。【河内敏康、八田浩輔】

薬剤耐性ウイルスを検出 中国鳥インフル患者から

共同通信社 5月30日(木) 配信
 中国で拡大したH7N9型鳥インフルエンザの患者2人から、タミフルなどの抗ウイルス薬が効かない薬剤耐性ウイルスが検出されたと上海公衆衛生臨床センターなどのチームが28日付の英医学誌ランセット電子版に発表した。
 これまでも、患者から採取したウイルスから薬剤耐性に関わる遺伝子変異が見つかっていたが、タミフルを投与しても効果がなかった患者のウイルスから遺伝子変異が見つかり、薬剤耐性が臨床的に確認された例は初めてという。
 チームは、4月にセンターに入院した14人の患者を調査。全員が肺炎を併発し、発症2~10日目でタミフルを投与された。うち11人はウイルス量が減ったが、3人は減少せず、重症になった。このうち88歳と56歳の計2人の男性から薬剤耐性ウイルスが検出された。
 56歳の男性のケースでは、タミフルの投与を始めた後に、薬剤耐性になったとみられる。
 88歳男性は発症19日目に死亡。56歳男性は46日目の5月18日時点も人工肺を必要としている。重症になった別の74歳男性は11日目に死亡した。
 チームは「薬剤耐性ウイルスの発生状況を注意深く監視し、将来の大流行対策で考慮しておく必要がある」としている。

排せつ物介し感染か 新種コロナウイルス

共同通信社 5月30日(木) 配信
 【ワシントン共同】新種の「中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス」による病院内や家族間での人同士の感染は、患者の排せつ物を介して起きた可能性があるとする報告を、フランスやサウジアラビアの医療チームが29日、米英の医学誌に相次いで発表した。
 フランスの病院で4月に起きた2人の入院患者間の感染と、昨年10~11月にサウジアラビアで起きた家族4人の間での感染をそれぞれ分析。せきを介した飛沫(ひまつ)感染だけを想定すると広がりが少ない一方、ともに最初の発症者に下痢の症状がみられ、排せつ物を介した感染が疑われるとした。
 フランスのチームは英医学誌ランセットに、ドバイへの渡航歴がある男性患者から別の男性患者への感染例を発表。発症までの潜伏期間は9~12日と比較的長く、感染疑い例の隔離と便の検査が必要だと指摘した。
 サウジアラビアのチームは米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、発症した高齢男性と同じ家に住む家族27人のうち、男性から感染したのは3人にとどまったと報告した。

同研究所によると、アフリカでの臨床試験による結果で、これまで報告されたマラリアワクチンの中で最も効果が高い。

 アフリカなどで年間の感染者は約2億人、乳幼児を中心に年間の死亡者は約120万人と推計される犠牲者の大幅な減少が期待できる。
 マラリア原虫が寄生したハマダラカに刺されると、感染する。マラリア原虫は人の体に入ると肝臓で増えた後、赤血球に侵入し、赤血球を食い破りながら次々と増殖。発熱や頭痛、関節痛などの症状が出る。
 同研究所の堀井俊宏(ほりい・としひろ)教授らは、赤血球に入るマラリア原虫の表面にあるタンパク質「SERA」に着目。遺伝子組み換えで、SERAに似たタンパク質「SE36」を合成し、ワクチンの主成分とした。
 2010~11年、アフリカのウガンダ北部で6~20歳の男女66人にワクチンを接種。1年間追跡調査した結果、接種していない人たちと比べ発症リスクは72%下がった。
 堀井教授は「0~5歳の乳幼児では、より高い80%の効果が予測される」と話している。5年後を目標に、渡航者向けワクチンとして国内で承認を受けたいとしている。

がん細胞増殖防止に効果 酵素の抑制で

共同通信社 5月30日(木) 配信
 がん細胞を大きくさせる酵素の働きを抑えると、細胞の増殖の抑制にもつながることを、愛知県がんセンター研究所(名古屋市千種区)の稲垣昌樹(いながき・まさき)部長らの研究チームが突き止め、29日までに英科学誌電子版に発表した。稲垣部長は「薬に応用すれば、少ない副作用で病気の進行や転移を食い止めることができる」としている。
 研究チームによると、がん細胞は、細胞自身が大きくなる成長と分裂を繰り返して増殖する。これまでの研究で、分裂には「Plk1(ピーエルケーワン)」という酵素が働くことが分かっていた。しかし、Plk1を薬で直接抑えると、副作用が強くなることが懸念されていた。
 チームはがん細胞を大きくする「Akt(アクト)」という酵素に着目。遺伝子操作でAktが働かない状態にして、子宮頸(けい)がんの細胞を培養した。その結果、細胞の成長が止まっただけでなく、分裂に通常の平均約5倍の時間がかかった。死滅するがん細胞もあった。
 このことから、AktにはPlk1を活性化させる「スイッチ」を入れる役割もあることが判明。大腸がんや乳がんなどの実験でも同様の結果が得られた。
 現在、Aktの働きを阻害する抗がん剤は、大腸がんの薬として臨床実験中。稲垣部長は「既に開発済みの別の薬と組み合わせるとさらに効果が期待でき、多種のがん治療に使える可能性がある」と話している。
※英科学誌は「ネイチャーコミュニケーションズ」

糖尿病治療に融合細胞 動物実験成功、膵島移植効果的に 京大グループ

毎日新聞社 5月29日(水) 配信
糖尿病:治療に融合細胞 動物実験成功、膵島移植効果的に--京大グループ
 京都大再生医科学研究所の角昭一郎准教授(再生医療)らのグループが29日、膵臓(すいぞう)内でインスリンを分泌する「膵島(すいとう)」(ランゲルハンス島)の細胞を、骨髄から取り出した幹細胞と融合させ、生体内で効率的に働かせる動物実験に世界で初めて成功したと発表した。糖尿病の治療法の一つである膵島移植で、限られた膵島をより多くの患者に移植できる可能性があるという。【五十嵐和大】
 米科学誌「プロスワン」に掲載された。体内でインスリンを分泌できない重い糖尿病患者には、膵臓移植が最も有効な治療法とされるが、提供者の膵臓が移植に適さない場合は、膵臓内に点在する膵島を分離し、点滴で移植する方法がある。しかし、一つの膵臓から分離できる膵島は少量で、患者1人分に満たないこともある。また、移植後も効果が持続せず、再び膵島移植が必要になる患者が多いという。
 グループは、二つの異なる細胞を並べて電気刺激を与え、一つの細胞にする融合の技術に着目。細胞増殖などの能力に優れた大腿(だいたい)骨の骨髄由来の幹細胞と膵島細胞を融合させ、インスリンを分泌できないラットに移植した。
 その結果、通常の膵島移植の半分の融合細胞を移植しただけで、血糖値が低下する効果が出ることを確認した。
 更に移植後3カ月間、血糖値が徐々に低下したことから、融合細胞が生体内で増殖したと考えられるという。角准教授は「膵島から融合細胞を作製し、それを移植するという新たな手法につながる可能性がある」と話している。

風疹 もう昨年1年の3倍 予防接種呼びかけ

毎日新聞社 5月29日(水) 配信
風疹:もう昨年1年の3倍 予防接種呼びかけ
 国立感染症研究所は28日、今月19日までの1週間で風疹の患者数が571人増え、今年1月からの累計患者数が昨年1年間(2392人)の3倍を超える7540人になったと発表した。妊娠初期に風疹に感染すると、赤ちゃんに障害が出る可能性があり、専門家は予防接種を呼びかけている。
 今年1月、首都圏を中心に始まった流行は全国的に広がり続けている。風疹はワクチンで防げる。感染研感染症疫学センターの多屋馨子室長によると、ワクチンを1回接種すると95%以上、2回接種すると99%以上の人に抗体ができるという。
 風疹の予防接種は1977年から女子中学生を対象に集団接種が始まり、95年度から生後12カ月以上90カ月未満の男女と中学生男女への定期接種になった。しかし、20~30代の男性の接種率は低く、34歳以上の男性は定期接種の機会がなかった。今年の感染者の78%が男性で、そのうち84%を20~40代が占める。
 多屋室長は「流行が収まる様子はみられない。妊婦と赤ちゃんを守るためにも、予防接種を受けていなかったり不明な人は早めに受けてほしい」と訴える。【藤野基文】

O157検出が大幅減 レバ刺し禁止の効果か

共同通信社 5月29日(水) 配信
 食中毒の原因となる腸管出血性大腸菌O157の昨年の検出数は2007年に比べて約6割の水準に減少したことが、国立感染症研究所のまとめで28日、分かった。焼き肉チェーン店での集団食中毒発生を受け、生食用牛肉の提供基準を厳格化したり牛レバ刺しを禁止したりしたことが影響したとみられる。
 2007~12年に保健所を通じて報告のあった腸管出血性大腸菌の感染者を調査。O157が検出された感染者は、07年は3432人。提供基準が厳格化された11年は2264人、牛レバ刺しが禁止された12年は1980人だった。
 さらにO157の感染者の中で、生肉または生レバーを食べた記録がある患者だけでみると、07年は214人だったが、11年は100人、12年は55人で4分の1に減少した。
 感染者の最も多い0~4歳でも、12年は07年に比べて半分以下まで減少しており、感染研の八幡裕一郎(やはた・ゆういちろう)主任研究官は「重い合併症を起こしやすい若年層の感染を減らすこともでき、規制の効果があったのではないか」と話している。

環境ホルモンに懸念表明 WHOの調査報告

共同通信社 5月29日(水) 配信
 生物のホルモンと似た作用を持ち、その働きを乱す「環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)」の疑いがある化学物質は約800種にも達し、人間や野生生物が日常的にこれらの化学物質にさらされている―。今年2月、国連環境計画(UNEP)と世界保健機関(WHO)は、環境ホルモンの影響に関する最新の研究成果をまとめた報告書でこう懸念を示した。
 環境ホルモンは1990年代末に、日本でも大きな注目を浴びた。ごく微量でも、ホルモンの働きを乱す可能性があることや、環境ホルモンと指摘された物質が、食器や包装容器、おもちゃなど身の回りの多様な製品に含まれていることが一因だった。
 報告書は、ホルモンに関連する病気が世界的に増加傾向にあることと環境ホルモンとの関連が否定できないことを指摘。野生生物の生殖に環境ホルモンが影響を与えた例があることや、さまざまな化学物質が生物のホルモンの働きを阻害することが動物実験で確認されるなど「多くの懸念がある」とした。
 報告を受け、今年に入ってから、欧州議会が環境ホルモン対策の強化を欧州委員会に求めることを決定。5月末には世界各国約90人の医学者らが「人間の発達期に環境ホルモンにさらされることが、後になって健康被害を引き起こす可能性がある」として、対策強化を求める声明を発表するなどの動きが出ている。
 この問題に詳しい千葉大の森千里(もり・ちさと)教授は「日本では最近、環境ホルモンへの関心は低いが、海外では着実に研究が進んでいる。化学物質が小児の脳神経系に与える影響や肥満との関連なども指摘されており、日本でも研究体制の強化が必要だ」と話している。

運動止める経路発見 ハンチントン病解明へ期待

共同通信社 5月29日(水) 配信
 自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の研究チームは29日までに、運動を制御する大脳基底核の内部にある神経経路の一つが、手や足の運動を止める機能を持つことを突き止めたと、米学会誌に発表した。
 研究チームの佐野裕美(さの・ひろみ)助教(分子神経生理学)は「手足が勝手に動いてしまうハンチントン病の病態解明や治療法の開発につながると思う」と期待している。
 チームによると、通常は、大脳皮質から運動の指令が出ると、三つの経路を通って「出力部」に伝えられ、出力信号から「興奮―抑制―興奮」の反応が見られ、それぞれ実際の運動の抑制、誘導、停止につながる。
 チームは遺伝子を操作したマウスを用意。マウスに、3経路のうち、大脳基底核を構成する「線条体」と「淡蒼球」をつなぐ経路をなくすタンパク質を注入し、大脳皮質を刺激して運動の指令を出した。その結果、通常見られる「興奮―抑制―興奮」の反応のうち、三つめの遅い興奮反応が見られなくなり、運動を止める機能が消失したという。
 チームによると、パーキンソン病は大脳基底核と深く関わっており、ハンチントン病とは逆に、運動を止める機能が働き過ぎていると考えられている。佐野助教は「この経路を働かなくすることができれば、パーキンソン病の治療法開発にもつながるのではないか」と話している。
※学会誌は「ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス」

ナチュラルキラー細胞死の仕組み解明 東北大グループ

河北新報 5月29日(水) 配信
 がんの免疫療法で中心的役割を果たすナチュラルキラー(NK)細胞ががん細胞を攻撃後、活性を失って細胞死へと至るメカニズムを、東北大加齢医学研究所の小笠原康悦教授(免疫学)らの研究グループが27日までに解明した。
 NK細胞は、がん細胞上にある特定の分子を標的として攻撃する。免疫療法の効果が上がらない症例では、NK細胞の細胞死が急速に進む現象が観察されていた。
 研究グループは、細胞死のケースでは、NK細胞が腫瘍組織のがん細胞と接触した後、細胞膜の一部の標的分子を取り込んで変化してしまうことを突き止めた。
 変化したNK細胞が今度は他のNK細胞の標的となって攻撃を受け、次々に細胞死に至ることも明らかになった。免疫療法でNK細胞の活性が止まってしまい、がんが残る問題点を説明する発見だという。
 小笠原教授は「NK細胞が変化する現象をコントロールできれば、より効果的な免疫療法の開発につながる」と話す。研究成果は米科学アカデミー紀要に掲載される。

がん放射線治療の効果、翌日判明する方法を開発

読売新聞 5月27日(月) 配信
 がんの放射線治療をしてから約1日の短時間でその効果を判定できる方法を動物実験で開発したと、放射線医学総合研究所(千葉市)の青木伊知男チームリーダーらが発表した。
 実用化できれば、現在は数週間-数か月かかる判定が、大幅に短くなるという。
 放医研と大阪大学の研究チームは、大腸がんのマウスに放射線を当てた後、がん細胞に取り込まれやすい造影剤をマウスの血中に入れ、約24時間後に磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影した。その結果、放射線が効いて弱ったがん細胞は造影剤をうまく吸収できず、放射線が効かない活発ながん細胞と画像で区別できることがわかった。
 放射線治療が効かなかったとわかれば、次の治療法を早く検討することができる。青木さんは「放射線の効果がわかるまでに『手遅れ』となる症例を減らせるだろう」とみている。

明確な健康影響ない 福島事故の甲状腺被ばく 国連科学委が調査

共同通信社 5月28日(火) 配信
 東京電力福島第1原発事故による周辺住民の健康影響を調べている国連科学委員会は27日までに、事故後1年間の甲状腺被ばく線量(等価線量)を推計し、原発から30キロ圏外の福島県の1歳児は最大66ミリシーベルト、30キロ圏内にいて避難したケースでも最大82ミリシーベルトとする報告書案をまとめた。「被ばく線量は少なく、健康への明確な影響はないとみられる」としており「福島はチェルノブイリではない」と結論付けた。
 1986年のチェルノブイリ原発事故の甲状腺被ばく線量は50~5千ミリシーベルトで、周辺地域の子どもの甲状腺がんが急増したが、今回の推計値は成人、1歳児とも、がんのリスクが高まるとされる100ミリシーベルトを下回った。
 周辺住民の健康影響では、世界保健機関(WHO)が2月にまとめた報告書で、過小評価を避けるために最悪のケースを想定し、浪江町の1歳児の甲状腺被ばく線量を122ミリシーベルトと推計したが、国連科学委は事故後約2年間に公表されたデータなどを基に、より現実的な結果を導き出した。
 報告書案は、地域ごとの内部被ばく線量を推計した上で、甲状腺にどの程度の被ばくをしたか求めた。30キロ圏外では成人で7・8~24ミリシーベルト、1歳児で33~66ミリシーベルトだった。事故当初は30キロ圏内にいて、その後避難したケースでは、1歳児で20~82ミリシーベルトと推計した。
 報告書案では、事故で大気中に放出された放射性物質の量も算出した。放射性ヨウ素の総放出量は10万~50万テラベクレル(テラは1兆)で、放射性セシウム137は6千~2万テラベクレルだった。ストロンチウムやプルトニウムは「非常に微量」とした。ほとんどは北太平洋に落ちたとみている。
 報告書案は27日からの科学委員会総会(ウィーン)で議論され、今秋の国連総会に提出される。
※甲状腺被ばくと等価線量
 体内に取り込まれた放射性ヨウ素は甲状腺にたまりやすく、特に子どもは影響を受けやすい。1986年のチェルノブイリ原発事故では、周辺地域で子どもの甲状腺がんが急増した。「等価線量」は個々の臓器や組織ごとに受ける影響を考慮して算出した被ばく線量で、体全体の内部被ばく線量を表す「実効線量」と比べて大きな値となる。甲状腺の等価線量が20ミリシーベルトの場合、実効線量に換算すると0・8ミリシーベルトとなる。

義風会は2002年からドッグセラピーに取り組んでおり、生長豊健(いけなが・とよたけ)理事長は「ドッグセラピーの効果がデータで実証されたのは初めて」と話している。

 研究では、平均年齢87歳の認知症の男女を10人ずつの二つのグループに分け、車いすからベッドへの移動と歩行のリハビリを4カ月続けた。
 「言葉が分からず、犬に関心を示す」グループにはドッグセラピーを実施し、リハビリの効果や意欲を測定する世界的な基準を使って調べた結果、ベッドへの移動と歩行の点数は4カ月後に約1・5倍に向上した。食事や着替えなど他の日常動作でも改善が見られた。
 ドッグセラピーをしなかった「言葉が理解できて、リハビリ可能」なグループでも、移動と歩行は向上したが、他の日常動作では改善が見られなかった。
 リハビリをする意欲が高まったのはドッグセラピーをしたグループだけで、点数が約3倍になった。
 生長理事長は「意思疎通ができなくても、犬と触れ合うと患者はリハビリへの意欲が高まる。犬に会う日には進んで食事をしたり、服を着替えたりするなど日常生活全体で自発的な行動が増えた」と説明している。

先端研究に厳しい目 論文ミス、ネットが指摘 人クローンES細胞

共同通信社 5月27日(月) 配信
 米科学誌セルに掲載された初の人クローン胚性幹細胞(ES細胞)の論文にミスが発覚し、最先端研究に向けられる視線の厳しさがあらためて示された。今回は学術論文の問題点を匿名で議論するサイト「パブピア」が指摘し、セル誌が訂正に向けて対応を始めるなど、ネットが果たした役割も大きい。
 ▽記憶
 人クローンES細胞をめぐっては、過去に韓国ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)元教授による論文捏造(ねつぞう)が起きた。今回は論文を執筆した米オレゴン健康科学大の立花真仁(たちばな・まさひと)研究員が、写真データなどの準備の段階で単純ミスをしたとの見方が濃厚だが、専門家の暗い記憶を呼び起こすのには十分だった。
 人のクローン研究は、女性の肉体的負担が大きい卵子提供が不可欠なほか、同じ遺伝子を持つ「クローン人間」誕生の懸念がぬぐえない。
 米カリフォルニア大デービス校のポール・ナウフラー准教授は「悪意のないミスであっても、疑念を持つ人が出るのは避けられない」と指摘。再生医療の研究全体への影響を懸念する。
 ▽試練
 オレゴン健康科学大チームの責任者シュフラート・ミタリポフ博士は、2007年に英科学誌ネイチャーに発表した論文でも試練を受けた。
 チームはサルのクローンES細胞作製に初めて成功。ところが黄元教授の捏造スキャンダルの影響が尾を引いており、ネイチャー誌が度重なる検証を求めて掲載まで半年近くかかった。
 直後に山中伸弥(やまなか・しんや)京都大教授が人の皮膚から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ったと発表。卵子や受精卵を使わない研究が可能となり、人クローンの研究者は減った。
 米国でほかに人クローン研究を続けるのは、ハーバード大を中心としたニューヨーク幹細胞財団のチームだけ。サルの実験施設を持つオレゴン健康科学大チームが先行しているが、論文ミスが打撃となる可能性もある。
 ▽スピード
 今回の問題で注目されるのが、ネットが果たした役割だ。
 パブピアに「論文に同じ写真が使われている」との投稿が確認されたのは22日。セル誌は直ちにミタリポフ博士など大学側への調査を始め、編集部の公式ツイッターで「警告ありがとう。指摘された点を編集チームが評価している」と応じた。
 大学側は立花研究員から聴取した上でセル誌と協議。セル誌は23日に編集長名で「論文の準備段階で生じた小さなミスで科学的成果には影響しない」とのコメントを発表し、騒ぎは一段落した。
 科学と社会の関係に詳しい榎木英介(えのき・えいすけ)近畿大医学部講師は「論文に間違いがあるのは珍しくなく、公開の場で議論できているのは科学界の在り方として健全だ」と評価。一方で「今回の騒動により、卵子提供などの人クローン技術が抱える本質的な倫理問題の議論が、あいまいになってしまうことが心配だ」と話した。(ワシントン、東京共同=吉村敬介、中沢祐人)

体内分解されず免疫強化 コレラ菌由来の核酸化合物
共同通信社 5月27日(月) 配信
 愛知工業大(愛知県豊田市)の早川芳宏(はやかわ・よしひろ)教授(バイオ化学)は、米国の研究者とともに、体内ですぐに分解されることなく、持続的に哺乳類の免疫を高める機能がある核酸化合物をコレラ菌から見つけたと、米科学誌セルリポート(電子版)に25日発表した。
 早川教授は「少量でも効き目が継続する抗がん剤など、新たな治療薬の開発につながる可能性がある」としている。
 早川教授は2011年、細菌が持つ核酸化合物「c―di―GMP」を病気のマウスに投与する実験により、この化合物が哺乳類の免疫機能を増強する仕組みを解明したが、体内の酵素に破壊されやすいという弱点が残った。
 その後、早川教授らがコレラ菌を調べていたところ、c―di―GMPと同じように免疫を高める機能を持ちつつ、成分構造が一部、異なる核酸化合物を見つけた。
 37度に温めて体内を再現した試験管内で、核酸化合物とヒトの酵素を混ぜて分解の進み具合を調べると、c―di―GMPが約45分で完全に分解されたのに対し、コレラ菌由来の核酸化合物は、ほとんど分解されず9割以上が残った。
 早川教授は「このような安定構造を持つ核酸化合物が自然界で見つかること自体が珍しく、さらに研究が広がる」としている。

日本医学会「許し難い」 ノ社の降圧剤研究問題

共同通信社 5月27日(月) 配信
 製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の社員が同社の販売する降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)を使った臨床研究に関与しながら論文に身分を明示していなかった問題で、日本医学会の高久史麿(たかく・ふみまろ)会長は24日、記者会見し「残念で許し難い行為。日本の臨床研究への信頼が揺らいだと言われても仕方ない」と強く非難した。
 この日は産学連携で行う研究の適正化を進める医学会の利益相反委員会が開かれ、調査を行ってきた日本循環器学会から経緯を聴取。加盟する医学系118学会には、企業との関係の透明化に向けた指針を整備するよう促すことにした。
 この社員はノ社の販売促進部門に所属していたが、今月退社した。これまでに京都府立医大のほか、東京慈恵医大、千葉大、滋賀医大、名古屋大で同じ薬を使って行われた研究に関与。京都の研究では、データに致命的な問題があるとして論文が相次いで撤回される事態になっている。医学会は、論文の信頼性について各大学が第三者を入れた調査で結果の検証をすべきだとした。
 田村憲久厚生労働相も同日、閣議後の記者会見で、この問題を「強く指導しなければならない」と述べるとともに、「利益相反が起こりそうなことに関してはしっかりと情報公開し、不信感が募らないようにしていただきたい」と注文を付けた。

降圧剤研究に製薬社員関与 データに問題も 学会は指針改定へ

共同通信社 5月27日(月) 配信
 製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が販売する降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)を使った複数の臨床研究に同社の社員が統計解析の担当者として参加し、所属を伏せて論文に登場していたことが24日までに分かった。非常勤講師を務めていた大阪市立大だけを明示していた。
 不透明な産学連携が研究の中立性を揺るがせる中、医学系118学会が加盟する日本医学会は24日に利益相反委員会を開催。再発を防止するため、寄付金などの情報申告について定めた指針を改定することを決めた。
 京都府立医大の松原弘明(まつばら・ひろあき)元教授らが行った研究では、日本人の高血圧患者3千人で調べた結果、ディオバンが他の降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせたなどとした。だが、データに致命的な問題があるとして論文が相次いで撤回された。元教授の研究室はノ社から大学を経由し、1億円超の奨学寄付金を受けていた。
 ディオバンは昨年の国内売り上げが1083億円というノ社の看板商品になっている。
 この社員はノ社の販売促進部門に所属していたが、今月退社した。東京慈恵医大、千葉大、滋賀医大、名古屋大がそれぞれ中心となった別の研究にも関与しており、各大学が論文の信頼性を調査し始めている。
 記者会見した日本医学会の高久史麿(たかく・ふみまろ)会長は「許し難い」とノ社社員の不適切関与を非難した。一方で、京都府立医大病院は23日にノ社との医薬品取引の停止を決めたが、高久会長は「医大にも責任がある」と批判、やり過ぎとの認識を示した。
 この問題をめぐっては、田村憲久厚生労働相も24日の閣議後会見で「不信感が募らないようにしていただきたい」とノ社に注文をつけた。
※利益相反
 外部からの経済的な利益により、社会のために知識を生み出し共有するという研究者の責任が果たせないのではないかと、第三者から懸念が表明されかねない状態のこと。企業からの研究費で医薬品の開発に関与した医師が、学会などで推奨する薬を選ぶ立場になった場合などが典型。大学と産業界が連携して研究を進める機会が増えるにつれ、利益相反は起きやすくなっており、大学側は研究者と企業の関係を積極的に把握し、内容を審査するなどの対応を取っている。

人クローン論文で訂正へ 「小さなミス」とセル誌

共同通信社 5月24日(金) 配信
 【ワシントン共同】米科学誌セルは23日、米オレゴン健康科学大の立花真仁(たちばな・まさひと)研究員らが同誌に発表した人クローン胚性幹細胞(ES細胞)の論文に、写真が入れ替わっていたり、誤った画像が使われたりする複数の「小さなミス」が見つかったと発表した。
 セル誌は「論文の準備段階で生じたもので(初のクローンES細胞作製という)科学的成果には影響しない」とした。大学側はセル誌と協議しながら論文を訂正する。
 チームの責任者を務めるシュフラート・ミタリポフ博士は、英科学誌ネイチャー電子版で、論文発表を急ぐあまり「悪意のないミス」が起きたと説明。「研究内容は正しく、クローンES細胞も本物だ」と強調した。論文の主執筆者の立花研究員は取材に「博士や大学側と相談しないとコメントできない」とした。
 ネイチャー誌によると、論文の7ページ目にある2種類の幹細胞の写真の位置が入れ替わり、説明内容と一致しなくなっていた。片方の写真は別の実験段階を説明した3ページ目の写真と同じもので、使い方が不適切だった可能性がある。幹細胞で働く遺伝子を調べたグラフの画像にも一部誤ったものが使われた。
 今回のミスは、学術論文の問題点を匿名で議論するサイト「パブピア」の投稿で判明。論文審査期間が短すぎたとの指摘も出たが、セル誌は「厳密で徹底した審査が行われた」と反論した。

神経細胞死の抑制に成功、早大

毎日新聞社 5月23日(木) 配信
 光合成に似た原理でエネルギーを作り出すたんぱく質「デルタロドプシン」を細胞内の小器官に加えることで、細胞死を抑制することに成功したと、早稲田大の研究グループが発表した。
 細胞内のエネルギー不足に伴う神経細胞死が原因の一つとされる、パーキンソン病やアルツハイマー病など神経変性疾患の進行抑制に役立つ可能性があるという。
 早大の沢村直哉准教授(神経科学)と朝日透教授(キラル科学)らは、細胞内で必要なエネルギーを作る小器官「ミトコンドリア」に注目。古細菌が持ち、光合成のように光に反応してエネルギーを作り出すデルタロドプシンをヒトなどの神経細胞のミトコンドリアに加えた。
 さらに神経変性疾患の原因となるエネルギー不足を誘導する薬剤を加えて光を照射したところ、光を当てない場合に比べ、細胞死が3割弱抑制された。
 沢村准教授は「薬剤でミトコンドリアのエネルギー生成機能が失われても、デルタロドプシンが代わりに光に反応してエネルギーを供給し、神経細胞死を抑制した」と説明する。【渡辺諒】

日本移植学会、腹腔鏡手術の指針策定へ、提供6人重い合併症で 

毎日新聞社 5月24日(金) 配信
 日本移植学会(高原史郎理事長)は23日、生体腎移植で腹腔鏡(ふくくうきょう)による摘出手術を受けた提供者(ドナー)が、重い合併症を負ったケースが少なくとも過去に6人いたと発表した。腎移植実施施設への緊急調査で判明した。本来健康なドナーの死亡が相次いで発覚していることを受け、同学会は年内にも腹腔鏡手術などに関する指針を策定する方針。
 今年4月、八重瀬会同仁病院(沖縄県浦添市)で生体腎ドナーの女性(65)が、腹腔鏡を使った手術時に大量出血で死亡した。埼玉医大国際医療センター(埼玉県日高市)も今月、ドナーの60代男性が手術の34日後に死亡したことを公表した。
 同学会は、2011年に腎移植を実施した138施設を対象に緊急調査を実施。23日までに、105施設から回答があった。
 このうち、現在までに腹腔鏡手術を受けたドナーに重い合併症があったのは6施設6人。5人は回復したが、1人が死亡した。合併症の原因は、血管が傷つき出血した▽腸を傷つけた――など。同学会は施設名を公表していないが、八重瀬会同仁病院の例は含まれていないとみられる。同学会は摘出手術に関する指針策定の方針を示すとともに腹腔鏡による摘出手術をする場合は施設に過去に10例以上の経験のある医師を配置するよう求める緊急注意喚起の文書を公表。24日にも全会員に周知する。【大場あい】

マダニウイルス、特効薬なし対症療法…山口

読売新聞 5月24日(金) 配信
 国内で初めて重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスを保有するマダニが確認された、と発表した国立病院機構岩国医療センター(山口県岩国市)は23日、タカサゴキララマダニが女性患者に付着していた時の状況などを説明した。
 国内でSFTS感染が確認された15人のうち、3人が県内の患者。専門家は「付着したら、医療機関で取り除いて」と呼びかけた。
 同センターでは、守分正・主任診療部長や消化器内科の谷岡大輔医師ら3人が記者会見。谷岡医師は、女性の右腕に付着していた体長約3ミリのマダニを見つけた時の状況について、「最初は黒いホクロかと思ったが、よく見るとマダニと分かった。ニュースで(症状などを)知っていたので、SFTSに考えが及んだ」と説明した。
 SFTSは有効な治療法が確立されていないため、国立感染症研究所(東京)と相談して決めた治療方針に沿って、利尿薬の投与や点滴などの対症療法を行ったという。谷岡医師は「女性は亡くなる可能性もあった。特効薬がないので、対症療法を積み重ねた。今回は貴重な生存例といえる」と話した。守分部長は「マダニにかまれた時の処置や感染予防、治療方針の決定などでは保健所や国との連携が必要と感じた」と述べた。

「悪意のないミス」認める 人クローン論文で責任者

共同通信社 5月24日(金) 配信
 【ワシントン共同】米オレゴン健康科学大のシュフラート・ミタリポフ博士は、人クローン胚性幹細胞(ES細胞)の論文に使われた写真や記述に複数の「悪意のないミス」があったことを認め、掲載した米科学誌セルに訂正を申し入れる考えを示した。英科学誌ネイチャー電子版が23日伝えた。
 セル誌は同日、「小さなミスで、論文の科学的成果には影響しない」とするコメントを発表した。 論文の主執筆者は立花真仁(たちばな・まさひと)研究員だが、博士はチームの責任者。博士は「研究内容は正しく、クローンES細胞も本物だ」と強調。セル誌への論文発表を急ぐあまり、同じ写真を2度使ったり、写真の説明を取り違えたりするなどのミスが起きたことが分かったと話した。
 ネイチャーによると、博士は論文の7ページ目にある2種類の幹細胞の写真に付けられている説明が入れ替わっていることを認めた。幹細胞で働く遺伝子を調べたグラフに使われている画像も一部、誤ったものが使われていた。

「風疹は臨時接種に」小児4団体

山田留奈(m3.com編集部) 5月24日(金) 配信
 日本小児科学会、日本小児科医会、日本小児保健協会、日本外来小児科学会の小児科関連4団体は5月23日、厚生労働大臣に宛て、緊急の風疹対策を求める要望書を提出。併せて記者会見を行った。風疹流行の終息と先天性風疹症候群(CRS)の発生抑制のためには、「臨時接種として成人感受性者にワクチン接種を徹底するほかない」と訴えた。4団体によると、現在のところ直ちに臨時接種を実施することにはならない見通しだ。

臨時接種は本人負担なし

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風疹の流行状況と臨時接種の必要性について説く藤岡雅司氏(日本外来小児科学会副会長、VPDを知って、子どもを守ろうの会副理事長)。
 今回提出した要望書には、4つの要望が挙げられている。(1)風疹を予防接種法のA類疾病とする(2)流行している都道府県では臨時の予防接種を行う(3)風疹未罹患かつ風疹ワクチン未接種が対象(4)接種費用は規定を超えた財政的配慮を行う(規定では国および都道府県が2分の1もしくは3分の1ずつ負担することになっている)。
 今回、臨時接種として求めていることには理由がある。接種への壁となる本人の費用負担をなくせるからだ。予防接種法では臨時接種の実費徴収は「不可」と規定されており、全額を公的負担とすることになっている。さらに、定期接種と同様の健康被害救済措置を受けられる。接種を受ける本人の負担を要さず、妊婦と家族、流行の中心である20-40代の男性未接種者を含めた接種を広げられる。20-40代の男性は医療機関にかかる機会が少ない層で、医療従事者がアプローチしにくいという事情もある。
 会見で、藤岡雅司氏(日本外来小児科学会副会長)は、「風疹は右肩上がりで増えており、いつ終息するかは未知数。今後CRSは増えていくだろう。国がしっかり『風疹撲滅』の姿勢を示し、責任を持って臨時接種を実施すれば、流行は必ず終息する」と強調した。
10年前からの対策不発
 かねて風疹流行の事態は10年前に予測されており、厚生労働省研究班も2004年に警鐘を鳴らしていた。予防接種法改正の影響で1995年以降の中学生の接種率が低下したからだ。
 従来、国は6通の通知で接種啓発を呼び掛けてきたが、有効な手段が講じられてこなかった。要望書には、「もはや従来の通知での対応だけでは事態の根本改善は見込めないことは明白」と記載。藤岡氏が紹介した報告によると、家族から妊婦への風疹感染はわずか4%で、8%は職場の同僚、75%は不明と回答しており、感染対策を家族のみに限定することは意味がない。社会全体の課題として捉える必要があると藤岡氏は説明している。
 また、藤岡氏は要望書に対応した政務官の反応として、「政務官は『水痘や流行性耳下腺炎の方が感染者数は多く、それに比べて風疹はまだ少ない。必要であるとは重々承知しているが、限りある予算の範囲内で優先順位を決めてやっていく』と見解を示した」と報告。直ちに臨時接種が行われる可能性は低いと見られる。
 日本小児保健協会の岡田知雄会長は、医療従事者に向け、「少子化が問題になっている日本において、生まれる前に、しかもワクチンで防げる病気に罹患させないことは重要な課題だ。小児科に限らず、全科で意識を高めてほしい」と呼び掛けている。

社員関与一転「不適切」「上司も認識」 製薬会社内部調査 バルサルタン、降圧剤論文撤回

毎日新聞社 5月23日(木) 配信
バルサルタン:降圧剤論文撤回 社員関与一転「不適切」「上司も認識」--製薬会社内部調査
 降圧剤「バルサルタン」を巡る臨床試験に、製薬会社「ノバルティスファーマ」(東京)の社員が関与していた問題で22日、同社が社内調査結果を明らかにした。社員が関与したことについて「臨床試験結果に疑念を生じさせることになった。不適切だった」と謝罪した。上司もこの社員を支援していたことが分かったが、組織ぐるみだったかは「確認できなかった」とした。
 取材に明らかにした。今回の調査は、スイス本社が4月に始めたものとは別に、日本法人が京都府立医大のチームによる論文が撤回された2月ごろに開始。社員らから聞き取った。大学の研究者は対象にしておらず、試験データの精査もしていない。結果は22日に日本医学会、日本循環器学会などに報告した。
 社員は、▽京都府立医大▽東京慈恵会医大▽滋賀医大▽千葉大▽名古屋大の5大学による薬の効果を検証する試験に関与し、複数でデータ解析にかかわっていた。「試験ごとに関与の仕方は違った」というが、詳細は明らかにしなかった。「意図的なデータの操作や改ざんに導いたことを示す証拠は見つからない」とした。
 複数の社員が「企業の社員でも(大阪市立大の非常勤講師という)研究者としての肩書で臨床研究を支援するなら、問題は生じないと信じていた」などと説明したという。
 2月の記者会見で当時の三谷宏幸社長(現最高顧問)は「試験は医師主導で、我々は一切試験に関与していない」と述べていたが、同社は「事実と相違していた。訂正しおわびしたい」とした。
 この社員は今月15日付で退職。同社は「契約が切れたためで、今回の問題とは無関係」と説明した。【八田浩輔、河内敏康】

降圧剤研究に製薬社員関与 身分伏せ、データに問題も

共同通信社 5月23日(木) 配信
 製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が販売する降圧剤ディオバン(一般名バルサルタン)を使った臨床研究に同社の社員が身分を明示せずに加わっていたことが23日、分かった。同社は「意図的なデータ操作を示すものは判明していない」としているが、データに問題があるとして撤回された論文が出ており、研究を実施した大学や学会は調査に乗り出した。
 撤回されたのは、京都府立医大の松原弘明(まつばら・ひろあき)元教授らのチームが2008~12年に学術誌に発表した論文7本のうちの6本。昨年末から今年にかけ掲載した学術誌は、撤回の理由を「データに致命的な問題がある」と指摘した。
 日本人の高血圧患者3千人のデータで、ディオバンが他の降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせるなどとする内容。ディオバンは昨年の国内売り上げが1083億円というノ社の看板商品になっていた。
 この研究の実施方法を紹介する09年の論文には、ノ社の社員(当時)が統計分析の担当者として登場する。しかし、所属の表示は非常勤講師を兼務していた大阪市立大のみ。論文には「データ解析にはノ社は関与しない」と書かれていた。社員は既に退社している。
 松原氏の研究室は、この研究に使途を限定はしていないが、ノ社から09~12年度に計1億円以上の「奨学寄付金」を受け取っている。
 また、同じ薬を扱い、同社員が関与した研究は、東京慈恵医大と千葉大、名古屋大、滋賀医大の4大学でも実施されており、各大学は既に調査を始めるか、実施を検討している。医学系118学会が加盟する日本医学会も24日に委員会を開き、対応を検討する。

捏造の解明こそ必要 識者談話

共同通信社 5月23日(木) 配信
 東京大の上昌広(かみ・まさひろ)特任教授(医療ガバナンス論)の話 ディオバンに関する研究に捏造(ねつぞう)があったかが根本的な問題だ。日本の臨床研究が世界で信用を失う事態になりかねない。チームを代表する教授は疑いに対し反論があれば反論する、チームの誰かが不正を行ったのならその人を訴えるなど、個人の責任が明確になるような対応が、今後の不正防止のためにも必要だ。関連する大学や学会も、まずは臨床現場のデータと論文のデータの照合を急いで行い、結果を公表すべきで、所属の表示や寄付の透明化といった手続き論に問題を矮小(わいしょう)化してはならない。

遺伝子抑え筋ジス改善 筋量増大、徳島大

共同通信社 5月23日(木) 配信
 腕や足を動かす筋肉を増えないようにしている遺伝子の働きを抑えて筋量を増やすことで、徐々に筋肉が衰える筋ジストロフィーの症状を改善することに徳島大の田中栄二(たなか・えいじ)教授らのグループがマウスを使った実験で成功し、23日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。
 田中教授は「筋ジスの治療はリハビリや筋萎縮を抑えることが中心だが、今回の成果は筋肉自体を増殖させる治療につながる可能性がある」と話している。
 グループは腕や足を動かす筋肉「骨格筋」が増えるのを抑える遺伝子「ミオスタチン」に着目。
 特定の遺伝子の働きを抑制するRNA干渉という現象を利用し、ミオスタチンの働きを妨げるRNA(siRNA)を、siRNAを定着しやすくするコラーゲンの一種とともに、筋ジスの症状を持つマウスの顎にある骨格筋に注射した。すると、筋肉の量が増え、かむ力も強くなったことを確認した。
 マウスでは1回の投与で効果は4週間続いた。人の症状を改善するためには大量の投与が必要とみられ、グループは今後、安価に投与できる方法を探し実用化を目指す。

人から人、引き続き注意を WHO、中国鳥インフルで

共同通信社 5月22日(水) 配信
 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)と中国政府は21日、ジュネーブで開催中のWHO総会で、鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染状況について説明会を行った。WHOのフクダ事務局長補は「人から人への感染」について引き続き注意が必要と強調、インフルエンザが流行しやすい北半球の秋から冬にかけての状況を見極める意向を示した。
 中国当局の幹部は感染拡大の経緯を説明。5月に入ってから感染例は急減しており「H7N9型は抑え込むことができる」と自信を示した。
 フクダ氏はH5N1型の鳥インフルエンザウイルスが約10年間にわたり感染を続けている例を引き合いに出し「H7N9が消滅するかどうかは分からない」と述べた。
 説明会の後に行われた記者会見では、国際獣疫事務局(OIE)のバラ事務局長が感染源について「現地調査の結果、おそらく食用の鳥の飼育場とみられる」と明らかにした。

毎日温泉で病気予防も 別府市、脳卒中や心臓病

共同通信社 5月22日(水) 配信
 大分県別府市と九州大病院別府病院などは21日、65歳以上の市民2万人を対象にした「温泉と健康アンケート」の中間発表で、温泉を毎日利用する人は脳卒中や心筋梗塞、狭心症の割合が低いと明らかにした。同病院は「温泉がこれらの病気の予防につながっている可能性がある」としている。
 アンケートは昨年11月から別府市や同病院などが共同で実施、温泉の利用頻度や既往歴などについて約1万1千人から回答を得たところで中間発表した。
 その結果、毎日温泉に入る人のうち心筋梗塞や狭心症の経験者は約6%だったが、毎日入らない人は約8%。脳卒中では約2%に対し約3%と、わずかながら毎日入る市民の方が病気にかかるリスクが低かった。
 病気に対する温泉の効果はこれまではっきりと証明されておらず、同病院は「裏付けられれば、新たな治療の可能性が見えてくるかもしれない」と期待を寄せている。
 今後、泉質との関係なども詳しく調べ、2014年度中に最終報告をまとめる。

ゲノム調査 宮城・岩手の15万人対象に 病気予防に活用 東北大など

毎日新聞社 5月21日(火) 配信
ゲノム調査:宮城・岩手の15万人対象に 病気予防に活用--東北大など /宮城
 宮城県と岩手県の15万人を対象とした大規模なゲノム(遺伝子情報)調査を20日、東北大東北メディカル・メガバンク機構などが始めた。山本雅之機構長は「将来的には遺伝子を調べて病気を予防できるようになる」と意気込みを語っている。
 2021年3月末までに同機構が県内で12万人、岩手医科大が岩手県内で3万人を調査する。呼び掛けに応じた協力者から、血液採取や問診などで行う。
 解析を担当する安田純・東北大教授によると、生活習慣病など被災地で増えている病気が主な研究対象になるという。
 この日は七ケ浜町主催の健康診査に合わせ、協力を申し出た住民95人を対象に、採血が行われ、問診票が配られた。
 ゲノム調査は1人分の読み取りに2日間、解析には更に数日間かかるため、同機構は年度内に1000人分の解析を見込んでいる。
 個人情報漏えいに対するセキュリティーについては「一番重要な問題で、二重の匿名化を行い万全だ」(山本機構長)としてる。
 調査に協力した同町の主婦、阿部よしのさん(71)は「ぜひ研究に役立ててほしい」、会社員の石木田一彦さん(56)は「創薬ベンチャーを生み出してほしい」と期待を話した。【山越峰一郎】

糖尿病 牛・豚肉、リスク4割高く 男性で、女性は見られず

毎日新聞社 5月21日(火) 配信
糖尿病:牛・豚肉、リスク4割高く 男性で、女性は見られず
 肉類を多く食べる男性は、あまり食べない男性と比べ糖尿病を発症する危険性が約4割高いとの大規模調査の分析結果を、国立がん研究センターなどの研究チームが21日発表した。女性の場合は関連はみられなかった。英栄養学専門誌に掲載された。
 1995年と98年に45~75歳の男女6万3849人を対象に調査。開始時は全員、糖尿病やがん、循環器の病気はなかったが、5年後に1178人が糖尿病を発症していた。
 肉類の摂取量別に発症の危険性を比べたところ、男性は摂取量が多いほど危険性が高まり、最も多いグループ(1日あたりの中央値108グラム)は最も少ないグループ(同23グラム)の1・36倍。肉の種類別では、牛・豚は摂取量が多いほど危険性が高くなったが、鶏肉、加工肉は関連がなかった。
 研究チームの黒谷佳代・国立国際医療研究センター臨床研究センター上級研究員によると、肉に多く含まれる鉄分などが、血糖値を下げるインスリンの効きを悪くしている可能性があるという。女性は体内の鉄の蓄積量が少なく、摂取の影響を受けにくいと考えられる。【大場あい】

牛豚過多で糖尿病の危険増 男性のみ、6万人追跡調査

共同通信社 5月21日(火) 配信
 牛肉や豚肉を1日当たり83グラム前後と多く食べる男性は15グラム前後と少ししか食べない男性より、糖尿病になるリスクが42%高くなるとの研究結果を、国立国際医療研究センターと国立がん研究センターのチームが21日発表した。女性ではリスクの増加は見られなかった。
 チームは、1990年代後半に全国の11保健所管内に住んでいた45~75歳の男女約6万4千人を平均で5年間追跡。その間に約1200人が糖尿病と診断された。
 開始時に行った食事に関するアンケートを基に、肉の推定摂取量で4グループに分類。糖尿病に関連する他の要因を除いて解析すると、男性で1日当たりの牛豚肉の摂取量の中央値が83グラムと最も多いグループは、15グラムと最も少ないグループに比べて発症リスクが42%高かった。時々まとめて食べるか、毎日食べるかといった食べ方の違いは考慮していない。
 ハムやソーセージなどの加工肉や鶏肉の摂取量では、男女とも糖尿病との関連は見られなかった。結果をまとめた国際医療研究センターの黒谷佳代(くろたに・かよ)上級研究員は「牛肉や豚肉を多く食べている人は、一部を鳥や魚に置き換えてみてはどうか」と話している。

細胞小器官の分裂法を解明 小さな輪が分断、立教大

共同通信社 5月21日(火) 配信
 細胞の中にあって、脂肪分解などの役割を持つ小器官「ペルオキシソーム」が分裂する仕組みを立教大などのチームが突き止め、20日付の米科学アカデミー紀要電子版に発表した。小器官の周囲に輪っかができ、これが縮みながら二つに分断していた。
 チームの黒岩常祥(くろいわ・つねよし)立教大教授は「細胞内の別の小器官であるミトコンドリアと似ている。ミトコンドリアは真核生物の祖先が20億年前に取り込んだ細菌だが、ペルオキシソームも同じ細菌が起源なのではないか」としている。
 人間など高等な動植物の細胞では1個の細胞に数千のペルオキシソームがある。チームは分裂の様子をしっかりと追跡するため、これを細胞内に一つしか持たない原始的な紅藻の仲間「シゾン」を使って観察。ペルオキシソームの中央部に非常に小さな輪ができ、徐々に小さくなって約2時間で二つに分割する様子を捉えた。
 輪は、成分不明の繊維状の輪を、タンパク質の輪がさらに覆う二重構造だった。このタンパク質は、ミトコンドリアの分裂の時にもできる輪と同じだという。

遺伝子変異で前立腺摘出 英国男性、世界初

共同通信社 5月21日(火) 配信
 【ロンドン共同】乳がん予防のため乳房の切除・再建手術を受けた米人気女優アンジェリーナ・ジョリーさん(37)と同様、がんのリスクを高めるとされる遺伝子変異が見つかった英国人男性(53)が、前立腺の摘出手術を受けていたことが分かった。英紙タイムズが21日までに報じた。
 同紙によると、男性が遺伝子変異の発見により前立腺を摘出したケースとしては、世界で初めてという。
 ジョリーさんは「BRCA1」という遺伝子に変異が見つかり、両乳房の切除・再建手術を受けたが、この男性は「BRCA2」遺伝子に変異が発見された。
 これらの遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんのリスクが高まることが分かっているが、この男性が検査を受けたロンドンのがん研究機関の調査では、男性の前立腺がんのリスクも高まることが分かった。
 男性には乳がんや前立腺がんにかかった家族がいたが、通常の検査では異常が見つからず、担当医師団は当初、手術に消極的だったが、遺伝子変異が分かったことで踏み切った。手術後、前立腺からかなりのがんが見つかったという。

乳がん「切らず完治」へ重粒子線治療の臨床試験

読売新聞 5月20日(月) 配信
 放射線医学総合研究所(千葉市)は今月、乳がんに対し、切らずに完治を目指す重粒子線治療の臨床試験を始める。
 従来の乳がん治療は、手術と放射線・薬物治療の併用が一般的だが、同研究所は「持病のために手術できない人や、手術を望まない人などに、体への負担が少ない治療の選択肢が広がる可能性がある」としている。
 重粒子線は、がんに強力なエネルギーを集中させられる特殊な放射線。同研究所によると、現在治療を行う施設は世界で6施設だけ。うち3施設が日本にあり、骨軟部腫瘍、肺がん、肝臓がん、前立腺がんなどに用いられているが、乳がんの完治を狙うのは初めてという。
 近年、欧米で照射範囲を絞った放射線治療の有効性を示す研究報告が増えたことや、がんへの照射位置がずれないように柔らかい乳房を固定する装具が開発されたことなどにより、乳がんへの応用が計画された。

遺伝性乳がん発症後、別の健康な乳房を予防切除 聖路加病院

毎日新聞社 5月21日(火) 配信
乳がん:遺伝性乳がん発症後、別の健康な乳房を予防切除--聖路加病院
 乳がんの予防切除を倫理委員会で承認している聖路加国際病院(東京都)で、片方の乳がんを発症した患者でもう片方の健康な乳房を予防切除したケースが過去に複数あることが20日分かった。
 同病院は2011年7月に遺伝性乳がんの発症リスクを高める「BRCA1」と「BRCA2」の遺伝子検査で陽性になった人を対象に、発症リスクを減らすため乳房の予防切除をする手術について病院内の倫理委員会の承認を得た。
 同病院によると、片方の乳房でがんを発症した後の遺伝子検査で陽性と判明、もう片方の乳房を予防的に切除したケースが複数あった。左右いずれかで乳がんを発症する前に切除したケースはないという。
 日本乳癌学会はホームページで「日本ではほとんど行われていないが、遺伝子変異を持つ女性では、乳房切除などを行うことで、がん発症リスクを減少させることが分かっている」などと説明している。
 乳がんを予防するための乳房の切除・再建手術は、がん研有明病院(同)でも早ければ月内にも倫理委員会に申請する。

魚の「利き鼻」は脳が決定 名古屋市立大が解明

共同通信社 5月20日(月) 配信
 名古屋市立大大学院の岸本憲人(きしもと・のりひと)特任助教らのグループが魚の脳を調べた結果、嗅覚を生み出す遺伝子が、成長に伴って左脳でのみ強く働くようになり、左鼻が"利き鼻"となっていく仕組みを明らかにしたと、米科学誌電子版に19日発表した。
 岸本特任助教によると、左右の脳は分業により効率的に情報を処理するが、利き手など左右の違いを生む遺伝子の仕組みは研究されていなかったという。岸本特任助教は「研究を広げれば、ヒトの脳にある左右差の解明に役立つかもしれない」としている。
 グループが小型熱帯魚「ゼブラフィッシュ」の脳内の遺伝子を観察したところ、生後3カ月ごろから、新しい神経細胞を嗅覚機能にする役割があると特定できた「Myt1(エムワイティーワン)」という遺伝子が、右脳に比べて、左脳で強く働く傾向を確認した。
 生後5カ月の成魚では、右脳と左脳で、この遺伝子の働きに6倍の差があった。左鼻をふさぐと、好むはずの匂いに向かって泳ぐ行動が見られなくなり、左鼻で嗅ぎ分けていると分かった。
 さらに、左鼻をふさいだ魚は、代わりに右脳でこの遺伝子を活発化させ、1週間後には、右鼻が利き鼻になった。成長後にも神経細胞を新生し、失われた機能を取り戻す動きが確認できたことは、障害を負った人の治療やリハビリ法の研究にもつながるという。
 岸本特任助教は「今後の研究で、ヒトの左脳に言語機能が作られる仕組みなど、興味深い知見が得られるかもしれない」と話している。
※米科学誌は「ネイチャーニューロサイエンス」

iPSで作った角膜移植、3~4年後めどに開始

読売新聞 5月17日(金) 配信
 大阪大の西田幸二教授(眼科)は16日、東京都内で開かれた日本眼科学会の講演会で、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から角膜の組織を作り目に移植する臨床研究について、「3~4年後をめどに始めたい」と発表した。
 臨床研究は、iPS細胞から作った角膜の細胞を増やしてシート状にした後、角膜が傷ついている患者の目に貼り、視力の回復をめざす。作製するのは角膜表面の「角膜上皮細胞」と、内側の「角膜内皮細胞」の2種類で、患者は目のけがや、角膜が傷ついて視力が下がる難病「スティーブンス・ジョンソン症候群」などの病気が対象となる。
 また、理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーは同じ講演会で、iPS細胞を使って網膜の視細胞が減る難病「網膜色素変性症」を治療する臨床研究について、5年後をめどに始める見通しを明らかにした。同研究所は、iPS細胞を使って目の難病「加齢黄斑変性」の治療を行う臨床研究を、すでに厚生労働省に申請している。

心血管構造、5分でCG 赤ちゃん用に国循開発

共同通信社 5月17日(金) 配信
 心臓を複雑に走る血管の構造を、5分程度で立体的な画像にできるコンピューターグラフィックス(CG)のシステムを国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)と京都大が開発し、16日発表した。
 CG化に必要な超音波画像を撮りやすい赤ちゃんが対象で、生まれつきの心臓病の病状や治療方針を家族に説明するのに役立つ。
 国循によると、これまでは心臓の超音波画像を使い、熟練した専門医が心臓の状態を複数の絵にして説明。だが、描くのに時間がかかる上、構造が複雑で、家族の理解を得るのが難しかった。
 生まれつき心臓の構造や血管に異常のある先天性の心疾患は、赤ちゃん千人中8人と高い頻度で発症しており、迅速な治療が必要になる。
 システムは、医師が心臓の超音波画像を見ながら、システム上で赤ちゃんの血管の位置を決め、立体画像で再現する。医療チーム全員がCGで病態を正確に把握し、速く適切に治療できる利点もあり、症例を増やし、CGをさらに短時間で作ることを目指す。
 原口亮(はらぐち・りょう)情報基盤開発室長は「今後2年で、医療現場で使えるようにしたい」と話す。成果は20日付の科学誌「生体医工学」に掲載される。

日本、長寿世界一を維持 WHO統計、2国と並び

共同通信社 5月16日(木) 配信
 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は15日、2013年版の「世界保健統計」を発表した。11年の男女合わせた日本の平均寿命は83歳で、イタリア中部にある内陸国サンマリノ、スイスと共に首位だった。
 WHO当局者によると、日本は20年以上連続で首位を維持している。しかし、喫煙率が高いことから、日本に追いつく国は今後も増えるとし、引き続き長寿世界一の座を保てるかどうかは危うい状況という。
 サンマリノは前年版に引き続き首位。スイスは今年版で初めて首位になった。
 男女別では、日本は女性の平均寿命が86歳と単独首位を維持したが、男性は12年版の80歳から79歳に落ち込んだ。
 13年版の男性の平均寿命首位は中東のカタール(83歳)。日本はカタールをはじめ、スウェーデンやシンガポールなどにも追い抜かれる結果となった。
 データが得られた中で平均寿命が最も短かったのは西アフリカのシエラレオネで47歳。中央アフリカも48歳で、アフリカ地域の平均寿命の短さが目立つ。
 世界の平均寿命は70歳で、女性は72歳、男性は68歳だった。

先天遺伝病、7千人に1人 新生児調査で判明、福岡

共同通信社 5月16日(木) 配信
 先天性の遺伝病「ファブリー病」がある人の割合を国内で調べるため、福岡大(福岡市)の研究チームが、福岡市と周辺で新生児約2万人を調査した結果、これまで4万人に1人と考えられていた割合は、7千人に1人とより高いことが分かった。16日付の英国学術誌の電子版に発表した。
 研究チームの広瀬伸一(ひろせ・しんいち)教授(小児科学)によると、ファブリー病は、細胞内の特定の酵素がうまく機能せず、徐々に全身の臓器を損傷する病気。幼いころは自覚症状が弱く、診断も難しいため正確な患者数は不明だが、国内で600人以上が酵素を補充する治療を受けている。
 研究チームは熊本大医学部と協力し、2007年4月~10年4月、福岡市と周辺で生まれた新生児約4万人のうち、両親から同意を得た2万1170人の血液検査を実施。3人がファブリー病と判明した。
 過去最大規模での調査といい、広瀬教授は「新生児検診で病気を診断できることを証明し、割合も高いことが分かった。今後は治療法を確立したい」と話している。
※学術誌は英国出版社が刊行するジャーナル・オブ・ヒューマン・ジェネティクス電子版

「クローン人間」は無理 英科学誌に立花研究員

共同通信社 5月16日(木) 配信
 【ワシントン共同】人のクローン胚性幹細胞(ES細胞)作製に成功したと米オレゴン健康科学大が発表したのを受け、英科学誌ネイチャー電子版は15日、現在の手法では人のクローン胚を母体に入れても「クローン人間」は誕生しないという研究チームの立花真仁(たちばな・まさひと)研究員らの見方を紹介する記事を掲載した。
 立花研究員は取材に対し、近く学術誌に論文発表するサルのクローン研究などに基づく分析と説明。今回と同様の手法で作ったサルのクローン胚は、マウスなど他の哺乳類と異なり、胚盤胞と呼ばれる段階に成長した後で雌ザルの子宮に入れても、全て流産して子ザルにならなかった。
 人でこれを確かめる実験はできないが、立花研究員は「高等霊長類とそれ以外の哺乳類の間には大きな壁がある」とみている。
 再生医療に詳しい米カリフォルニア大デービス校のポール・ナウフラー准教授は、今回の研究について「患者の治療に役立つ可能性がある。重要で前向きでエキサイティングな成果だ」と高く評価。一方で「技術的な壁はあるとはいえ、クローン人間づくりが実現しうる方向に一歩進んだと言えそうだ」と指摘している。

識者、関係者談話

共同通信社 5月16日(木) 配信
 ▽医療応用には困難も
 国立成育医療研究センター幹細胞・生殖学研究室の阿久津英憲(あくつ・ひでのり)室長の話 いずれできるだろうとは言われていたが、実際に胚性幹細胞(ES細胞)を作れる質の高いクローン胚ができ、しかも意外に成功率が高いことに驚いた。患者と同じ遺伝情報を持った細胞の供給源としては、比較的簡単に作製できる人工多能性幹細胞(iPS細胞)と違い、広く医療に使っていくのは難しいかもしれない。新鮮な卵子の提供を受ける必要があるためだ。ただ、iPS細胞とは違った利点を持っている可能性もある。細胞の特性を調べる今後の研究に注目していきたい。
 ▽自然な初期化能力が強み
米オレゴン健康科学大の立花真仁(たちばな・まさひと)研究員の話 卵子提供に際しては倫理委員会の審査を経た慎重な手続きを講じた。人の体細胞クローン胚性幹細胞(ES細胞)には技術的課題が多かったが、サルのクローン技術を改良して成功した。人工多能性幹細胞(iPS細胞)は元の体細胞が持つ老化因子が受け継がれる可能性のほか、遺伝子操作で染色体異常が起きることがある。クローンES細胞は卵子の持つ自然な初期化能力を利用するのが強みだ。少ない卵子から確実にES細胞をつくる手法が確立できれば、iPS細胞と共に夢の再生医療の実現に役立つ可能性がある。(ワシントン共同)

人クローンES細胞に成功 米大学の日本人研究者ら iPS細胞と別手法

共同通信社 5月16日(木) 配信
 【ワシントン共同=吉村敬介】女性から提供を受けた卵子に別の人の皮膚細胞の核を入れる「体細胞クローン技術」を使い、さまざまな組織に分化する胚性幹細胞(ES細胞)を作製するのに初めて成功したと、米オレゴン健康科学大の立花真仁(たちばな・まさひと)研究員 (38) とシュフラート・ミタリポフ博士らのチームが米科学誌セル電子版に15日発表した。
 人のクローンES細胞をめぐっては、韓国ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)元教授が2004年に作製成功を発表したが、後に捏造(ねつぞう)と判明。当時は再生医療の切り札とみられていたが、06~07年に京都大の山中伸弥(やまなか・しんや)教授が体細胞だけを遺伝子操作する人工多能性幹細胞(iPS細胞)を開発したことや、他の哺乳類より作製が格段に難しいことなどから研究が下火になっていた。
 病気の人の体細胞を使えば、遺伝子が同じで移植時に拒絶反応が起きない治療用組織をつくることが可能。作製効率の向上や卵子提供が必要なことなどが課題だが、立花研究員は「iPS細胞より遺伝子異常が少ない可能性もある。クローンES細胞とiPS細胞の両方の可能性を探ることで再生医療に役立つ」と話す。
 チームは学内の倫理委員会の審査を経て、米国内で23~31歳の女性9人から有償で計126個の卵子提供を受けた。122個の卵子の核を除き、別の人の皮膚細胞の核を入れると、21個が胚盤胞と呼ばれる段階に成長。その組織の一部を取って培養すると計6個がES細胞になった。心臓の筋肉に分化させると脈動するのも確認した。
 成功した6個のうち4個は同一女性が提供した卵子で、ES細胞になりやすい遺伝的特徴がありそうだ。
 オレゴン健康科学大は07年にサルのクローンES細胞作製に成功。立花研究員は東北大の非常勤講師も兼務し、卵子の核を別の人の卵子に移し替えて遺伝病治療につなげる研究も手掛けている。
※人クローンES細胞
 皮膚や臓器に分化した体細胞の時間を巻き戻し、さまざまな組織に成長する細胞をつくる再生医療の手法の一つ。核を除いた未受精の卵子に、別人の体細胞の核を入れて細胞分裂させ、できた胚盤胞(クローン胚)の一部を培養して胚性幹細胞(ES細胞)をつくる。体細胞の持ち主と同じ遺伝子を持ち、組織を移植しても拒絶反応が起きない。クローン胚を子宮に戻すとクローン人間に育つ可能性が否定できないが、ES細胞は人間に育たない。クローン胚ができたとの報告例は複数あるが、ES細胞はできていなかった。(ワシントン共同)

iPS細胞 造血幹細胞作成に成功 東大医科学研

毎日新聞社 5月15日(水) 配信
iPS細胞:造血幹細胞作成に成功--東大医科学研
 さまざまな体の組織になりうる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、血液の元になる造血幹細胞を作ることに成功したと、東京大医科学研究所の山崎聡助教と中内啓光(ひろみつ)教授のチームが発表した。造血幹細胞は、白血病治療で骨髄移植として使われている。14日付の米専門誌に掲載された。
 赤血球や血小板などの血液細胞は、既にiPS細胞から作られている。だがその元の造血幹細胞は、培養に必要な栄養などが分からず、作製が難しい。
 チームは、良性腫瘍(しゅよう)の内部に血液を含むあらゆる種類の細胞が含まれることに着目。マウスのiPS細胞をマウスに注射して腫瘍を作り、造血幹細胞の作製に役立つとみられる物質を加えた。すると、血液を作る骨髄に、iPS細胞からできた造血幹細胞が検出できた。腫瘍内から血流に乗って移動したとみられる。
 この細胞を血液を作れないマウスへ移植すると、血液を作ることができるようになった。ヒトのiPS細胞に置き換えた同様の実験でも、造血幹細胞ができた。中内教授は「リスクを減らすために腫瘍を使わない方法を考える」と話す。文部科学省は7~10年後、ヒトに造血幹細胞を投与する臨床研究の開始を目標に掲げている。【野田武】

胆管がん 印刷会社で多発 原因物質の許容濃度、米基準の10倍厳しく 学会決定

毎日新聞社 5月15日(水) 配信
胆管がん:印刷会社で多発 原因物質の許容濃度、米基準の10倍厳しく--学会決定
 大阪市の印刷会社の従業員らが胆管がんを発症した労災事件などを受け、日本産業衛生学会は14日、原因物質と推定されている塩素系有機溶剤「1、2―ジクロロプロパン」について、作業環境での許容濃度を初めて決定、米国の基準の10倍という厳しい内容にした。1年かけて意見を求め正式決定するが、厚生労働省の法規制などに影響を与えそうだ。
 大阪市の印刷会社「サンヨー・シーワィピー」の現・元従業員17人が胆管がんを発症、8人が死亡した。厚労省は、印刷機の洗浄剤に含まれる「1、2―ジクロロプロパン」が原因の可能性が高いとし、従業員らの労災が認定された。1、2―ジクロロプロパンの法規制はなく、厚労省は法規制に乗り出す方針。
 この日、同学会の専門家による許容濃度委員会(委員長・矢野栄二帝京大大学院教授)が松山市内の総会で、「1、2―ジクロロプロパン」の濃度決定を報告した。
 「1、2―ジクロロプロパン」の許容濃度(8時間平均)を初めて定め、1ppm(1万分の1%)とした。動物実験などの研究結果を検討し、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)の基準10ppmよりも厳しくした。発がん分類では、上から2番目の「人への発がん性がおそらくある」に位置付けた。
 また、サンヨー・シーワィピーにあった「オフセット印刷工程」について、同社の発がん実態などを考慮し、発がん分類で最上位の「人に対して発がん性がある」とした。同学会が「工程」自体を発がん分類に入れるのは初めて。同じ工程を採用する事業者らに、念のため、注意を促す意味があるとみられる。
 矢野委員長は「『1、2―ジクロロプロパン』に発がん性ありと断定するのはまだ証拠が不十分だが、オフセット印刷工程の現場でがんが発生したことを考慮した。事業者や従業員へ情報提供することを重視したものだ。今後の研究で範囲が限定される可能性がある」と説明した。【大島秀利、中村敦茂】

ES細胞「がん化」に成功…治療薬開発に期待

読売新聞 5月15日(水) 配信
 ES細胞(胚性幹細胞)から、精巣や卵巣にできるがんの「悪性胚細胞腫瘍」を形成させることに、国立成育医療研究センターと慶応大の研究チームがマウスの実験で成功したと発表した。
 ES細胞をがん化させた例は珍しく、治療薬の開発に生かせる成果という。15日付の米電子科学誌プロスワンに掲載された。
 同センターの阿久津英憲室長(幹細胞生物学)らは、受精卵から組織ができる過程で重要な役割を果たすとされる遺伝子「βカテニン」に着目した。この遺伝子がともにないマウスの精子を卵子に受精させたうえでES細胞を作製し、別のマウスの背中に移植した。
 その結果、移植したES細胞は約1か月後、セミノーマや胎児性がんなど精巣や卵巣にできる複数のがんが混在した悪性胚細胞腫瘍に変化した。また、作製したES細胞を調べたところ、通常のES細胞と同様に無限に増える一方、骨や皮膚などの組織になる能力は持っていなかった。

iPS細胞から血液のもと 東大、マウスを利用

共同通信社 5月15日(水) 配信
 さまざまな種類の細胞に成長できる人の人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、血液のもとになる「造血幹細胞」を作ることに成功したと、東京大などのチームが14日付の米医学誌モレキュラーセラピー電子版に発表した。
 マウスを使って作り出した造血幹細胞からは、リンパ球や赤血球などの血液細胞が正常にできることを確認。チームの中内啓光(なかうち・ひろみつ)東京大教授は「白血病などの血液の病気で、ドナー不足が問題となっている骨髄移植にかわる治療法を開発できるかもしれない」としている。
 チームは、免疫が働かないようにしたマウスに人から作製したiPS細胞を注射。すると、このiPS細胞がさまざまな種類の細胞に成長し、良性の腫瘍ができた。チームは、このうち造血幹細胞に成長した細胞が、腫瘍から骨髄に自然に移動することを突き止めた。
 その造血幹細胞を採取して、放射線を当てて骨髄細胞を壊した別のマウスに注射したところ、骨髄で造血幹細胞が働いて血液細胞を作り出し、マウスに流れるようになった。
 これまでiPS細胞からきちんと働く造血幹細胞を作ることは難しかった。ただ治療に応用するには、豚などの大型動物で大量に作製する必要があり課題は多いという。

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