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医療情報90

医療情報89
20140601~

元ノバルティス社員を逮捕 降圧剤の誇大広告容疑 東京地検特捜部 論文データ改ざんか

共同通信社 2014年6月11日(水) 配信

 大手製薬会社ノバルティスファーマ(東京)が販売する降圧剤「ディオバン」の臨床研究で改ざんしたデータを医学論文に使わせたとして、東京地検特捜部は11日、薬事法違反(誇大広告)の疑いで、元社員白橋伸雄(しらはし・のぶお)容疑者(63)=神戸市北区=を逮捕した。

 臨床研究は2002年以降、京都府立医大、東京慈恵医大、千葉大、名古屋大、滋賀医大で大規模に実施され、白橋容疑者がデータの解析などを担当し、ディオバンは脳卒中などを防ぐ効果があるとして爆発的に売れた。臨床研究の信頼を失墜させたデータ不正問題は、刑事事件に発展した。

 逮捕容疑は、京都府立医大の研究チームが集めた脳卒中の発生数などのデータを操作したほか、解析結果の確実さを示す虚偽の数値を使った図表をチームに提供し、11年1月~10月ごろ、ディオバンに有利な記載をした論文を海外の医学誌に論文として発表させた疑い。

 厚生労働省は今年1月、ノバルティスに対する薬事法違反容疑の告発状を東京地検に提出。府立医大、慈恵医大の研究結果を11~12年にディオバンの広告に利用したことが誇大広告に当たるとしていた。白橋容疑者は厚労省の調査に「改ざんしたことは一切ない」と否定していた。

 府立医大の研究チームは、高血圧患者約3千人のデータを基に「ディオバンが他の降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせる」と結論付けたが、病気の発生数がディオバンに有利となるよう操作されていた。

 慈恵医大でも患者の血圧値がカルテと一致しないケースが相当数あり、大学の調査でデータ改ざんの可能性が指摘されていた。同社は02~12年、両大学に計約5億7千万円の奨学寄付金を提供している。

 薬事法は医薬品の効果などで虚偽または誇大な内容を雑誌に掲載したり、宣伝したりすることを禁じている。特捜部は2月、ノバルティス東京本社や各大学を家宅捜索し、元社員や医師らの事情聴取を進めてきた。

 ※ノバルティスファーマ

 スイスに拠点を置く製薬会社の日本法人。ノ社の降圧剤ディオバンは約100カ国で使われている。日本では2000年に発売された。市場調査会社によると、国内売上高は05年以降、年間1千億円超を記録し、12年までに累計で約1兆2千億円を売り上げた。ノ社をめぐっては、白血病治療薬に関する重い副作用を国に報告していなかった問題も判明。厚生労働省が詳細な報告を求め、行政処分の可否を検討している。

##保険料の返還要請するべきだ。海外では、当たり前のことが日本ではできない。

二つの心疾患、女児を救命 島根大成功、生後3カ月

共同通信社 2014年6月13日(金) 配信

 島根大病院(島根県出雲市)は13日、「総動脈幹症」など二つの重い先天性の心疾患を抱えた生後3カ月の女児の救命に成功し、女児が同日退院したと発表した。難手術は3~5月に計5回約20時間に上った。病院は「同じ症例の手術はこれまで報告されていない」としている。

 執刀した循環器・呼吸器外科(小児心臓外科)の藤本欣史(ふじもと・よしふみ)講師(44)によると、女児は3月、県内の別の医療機関から生後3日で運ばれ、肺動脈と大動脈が分離せず肺に多く血液が流れる総動脈幹症が見つかり手術。

 4月、動脈を分離させる手術を終えても、なかなか酸素濃度が上がらなかった。調べてみると、本来なら右心房に流れるはずの血液が左心房に行くため体に十分に酸素が行き渡らない、冠静脈の還流異常が見つかった。

 冠静脈の開口部をふさぐなど追加手術を5月までに実施。度重なる手術の間、体重は約500グラムしか増えなかったが、今はミルクをたくさん飲む元気な姿を見せているという。

 島根大では昨年10月に小児心臓手術のチームが結成された。藤本講師は「これまで他県に搬送していた重い心疾患の子供を治療できるようになったことを知ってほしい」と話した。

認知症高齢者の抗精神病薬 服用開始3~6か月、死亡リスク2倍

読売新聞 2014年6月13日(金) 配信

 認知症高齢者に、統合失調症などに用いる抗精神病薬を使う場合、飲み始めから3~6か月の間は、死亡リスクが飲まない人の2倍に高まる、との調査結果を日本老年精神医学会がまとめた。13日、都内で開かれる同学会で発表する。

 抗精神病薬については、米食品医薬品局(FDA)が2005年、認知症患者に使うと死亡リスクが1・6倍高まると警告した。しかし医療現場では、激しい興奮や暴力などの症状を抑えるために用いられることが珍しくない。

 このため、同学会は12~13年、全国の約360医療機関で診療を受ける認知症高齢者(平均82歳)で、抗精神病薬を使う約5000人と使わない約5000人を登録。半年間追跡し、死亡率などを調査した。その結果、使う群と使わない群全体の比較では、死亡リスクに差はなかった。しかし、抗精神病薬を飲み始めたばかりの約450人を抽出すると、開始11~24週(3~6か月)の間の死亡率は3・7%で飲まない人の1・9%より高く、死亡リスクは2倍に上った。開始10週(約2か月)までは差がなかった。

独学で統計解析に精通 「私のせいにされる」 「背信―降圧剤データ不正」

共同通信社 2014年6月12日(木) 配信

 2013年9月下旬、東京都内のある会議室で1人の男性が、厚生労働省の検討委員会委員らと向き合った。「私がデータを改ざんしたことは、一切ない」。どんな質問にも明快に答え、言いよどむ場面はなかった。

 男性はノバルティスファーマの元社員、白橋伸雄(しらはし・のぶお)容疑者(63)。ノ社社員として降圧剤ディオバンを使った京都府立医大の臨床研究に関与し、統計解析を担当した。事件の鍵を握る人物だ。

 ディオバンは他の降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせる。東京慈恵医大と京都府立医大の臨床研究でそう結論づけられたが、両医大の調査委員会はそれぞれ13年7月、データが操作されていたと認定した。実態解明に向け、厚労省検討委のヒアリングが行われたのはその2カ月後。質疑は3時間に及んだが、白橋容疑者は疲れた様子を見せず、受け答えに自信や余裕すら感じられたという。

 ▽ぼやき

 関係者によると、白橋容疑者は大学の工学部を卒業。製薬会社の営業担当となり、医師から統計解析に関する質問をされたり、統計の知識があると話が弾んだりしたことから独学を重ねた。

 医師への助言はもちろん、社内の勉強会の講師もこなす「統計の専門家」として知られるようになり、ディオバンの臨床研究当時は、ノ社で大学の研究者らへの学術面での支援を担当していた。

 「勉強好きで、営業よりも研究に携わりたいというタイプ」。古くからの知人はこう評する。

 白橋容疑者は厚労省検討委にこう主張した。

 「会社からは臨床研究のサポートという漠然としたもの以外、具体的な指示はなかった」

 「研究者の依頼に応じ、解析ソフトが入っている個人のノートパソコンで統計解析をした。依頼された作業だけを行い、改ざんは一切ない」

 知人によると、研究当時、白橋容疑者は「(解析は)どこか他がやってくれたらいいが、そういう所はないし...」とぼやいていた。

 ノ社の薬を使った研究で、社員が解析に関わる―。「本人もまずいと思っていたはず。でも頼まれたら、やりませんとは言えないだろう」(知人)

 ▽想定外

 厚労省検討委は、慈恵医大と京都府立医大の研究者にも面談した。

 「学内に大規模臨床研究の統計解析経験者がおらず、解析結果は元社員(白橋容疑者)から私に送られてきた」(慈恵)。「ノ社から独立した立場で解析していただいているものと元社員を信用しきっていた。私も医局員も統計の知識はない」(京都府立)。

 会社業務として、研究を支援するよう白橋容疑者に要請したノ社元幹部の言い分はこうだ。「統計解析を自ら行うことは想定外。大学が行うものと認識していた」

 疑惑が報じられるさなか、白橋容疑者は周囲にこう漏らしたという。「みんなが、私一人のせいにしようとしている」

  ×  ×  ×

 降圧効果以外に、脳卒中や狭心症リスクを下げられるとの研究結果を使い、ノ社はディオバンの売り上げを伸ばした。だがデータ操作が発覚し、日本の臨床研究への信頼は地に落ちた。関係者への取材を基に、何が起きていたのか探った。

全体像、解明どこまで 5大学の研究に関与 降圧剤問題で元社員逮捕

共同通信社 2014年6月12日(木) 配信

 降圧剤ディオバンの臨床研究問題で東京地検特捜部は11日、販売元のノバルティスファーマ(東京)元社員、白橋伸雄(しらはし・のぶお)容疑者(63)を逮捕した。着手段階では1人の立件にとどまるが、特捜部は、法人としてのノバルティスも立件する方針。白橋容疑者は5大学の研究に関与したとされ、今後の捜査でノ社上層部、製薬企業と研究者の癒着構造を含む全体像にどこまで切り込めるか注目される。

 ▽汚職

 「論文を執筆した研究者への金の流れを調べてほしい」。特捜部幹部から現場に指示が飛び、極秘の内偵が始まったのは昨年春ごろ。京都府立医大のチームが発表した論文への疑念が高まり、複数の論文が撤回された。

 白橋容疑者がノ社の所属を隠し論文に登場したことも発覚。東京慈恵医大、千葉大、滋賀医大、名古屋大の研究への関与が次々と明らかになり、各大学は研究の透明性やデータの信頼性の調査を開始、名古屋大以外ではデータの操作や不一致が指摘される重大事態に至った。

 当時、特捜部の念頭にあったのは贈収賄罪の立件だ。企業から渡される寄付金に、監修料、講演料―。研究者側が資金提供の見返りとしてディオバンに有利な論文を書いたのではないか。治療法の選択に科学的根拠を重んじる時代の流れに乗り、論文を販売促進に利用したのではないか。

 収賄罪が成立しうる国公立大の教授たちが研究を率いていただけに、長らく大型の汚職事件から遠のいていた特捜部に期待感が広がった。

 だが、立件のめどが立たないままディオバン問題をめぐる捜査は中断。昨年9月、徳洲会グループの一斉捜索に入り、公選法違反という別事件に取り組むことになる。

 ▽ゼロから

 折しも、政府は新しい薬や機器の開発を経済成長の柱に据え、米国立衛生研究所にならった「日本版NIH」の設置を掲げていた。前提となる日本の臨床研究の信頼が失墜したままではまずいと、厚生労働省は昨年8月、事実解明と再発防止策の提言を目指し検討委員会を設置した。しかし白橋容疑者や研究代表者の教授らに任意の聴取を行っても、誰が何のために改ざんを実行したのか特定できなかった。委員の一人は「お願いをして話してもらうことに限界を感じた」と述懐する。

 結局、厚労省は今年1月、薬事法違反(誇大広告)容疑で東京地検に告発状を提出。捜査幹部は「厚労省の調査では何も分からず、ノ社と大学が責任のなすりつけあいをしたまま、こちらにボールを投げられた。ゼロからのスタートだ」と不満をあらわにしていた。

 ▽癒着放置

 汚職事件へ発展する見通しが立たない中、特捜部は2月、ノ社本社などを家宅捜索。その後も「何か出てこないか」(捜査関係者)と対象を拡大したが、大きな成果は得られなかった。

 それでもカルテや入力データを精査する地道な捜査を重ね、誇大広告容疑での逮捕にこぎ着けた。東京大の上昌広(かみ・まさひろ)特任教授(医療ガバナンス論)は「ノ社の社内では複数の部署が関係しており、一人でできる行為ではない。京都府立医大側の関与も明らかでない。他大学にも同じ構造があるのではないか」と指摘、全体像がどこまで明らかになるかが焦点と見る。

 ただ、ある検察幹部は「正直なところ、重箱の隅をつつくような捜査だ」とこぼす。「臨床研究の現場に製薬会社が金も人もつぎ込み、医者も甘えていた。監督官庁の厚労省もこうした癒着を分かっていながら、放置してきた。『捜査でただすべきだ』との意見もあるが、法律には壁がある。そう簡単にはいかない」

確定検査受けずに中絶 「陽性」判定の2人 新出生前診断

共同通信社 2014年6月12日(木) 配信

 妊婦の血液でダウン症など胎児の3種類の染色体異常を調べる新出生前診断で、異常の疑いがある「陽性」と判定された妊婦のうち、少なくとも2人が羊水検査などの確定診断を受けずに中絶していたことが日本医学会の集計で11日分かった。

 例えばダウン症の陽性と判定されても、35歳の妊婦では20%でダウン症ではないため確定診断が必要で、新出生前診断の結果だけで中絶してしまうことが導入当初から懸念されていた。検査できる医療機関を認定した日本医学会は、ほかに同様の事例がないか調べており、遺伝カウンセリングの在り方など再発防止策を協議している。

 日本医学会によると、2人は陽性との判定を受けた病院とは別の病院で中絶した。うち1人は、新出生前診断をした病院で結果に関する遺伝カウンセリングを受け、おなかに針を刺す羊水検査を予約したが、検査当日に来なかった。もう1人も含め、3種類のどの染色体異常で陽性判定を受けたかは不明。

 検査は、妊婦の血液に含まれるDNA断片を解析し、ダウン症、13番と18番の染色体異常を調べる。国内では昨年4月に始まり、1年間で7775人が受け、全体の1・8%に当たる141人が「陽性」と判定された。

 日本医学会検討委員会の福嶋義光(ふくしま・よしみつ)委員長(信州大教授)は「この検査では確定しないとの理解が不十分だったのではないか。検査を禁止しても、水面下で行われてしまう問題がある。社会全体で検査の位置付けについて議論を進めてほしい」と話している。

 ※新出生前診断

 妊婦の血液に含まれるDNA断片を解析し、胎児の3種類の染色体異常を比較的高い精度で調べる検査。21番染色体に異常があるダウン症、心臓疾患などを伴う13番と18番の染色体異常(13トリソミー、18トリソミー)を判定する。陰性の的中率は99%以上と高いが、陽性と判定された場合、例えばダウン症である確率は35歳で80%、40歳で94%などと精度に幅があるため、確定診断には羊水検査などが必要。日本医学会が認定する医療機関で昨年4月から、染色体異常のある子の妊娠歴や高齢妊娠などを条件に実施され、1年間で7775人が検査を受けた。

感染症の遺伝子検査「数秒で」 新ナノ素材、名大が開発

朝日新聞 2014年6月12日(木) 配信

 名古屋大学工学研究科のチームが、新しい遺伝子検査用の素材を開発した。ごく少量の血液で瞬時に目的の遺伝子を検出できる。実用化が進めば、細菌による食中毒や感染症などの確定診断が、その場ですぐに正確にできるようになるという。11日付の英科学誌サイエンティフィック・リポーツ電子版に発表した。

 感染症などの遺伝子検査では、血液などからDNAを取り出し、原因と思われる一部を増殖して目的の遺伝子を確認する方法が一般的だ。ただ、増殖には数時間から数十時間を要し、誤差が出る恐れもある。このため研究チームは今回、DNAを増殖しないで済む新素材を開発した。

 1ミリ角より小さなガラス基板に、太さ約10ナノメートル(ナノは10億分の1)の針金でできた「もみの木」が密生したような構造だ。新素材に血液を一滴通すとDNAの鎖がばらばらになる。目的の遺伝子を含むDNA断片は、蛍光色素を含む溶液内で色素と反応することで発見できる。

 この技術を応用すると、がん細胞の目印である複数のDNA断片やたんぱく質も短時間で一度に検出できるという。馬場嘉信教授は「感染症には、すぐ確定診断をして治療することが必要なものもある。2年後には実用化したい」と話す。(鈴木彩子)

13歳少年、実はロシアの人工知能 3割の人だまされる

朝日新聞 2014年6月10日(火) 配信

 ロシアで開発された人工知能が、知性を試す「チューリング・テスト」に合格した。テストが提唱された1950年以来初めてという。この実験を手がけた英レディング大が発表した。13歳の少年を装って「会話」した人工知能が、実験に参加した33%に人間だと思わせることに成功。合格ラインとしている30%を超えた。

 実験は、テストの考案者で、コンピューターの概念をつくったアラン・チューリングの没後60周年にあたる7日、ロンドンの英王立協会で行われた。ビジネスマン、人工知能研究者、女優といった様々な職業の計30人が「審判」として参加した。

 審判は5分間、別の場所にいる「相手」と文字で会話(チャット)をする。その後、相手が人間か、人間のふりをする人工知能かを判定するという仕組み。同大のケビン・ウォリック客員教授は朝日新聞の取材に「厳密を期すため、全員一斉に行い、話す内容の制限もしなかった」と話した。

 テストには5台のスーパーコンピューターが挑戦。「ユージーン」と名乗る13歳の少年を装ったロシアの人工知能が、33%の審判をだますことができた。ほかの4台は30%を下回った。

 サイエンス作家の竹内薫さんは「13歳という設定が勝因だろう。いろいろなことを知っているが、知らないこともある年齢だ。ただ、会話の内容を理解していなくても人間のふりはできるという反論もある。今回の結果でコンピューターが知性を持ったと結論が出るわけではなく、考える機械への第一歩と捉えるべきだ」と話している。(冨岡史穂)

伝え方研修したら…難治がん告知、患者うつ軽く

読売新聞 2014年6月11日(水) 配信

 再発がんなど治療困難ながんの告知は、患者とのコミュニケーションの研修を受けた医師が行うと、がん患者のうつの程度が低かった、との研究結果を厚生労働省研究班が10日、米国臨床腫瘍学会誌電子版に発表した。

 医師向けのコミュニケーション研修の効果が、患者への大規模な調査で確認されたのは世界で初めて。

 研究は、2006~07年、国立がん研究センターの中堅医師30人を、研修を受けるグループ、受けないグループに分けて実施。各医師が受け持つ患者計601人に心理検査を行い、難治がん告知後のうつの程度などを数値化し比べた。

 研修は2日間。〈1〉ときどき沈黙し、相手が考える時間を設ける〈2〉「はい」「いいえ」の答えで終わる質問ではなく、自由な発言を引き出す問い方を心がける--などの面接技術を学ぶ。

 その結果、うつの程度を調べる心理検査(最高21点)で、未研修の医師が受け持った患者の平均は、受診を勧める基準(5点以上)を超える5.32点だったが、研修した医師の患者は4.59点と低かった。

 分析した国立精神・神経医療研究センターの藤森麻衣子・自殺予防総合対策センター室長は「コミュニケーション力は性格など個人の資質と思われがちだが、学習で向上する部分も大きい。研修を広めたい」と話す。

副作用の可能性1万例 ノ社、報告漏れか調査

共同通信社 2014年6月10日(火) 配信

 製薬会社ノバルティスファーマが白血病薬の重い副作用を国に報告していなかった問題で、ノ社は9日、同社の販売する薬の副作用に関係する新たな資料が多数見つかり、副作用の可能性がある症例が約1万例に上るとみられると発表した。このうち重い症例など、厚生労働省に報告すべき義務を怠った症例がなかったか調査している。

 ノ社は4月中旬、全社員約4500人を対象に薬の種類を問わず、副作用に関する情報を調査。その結果、2002年以降の電子媒体の記録や手書きメモ、医師の講演会のスライドなどが多数見つかり、社内の安全性評価部門に約1万例が提出されていなかったと推定されるという。

 薬事法では、重い副作用を把握してから15日または30日以内の報告が義務付けられている。ノ社の社内規定では、営業担当社員が副作用情報を把握した場合、24時間以内に安全性評価部門に報告することになっている。

 ノ社では白血病治療薬の重い副作用10例を含む33例について、薬事法に基づく報告対象に当たる可能性がありながら報告していなかったことが明らかになり、ほかに報告漏れがないか社内で調査している。

##またノバリティスファーマですか。この会社、もうやめたほうがいいですよ。世のためです。

痛風 肥満・飲酒より「遺伝子」 防衛医大チーム、予備群を調査

毎日新聞社 2014年6月10日(火) 配信

痛風:肥満・飲酒より「遺伝子」 防衛医大チーム、予備群を調査

 足の親指の付け根などが激しく痛む痛風の予備群とされる「高尿酸血症」の発症には、肥満や飲酒よりも、体外に尿酸を排出するのにかかわる遺伝子の変異が強く影響しているとの研究結果を、中山昌喜・防衛医科大医官らの研究チームが9日付の英科学誌電子版に発表した。

 研究チームの松尾洋孝・同大講師は「事前に自分の遺伝子について知っておけば、肥満予防など健康管理に生かせるのではないか」と話す。

 高尿酸血症の人は国内に約1000万人いると推計され、原因の一つに「ABCG2」と呼ばれる遺伝子の変異があることは分かっていた。

 今回、健康な人を含む35~69歳の約5000人の男女を対象に、高尿酸血症の要因を調べた結果、肥満(19%)や多量飲酒(15%)、加齢(6%)より、遺伝子変異(29%)の方が高かった。

 高尿酸血症への遺伝子変異の寄与度は、喫煙が発がんに与える影響と同程度と考えられるという。

 日本人の約半数が、この遺伝子変異を持つとされ、日本人に最も多いのは尿酸の排出機能が4分の3に下がるタイプ。このタイプの場合、身長170センチの男性に与える影響は、5・7キロの体重増、毎週ウイスキー1・7リットル分のアルコール摂取に相当した。機能が半分まで下がるタイプではその倍の影響があるとみられる。【清水健二】

世界最高齢に家族も驚き 百井盛さんの長男

共同通信社 2014年6月10日(火) 配信

 世界最高齢の男性の死亡に伴い、男性世界最高齢となったとみられるさいたま市の百井盛(ももい・さかり)さん(111)の長男邦雄(くにお)さん(82)が10日、同市の自宅で取材に応じ「驚いた。親戚や友人から電話がたくさんあった。近いうちに、自分の孫を連れて面会に行きたい」と話した。

 さいたま市によると、百井さんは東京都内の療養型の病院に入院中。5月中旬に市職員が面会した際には、1時間ほど椅子に座って応対した。補聴器を使って受け答えし、筆談を交えながら、教員時代の思い出話などをしていたという。

 百井さんは読書が趣味で、「四書五経」など中国の古典に精通。書道も得意で、邦雄さんの妻によると、盛さんは病院でも書道をたしなんでいるという。

悪玉コレステロールの適正値は 人間ドック学会、健診基準値緩和案

朝日新聞 2014年6月10日(火) 配信

 健康診断の基準値を緩める日本人間ドック学会の案は、「治療を受ける必要ないのか」などと波紋を呼んだ。特に、悪玉コレステロールの「LDL―C」は、上限値が大幅に上がっている。どう受け止めたらよいのか。

 ■動脈硬化学会「リスク見過ごす危険も」

 滋賀県東近江市の主婦村上順子さん(65)は、6年前の健診で血液1デシリットル中のLDL―C値が184ミリグラムになり、初めて注意の印がついた。その後、188、195と上がり、内科医の診断で薬を飲み、90前後に下がった。

 しかし、村上さんと同年代の友人は、ほぼ同じ値なのに「薬は必要ない」と言われていた。「週3回、テニスなどをし、食事にも気を付けているのに、その努力を否定されたように感じた」と話す。

 人間ドック学会と健康保険組合連合会が4月に発表した健診基準の緩和案では、65歳以上の女性は上限が190になる。村上さんは薬を飲まなくても、健康の範囲に入るかもしれない。しかし、日本動脈硬化学会の指針では年齢、性別に関係なく140以上を病気としている。

 二つの基準は、求め方も意味合いも異なる。

 人間ドック学会は2011年の人間ドック受診者約150万人のうち、「がんなどにかかっていない」「たばこを吸わない」といった条件で絞った「健康な人」から、無作為に5万人を選んで各検査項目の値をみた。最高と最低からそれぞれ2・5%を除くなどして、各測定値ごとに残った数千~2万人程度の「超健康人」の値を基準にした。健診時の状態が健康かどうかを示しているという。

 一方、動脈硬化学会の基準は、日本人約1万人を約20年間追跡した調査で、心臓の血管がつまる病気(冠動脈疾患)で死亡した人の割合を元につくった。

 LDL―Cの値が119以下に相当する人ではリスクにほとんど差がないが、120~139で1・4倍に、140~159では1・7倍になった。140以上を治療しなければならない病気「高LDL血症」とし、120~139を病気と正常との境界とした。基準の目的は、心筋梗塞などを予防することだ。

 動脈硬化学会の佐藤靖史理事長は「今は健康な人の中にも、将来、心筋梗塞(こうそく)などを起こすリスクが相対的に高い人がいる。健診の新たな基準では、それが見過ごされる危険がある」と指摘する。

 人間ドック学会の渡辺清明理事も「今回の基準案は、将来の危険度を判別する専門学会の診断基準とは意味が違う。治療については医師に相談してほしい」と説明している。

 ■治療、意見分かれる

 動脈硬化学会の指針によると、日本人の中高年者は高血圧などの問題点がなければ、10年以内に冠動脈疾患で死亡する確率は1、2%かそれ以下。LDL―C値の高い人が、それを下げても死亡率は0にならない。2、3割減るという疫学研究があることから、1%の死亡率が0・7%に下がる程度とみられる。

 また、LDL―Cを含む総コレステロール値が低いと、日本人にはもともと少なかった冠動脈疾患は減るものの、多かった脳卒中などが増えるという疫学研究もある。

 病院に通い、薬を毎日飲むという経済的、時間的な負担に見合う利益が、LDL―C値を下げることにあるのかどうかは意見が分かれている。

 動脈硬化学会の岡村智教理事は「基準を超えたら、ただちに薬を使うというのは誤解だ。例えば、若い女性は冠動脈疾患の危険が低いことなどを指針に反映している」と説明する。

 12年に改定した学会の指針では、140以上を病気としているが、59歳以下の女性は、糖尿病などがなければ180未満は薬物治療は必要ないとする。目標値は160だが、達成しなければならないとはしていない。男性も、高血圧や喫煙などの危険要因がなければ同様だ。

 LDL―C値の高低が、冠動脈疾患だけでなく様々な死因に与える影響を考えた場合、適正な範囲はどうあるべきか。専門家の意見は一致していない。(鍛治信太郎)

 

延命中止で共同提言へ 救急・集中治療、3学会 呼吸器取り外しも選択肢

共同通信社 2014年6月9日(月) 配信

 治療を尽くしても回復の見込みがなく、死期が迫った患者への対応に関し、日本救急医学会と日本集中治療医学会、日本循環器学会は6日までに、延命治療を中止する際の手続きを明文化した「救急・集中治療における終末期医療に関する提言(指針)」案を共同でまとめた。人工呼吸器の取り外しも選択肢に含まれている。

 これまで各学会がそれぞれ同種の指針や勧告などを公表していたが、表現が異なることなどから「医療現場や患者、家族、社会に混乱を招く恐れがある」として関係3学会で議論を進めてきた。一般の意見も募り、早ければ今秋にも決定する方向で手続きを進める。

 3学会共同の提言案は、2007年に日本救急医学会が公表した指針を土台に作成。新たな項目として、「患者が終末期であると判断され、その事実を告げられた家族らは激しい衝撃を受け、動揺する」とし、心のケアも盛り込んだ。

 提言案によると、救急患者や集中治療室(ICU)で高度な治療を受けている患者の終末期として(1)不可逆的な全脳機能不全(2)生命が人工的な装置に依存し、生命維持に必須な臓器の機能不全が不可逆的であり、移植などの代替手段もない(3)その時点で行われている治療に加えて、さらに行うべき治療方法がなく、近いうちに死亡が予測される―などのケースを例示。

 複数の医師と、看護師らで構成する医療チームが、患者本人の意思を確認し、それができない時は家族らの総意としての意思を確認して延命治療を中止するとした。

 具体的には人工呼吸器、人工心肺装置の停止も選択肢の一つとして認め「短時間で心停止することもあるため、状況に応じて家族らの立ち会いのもとで行う」とした。他にも、呼吸器の設定や昇圧薬の投与量の変更、水分や栄養補給の減量か終了などを挙げた。

 「薬物の過量投与や筋弛緩(しかん)薬投与などの手段で、死期を早めることはしない」と明記した。

PM2・5健康影響調査 兵庫医大全国初、妊婦と子対象 尼崎市で

神戸新聞 2014年6月9日(月) 配信

 兵庫県内でも注意喚起が相次ぐ大気中の微小粒子状物質「PM2・5」について、兵庫医科大(西宮市)は、妊婦とその子どもの健康への影響を探る調査を尼崎市内で始めた。PM2・5の濃度が高いと、子どものぜんそく症状が悪化するという研究データがあるが、妊娠中にさらされた母と子のアレルギー、ぜんそく発症などへの影響を調べるのは国内で初めて。(金井恒幸)

 同大は2011年から、全国の母子約10万組を対象にした環境省調査の一環で、ダイオキシンや水銀などと健康異変との関係を調べている。

 人口規模や、自動車交通などによる大気汚染に悩まされてきた地域性を踏まえて尼崎市を調査地に選定。PM2・5は、同大が環境省調査に加えて独自に同省に提案し、承認を得て今年2月に始めた。

 同意が得られた妊婦の自宅内外に大気の測定機器を設置し、血中や尿中のアレルギー反応や炎症の有無を確認。PM2・5のほか、車の排ガスによる窒素酸化物や光化学スモッグの原因となるオゾンとの関連を調べる。

 8月末までに50~60世帯で調査することが目標。秋以降は環境省調査の一部として1歳半と3歳の子どもにも実施し、長期的な影響を探りたいという。

 国のPM2・5暫定指針策定にも関わった島正之主任教授(公衆衛生学)は「欧米ではPM2・5の影響で低体重児や早産が増加したとの報告がある。今回の調査でさらに詳しく妊婦と出生児への影響をみて、健康を守るデータとして役立てたい」と話す。

 【PM2・5】 大気中の浮遊物質のうち直径2・5マイクロメートル以下(マイクロは100万分の1)の粒子。小さいために鼻や口の粘膜では捉えきれず、肺の奥深くに到達しやすく、人体への影響が出やすいとされる。車の排ガス、工場から出るすすや煙などに含まれる。近年、中国からの飛来が問題となっている。

子どもの情動に影響可能性 妊婦のウイルス感染で 三重大、ラットで確認

共同通信社 2014年6月9日(月) 配信

 妊娠中にウイルスに感染すると、理解力や感情のコントロールなど情動や認知行動に問題のある子どもが生まれる可能性があることをラットによる実験で突き止めたと、三重大(津市)の研究グループが日本小児神経学会の専門誌(電子版)に6日までに発表した。

 研究グループによると、母親が妊娠中、ウイルスに感染すると、白内障や難聴などの子どもが生まれる可能性が高まることは知られていたが、情動や認知行動への影響はほとんど分かっていなかった。

 グループの大河原剛(おおかわら・たけし)大学院医学系研究科講師(発生再生医学)は「具体的にどの時点で感染すると危険なのか明らかにし、情動や認知行動の障害に対する効果的な予防法を確立したい」と話している。

 研究グループは、妊娠したラットに、免疫細胞が活性化する「感染状態」を引き起こす特殊な薬剤を投与。その母親から生まれ、人間の思春期に当たる生後50日のラットの脳にある海馬を調べたところ、セロトニンという神経伝達物質の量が、通常のラットに比べて40%以上少ないことが分かった。

 セロトニンが少ないと情動や認知行動に悪影響を及ぼすことが分かっており、自閉症やうつ病もセロトニンの量に関係があるとされている。

認知症リスク、喫煙者は2倍 九州大、住民調査で判明

朝日新聞 2014年6月8日(日) 配信

 たばこを吸う高齢者は、吸わない人に比べて、認知症になる危険が2倍に高まる――。福岡県久山町の住民を対象にした九州大学の調査で、こんな結果が出た。喫煙の認知症への影響を示した日本人での研究は珍しいという。福岡市で開かれる日本老年医学会学術集会で14日に発表される。

 研究チームは、1988年に健康診断を受けた65歳以上で認知症がない住民712人(当時の平均年齢72歳)を15年間続けて調査した結果、202人が認知症と診断された。たばこを吸わない、吸っていたがやめた、吸うの3群に分け、認知症になった割合を比べた。

 吸う群は、吸わない群に比べて発症リスクが2倍だった。また、吸っていたがやめた群と、吸わない群ではリスクに差がなかった。チームは、禁煙が認知症の発症リスクを下げる可能性が示されたとみている。

 九州大学の小原知之助教は「喫煙は脳の老化や動脈硬化などを引き起こし、それらが認知症になりやすくしているのではないか」と説明する。(辻外記子)

要介護リスク、やせた男性は太った人の2倍

朝日新聞 2014年6月7日(土) 配信

 高齢者になると、やせた男性は太っている人と比べ、介護が必要になるリスクが約2倍高いとする調査結果を東京都健康長寿医療センター研究所のチームがまとめた。栄養の低さが健康に悪影響を与える可能性が示されたとしている。12日の日本老年医学会学術集会で発表する。

 チームは2002~12年、群馬県草津町の高齢者(12年時点で平均74歳)計1620人を昨年6月まで追跡調査した。最初の健診時で介護が不要だった1546人のうち、82人が死亡し、202人が介護サービスを受ける必要があると認められた。

 体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割った体格指数BMIと、肉や魚を多く食べると増えるたんぱくのアルブミン値、総コレステロールなど四つの指標で栄養状態を評価し、それぞれを高い順に4グループに分けて比較した。

 男性では、BMIが最も低いやせグループ(15・9~21・0)は、最も高いグループ(24・9~39・9)よりも、介護が必要になるリスクが1・9倍だった。アルブミンやコレステロールなどでも、栄養状態を示す数値が最も低いグループは、最も高いグループに比べ、リスクが高かった。

 女性は、BMIでは男性のような差が出なかった。理由ははっきりしないが、太っていることによる膝(ひざ)や腰への影響が男性より出やすいのではないかという。

 研究所の新開省二・研究部長は「体力低下やかむ力の衰えなど様々な要因で、高齢者は栄養不足になりがちだ。太ることを気にして動物性たんぱく質を敬遠せず、バランスよく食べてほしい」と話す。

続報真相 人間ドック新基準の波紋 「健康」と「病気」の境目どこに? 特集ワイド

毎日新聞社 2014年6月6日(金) 配信

特集ワイド:続報真相 人間ドック新基準の波紋 「健康」と「病気」の境目どこに?

 ◇高血圧やコレステロール 医療費2兆円減の試算も

 日本人間ドック学会などが4月に発表した健康診断の新しい「基準範囲」の衝撃は大きかった。すぐに健診に適用されるわけではないが、従来より「健康」の範囲が広がり、喜ぶ人もいれば「今まで薬を飲み続けたのは何だったの?」と戸惑う向きも。何が起き、どう受けとめればいいのか。新旧の基準作りに関わった医師や専門家に聞いた。

 学会と健康保険組合連合会が共同で示したのは、健診の検査27項目の新基準範囲。特に注目されたのが血圧とコレステロールだ。何しろ高血圧、高コレステロールの患者は全国で推定7000万人以上おり、関連医療費は3兆円を超す。

 現在の高血圧の診断基準は「最高血圧140以上か最低血圧90以上」だが、新範囲では最高147、最低94までは「健康」になる。LDL(悪玉)コレステロールも今の診断基準は「140以上」が脂質異常症だが、新範囲では男性は178まで、女性は45~64歳なら183まで、65歳以上は190までが「健康」だ。

 病気と健康の境目はそんなに簡単に変わるのか。まず学会学術委員長の山門実・三井記念病院総合健診センター特任顧問に尋ねた。

 「年を取ればコレステロールも血圧も自然に上がるのに、今の基準は考慮していない。加齢や男女差を反映した基準が必要だ」。山門さんは新範囲を作った理由をこう説明した。未公表だったが、血圧の男女・年齢別の数値=左の表=もある。高齢者になるほど範囲は広がり、70代後半なら最高血圧160も範囲内だ。医師間に以前からあった、高齢者の血圧を「年齢+90」まで正常と見る考えに近い。

 新範囲はこう求めた。2011年度に全国200施設の人間ドックを受診した約150万人から、検査項目ごとに▽がんなどの病歴がない▽喫煙なし▽他の検査項目で異常なし――などを満たす「超健康人」を1万~1万5000人選び、性・年代で分ける。極端な値の排除のため上位2・5%と下位2・5%の検査値を捨て、残った値を基準範囲と定める。つまり同性、同年代で元気な人の「人並みの範囲」ということだ。「基準範囲で検査結果が年齢相応か、などが分かる。健診を繰り返し、結果が範囲を外れかけたら手を打つ“先制医療”をやりたい」と山門さん。

 ただし血圧やコレステロールの基準値は従来「値が高いと将来、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)になる確率が高まる」との考え方で作られてきた。今回のように「今、健康な人」を調べても将来の発症率は分からない。現行基準を作った日本高血圧学会と日本動脈硬化学会はこの点を強く批判する。

 山門さんも批判を認め「新範囲を使えるのは5、6年後。範囲におさまる人たちを追跡調査し発症の少なさを確認した後だ」と話す。それでも「今回は問題提起だ。現行基準は厳し過ぎ現場に合わない。例えばコレステロールだと元気な高齢女性の半数弱がひっかかる。人間ドックを受けても(元気なうちの治療代がかさみ)生涯医療費が減らない可能性がある。基準を再考すべきだ」と訴える。

 関連の医療費は確かに高額だ。厚生労働省の「国民栄養調査」などによると、コレステロール降下薬を飲んでいる人は全国で約1100万人おり、服用率は70代女性で31%に達する。薬代は年間約3500億円。大櫛(おおぐし)陽一・東海大名誉教授(医療統計学)は「診察代などを含め、医療費は最大で年間1兆3000億円」と試算する。他に、薬は飲んでいないがLDLコレステロールが現行基準以上の人が約2000万人いる。

 一方、降圧剤の服用者は約2200万人で、70代では過半数が飲んでいる。医療費は最低でも年間約1兆9000億円。別に病院外薬局での薬代が数千億円あり、合計は軽く2兆円を超す。薬なしの人も含め患者は推定4300万人だ。

 仮に新範囲を正常とすれば患者は激減し、医療費は大櫛さんの試算で2兆円以上減る。「5000億円で全国のがん患者の医療費を自己負担無料にできる」(濃沼(こいぬま)信夫・東北薬科大教授)との試算もあり、医療を揺るがす大問題だ。

 これに対し、現行基準を掲げる動脈硬化学会は「日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの」と新範囲への批判を発表した。現基準作りの中心だった寺本民生・帝京大臨床研究センター長は「我々の基準はコレステロールと心筋梗塞の関係を調べた19年間の追跡調査に基づく。人間ドック学会のような一時点の調査で改定する気にはならない」と手厳しい。

 ただ現基準の「LDL140以上」が妥当だといえる理由を聞くと「それはノーアンサー」。答えが存在しない、というのだ。発症率はコレステロールの上昇と共に少しずつ上がり「正常」と「病気」の境目を分ける決め手はないという。

 日本人の心筋梗塞発症率は欧米の3分の1~5分の1。同学会が基準の根拠とした調査「NIPPONDATA80」=右の図=によると、例えば60歳未満の女性が心筋梗塞などで死亡する率は、コレステロールがいくつでも10年間で0・5%未満だ。寺本さんは「脂質異常症なら薬で治療するとは限らない。私は50代、60代の女性を治療せず帰すことが多い」と話す。なおNIPPONDATAはLDL以外のコレステロールも含めた「総コレステロール」の値を調べたが、学会は結果をLDLに読み替えた。「LDL140」は「総」で220に相当する。

 九州大の馬場園明教授(医療経営、臨床疫学)らはコレステロール降下薬の効果を試算し、07年に論文を発表した。男性で4200~6800人、女性で1万1000~1万8000人が薬を1年間飲むと、男女各1人が「心筋梗塞による死亡」を免れる。この人数の薬代は男性で計2・5億~4・1億円、女性は6・4億~10・5億円。さらに心筋梗塞以外の死因も含めた「総死亡」で見ると服薬で死者数は減らず、むしろ増えるとの結果だった。「コレステロールが下がると脳卒中やがんが増えるとの指摘があり、薬の効果は総死亡で評価すべきだ。健康保険という公費で医療をする以上、経済的な分析も必要だ」と馬場園さん。

 根拠に基づく医療(EBM)の推進で知られる名郷直樹・武蔵国分寺公園クリニック院長も「新範囲の作り方は追跡調査がなく不適切だが一方、心筋梗塞を世界一起こしにくい日本人女性が世界一多くコレステロール降下薬を飲んでいる」と指摘。「50歳未満で糖尿病のない女性は心筋梗塞をまず起こさないからコレステロールを測るべきでない。50歳以上も糖尿病などリスクがなければLDL180~200で問題ない。男性はリスクなしで160、あれば140程度を基準に診療している」と言う。

 高血圧学会は「(新範囲の)血圧値『正常』の一部には(現行基準の)『要再検査』『要治療』が含まれている」と声明を出した。学会で基準作りの責任者だった島本和明・札幌医大学長は「“高齢で元気な人”の血圧値を基準にすると、その年齢まで生き残った人たちだけを見ている可能性があり危険」と新範囲を批判し、現行基準を緩和するつもりはないという。

 それでも「すぐ薬で治療」ではない。同学会の治療ガイドラインは高血圧の診断から数日~3カ月以内の服薬開始を勧めるが、島本さんは「この期間でないとダメという証拠はない。以前は半年以内の服薬を勧めていた。医師と患者が話し合う余地はある」と明言した。LDLコレステロール同様、健康と病気の境を分ける決め手はない、とも。

 柴田博・日本応用老年学会理事長は新範囲を「英断」と評価し「高齢者の血圧が高いのは臓器への血流を保つため。どこまで下げるかは一律でなく患者一人一人について考えるべきだ」と語る。さらに「高血圧学会は脳卒中、動脈硬化学会は心筋梗塞だけを考えている。がんなど全死因を考えて基準を作るべきだ」と訴える。

 名郷さんは「降圧剤を使うのは最高血圧160以上が目安」との見解だ。それ以下、140~159の人が脳卒中になる率は年齢などで違うが、例えば年0・3%なら薬を飲めば0・2%に減る程度という。そして「患者の事情次第で、家族の介護役で絶対に脳卒中になりたくないなら薬を飲めばよいし、薬代よりおいしい食事との考えもある。薬を飲む場合、飲まない場合の発症率を医師に聞き判断してほしい」と語る。

 血圧やコレステロールの薬は生涯飲む人も多い。何が大事かじっくり考え、医師と相談するのがよさそうだ。【高木昭午】

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 ■日本人間ドック学会による血圧の男女、年代別新基準範囲

年     男            女

      最高血圧   最低血圧  最高血圧   最低血圧

30~34 91~136 51~86 85~126 48~81

35~39 92~138 54~89 86~129 49~83

40~44 93~143 55~94 87~135 50~87

45~49 92~146 56~97 87~140 50~90

50~54 93~151 56~99 88~147 51~93

55~59 94~153 56~98 86~147 52~93

60~64 94~157 57~99 88~152 52~95

65~69 93~157 56~97 90~156 53~95

70~74 92~159 55~96 91~161 51~93

75~79 91~160 53~94 94~161 54~95

1qトリソミー、国内21人…染色体重複で障害

読売新聞 2014年6月7日(土) 配信

 1番染色体が部分的に重複し、重い病気や障害を伴う「1qトリソミー」の患者が、国内に少なくとも21人いることが、長崎県の医師らが行った初の全国調査で分かった。

 世界でも30例程度しかないとされていたが、今回、成人までの患者の存在が判明し、症例に関する研究や患者家族のケアに役立つことが期待される。

 「みさかえの園総合発達医療福祉センターむつみの家」診療部長の近藤達郎医師(長崎大元准教授)が今年1月、日本小児遺伝学会の医師249人にアンケートし、150人から回答を得た(回答率60%)。

 それによると、埼玉県立小児医療センター(さいたま市)で6人、大阪府立母子保健総合医療センター(大阪府和泉市)で2人など、0-21歳の男女計21人の患者を診たとの回答があった。呼吸器の病気など合併症について追加調査している。

STAP発表「過度に注目集め不適切」…検証委

読売新聞 2014年6月6日(金) 配信

 STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の「自己点検検証委員会」が、1月の論文掲載時の報道発表に不適切な点があったとする見解をまとめていたことが分かった。

 論文作成の経緯などを調べた報告書案で、「社会の注目を過度に集めるような報道発表の仕方が、問題を一層複雑にした」と指摘した。新たな予算獲得につなげようとする研究者の思惑があったのではないかとの見方も示した。

 1月の記者会見では、笹井芳樹副センター長と小保方晴子ユニットリーダーらが、STAP細胞の重要性を強調。英科学誌ネイチャーで掲載にこぎ着けるまで、論文の審査者からの注文に、センターをあげて対応したなどと説明した。小保方氏は「リケジョ(理系女子)の星」と注目を集め、かっぽう着姿で研究に取り組む様子も話題になった。

梅毒、都市部の男性中心に拡大 昨年、21年ぶり千人超

朝日新聞 2014年6月6日(金) 配信

 梅毒の患者が増えている。国立感染症研究所の調べによると、昨年の患者数は1226人で、21年ぶりに1千人を超えた。今年も5月25日までで548人と、昨年を上回るペースで増え続けている。性行為で感染するため、疑いがあれば速やかに医療機関を受診し、感染を広げないよう呼びかけている。

 都道府県別では、東京が172人と最も多く、大阪71人、愛知56人、神奈川36人、千葉20人と都市部で広がっている。患者の約8割が男性で、特に20~40代を中心に増えている。男性同士の性的接触による感染が多いが、最近は女性にも広がりつつあるという。

 国内の患者数は戦後間もないころは10万人を超えていた。その後、治療薬の普及で減り、2001~05年は500人台で推移していたが、11年から3年連続で増えている。

 梅毒は感染して2、3週間後に陰部などに潰瘍(かいよう)ができ、2、3カ月後に全身に発疹が出る。その後、数年から数十年して大動脈瘤(りゅう)ができたり、認知症や歩行障害を起こしたりすることがある。妊婦が感染すると、赤ちゃんの手や足の骨が発達しなかったり、目や耳に障害が出たりする。

 治療にはペニシリンが有効。早期なら2週間ほど薬をのみ続ければ治る。感染研感染症疫学センターの山岸拓也主任研究官は「パートナーとともにできるだけ早く病院を受診してほしい」と話す。(土肥修一)

細胞死“目印”出現防ぐ物質 京大グループ発見

京都新聞 2014年6月6日(金) 配信

 生きた細胞を死んだと間違って処理されないようにするタンパク質を、京都大医学研究科の長田重一教授や瀬川勝盛助教らのグループが見つけた。死んだ細胞の処理システムが正しく機能する上で欠かせない役割を果たし、血液難病などの発症と関連している可能性があるという。米科学誌サイエンスで6日発表する。

 細胞は、がん化やウイルス感染した場合、自ら死んで他を守る「アポトーシス」を起こす。死んだ細胞は、表面に目印分子フォスファチジルセリンを出して、異物を食べる貪食(どんしょく)細胞に認識されて分解される。

 グループは、生きた細胞の表面に目印分子が出てしまうのを防ぐタンパク質ATP11Cを見つけた。マウスの実験で、このタンパク質をなくすと生きた細胞でも目印分子が表面に出て、貪食細胞に食べられた。

 グループは、死んだ細胞の表面に目印分子出す働きのあるタンパク質も既に見つけており、目印分子の制御システムをほぼ解明することに成功した。

 これらのタンパク質がきちんと機能しないと、がんや白血病、血液成分が減少する血球貪食症などを発症する可能性がある。長田教授は「病気との関わりや類似したタンパク質にも同じ機能があるかどうかなどを詳しく調べたい」と話している。

認知症、早期診断生かすには

毎日新聞社 2014年6月6日(金) 配信

くらしナビ・ライフスタイル:認知症、早期診断生かすには

 アルツハイマー型認知症の早期診断に向けた取り組みが進んでいる。検査技術の進歩で、発症前に脳内の異変が察知できるようになったが、必ず発症するとは限らず、現在は確実な予防法も根本的治療薬もない。このため、不安をあおる可能性があるなどとして、検査の利用を拡大していくかどうかについては慎重な議論が続いている。検査の実際と注意点をまとめた。

 ●ガイドライン作成

 アルツハイマー型認知症は、脳内にたんぱく質の一種のアミロイドベータなどが蓄積して神経細胞が死に、認知機能や生活能力が低下する。こうした脳内の変化は、物忘れなどの症状が表面化する前に始まっている。

 現在の技術でも、脳内のアミロイドベータの蓄積状況を画像で診断することは可能だ。ただし現在、医療現場では研究や治験以外の目的で利用できない。将来、認知症を発症する可能性が高いと分かっても、発症を抑えたり根本的に治療したりする薬がなく、症状の進行を遅らせるなどの対処しかできないためだ。

 こうした現状を踏まえ、医療現場での適切な検査技術の利用に向けた取り組みが始まっている。日本神経学会、日本認知症学会、日本核医学会は合同で、どのような場合に画像診断(アミロイドPET)を実施するのが適当かガイドラインをまとめ、一定の基準を示すとともに、検査の有用性を判断したり、画像を診断したりするための資格要件などを定めた。

 ガイドラインでは、アミロイドPETが有用なケースを(1)アルツハイマー型認知症かそれ以外の疾患か区別が難しい場合の鑑別診断(2)若年性認知症の診断――などとし、既に症状が表面化した人を対象としている。

 一方、フォローアップができない▽被験者や家族が結果を受け止められない――など倫理的問題が解決できない場合や、重度▽診断がはっきりしている▽物忘れなどの症状がない――など検査結果がその後の治療に生かせない人への検査は「不適切」とした。

 とりまとめの座長を務めた、東京都健康長寿医療センター研究所の石井賢二研究部長は「画像は診断の決め手になる」とする一方、「根本治療薬がない中で、早期診断によって生活習慣の改善を図り、治療効果や予後改善が期待できるかは今後の検討課題だ。いたずらに不安をあおったり検査結果が不適切に利用されたりすることにもなりかねず、利用には慎重な判断が必要」と指摘する。

 ●発症可能性分かる

 ただアミロイドPETの積極的な利用を主張する医師もいる。湘南厚木病院の畑下鎮男副院長(脳神経外科)は「医師として責任ある診断をするためにもアミロイドPETは必要だ」と話す。

 同病院では2007年から希望者に対し、研究目的としてアミロイドPETの検査を行っている。症状や脳の萎縮状況からアルツハイマー型認知症と診断されても、アミロイドPETで診断が覆ったケースもあるという。自覚症状がない人でも2割にアミロイドベータの蓄積がみられ、そのうち約半数が5~6年以内にMCI(軽度認知障害)へ移行した。

 検査前に本人と家族に対して内容や趣旨を説明し、結果もすべて伝える。検査で蓄積が分かった人には、定期的に通院してもらい様子を確認する。規則正しい生活や食事の指導に加え、体操や散歩、趣味や仕事を続けたり他人と接する機会を増やしたりするようアドバイスもする。

 畑下医師は「患者との信頼関係を築けば、不安感だけを与えることにはならない。発症前に可能性が分かれば、自覚して予防のために動くこともできる」と強調する。

 ●「心の準備」で自信

 07年にアミロイドPETを受けてMCIと診断された神奈川県厚木市の男性(74)は「いつか認知症になるなら早く分かって良かった。友人にも(検査を)勧めたい」と話す。娘に説得されて消極的に受けた検査だったが「素人の私でもはっきり分かるカラー画像で説明されれば納得するしかない。覚悟も決まる」

 診断以来、大事なことはメモを残したりカレンダーに書き込んだりしている。夫婦で散歩や小旅行も楽しむ。時間の経過とともに症状の進行を実感する妻(69)も「今まで何とかやってこられたし、今後も何があっても対処できると思う。急に認知症と言われるよりは、心の準備期間があることで前向きに捉える自信がついた」と言う。

 国立長寿医療研究センターが行った04年に行った意識調査では、将来認知症になった場合に告知を望む人は8割を超えた。65歳以上の4人に1人が認知症かその前段階のMCIとされる中、国は「早期診断・早期対応」を認知症施策の柱に掲げる。しかし本人にとって最適な診断時期についての議論は始まったばかりだ。【中村かさね】

アルツハイマー抑制タンパク質 滋賀医科大チーム発見

京都新聞 2014年6月6日(金) 配信

 脳内のタンパク質「ILEI(アイレイ)」がアルツハイマー病の原因物質の生成を妨げ、発症を抑制する効果があることを滋賀医科大分子神経科学研究センターの西村正樹准教授らの研究グループが発見し、4日、英科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」の電子版に発表した。副作用リスクの少ない治療薬の開発が期待できるという。

 アルツハイマー病は、特定の酵素の働きで生まれたアミロイドベータ(Aβ)と呼ばれるタンパク質の断片が脳内に蓄積して発症するとされる。この酵素の働きを抑え込む従来の薬剤開発では、別のタンパク質の分解まで阻んでしまい、皮膚がんや認知機能の低下など副作用が課題だった。

 同グループは、アルツハイマー病の患者の脳では正常な脳よりILEIが減っている点に着目。培養細胞でILEIを増やすと、分泌されるAβが約30%減ることが判明した。別のタンパク質の分解は正常に進み、副作用の危険性が抑えられた。

 実験では、アルツハイマーを発症するように遺伝子操作したマウスでILEIを生成すると、記憶障害を起こさずに健康なマウスと同等の成績を残した。

 西村准教授は「治療に向けた一つの方向性が示せた。副作用がない治療薬の開発につながってほしい」と話した。

臨床結果再検証、日本に支部 科学的根拠ある医療普及ねらい

朝日新聞 2014年6月5日(木) 配信

 世界の質の高い臨床試験の結果を再検証し、科学的根拠に基づく医療の普及につなげる「コクラン共同計画」の日本支部が国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)に設立された。研修やワークショップを開き、日本人研究者らの参加を支援していく。

 コクラン共同計画は、1992年にボランティアの医師らがつくった世界的ネットワーク。本部は英国で、理念を提唱した医師の名を冠した。同じ研究課題について、世界で実施された複数の研究を網羅的に分析、公表している。これまでに120カ国の3万人以上の研究者らが5千以上の論文をまとめた。

 日本支部の共同代表を務める森臨太郎・同センター政策科学研究部長は「コクラン計画は製薬企業などとの利益相反の管理が非常に厳しく、研究不正問題を解決する上でも参考になる」と話している。

小保方氏、主論文撤回へ STAP研究白紙に 同意書面に署名 検証実験の結果待たず

共同通信社 2014年6月4日(水) 配信

 理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダー(30)が、STAP細胞の作製を報告した主要な論文の取り下げに同意したことが4日分かった。補完的なもう1本の論文撤回には既に同意しており、英科学誌ネイチャーが2本の論文を撤回すれば、STAP細胞の研究成果は白紙に戻る。

 理研はSTAP細胞が存在するかどうか調べる検証実験を進めているが、その結果を待たずに、STAP細胞の存在は科学的に認められない状態になりそうだ。

 理研によると、小保方氏は論文の撤回に同意する書面に署名し、3日共著者に渡した。理研広報室は「不正を認めたのか、認めないが撤回するのか理由は把握していない」と話している。

 小保方氏らは1月30日付のネイチャーでSTAP細胞に関わる2本の論文を発表。主要論文は、STAP細胞の作製法や万能性を示す内容だった。理研の調査委員会は、主要論文の画像に捏造(ねつぞう)と改ざんの二つの不正を認定し撤回を勧告したが、責任著者の小保方氏やチャールズ・バカンティ米ハーバード大教授が反対していた。

 補完的な論文には画像に誤りが見つかり、小保方氏を含む責任著者が撤回に同意している。

 小保方氏は4月の記者会見で「論文の撤回は、その結論が完全な間違いであったと発表することになる。結論が正しい以上、それは正しい行為ではない」と主張。その後も繰り返し撤回しない考えを表明していた。

 ネイチャー論文の撤回は原則著者全員の同意が必要で、バカンティ氏が同意すれば主要論文は取り下げられる。同意が得られなくてもネイチャーが独自の判断で撤回する場合もある。

 ※STAP細胞の論文問題

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏や笹井芳樹(ささい・よしき)副センター長らが1月、体の細胞に刺激を与える方法で新たな万能細胞のSTAP細胞を作ったとする論文2本を英科学誌ネイチャーに発表したが、画像や文章の流用などが指摘された。理研の調査委員会は、主要な論文に画像の捏造(ねつぞう)や改ざんの不正があったと認定したが、小保方氏は「悪意のない間違いだ」と不服を申し立てた。理研は懲戒委員会で小保方氏らの懲戒処分を検討、改革委員会で組織としての問題点や再発防止策を議論している。それとは別に、STAP細胞が実在するかどうかの検証実験が理研内で進められている。

「結論正しい」と否定続け 発表4カ月余、小保方氏

共同通信社 2014年6月4日(水) 配信

 「画期的発見」の発表から4カ月余り。「200回以上作製に成功した」と主張した小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏が、研究の論文を撤回することに同意した。理化学研究所がSTAP論文を不正と認定する中、「結論は正しい」と撤回を拒否し続けてきた小保方氏の徹底抗戦は終わりを迎えることになった。

 「論文を撤回することは、国際的にはその結論が完全な間違いであったと発表することになる。結論が正しい以上、それは正しい行為ではない」。小保方氏は4月9日の記者会見でこう強調。

 その上で、「論文の体裁上の不備で否定されるのではなく、科学的な実証・反証を経て研究が進むことを心より願っています」と訴えた。

 論文の疑義が指摘されて以降、共著者が相次いで論文取り下げの意向を示す異例の事態となったが、「取り下げるつもりはない」と徹底して反論した。

 5月8日、理研が小保方氏の不服申し立てに対して再調査しないことを決め、論文の取り下げを正式に勧告した際も、代理人を通じて「撤回すると実験がなかったことになり、成果をゼロにしてしまう」として撤回の意向はないと説明していた。

##やっぱりね?初めから怪しかったのですよ。それ程地震があるなら、問題視されてからでも、再現できたのにやっていないではないか。

論文新たな疑義、理研に説明責任 下村文科相

毎日新聞社 2014年6月3日(火) 配信

万能細胞:STAP論文問題 論文新たな疑義、理研に説明責任--下村文科相

 STAP細胞論文の新たな疑義を巡り、理化学研究所の外部有識者による改革委員会(岸輝雄委員長)が調査の実施を求めていることについて、下村博文・文部科学相は3日、閣議後の記者会見で「国民的な関心の高い課題なので説明責任が問われる」と指摘。調査をするかどうかについては「理研が判断すること」と明言を避けたが、「理研は国民が納得できるような対応を取ってほしい」と求めた。【大場あい】

STAPデータは別細胞か 2種混合、独自に解明

共同通信社 2014年6月4日(水) 配信

 STAP細胞の論文で、理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏らが培養した細胞として公開した遺伝子データが、胚性幹細胞(ES細胞)など2種類の細胞を合わせて得られたデータだった可能性の高いことが3日分かった。理研の遠藤高帆(えんどう・たかほ)・上級研究員が独自に解析し、論文に新たな食い違いを見つけた。

 理研は、遠藤氏から報告を受けているが「この結果から、何かを結論付けることはできない」として、追加の調査はしない方針だ。

 問題となったのは、STAP細胞を培養してできる幹細胞。小保方氏らは「F1」という種類のマウスから作り、胎盤にもなる能力があると論文に記載した。

 だが論文に付随してインターネットで公開された遺伝子の働き具合を示す2回分の実験データを遠藤氏が解析したところ、いずれもES細胞と、胎盤になる能力のある幹細胞「TS細胞」を混ぜた特徴があった。もとになったマウスも「B6」「CD1」という別の種類だった。

 遠藤氏は「偶然や間違いで起きるとは考えにくく、意図的に混ぜ合わせた可能性がある」と話している。

 ES細胞とTS細胞がSTAP細胞の正体との見方については、論文共著者の1人、丹羽仁史(にわ・ひとし)・理研プロジェクトリーダーが4月の記者会見で「二つの細胞は均一に混ざらない」と否定している。

発症に関わる物質解明 皮膚吸収の食物アレルギー

共同通信社 2014年6月4日(水) 配信

 アレルギーには、皮膚から吸収された食べ物の成分が原因となって起きるケースがあり、発症には特定のタンパク質が関与しているとの研究結果を、兵庫医科大の善本知広(よしもと・ともひろ)主任教授らのチームがマウスを使って解明し、3日発表した。

 善本主任教授は「皮膚が弱い乳幼児は、母親の手やエプロンに残った食べ物に触れるだけで、アレルギー症状を引き起こしやすくなる可能性がある」と話す。

 タンパク質は免疫に関わる「TSLP」で、この働きを抑えられれば、乳幼児に多い食物アレルギーの予防や新たな治療法の開発に役立つとしている。

 チームは、TSLPに着目。実験でマウスに、卵白に含まれるアレルギーの原因成分を皮膚から取り込ませ、皮膚の上皮細胞がTSLPを作り出した後に、原因成分を口から投与すると、アレルギーを発症した。

 一方で、人為的にTSLPが働かないようにすると、原因成分を与えても発症しなかった。

 善本主任教授によると、TSLPにより、マウスがアレルギー症状を引き起こす体質に変化したと考えられるという。

 乳幼児の食物アレルギーは消化機能の未熟が主な原因と考えられていた。しかし、食物を制限しても食物アレルギーは減らないことが海外の研究で判明。疫学調査で、肌に原因物質が触れてアレルギーの準備状態になる可能性が指摘された。

膝の痛み 標高も左右 BMI値25以上の高地居住者、低地の倍超 島根大など研究・分析

毎日新聞社 2014年6月3日(火) 配信

膝の痛み:標高も左右 BMI値25以上の高地居住者、低地の倍超--島根大など研究・分析 /島根

 慢性的な膝の痛みを感じる人は、肥満の程度を知るための指数・BMI(体格指数)が高く、さらに高い所に住んでいる傾向にあることが島根大などの研究で分かった。肥満に加え、傾斜のきつい土地を上り下りすることで膝に負担がかかっているとみられる。

 研究成果は国際科学誌「インターナショナルジャーナル・オブ・エンバイロメンタルリサーチ・アンド・パブリックヘルス」に掲載された。

 研究グループは、雲南市の「身体教育医学研究所うんなん」が2009年、市内の40~79歳の男女を対象にした健康調査を活用。3カ月以上続く膝の痛みとBMI、標高との関係について3109人分を分析した。

 調査対象者の住所の緯度と経度を特定し、地理情報の解析ソフトを使って標高を算出。0~49メートルを「低」、50~70メートルを「中」、71~468メートルを「高」の3段階に分類した。

 日本肥満学会によると、BMI25以上が肥満とされる。分析の結果、「BMI25未満で標高『低』の居住者」を基準とすると、「25以上で『低』の居住者」は1・9倍の確率で膝の痛みを感じていることが判明。さらに「25以上で『高』の居住者」では2・13倍にはね上がった。BMIだけでなく、標高も痛みと関係していることが証明された。

 研究を主導した島根大疾病予知予防プロジェクトセンターの濱野強・専任講師は「生活習慣と住んでいる場所を考慮することで、個人に合った予防ができるのではないか」と話している。【金志尚】

##でも、高知にいるだけで、上がり下がりしない人はどうなのですかね。

小保方氏、実験に参加を STAP細胞の検証 理研改革委が提言へ

共同通信社 2014年6月3日(火) 配信

 STAP細胞の論文問題で理化学研究所の改革委員会が、STAP細胞が存在するかどうか確かめる検証実験に小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏を参加させるべきだと提言する方向で調整していることが2日、分かった。岸輝雄(きし・てるお)委員長が会合後に明らかにした。

 STAP細胞の有無を明確にするためには小保方氏の参加が欠かせないと判断した。岸氏は期間を限って実験し、再現できなければ存在しないとみなす必要があるとの見方を示した。

 岸氏は、不正防止に向けた改革委の提言で、共著者ばかりではなく組織の責任も強調する方針を説明。STAP論文の問題が起きた背景に、画期的成果を獲得したいという理研側の強い動機があった可能性があると指摘した。

 改革委は「STAP論文は、生データの検討を省略して拙速に作られた」と分析。大型予算獲得や特定国立研究開発法人指定への期待が理研にあったとの見方や、小保方氏の採用時に本人の資質や研究内容の精査が省略されたことを疑問視する意見を提言に盛り込むか調整している。

 会合では、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の体制にも言及、研究不正担当理事を理研に置く必要性を議論した。

 このほかSTAP細胞に関わる2本の論文のうち、小保方氏らが取り下げに同意した1本の論文について、理研に調査を求めることを全会一致で決め、理研に伝えた。理研は、著者らに撤回の動きがあることを理由に調査していないが、坪井裕(つぼい・ひろし)理事は「持ち帰って検討したい」と話した。

##どうして、今まで再現しなかったのですかね。

(社説)研究不正疑惑 東大のモラルを問う

朝日新聞 2014年6月3日(火) 配信

 アルツハイマー病の大規模臨床研究「J―ADNI(アドニ)」をめぐる問題が混迷を深めている。

 疑惑の渦中にあるのは日本の学界の頂点に立つ東大である。

 研究のデータをめぐる不正の疑惑のさなかに、さらに不正を重ね、問題を隠蔽(いんぺい)しようとした疑いが浮上している。

 決して許されない行為の疑惑だが、東大は、ほとんど説明責任を果たそうとはしていない。ゆゆしい事態である。

 研究データの改ざん疑惑を朝日新聞が報じたのは、ことし1月だった。その後、厚生労働省が被験者データの保全を求めたにもかかわらず、研究の事務局がデータを書き換えていた。

 製薬会社エーザイからの出向者が、事務局の室長格として書き換えにかかわっていた。

 さらに代表研究者の岩坪威(たけし)・東大教授が書き換えを知ったうえで、共同研究者に釈明と口止めのメールを送っていた。

 証拠隠滅を図ったと疑われても仕方ない行為だ。

 当初から疑惑の解明に及び腰を続ける厚労省の姿勢も問われる。疑惑の対象は、巨費を投じた国家事業なのである。

 調査を東大に丸投げするのではなく、自ら直接調査に乗り出すべきだ。岩坪教授がアルツハイマー病研究の権威だからといって、遠慮してはならない。

 東大の責任は大きい。調査のさなかのデータ書き換えを防げなかったことは、そもそもの改ざん疑惑について解明を求める国民への裏切りである。

 「アルツハイマー病の原因究明につながるから」と説明されて協力した被験者。データ取得に汗を流した共同研究者。そして多額の税金を負う国民。そうした無数の人びとの存在を関係者は胸に刻んでいるだろうか。

 東大はいまだに調査メンバーの顔ぶれも、調査の途中経過も公表していない。沈黙を続けるのは無責任すぎる。

 この事案に限らない。

 製薬大手ノバルティスの白血病治療薬の研究では、事務局の東大病院で、患者の個人情報が会社に渡っていた。しかし、いまだに製薬会社との癒着を断つ対策は打ち出されていない。

 東大の分子細胞生物学研究所では、加藤茂明元教授のグループの組織的な論文不正が疑われたままだ。多くの論文の撤回が勧告されたが、2年以上も「調査中」とし、誰がどんな不正をしたかも明らかにしていない。

 東大には官民の資金が集中するが、その半面、モラル感覚が世間から逸脱しているのではないか。社会的責任を改めて自覚し、猛省してもらいたい。

性別適合手術、病院を限定 実施施設減も安全優先 精神神経学会、指針改訂

共同通信社 2014年6月2日(月) 配信

 性同一性障害の性別適合手術で起きている後遺症などのトラブルを防ぐため、実施医療機関を入院設備が整った病院に限るよう、日本精神神経学会が30日、診断と治療の指針を改訂した。改訂に当たった学会専門委員会委員長の斎藤利和(さいとう・としかず)・札幌医大名誉教授は「手術をできる施設は国内でもともと少なく、改訂でさらに限られてしまうが安全な医療を提供することを優先した」と話している。

 性別適合手術は性器の除去などをするもので、性別変更するための要件。同学会の関係者によると、改訂指針を満たすのは札幌医大病院、山梨大病院、岡山大病院などに限られる。

 医療関係者によると、国内で性別適合手術をしている医療機関には、専門の麻酔科医が麻酔を担当しなかったり、入院設備がなく日帰りで実施したりしているケースがある。術後に尿漏れや腸閉塞(へいそく)などの合併症が出てもすぐに対応できないことが問題となっており、専門委でもこのような事例が複数報告された。

 これまで指針は性別適合手術をする条件として、「手術に伴う休暇などの確保」「年齢は20歳以上であること」などと定め、医療者側にも「医療チームに属する形成外科医・泌尿器科医・産婦人科医などが協力して行うことが原則」などと記載。改訂で「麻酔科医が麻酔を担当し、入院可能な医療機関で行われるべきだ」との項目を加えた。

 性別適合手術ではないが、2012年5月に東京都新宿区の診療所「湊川クリニック」(廃止)で乳房の切除手術を受けた女性が死亡する事故が発生し、指針改訂の議論が起こる契機となった。

 このため乳房切除手術についても「入院対応が可能であるなど(手術前から後までの)周術期管理ができることが望ましい」と追加した。

 ※性別適合手術の指針

 1969年に男性の性器除去手術をしたとして産婦人科医が当時の優生保護法の違反罪で有罪判決を受けたことに対して、性別適合手術を正当な医療行為と位置付けるために、97年に日本精神神経学会が作成した。診断と治療に関する条件などが示されており、性別適合手術については、家族やパートナーへの説明、20歳以上であることなどが定められている。罰則規定はないが、国内の実施医療機関は原則順守している。

北海道)道内の喫煙率全国1位、4人に1人

朝日新聞 2014年6月1日(日) 配信

 31日は世界禁煙デー。国立がん研究センターが3年に1度まとめている喫煙率調査によると、最新の2010年の道内男性の喫煙率(20歳以上)は35・0%(全国平均33・1%)、女性は16・2%(同10・4%)、男女計で24・8%(同21・2%)。4人に1人がたばこを吸っている。

 都道府県別でみると、女性は全国で最も高く、男性は10位。男女計でも全国で最も高い喫煙率だ。

 01年の同じ調査では、男性は53・5%(同48・4%)で全国1位だったが、最近は全国平均に近づきつつある。女性は当時24・3%(同14・0%)でやはり1位。男女計では38・0%(同30・5%)で全国で最も高かった。

 道が昨年行った調査によると、市町村が管理する施設で、敷地内や建物内を完全禁煙にしている施設は6割余り。道は「おいしい空気の施設」と名づけ、公共施設だけでなく、飲食店などにも禁煙や分煙を求めている。

 道地域保健課の田中研伸主幹は「禁煙普及計画を立て、地道な啓発やたばこをやめたい人への支援を進めている。小中学校でも子どもたちに講習会を開き、たばこを吸わないよう呼びかけている」と説明する。

 道のホームページでは、喫煙が及ぼす健康への影響や各地区の禁煙治療機関を紹介している。「北海道たばこ対策のページ」で検索できる。

■「たばこ吸わないで」札幌で100人が行進

 札幌市中央区の大通公園周辺では31日、禁煙パレードが行われ、参加者らは「きっぱり禁煙、すっかり健康」などスローガンを叫びながら禁煙を呼びかけた。

 道医師会や市民団体などでつくる道禁煙週間実行委員会が呼びかけた。栄養士や親子連れら約100人が参加。「きれいな空気を」と書かれた横断幕やのぼりを掲げ、「受動喫煙を防ごう」「歩行喫煙をやめよう」などとかけ声をあげながら行進した。

 実行委員会幹事長の黒木俊郎弁護士は「北海道は全国でも喫煙率が最も高い。神奈川県のような受動喫煙防止条例などの制定が必要だ」と話した。

 31日から6日までは禁煙週間。道庁1階ロビーの特設展示場で、「No Tobacco展」が開かれ、禁煙ポスター入選作や禁煙パンフレットが展示されている。(大久保泰)

バルサルタン・ショック ツケ、国民医療費に ゆがんだ「薬とカネ」(その1) 医薬スキャンダル

毎日新聞社 2014年6月2日(月) 配信

医薬スキャンダル:バルサルタン・ショック ツケ、国民医療費に ゆがんだ「薬とカネ」(その1)

 医学界と製薬業界への信頼を失墜させたバルサルタン臨床試験疑惑は、製薬会社ノバルティスファーマが試験への不透明な関与を認めて謝罪してから1年がたった。この間、臨床試験をした5大学のうち4大学がデータ操作の可能性を認めたことで疑惑はさらに深まり、広がった。国や学界、製薬業界は、再発防止のために制度を抜本的に見直した。日本の医薬研究史に残るであろう不祥事はいかにして表面化したのか。どこにどんな問題が潜んでいたのか。約2年間にわたり「薬とカネ」の取材を続けてきた記者が報告する。【河内敏康、八田浩輔】

 ◇「医学村」論文への疑問放置

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)を使って実施した臨床試験の論文は、東京慈恵会医大、滋賀医大、京都府立医大、千葉大、名古屋大の順に発表され、程度の差こそあれ、どれもバルサルタンがよい薬だと結論付けていた。その陰で、慈恵医大が2007年に論文を世に出した直後から、少なくない専門家が不信を表明していたが、疑問は放置されていた。

 09年10月、日本高血圧学会が臨床試験の評価をテーマにシンポジウムを開催していた。東京都健康長寿医療センターの桑島巌(いわお)医師は壇上で「医師がデータを操作できる手法を使い、あり得ない結果を導いている」と、府立医大などの論文を鋭く批判した。すると、試験責任者の松原弘明教授(当時)が客席から立ち上がり「研究者仲間のチェックを受けている。なぜ文句を付けるんだ」と激高した。

 桑島医師の訴えを会場の多くの医師が聞いていた。だが一つの意見に過ぎないと受け止められ、調査されることはなかった。

 その2年半後の12年4月。今度は京都大病院の由井芳樹医師がバルサルタンの臨床試験論文に批判の声を上げる。「血圧のデータの統計的な傾向が、同様の試験をした海外の論文と異なっていて、おかしい」とする旨の論文を発表したのだった。「不正」と明示こそしていないが、研究者が読めば、不正を疑っていることが分かる厳しい内容だった。

 ノバルティスファーマの看板商品と、それを後押しする有名大学による大規模臨床試験。そこに再び持ち上がった疑念。記者は複数の統計学者らに意見を求めた。だが「確かに不自然だが、100%あり得ないとまでは言い切れない」と慎重な意見が多かった。

 <A 日本循環器学会は12年末、論文のデータのでたらめさに気付いた興梠(こうろ)貴英医師からの「通報」を受けて、府立医大の論文撤回に踏み切った。>

 だが、その姿勢は極めて慎重だった。撤回理由を「データ解析に多くの深刻な誤りがあるため」としか公表せず、学会は「誤り」の詳細を明かそうとしなかった。

 このころ、興梠医師は日本高血圧学会の評議員の知人から「府立医大の松原先生は高血圧学会内に友人が多く、影響力が大きい。誰から攻撃を食らうかわからない。論文にして公表するのはやめろ」とアドバイスされたという。

 その高血圧学会は、心臓や血管などの循環器分野の中で特に高血圧をテーマにする専門家集団だ。現場の医師に向けた診療ガイドラインで慈恵医大の試験論文を引用していた。由井医師の批判論文が出た3カ月後には、医療専門誌のノ社の記事広告に学会幹部らが登場。医師同士の座談会を載せており、幹部らはその中で由井医師への反論を語り「疑念は払拭(ふっしょく)された」と強調した。

 研究者は、学術誌で論文を発表したり学会発表したりして、意見が異なる研究者と論争する。科学を進展させるためのこのシステムは、不正を暴くことを目的にしていない。バルサルタンの臨床試験を巡る疑問も何度か論争の対象になったものの、それは医学コミュニティーの内側にとどまり、6年が経過した。

 それでも、ともかく事態の歯車を回した循環器学会に比べ高血圧学会は対照的にみえる。日本医学会のある幹部は「高血圧学会幹部は、ノ社の広告に登場してあの薬をさんざん薦めてきたからね……」と冷ややかだ。循環器学会の関係者は「当方の幹部は広告に加わらず、ノ社に取り込まれていなかったことが大きかった」と振り返る。

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 ■データ不正防止への取り組み

 国から医薬品としての承認を得るための「治験」には薬事法に基づく厳しい規制がある。一方、市販後の臨床試験には強制力の無い指針しか無かったが、国はデータ操作を防ぐため、今年5月にこの指針の改定案をまとめた。カルテと論文に使う解析用データとの食い違いを発見するため、試験の途中で確認する「モニタリング」と試験終了時に調べる「監査」を導入する。時間が経過してからでも調べられるよう、データの長期保存も義務付ける。法の網をかぶせて、罰則を設けるかについても議論を始めている。

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 ◇臨床試験、製薬会社頼み

 13年2月にノ社社長の定例記者会見が東京で開かれた。直前に、毎日新聞などが府立医大チームの論文が撤回されたと報じていた。「ノバルティスは論文を宣伝に使ってきたが、試験に関わっていないのか」との質問に、三谷宏幸社長(当時)はこう言った。「あの論文が宣伝に使えなくなったのは残念だ。ただ、我々は試験のやり方などに直接関与できない。社員の試験への関与も全くゼロだ」

 しかし「統計解析をしたのはノ社の社員だ」とのうわさが、実名と共に医療関係者の間に広まりつつあった。ただ、論文にある研究者たちの肩書欄のどこにも「ノバルティスファーマ」は見当たらず、統計解析の担当者の所属は「大阪市立大」と記載されている。

 3月、記者は三谷社長に単独取材する機会を得た。場所はノ社本社の一室。記者がうわさされる人物の名前を挙げると、三谷社長は「彼は会社の人ですよ。統計のことをよく知っていて、日本の財産だ」とよどみなく答えた。ではなぜ論文に社名が出ていないのか。「それは大阪市大の非常勤講師を兼任しているからです。専門家の立場から、どんな統計方法がいいかについてアドバイスしたのです」。そう説明する姿は誇らしげにさえ見えた。

 臨床試験をする医師を製薬社員が手足のようになってサポートすることは、程度の差こそあれ横行しているとささやかれるが、表に出ることはなかった。ある製薬会社の営業担当は言う。「手伝わせてもらえるのは研究者からの信頼が厚い証拠。社内での評価にもつながる。自社製品のよい試験結果が出れば薬の宣伝に使える」。ただ、製薬会社の関与が分かれば、結果が偏っていると疑われかねない。

 ノ社から府立医大チームへの「カネ」にも疑問があった。近年、外部から資金援助を受けた研究は後から疑惑を招かぬよう、論文にそのことを明記するルールになっている。府立医大の論文に資金提供を受けたとの記載はないのに、記者が情報公開請求によって入手した府立医大の過去5年分の資料によると、ノ社から松原教授の研究室へ年500万~4500万円超、総額1億円を超える「奨学寄付金」が渡っていた。

 会社組織である以上、現場の独断で支出できるはずはなく、組織の意思があったはずだ。ノ社のある元営業社員は「尋常ではない金額だ。自分の経験では、一つの研究室に年100万円を出すのも難しかったのに」と驚きを隠さなかった。

 三谷社長は取材に対して奨学寄付金を支払ったと認めたが、「寄付は大学を通じてであり、試験を行う研究室に直接ではない」と、浄財であることを強調した。この説明はウソではない。だが、奨学寄付金は提供者が渡したい研究室を大学に対して指定する「ひも付き」にできる。

 統計解析という臨床試験の根幹に関わる部分に社員を参加させながら、そのことを明かさず、「医師からよい薬と証明された」と宣伝することが許されるのか。府立医大チームはノ社からの「寄付」を論文で隠してきた。肝心の科学性は学会誌から「データ解析に重大な問題がある」と否定されている。

 <B 毎日新聞は13年3月28日朝刊で「製薬社員も名連ね」「1億円の寄付金/製品のPRに利用」の見出しと共にこの問題を報じた。府立医大チームの論文撤回はこれを境に「薬とカネの疑惑」となった。>

 これ以降、慈恵医大、滋賀医大、千葉大と次々に調査に乗り出すことを表明していく。追い詰められたノ社は5月22日「社員が加わっていたことが臨床試験に疑念を生じさせた。不適切だった」と非があることを初めて認めた。だが記者会見はせず、調査結果の要旨を自社のホームページに掲載しただけだった。

 その2日後。日本医学会が異例の記者会見を開く。「企業が関与したのに、それが隠されていたとしたら、医学研究倫理だけでなく、社会倫理からおかしい。許し難い」。強烈な批判だった。日本医学会は約120の国内の医学系学会を束ねる存在だ。さらに5日後、日本医師会は「疑惑が一般紙等で報道されている。医療への信頼を失墜しかねない重要な問題だ」と談話を発表。各大学、学会に自浄作用を示すよう求めた。

 ノ社はそれでも「大学の了解がなければ教えられない」と、5大学への寄付金の金額を示そうとしなかった。明らかになるのは8月。疑惑を受けて設置された厚生労働省の有識者検討委員会が強く報告を求めたからだった。総額は11億3290万円に上り、府立医大には試験開始からすべての論文が発表されるまでの03~12年に、3億8170万円が渡っていた。ノ社は「寄付金が臨床試験に使われることを意図していた」と説明した。浄財ではなかった。

 また、後の大阪市大の調査で、「非常勤講師」の肩書を使っていた社員が在籍11年間に講義したのは、院生向けの1回だけだったことが判明する。社員は「各大学の研究者やノ社にとって都合がよかったと思う。自分も便利だと思った」と述べたという。

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 ■製薬会社と臨床試験

 国立大病院長会議は2013年9月、「データ解析は企業から独立して行う体制が必要」と提言した。今年3月には日本学術会議の分科会が、大規模臨床試験の実施には、業界からの寄付金をプールし、第三者組織が公募で選んだ医師に配分することを政府などに提言。同4月、日本製薬工業協会が、▽臨床試験の中立性が疑われるような支援を社員がしない▽自社の薬を対象とした臨床試験への奨学寄付金の提供を禁止する――と加盟社に通知した。毎日新聞が集計した製薬72社の奨学寄付金(12年度)は、346億円。臨床試験は国内で年5000件近く行われている。

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 ◇学内調査の限界あらわ

 <C 「大変な迷惑、心配をかけたことをおわび申し上げます」「明らかなデータ操作があったが、だれがしたのかは特定できなかった」。13年7月11日、京都府立医大の吉川敏一学長らは記者会見を開き、深々と頭を下げた。不信の目が注がれてきた論文に不正があると、初めて大学が認めた瞬間だった。しかし会場を埋めた記者は納得できない。「もっと詳しく調べられないのか」「大学は何をしていたのか」。質問は2時間続いた。>

 この発表までの過程で重要な役割を果たした文書がある。日付は13年2月15日。「報告書を拝見しますと、元データに踏み込んで調査がなされたのか不明です」。日本循環器学会の永井良三代表理事(当時、自治医大学長)と下川宏明編集委員長(東北大教授)の連名で、府立医大の吉川学長に宛てたものだ。文書は続く。「本件の調査権は貴学にありますので、詳細かつ公正な調査を実施していただきたい」

 学会は12年末に府立医大の松原教授らの論文を撤回すると、大学側に調査を求めていた。すると大学は13年1月31日、「『故意の捏造(ねつぞう)』とは認められなかった」と報告してきた。先の文書はこれに対する学会側の返答だった。学会は、データの誤りの数や程度のひどさから「医学論文として成り立たない」と判断しており、こんな報告を受け入れるわけにはいかなかった。「ミスの割には結論がバルサルタン優位に偏り過ぎ、データ解析に社員の関与の可能性が指摘されていた」(学会幹部)

 内幕を府立医大関係者が補足する。「内部調査はとても公平性があるものとは言えず、『単純ミス』という当事者の主張をうのみにしただけ。循環器学会が怒るのも当然で、大ごとにしたくないための対応と疑われても仕方がなかった」。大学が内部調査を命じた3教授のうち2人は松原教授と共同研究をした間柄だった。

 「外圧」で本格調査を余儀なくされた府立医大の迷走は続く。当初、調査の責任者に任命されたのは、ノ社が府立医大に開設する寄付講座の教授だった。しかし、ノ社が5月末に臨床試験に社員が関与していたと認め「会社ぐるみ」との批判が高まると、この教授を含む3人がノ社との金銭的なつながりを理由に調査メンバーから降りることになった。

 7月30日には慈恵医大が「データ操作があった」と記者会見で発表し、騒ぎは拡大する。ただ、操作した人物にたどり着けない。文部科学省は研究者に不正の疑いが生じた場合は、所属組織に公正な調査をするよう求めているが、任意調査の限界は明らかだった。

 田村憲久・厚労相は疑惑の真相解明を大臣直轄の検討委員会に託した。委員には元検事もいたが、8月に発足してすぐ壁に突き当たる。大学同様、任意調査の限界だ。「データ操作した」と認める者はおらず、委員から「犯人捜しは無理だ」との声が相次いだ。結局、議論の多くは再発防止策の検討に割かれた。委員で薬害エイズ被害者の花井十伍さんは「調査に強制力がなく、無力感を感じた」と吐露する。

 問題となった5大学のうち、府立医大、慈恵医大、滋賀医大、千葉大の4大学がデータ操作の可能性を認めることになるが、「誰が何の意図で操作したのか」という真相は見えなかった。千葉大に至っては、内部調査だけでデータ操作を否定する中間報告を13年末に公表したが、第三者機関の検証を経て4カ月後に結論を覆す失態を演じた。千葉大幹部は「初めから第三者機関に依頼すればよかった」と述べ、頭を下げた。

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 ■研究不正への対応

 文部科学省の作業部会は2013年9月、「研究公正局」など調査権限を持つ公的な第三者機関の設置に向けた検討が必要だと国に求めた。日本学術会議も、研究機関の不正対応に助言や勧告できる第三者機関を科学界の中に作る必要性を指摘している。文科省は公的研究費の不正使用に関する指針を改定し、今年度から運用を始めている。ケースによっては不正が発覚した研究機関の研究費を削減するなど、組織の管理責任を明確化した。

バルサルタン・ショック ツケ、国民医療費に ゆがんだ「薬とカネ」(その2止) 医薬スキャンダル

毎日新聞社 2014年6月2日(月) 配信

医薬スキャンダル:バルサルタン・ショック ツケ、国民医療費に ゆがんだ「薬とカネ」(その2止)

 ◇改ざんデータ、販促利用

 ノ社は5大学の論文を計495種類の宣伝資材に使って売り上げを伸ばし、バルサルタンは累計1兆円を超すノ社の基幹製品となった。論文は学会の診療ガイドラインにも引用され、医師の処方に影響を与えた。国民はこれを保険料の形で間接的に負担してきた。

 「データ操作された論文に基づく広告は結果的に誇大広告に該当する恐れがある」。厚労省の検討委は2013年9月末にまとめた中間報告でこう指摘した。

 <D これを受け、厚生労働省は今年1月9日に薬事法違反容疑でノ社を東京地検に刑事告発する。>

 臨床試験と広告とは密接に連動していた。

 05年11月、米国南部ダラスにある高級ホテルで、バルサルタンの臨床試験の会合が開かれた。ある関係者は「マーケティング担当のノバルティスファーマ社員の姿もあった」と証言する。慈恵医大の試験の途中経過が報告され、会合が終わるとノ社の広告記事に載せる座談会が行われたという。なぜ米国なのか。この関係者が説明する。「米心臓協会の学会開催に合わせた。先生(医師)方が一斉に集う学会の場を利用して広告向けの座談会を開くのは慣習のようなものだ」

 「バルサルタンは他の降圧剤と比べ、脳卒中を発症した人が4割少なかった」という慈恵医大の成果が、外部に初めて公表されるのは06年9月。スペインの国際学会の場でだった。しかし、医療専門誌「日経メディカル」誌上では、この学会の約2カ月前から成果を「予告」するノ社の広告が連続して掲載されていた。

 論文となって発表されるのはさらに遅く、07年4月の英医学誌ランセット誌上だ。慈恵医大によると、この論文に使われた図表類を作成したのは、統計解析を担った社員だという。

 ランセットは世界で最も権威ある医学誌の一つだ。当時ノ社に勤めていた男性は「降圧剤を巡る業界の競争は激しい。一流誌ランセットの論文があったから他社をリードできた」と言う。

 だがそう単純ではない。バルサルタンの広告代理業務を担ったのは、ランセットを発行する出版社の日本支社だった。ここには隠れた利権が存在していた。

 論文の著作権は出版社にある。このためノ社に限らず、製薬会社は自社の薬に有利な臨床試験の論文が出ると、医師に配るため論文の別刷りを大量に発注する。製薬会社がスポンサーになった臨床試験の論文は出版社にとって「金づる」というわけだ。

 ノ社はバルサルタン論文の別刷りの購入部数を明かさないが、英国では1本の医学論文の別刷りが出版社に2億円以上の収入をもたらした事例も報告されている。製薬72社の公表資料を毎日新聞が集計したところ、論文の別刷りなど医師に渡す「医学・薬学の関連文献」に、12年度だけで200億円以上が製薬会社から支出されていた。

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 ■医薬品広告の規制

 バルサルタン疑惑の厚生労働省の有識者検討委員会は今年3月末「欧米の事例も参考にしつつ、広告の適正化策を検討すべきだ」と指摘した。これを受けて厚労省は、医師の処方が必要ない一般用も対象に、医薬品広告の規制見直しに向けた研究班を作り、検討に着手している。一部学会では、幹部に対して特定の製品の宣伝につながる講演会などの自粛を求める動きも出ている。

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 ◇ノバルティス社、大きな代償――日本社会の怒り買い

 今年4月2日。ノ社スイス本社のデビッド・エプスタイン社長は、東京大医科学研究所の一室で上昌広特任教授と向き合っていた。医師でもある上氏はメディアを通じて一連の疑惑を批判し続けている。面会を希望したのはノ社側だった。「データ操作された論文で得た不当な利益をどう日本国民に返すのか。(決めたら)社会に伝えるべきだ」。上氏の提案に、エプスタイン社長は「できるものならぜひやりたい」と応じたという。

 上氏は「ウミを出し切らなければならない、と伝えた。相当困っている印象だった」。

 ノ社は昨年来、日本社会の怒りを過小評価し、自ら傷口を広げてきたように見える。13年6月3日付で医療機関などに向け配った文書の宛先は「お得意先様各位」。「日本の臨床研究の信用性を揺るがしかねない」と謝罪しながらも、有効性や安全性には問題がないことを強調する内容だった。都内のある医師は「当事者意識が感じられない」とあきれた。医療現場からの不信は薬の処方中止となって表れた。

 患者への「おわび」を表明したのは7月24日。疑惑の表面化から約4カ月がたっていた。ノ社の電話相談窓口には、1週間で7万2000件以上の電話が殺到。以降も毎月100件を超す問い合わせが続いているという。

 13年度のバルサルタンの売り上げは前年比16・8%減の約881億円(医療コンサルタントIMS調べ)。期間ごとの前年比は▽13年4~6月5%減▽7~9月15・7%減▽10~12月22%減▽14年1~3月25・1%減――と減収幅は拡大してきた。

 さらに今年1月、「臨床試験に社員が関与してはならない」との新たな社内ルールを、白血病治療薬の臨床試験を巡って社員が無視していたことが発覚し、再び謝罪に追い込まれた。

 <E 世界の製薬業界でトップを走るノバルティス。だが日本での信用は地に落ちている。上特任教授との面会の翌日、エプスタイン社長は、日本法人幹部3人の更迭を発表した。新役員に日本人の名前は無い。エプスタイン社長は「日本人社員は医師を優先しがち。海外では患者を優先する傾向がある。日本法人のカルチャーを変えなければいけない」と述べた。>

 バルサルタン臨床試験疑惑は、国民の目の届かぬところで「薬とカネ」のゆがんだ構造が作られ、国民の医療費にはね返っていることを白日の下にさらし、対策の歯車を初めて大きく回した。今、医療・製薬業界では「第二、第三のノバルティスはどこか」とうわさされる。既にいくつかの薬の研究を巡って問題が表面化し、会社や研究機関が調査を始めている。

通報の医師「死んでいる患者調べたのか」 ありえない値、捏造直感 バルサルタン 臨床試験疑惑

毎日新聞社 2014年6月2日(月) 配信

バルサルタン:臨床試験疑惑 通報の医師「死んでいる患者調べたのか」 ありえない値、捏造直感

 降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、医学的に測定されないはずの血液に関するデータが論文にあることに一人の医師が気付き、日本循環器学会にメールで通報したことが、疑惑表面化へのきっかけになっていたことが分かった。この通報を受けた学会が研究責任者に問題があると認めさせ、その後の各大学の調査につながっていた。

 「死んでいる患者を相手に臨床試験をしたのか」。データのつじつまが合わないことに気付いた興梠(こうろ)貴英医師は「この論文は捏造(ねつぞう)かもしれない」と直感した。2012年9月、東京大病院の研究室。目の前には「コメントをもらえないか」と論文を持ってきた販売元の製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の営業担当の男性社員がいた。

 京都府立医大チームによるその論文は、「バルサルタンは糖尿病の高血圧患者の脳卒中などを予防する効果が大きかった」と結論付けていた。循環器内科が専門の興梠医師には興味深い論文だった。

 だが、読み進めるうちにあるデータが目に留まる。「糖尿病でないはずのグループに、糖尿病患者が何人も交じっている」。血中の電解質の値が低すぎたり高すぎたりする患者らも目に付いた。データが真実であれば「死んでいる」患者を調べたことになる。それほどでたらめに思えた。

 府立医大チームはバルサルタンの臨床試験を経て最初の論文を09年に発表。試験には3000人以上の患者が協力しており、膨大なデータが残る。その後もどんな効果があるかを発表し続けた。ノ社はこれらを医師に宣伝し、バルサルタンを累計売り上げ1兆円の大ヒット薬に育てた。

 興梠医師は論文を読んだ翌月の12年10月、不正を疑う電子メールを、論文を載せた日本循環器学会誌の編集部に送った。学会は12月、ノ社に試験への関与をただしている。ノ社幹部は「一切関与していない」と強く主張したという。学会は続いて試験責任者の松原弘明教授(当時)に説明を求めた。松原氏は「データ集計の間違いに過ぎない」と反論したが、学会幹部は納得せず、その場で撤回が決まった。

 年が明けると、欧州心臓病学会誌が詳しい理由を明かさぬまま、府立医大チームの関連論文を撤回した。【河内敏康、八田浩輔】

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