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医療情報92

医療情報91
20140701~

教授の虚偽説明で調査混乱 降圧剤問題で千葉大報告

共同通信社 2014年7月15日(火) 配信

 小室一成(こむろ・いっせい)・東京大教授が千葉大教授時代に行ったノバルティスファーマの降圧剤ディオバンに関する臨床研究問題で、千葉大は15日、小室氏らが虚偽の説明をして調査を混乱させたとする最終報告書を公表した。

 報告書は千葉大の不正行為対策委員会が作成。「統計解析の過程で意図的な(データの)操作が行われた可能性を否定できない」として、関係する論文3本の取り下げ勧告と関係者の処分を大学に求めた。

 報告書によると、研究には別の臨床研究でデータを改ざんしたとして薬事法違反(誇大広告)で逮捕されたノ社元社員白橋伸雄(しらはし・のぶお)容疑者が参加し、最終段階の解析を担当した。

 データには、ディオバンが他の薬剤よりも有利になるような異常な偏りが見つかった。報告書は「偶然とは考えにくい」として白橋容疑者によるデータ操作の可能性を否定できないと結論付けた。

 だが、小室氏らは当初、白橋容疑者から統計の一般的な手法に関してアドバイスをもらったが、実際の解析は千葉大で行ったと説明していたという。

胆管がん 印刷の有機溶剤、発がん性を認定 国際研究機関

毎日新聞社 2014年7月15日(火) 配信

胆管がん:印刷の有機溶剤、発がん性を認定--国際研究機関

 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC、本部・仏リヨン)は、インキの洗浄剤などに使われた塩素系有機溶剤「1、2―ジクロロプロパン」について、発がん性分類で最も危険性が高いとされる「グループ1」(人に対して発がん性あり)に分類した。この物質は従業員17人が胆管がんを発症した大阪市内の印刷会社でも使われていた。

 11日付の英医学誌「ランセット・オンコロジー」電子版によると、IARCの専門家会議は「胆管がんはめったに発症しない病気なのに、患者は低年齢で、職業外の要因がないことを考慮すると発がん性がある」と断定した。【大島秀利】

3D動画は、構造が原始的なポリオ(小児まひ)ウイルスについて作成。同ウイルスは4種類のタンパク質分子で構成される球体の「殻(から)」を持っており、これが人間の細胞の受容体に結合して感染が起きる。

 岡崎教授は、人間の体液に見立てた37度の水溶液中でのウイルスの動きをシミュレーション。殻のタンパク質分子を構成する炭素、窒素など5種類の原子をはじめ、ウイルスと水溶液の原子計650万個の運動方程式を「京」に入力して計算し、これを1億回繰り返して連続的な動きを再現したデータを基に、入佐准教授が動画を作成した。

 動画は25ナノ秒(1億分の2・5秒)間のウイルスの動きを2分45秒のスロー動画で再現し、殻のタンパク質分子がどう動くか分かりやすくした。3D眼鏡で見ると、タンパク質分子が細かくうごめく様子を立体的に見ることができる。

 岡崎教授らは現在、人間の受容体も含めた1千万個の原子の動きの計算に取り組んでおり、9月末を目標にウイルスが受容体に結合する3D動画を作成する予定。原子レベルの動きが可視化されることで、結合を阻む方策の研究が進むことが期待され、ポリオと似た構造のウイルスが感染原因となるA型肝炎、子宮頸(けい)がん、家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)などにも応用できるという。

 岡崎教授は「ウイルスが人間の細胞にどれくらい接近すれば、引力が働いて結合するかなどを突き止め、感染の仕組みを具体的に解明したい」と話している。

 ●薬や治療法の開発に道

 ▼東京大名誉教授の野本明男微生物化学研究所理事長(ウイルス学)の話 ポリオウイルスと水溶液の全原子の運動を計算しウイルスの殻の動き方を解明したのは驚きだ。画期的な成果といえる。計算量が膨大なため、「京」を使わないとできない研究だった。研究が進めば、抗ウイルス剤だけでなく、さまざまな治療法の可能性につながる基礎的研究となるだろう。

健診結果でこの数値が低いと、認知症リスクが…

読売新聞 2014年7月14日(月) 配信

 健康診断の血液検査項目の赤血球数やHDL(善玉)コレステロール値、アルブミン値が低いと、認知機能の低下が2-3倍起きやすいとの研究結果を、東京都健康長寿医療センター研究所のグループがまとめた。

 栄養が低い状態が将来の認知症のリスクを高めることを示す結果で、老年医学専門誌に近く発表する。

 同研究所の谷口優研究員らは、群馬県と新潟県に住む70歳以上の1149人の暮らしぶりや健康状態を調べて、認知症が疑われた人などを除いた873人を追跡調査(平均2・7年)した。

 調査開始時の赤血球数、善玉コレステロール値、アルブミン値を、それぞれ「低い」「普通」「高い」の3群に分け、その後の認知機能の変化との関係を調べた。

 その結果、それぞれの値が低い群は高い群に比べて2-3倍、認知機能が低下しやすかった。

福島の鼻血「内部被ばくか」 神戸の医師、学会で発表

神戸新聞 2014年7月14日(月) 配信

 東日本大震災による原発事故の後、福島県では、子どもを中心に鼻血が出る症状が相次いだ。漫画「美味(おい)しんぼ」で登場人物が鼻血を流す場面が「風評被害を招く」などと批判されたが、実際に放射性物質が結合した金属粒子が鼻の粘膜に付着し、内部被ばくを起こした可能性があることを、東神戸診療所(神戸市中央区)の郷地(ごうち)秀夫所長が12日に名古屋市で開かれた日本社会医学会で発表した。(三上喜美男)

 郷地所長は神戸大学医学部卒業。兵庫県内で約35年間、被爆者の治療を続け、福島などから避難している被災者の診断や健康相談にも当たっている。

 郷地所長によると、福島からの避難者の2人に1人ほどが家族などの鼻血を体験している。突然出血し、普段あまり鼻血を出さなかった子どもが多いのが特徴。避難後はほとんどの症状が治まっているという。

 500ミリシーベルト以上の放射線を全身に浴びれば、急性障害で鼻血が出る場合がある。だが福島ではそうした被ばく例はなく、放射線と鼻血の因果関係を疑問視する専門家もいる。

 しかし、東日本大震災の被災地では、原発から飛散した放射性セシウムなどが金属粒子と結び付き拡散したことが気象庁気象研究所の観測などで確認された。東日本一円で医療機関のエックス線フィルムが粒子で感光する現象もみられ、当初から健康への影響を疑う声が聞かれていた。

 郷地所長は、金属粒子が鼻の粘膜に付着したのが引き金となった可能性を指摘する。金属粒子は直径数ミクロンで、人体のごく小さな範囲に1日100ミリシーベルトを超える放射線を出し、組織を損傷する。

 郷地所長は「もともと花粉症やアレルギーなどで粘膜が炎症していた人が出血を起こしても不思議はない」と話す。大量に吸い込んだ人も少なくないとみられ、内部被ばくの問題と捉え、早期に科学的な調査と分析をすべきだったと強調する。

     ◇     ◇

 【内部被ばく】体の外から放射線を浴びる外部被ばくに対し、体内に入った放射性物質で被ばくすることを指す。呼吸や飲食、皮膚への接触などで起こるが、人体への影響は未解明な点が多い。郷地医師は粘膜への付着を「接触被ばく」と呼ぶ。

「完治」の幼児から再検出 米、HIV治療で

共同通信社 2014年7月14日(月) 配信

 【ワシントン共同】11日付の米紙ワシントン・ポストなどによると、母親から感染したエイズウイルス(HIV)が、出生直後の治療薬の集中投与により消滅したと考えられていた南部ミシシッピ州生まれの子どもから、再びHIVが検出されたことが分かった。治療に当たっている医師らが10日、記者会見して発表した。

 子どもはHIVが治療薬によって消滅した初の事例として学界でも注目され、他の感染児に治療法が応用できると期待されていただけに、研究者らは「非常に残念」と衝撃を受けている。

 子どもの名前などは公表されていないが、3歳10カ月の女児。通常は生後半年ごろまで見送られる抗ウイルス薬投与を出生直後から始めた結果、1カ月後にはウイルスが検出されなくなった。治療は1歳半ごろまで続けたが、やめて数カ月たってもウイルスは検出されず、医師らは薬の再投与をしないことを決めていた。その後、6~8週間ごとに血液検査をしてもウイルスは見つからなかったが、最近の検査で再びウイルスが検出されたという。

 医師らが詳しく原因を調べている。女児には抗ウイルス薬治療が再開され経過は良好という。

社外委、社員を非難 協和発酵キリン、役員辞任

共同通信社 2014年7月14日(月) 配信

 協和発酵キリンの営業担当社員が、札幌東徳洲会病院の医師=諭旨退職=が主導した臨床研究に不正関与した問題で、弁護士らによる社外調査委員会は11日、調査報告書を公表した。営業担当社員が患者の同意を得ずに、医師から個人情報や研究データを入手した行為について「道義的非難を加えるべきだ」と批判した。

 協和発酵キリンは同日、問題発覚時に営業本部長だった西野文博(にしの・ふみひろ)取締役が31日付で引責辞任すると発表。営業担当を含む社員7人を処分した。

 報告書は、協和発酵キリンが札幌東徳洲会病院の付属施設に提供した奨学金50万円に関し、「実質的には医師への寄付金だ」と判断し、製薬業界が定めたルールに違反する疑いがあると指摘した。営業担当社員には個人情報保護法などの法令違反はなかったと解釈した。

 営業担当社員は2012年から13年にかけ、協和発酵キリン製の貧血改善薬を使った臨床研究で、実施計画の策定やデータの解析に関わった。

厚生労働白書 不健康期間0.4年拡大 男性9年、女性13年 平均寿命まで日常に支障

毎日新聞社 2014年7月12日(土) 配信

厚生労働白書:不健康期間0.4年拡大 男性9年、女性13年 平均寿命まで日常に支障

 厚生労働省がまとめた2014年版の「厚生労働白書」の全容が11日、分かった。健康上の問題で日常生活が制限されることのない「健康寿命」は、男性が70・42歳、女性が73・62歳(いずれも10年)となった。平均寿命までの間、男性が約9年、女性が約13年の「不健康な期間」があり、01年と比較すると男女とも約0・4年拡大した。高齢化の進展に伴い医療費や介護費の負担が増大していることから、厚労省は今年の白書を「健康・予防元年」と位置付け、健康長寿社会の実現に関するテーマでまとめた。

 10年の男性の平均寿命は79・55歳だが、健康寿命とは9・13年の開きがあった。女性も86・3歳の平均寿命に対して12・68年の差があり、01年と比較すると、平均寿命が延びる一方で、健康でいられる期間は十分には追いついていない。がんや糖尿病といった日常に支障があるような重い病気を抱えたままの生活を余儀なくされている高齢者が増えている。

 アンケートで、健康に対する不安の有無をたずねたところ、全体の61・1%が「不安がある」と回答。しかし、「食生活に気をつけていると思わない」と回答している人は31・2%に上り、健康を維持する具体的な行動には結び付いていないことがうかがえる。

 また、白書は死生観についてもたずねた。「何歳まで生きたいか」は、男性が平均80・9歳、女性が78・36歳。さらに「自分自身の最期をどこで迎えたいか」は、49・5%が「自宅」だが、実際に亡くなる場所は「病院・診療所」が80・3%を占め、理想と現実のギャップも浮き彫りとなった。【中島和哉】

若山氏、撤回理由を修正 会見説明と食い違い、STAP

毎日新聞社 2014年7月11日(金) 配信

万能細胞:STAP論文問題 若山氏、撤回理由を修正 会見説明と食い違い

 STAP細胞論文の不正問題で、責任著者の一人の若山照彦・山梨大教授が、英ネイチャー誌のウェブサイトに7月2日に掲載された論文撤回理由について、掲載直前に内容を修正していたことが分かった。若山教授の研究室に残っていたSTAP幹細胞について「若山研究室になかったマウスに由来する」との記述を削除した。若山教授は6月16日の記者会見で同様のことを述べていた。

 若山教授は毎日新聞の取材に修正を認めた上で、小保方(おぼかた)晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーが作製したSTAP細胞が、若山教授から提供されたマウスとは異なるマウスに由来するものだったとする会見での説明の根幹部分に変更はないとした。一方で、修正内容を公表しなかったことについて「不確かな内容を発表すれば混乱を招くと判断した。詳細な事実が分かり次第、改めて報告する」としている。

 若山教授は先月の会見で、細胞を光らせる遺伝子を挿入した場所について、小保方氏に渡したマウスは18番染色体だったのに、STAP細胞として戻ってきた細胞は15番染色体だったと考えられるとの第三者機関による解析結果を公表。若山教授は「僕の研究室から提供するマウスでは絶対にできない結果」と話していた。

 若山教授によると、その後、別の研究者からの指摘で挿入場所が15番染色体とは限らないことが判明。ネイチャーに依頼し、論文撤回理由の該当箇所を修正したという。【斎藤広子、須田桃子】

透析中止や不開始も選択肢 終末期の治療、学会提言

共同通信社 2014年7月10日(木) 配信

 病状が極めて重く死期が迫った終末期の患者への対応をめぐり、日本透析医学会は9日までに、本人の意思が明らかな場合は人工透析を始めないことや、中止することも選択肢とする提言をまとめた。患者に判断能力がない場合は医師や看護師らのチームが家族と十分話し合い、意思を推定できれば尊重するとした。

 同学会によると、慢性透析患者の数は2013年末で31万人を超える。新たに透析を始める患者の平均年齢は68・68歳で、心筋梗塞などの深刻な合併症を患う人が増加している。終末期を迎えた時、どこまで透析を続けるのか明確な判断基準がなく、治療の在り方が課題となっていた。

 終末期医療をめぐっては日本救急医学会が07年、救急患者に関し、人工呼吸器の取り外しも選択肢として容認する指針を作成。日本集中治療医学会など3学会共同の提言案も今年、まとめた。日本老年医学会も12年、胃ろうなどの人工栄養に関する指針を公表しており、各学会で取り組みが進んでいる。

 日本透析医学会の提言は、不開始や中止といった透析見合わせを検討する状況として、透析をすること自体が患者の生命に危険を及ぼす場合や、がんなどで全身状態が極めて悪く、患者自身が意思を明示している場合などを挙げた。

 いったん透析を見合わせた後も、状況に応じて開始、再開できると強調。患者の希望に沿うケアで身体的、精神的な痛みを緩和し、みとりをする家族への支援を実施することも盛り込んだ。

 提言作成に関わった春日井市民病院(愛知県)の渡辺有三(わたなべ・ゆうぞう)院長は「終末期医療の在り方をめぐり、国民に議論を深めてもらうきっかけになればと考えている」と話した。

 ※人工透析

 腎機能が低下し、体外に排出できなくなった老廃物を取り除くため患者の血液を浄化する治療。一般的に週3回で、1回当たり4~5時間かかる。日本透析医学会によると、患者数は年々増え、2011年末に初めて30万人を超えた。13年に新たに透析を始めた人を年代別にみると、70代後半が最も多く、高齢化が進んでいる。糖尿病が原因の患者が全体の4割を占める。

iPS技術でがん幹細胞 簡易作製に成功、神戸大 根源狙う治療法開発に

共同通信社 2014年7月10日(木) 配信

 がんのもとになる「がん幹細胞」を人工多能性幹細胞(iPS細胞)の作製技術を応用して作ることに神戸大と京都大iPS細胞研究所などのチームが成功し、9日付の米オンライン科学誌プロスワンに発表した。

 がん幹細胞は体内でがん細胞を次々と生み、転移や再発のほか、治療が効きにくくなる原因となる。チームによると、今回のような手法での作製は世界初。簡単にがん幹細胞を得ることができ、がんの「親玉」の研究が進むことで、根源をたたく治療法や、診断法の開発に役立つという。

 iPS細胞は皮膚などの細胞に数種類の遺伝子を導入して作る。

 チームは、このうち「SOX2」や「KLF4」など3種類の遺伝子を人の大腸がん細胞に導入。その後、iPS細胞を培養する環境ではなく、通常のがん細胞を培養する環境に10日間さらすと、最大で5%が、がん幹細胞と同じ特徴を持つ細胞に変化した。ただ、詳しいメカニズムは分かっていないという。マウスに移植すると、人の大腸がんに似た腫瘍ができた。

 がん幹細胞だけを目立たせる特殊な染色法を使い、作ったがん幹細胞を効率良く取り出す手法も開発した。

 がん幹細胞はがん組織にごくわずかしかなく、研究が困難。今回の成果により、抗がん剤や放射線治療が効きにくいとされるがん幹細胞の研究の進展が期待される。

 チームの青井貴之(あおい・たかし)神戸大大学院特命教授は「大腸がんでは成功したが、他の種類のがんにも応用できるのか調べたい」と話している。

 ※人工多能性幹細胞(iPS細胞)

 皮膚や血液など特定の機能を持つ細胞に数種類の遺伝子を導入し、受精卵のようにさまざまな細胞や組織に変化する能力を持たせた細胞。培養条件を変えることで神経や心臓など特定の細胞に変化させられる。病気や事故で機能を失った組織や臓器を修復する再生医療や新薬開発への応用が期待されている。京都大の山中伸弥(やまなか・しんや)教授が開発し、2012年にノーベル医学生理学賞を受賞した。

薬剤耐性ウイルス抑える 京大が化合物開発

共同通信社 2014年7月9日(水) 配信

 薬が効かない耐性ウイルスの増殖を抑えられる化合物を京都大の萩原正敏(はぎわら・まさとし)教授(分子生物学)のチームが開発し、米科学誌電子版に9日発表した。

 皮膚にただれなどの症状が出るヘルペスウイルスで有効なことを確認。薬剤耐性を獲得したウイルスに効く薬の開発につなげられるよう臨床研究に入りたいとしている。

 チームは、ウイルスが人の体内に侵入し増殖する際に、人やマウスなどの哺乳類が持つ細胞内の酵素「CDK9」を利用することに注目。

 CDK9の働きを弱める「FIT039」という化合物を作り、薬剤耐性ヘルペスウイルスに感染したマウスに塗ると、皮膚のただれが改善した。ウイルスが増殖できなくなったと考えられる。萩原教授は「人や動物の側に作用するので、ウイルスが変化して耐性を獲得しても、効果が期待できる」と話す。

 耐性ができていないとみられるウイルスでも有効性があり、結膜炎や肺炎を起こすヒトアデノウイルスに感染した人の細胞で増殖を抑えられた。

 エイズや、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルスでも有効性を示す可能性がある。インフルエンザなど、どんなウイルスに効くのか今後研究を進める。

 CDK9はDNAからタンパク質を作る過程に関わるが、細胞内には同様の働きをする酵素が他にあるため、チームは機能を阻害しても悪影響はないとみている。

 ※米科学誌はジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション

数秒でDNA解析可能に 名大、がん早期発見も

共同通信社 2014年7月9日(水) 配信

 名古屋大大学院工学研究科の馬場嘉信(ばば・よしのぶ)教授(化学)らのグループが、従来、数十時間を要していたDNA解析をわずか数秒でできる新技術を開発し、9日までに英科学誌電子版で発表した。感染症やがんの早期発見など、医療分野での活用が期待できる。

 グループは縦2センチ、横1センチ、厚さ0・1センチの特殊なガラス板を開発。板の表面には十字の溝が刻まれ、溝には太さ10ナノメートル(ナノは10億分の1)で、先端付近を枝分かれさせた酸化スズの棒「ナノワイヤ」が、林のように数十万本並んでいる。

 この溝に採取した血液を流すと、血液中の細胞に含まれるDNAが、枝と枝の隙間を通って進む。進み具合によって、DNAを大きさごとに素早く分離できる。

 がんや、感染症のウイルスのDNAは通常のDNAと大きさが異なり、この技術で血液などを調べることで、がんの転移や感染症を発見できる。

 従来は、採取した血液を遠心分離機にかけた上で増殖させ、寒天のようなゲルに埋め込んで解析するなど複数の工程が必要で、手間がかかった。

 共同研究した大阪大は、DNAに含まれる4種類の塩基配列を素早く読み取る技術を開発済みで、馬場教授らの技術と組み合わせて、DNAの分離から配列の確認が短時間で可能になる。

 微量の血液で調べられるため患者の負担も小さく、早期の治療や感染の拡大防止に役立つという。すでに国際特許を申請しており、2~3年後の実用化を目指している。

 ※英科学誌は「サイエンティフィック・リポーツ」

エボラ出血熱、史上最悪の規模に…封じ込め困難

読売新聞 2014年7月9日(水) 配信

 【ヨハネスブルク=上杉洋司】西アフリカで、致死率の高いエボラ出血熱の感染が史上最悪の規模となっている。

 世界保健機関(WHO)によると、6日までのギニア、リベリア、シエラレオネの3か国で確認された感染者は、疑い例も含めて844人。うち518人が死亡した。

 感染は、今年2月にギニアで始まったとみられる。過去の事例では過疎地での感染が多かったが、今回は、現時点で3か国60か所以上で患者が確認されており、患者の隔離による封じ込めは難しくなっている。

 西アフリカでは、葬儀で遺体を洗う風習があり、患者の家族がウイルスに接する機会が多いことも、感染拡大の原因になっているという。現地で治療にあたる国際NGO「国境なき医師団」は6月下旬、「制御不能なレベルにある」と警告した。

 米疾病対策センター(CDC)によると、これまでに最も多くの死者が出たのは、分かっている限りで280人。ウイルスの存在が初めて確認された1976年に、ザイール(現コンゴ民主共和国)で起きた事例だった。

いろんなウイルスに効く?薬の候補物質を発見 京大

朝日新聞 2014年7月9日(水) 配信
 有効な治療薬がない様々なウイルス感染に効果が期待できる薬の候補物質を、京都大などのグループが見つけた。従来の治療薬とは異なる仕組みで、薬が効かなくなる「耐性」も生じにくいという。米臨床医学専門誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」電子版で9日発表した。

 ウイルスは、増殖に必要な「部品」を自ら作れず、感染した生き物のたんぱく質を活用して作らせる。従来の薬はウイルスごとに異なる部品を標的にしているが、部品は変化しやすいため、薬が効かなくなることがある。

 萩原正敏・京大教授らは、様々なウイルスの部品作りに不可欠なたんぱく質に着目し、この働きを止める化合物を作った。

 治療薬が効かないヘルペスウイルスに感染させたマウスを使って調べた結果、従来の薬を塗ったマウスは10日以内に全5匹が死亡したが、この物質を塗ったマウスの死亡は1匹だけで、効果が確認された。今のところ毒性は見られず、試験管での実験では、インフルエンザウイルスなどでも効果がありそうだという。

 生き物側のたんぱく質は変化しにくく、この物質を長期間使っても耐性が生じにくいと見込んでいる。萩原さんは「来年度にも人で効果や安全性を確かめる研究を始めたい」と話す。

 東京大の川口寧(やすし)教授(ウイルス学)は「抗ウイルス薬は数が限られ、有望な研究だ。ただ、人での効果と副作用は慎重に検討する必要がある」と指摘している。(阿部彰芳)

近い将来の発症を予見 アルツハイマーで英研究

共同通信社 2014年7月9日(水) 配信

 【ロンドン共同】軽度の認知障害がある人が近い将来にアルツハイマー病を発症するかどうかを比較的高い精度で見分ける血液検査法を開発したと、英オックスフォード大などの研究チームが8日までに専門誌に論文を発表した。英BBC放送などが伝えた。

 実用化には数年を要する見込みだが、アルツハイマー病の早期発見・治療薬開発につながる可能性があり、英メディアは予防に向けた「大きな前進」と伝えている。

 研究チームは千人以上を対象にした調査で、アルツハイマー病の発症に関係する可能性がある血液中のタンパク質の組み合わせを特定。血液検査により、軽度の認知障害に苦しむ人が1年以内にアルツハイマー病を発症するかどうかを87%の確率で予見できたという。

 次第に脳細胞が死んでいくアルツハイマー病は認知症の中でも最も患者数が多いとされ、早期発見と治療開始を目指し、研究が各国で盛んに行われている。

STAP検証「意義ある」 下村文科相

共同通信社 2014年7月8日(火) 配信

 理化学研究所が進めるSTAP細胞の検証実験について、下村博文文部科学相は8日の閣議後の記者会見で「意義のあることだと考える」とあらためて意義を強調した。日本分子生物学会が、不正の実態が解明されるまで検証実験の凍結を求めたことに応えた。

 下村氏は、理研が論文の疑問点に関する新たな調査を始めたと指摘。小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダーの実験参加に対しては「科学界を含め、社会に対する説明責任を果たすために、透明性を確保し科学的に検証すると聞いている」と述べた。

ビタミンDに延命効果? 「医療新世紀」

共同通信社 2014年7月8日(火) 配信

 ビタミンDには、がんや心臓疾患による早期死亡を防ぐ効果があるかも―。そんな研究結果をドイツなどの国際共同チームが6月17日付の英医学誌BMJに発表した。

 欧米の50~79歳約2万6千人を追跡したデータを解析。死亡した約6700人のうち約2600人は心臓疾患、約2200人はがんだった。

 血液中のビタミンDの量によって五つのグループに分けると、ビタミンDが最も少ない人は最も多い人に比べ死亡リスクが1・6倍で、がん患者に絞ると死亡リスクが1・7倍と高かった。

 ただし、病気が原因でビタミンDが減っている可能性もあり、ビタミンDの補充が有効かどうかは不明だとしている。

抗がん剤治療、影響なく出産 乳がん患者、妊娠5カ月以降 聖路加国際病院

朝日新聞 2014年7月8日(火) 配信

 胎児への悪影響を心配して日本では実施することが少ない妊娠中の乳がん患者への抗がん剤治療で、妊娠5カ月以降なら治療をしても赤ちゃんの健康には影響がなかったとする報告を聖路加国際病院(東京)がまとめた。14年間で34人が誕生し、これまで障害や異常などは確認されていないという。11日に大阪市で開かれる日本乳癌(にゅうがん)学会学術総会で発表される。

 20~40代で乳がんになる女性は年間約2万人と、乳がん全体の27%を占める。妊娠中にがんが見つかる人も増えており、治療優先で中絶が選択されたり、妊娠中は治療せずにがんが進んだりすることも少なくないとみられる。

 海外では一部の抗がん剤なら胎児に影響がないという報告も多く、積極的に治療をしている。日本乳癌学会の指針も、胎児が薬の影響を受けやすい妊娠4カ月以前は行うべきではないとしているが、5カ月以降は「必要と判断される場合には検討してもよい」とある。だが、がん専門病院には産科がないこともあり、聖路加国際病院に全国から妊娠中の患者が訪れるという。

 同病院は、1999年から2013年までに妊娠中に乳がんと診断され、妊娠5カ月以降に抗がん剤治療を受けた34人について調べた。妊娠中に起きた合併症は通常の出産と割合は変わらなかった。現在、子どもへの長期的な影響を調査中という。

 山内英子ブレストセンター長は「赤ちゃんをあきらめず、治療という選択肢があることを知って欲しい」と語る。

 国立病院機構九州がんセンター乳腺科の大野真司部長は「妊娠中に抗がん剤治療を受けても、合併症や流産などが起こるリスクは変わらない。しかし、一般的に『妊娠中の薬はよくない』と思われているため、流産や子どもに障害などが出た場合、治療のせいにされがちだ。そうではないことを医療者だけでなく、患者や家族も理解することが大切」と話す。

 (岡崎明子)

「J―ADNI調査、不十分」 告発の杉下氏

朝日新聞 2014年7月8日(火) 配信

 アルツハイマー病研究「J―ADNI(アドニ)」のデータ改ざん疑惑を内部告発した杉下守弘・元東京大教授が7日、都内で記者会見を開き、東大の調査結果について「不十分。データの不備は数千件以上ある。ずさんな研究と認め、国に補助金を返すべきだ」と訴えた。杉下氏が調べたところ、被験者への15種類の検査のうち1種類だけでも、データがないなどの不備が140件あったという。

東大生ら「疑惑説明を」 医学部の臨床研究問題

共同通信社 2014年7月7日(月) 配信

 東京大医学部の臨床研究に不正の指摘が相次いでいることを受け、医学部の学生3人が4日、文部科学省で記者会見し、「一連の疑惑に納得のいく説明をお願いしたい」と、大学が説明責任を果たすよう訴えた。

 会見したのは医学部6年の岡崎幸治(おかざき・こうじ)さん(24)ら。岡崎さんらは6月下旬、学生への説明を要求する公開質問状を浜田純一(はまだ・じゅんいち)学長宛てに提出、コンプライアンス担当の苫米地令(とまべち・れい)理事から「医学部・病院の対応を見守っていきたい」と返答があったという。岡崎さんは、医学部が社会の信頼を失っており「大学の対応は残念」と批判した。

 東大医学部では、製薬会社ノバルティスファーマが関与した研究やアルツハイマー病の研究でデータ改ざんや修正が指摘されている。

「荒波、収まらない」 iPS臨床、高橋リーダー

共同通信社 2014年7月7日(月) 配信

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床研究を進める理化学研究所の高橋政代(たかはし・まさよ)プロジェクトリーダーが4日、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)で報道各社の取材に応じ、「STAP細胞問題はもっと早く収束できた。荒波はもう収まらないとはっきりした」と理研上層部による対応の遅れを批判した。

 高橋氏は、STAP細胞の論文に不正が認定された小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダーの検証実験参加と懲戒委員会の審査中断を理研が決めたことを受け、ツイッターで「理研の倫理観にもう耐えられない」と投稿。自身の臨床研究へ新たな患者の参加を求めるのに慎重な姿勢を示していた。

 小保方氏や笹井芳樹(ささい・よしき)・副センター長の責任追及と処分については「もっと早く対応したほうが傷は浅かった。(STAP細胞の)騒動でさえ引きずって事を大きくした。臨床研究で何かあった時にどうなるのか」と話し、理研の危機管理体制を疑問視した。

 理研には「臨床をやるという覚悟を決めて」と要求。適切な対応を取らなければ、今後は理研の関与を排除して臨床研究を続けるか、中断して医師や企業が主体となる本格的な医療応用のための臨床試験(治験)に入ることも選択肢だとした。

 臨床研究は滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性という目の病気の患者の皮膚から作ったiPS細胞を網膜の細胞に成長させて移植するもので、昨年8月に開始した。予定した患者は6人で、既に一部の参加患者が決定し、皮膚の採取などをした。年内には初の手術が行われる見通し。

高齢糖尿病患者、3割うつ…重いほど合併症多く

読売新聞 2014年7月5日(土) 配信

 高齢の糖尿病患者の3割にうつ症状があり、症状が重いほど合併症も多い傾向にあるという調査結果を、東京女子医大糖尿病センターの石沢香野かや助教らがまとめた。

 2012年から、外来の糖尿病患者約1万人を追跡調査。同年にアンケートに答えた65歳以上の高齢患者4365人を分析し、患者の30・6%に当たる1334人にうつ症状があった。

 うつ症状がない人、軽症のうつ、中等度以上のうつと3段階に分け、合併症との関連を調べたところ、うつ症状が重い人ほど、視力低下や神経障害によるしびれ・痛み、自律神経障害が多くなる傾向にあった。また、過去1年間の入院回数も多くなっていた。

 調査責任者の内潟安子・糖尿病センター長によると、老化による身体機能の低下と共に、うつが原因で運動量などが減り、血糖の値が悪くなって合併症を起こすパターンと、合併症の影響や不安からうつ症状が出るパターンの双方向からの影響があるとみられる。

美白成分に細胞毒性 カネボウの白斑問題

共同通信社 2014年7月7日(月) 配信

 肌がまだらに白くなる「白斑」を起こし自主回収されたカネボウ化粧品(東京)の製品の美白成分である「ロドデノール」という物質には、色素細胞に対する毒性があるとの研究結果を、同社の研究所などのチームがまとめたことが5日、分かった。皮膚科の専門誌に発表した。

 チームは、培養した人間の皮膚細胞を使って実験した。しみの元にもなるメラニン色素が細胞の中で作られる際には、チロシナーゼという酵素が働く。ロドデノールは、この酵素と反応して色素ができるのを邪魔する。だが大量に使うと、この酵素との反応を通じて別の物質ができ、それによって色素を作る細胞そのものを死に追いやり、白く色が抜けた状態が生じる可能性が示された。

 カネボウ化粧品によると、白斑が起きるメカニズムの一端が分かったが、なぜ発症する人としない人がいるのかは、依然不明。「今後も日本皮膚科学会などと協力して、全容解明と治療法確立に向けて最大限努力したい」(広報)という。

 同社は昨年7月に美白化粧品の自主回収を開始。約80万人が使用し、今年5月末までに約1万9千人に症状が出た。白斑は主に繰り返し使った部位に見られたという。

 ※カネボウの白斑問題

 カネボウ化粧品と子会社が2008~13年に発売した美白化粧品の利用者に、肌がまだらに白くなる「白斑(はくはん)」の被害が相次いだ問題。カネボウは病院の医師らからの指摘を受けて、化粧水や乳液など計8ブランド54製品の自主回収を発表、大部分を回収済みだ。今回、細胞に対する毒性があるとされた「ロドデノール」はカネボウが独自開発した美白成分。

「ヒロイン」膨らむ虚像 紹介教授の権威を支えに 白紙・STAP論文/3

毎日新聞社 2014年7月5日(土) 配信

白紙・STAP論文:/3 「ヒロイン」膨らむ虚像 紹介教授の権威を支えに

 「ハルコの貢献は並外れたものだった」

 米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授がSTAP細胞論文の主要な共著者に宛てたメールがある。日付は、英科学誌ネイチャーに論文が掲載される10日前の今年1月20日。論文発表にこぎつけた経緯と共に、愛弟子の小保方(おぼかた)晴子・理化学研究所研究ユニットリーダーへの賛辞が書かれていた。

 バカンティ氏だけではない。小保方氏が師事した日本を代表する研究者たちも、小保方氏をこぞって「ヒロイン」に押し上げた。

 2008年のある夜、東京・四谷の天ぷら店に、ハーバード大の小島宏司准教授を囲む輪があった。小島氏はバカンティ研究室を支える日本人医師。当時、早稲田大大学院生だった小保方氏は東京女子医大の看板教授、大和雅之氏の下で再生医療の研究を始めていた。一時帰国した小島氏との会食に旧知の大和氏が小保方氏らを誘い、日本酒をくみ交わした。小保方氏は小島氏に「ハーバード大を見学したい」と伝え、留学が決まった。

 小保方氏はその年に渡米すると、STAP細胞研究の源流となる実験を任された。渡米直後、最新研究の取りまとめを指示された際、「1週間で200本もの論文を読み込んで発表した」との逸話が残るなど、注目の学生となった。

 細胞の多能性を証明するマウス実験が必要になると、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の若山照彦氏(現・山梨大教授)の門をたたいた。若山氏も小島、大和両氏と知り合い。大和氏が「偶然に次ぐ偶然」と話す縁がつながり、小保方氏は、神戸ポートピアホテル(神戸市)にハーバード大の負担で1年近く滞在しながら研究を進めたという。その間に、STAP細胞由来の細胞が全身に散らばる「キメラマウス」の作製など、論文のための「データ」を蓄積していった。

 小保方氏にかかわった研究者たちは論文発表当時、「努力家」「怖いもの知らず」「プレゼンテーション上手」と小保方氏の研究者としての資質を褒めた。今となっては自他ともに認める「未熟な研究者」だが、ベテラン研究者たちが研究のイロハを十分に指導した気配はない。実態は、紹介元の権威や信頼関係を担保に、国内外の研究室を渡り歩いて膨らんだ評価だったといえる。

 今年1月の論文発表直前、緊張した面持ちの小保方氏が理研本部で野依良治理事長に会っていた。野依氏は「彼女を守れ」と周囲に指示した。その場にいた理研幹部は「iPS細胞(人工多能性幹細胞)のような巨額予算がつき、プレッシャーがかかることを心配したようだ」と振り返る。理研側も「ヒロイン」に大きな期待を寄せた。

 理研のある研究者は言う。「大学院時代の教育でその後の研究人生が決まる。その意味で小保方氏は不幸だったかもしれない。未熟さを見破れなかった指導者たちの責任は重い」=つづく

解説 STAP論文 検証不足露呈 ネイチャー、編集者判断強く

毎日新聞社 2014年7月5日(土) 配信

解説:STAP論文 検証不足露呈 ネイチャー、編集者判断強く

 科学誌に投稿された論文の査読の内容が明らかになるのは異例のことだ。取材で判明した英科学誌ネイチャーなど3誌の査読者たちの指摘は、ES細胞の混入以外にも、専門家の間で現在議論されているSTAP細胞を巡る科学的な疑問点をほぼ網羅していた。不正論文を掲載したネイチャーは、撤回を掲載した号の論説で「致命的な問題があると見抜くことは難しかった」と記したが、データを少しでも検証していれば、科学史に残る不祥事を回避できた可能性がある。

 論文ではSTAP細胞は複数の細胞が集まった「塊」様のものを指すが、掲載したネイチャーを含む複数の査読者たちが一つの細胞でも万能性を確認できたかを重ねて尋ねていた。著者らは一つの細胞でも万能性を持つかの実験はせず、遺伝子データなどの解析結果を提示した。だが、このデータは、理化学研究所上級研究員の独自解析で、ES細胞のものではないかと疑われる結果が出ている。

 論文掲載の可否を決める権限は、査読者ではなく編集者にある。資料を読んだ東京大エピゲノム疾患研究センターの白髭克彦教授は「掲載したネイチャーの査読者の中にも懐疑的なコメントが含まれており、(掲載したいという)編集者の判断がかなり強く働いた印象を受けた」と話す。

 近年、有名科学誌には「商業主義」との批判がある。なぜネイチャーは論文を掲載し、他の科学誌は免れたのか。経緯の検証は科学界全体の教訓となるはずだ。【八田浩輔、須田桃子】

STAP細胞、若山研究室由来の可能性も 解析に誤りか

朝日新聞 2014年7月5日(土) 配信

 STAP細胞論文をめぐり、主要著者の若山照彦・山梨大学教授が発表したSTAP細胞にかかわる試料の解析結果が、誤っていた可能性があることが若山教授側への取材でわかった。「改めて詳細な解析結果を公表する」としている。

 STAP細胞は、若山教授がマウスを提供し、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーがそのマウスから作製したとされていた。若山教授は先月、解析結果をもとに「STAP細胞は自身が提供していないマウスからつくられていた」と説明していたが、若山研究室の関係者は、STAP細胞は若山研究室にあったマウスに由来する可能性を認めた。

 若山教授は6月16日に会見を開き、自身が保管していた試料について、第三者機関に依頼していた解析結果を発表した。STAP細胞と同じ遺伝情報を持つはずのSTAP幹細胞には、目印となる遺伝子が15番染色体に組み込まれていたと明らかにした。若山研究室では15番染色体にこの遺伝子のあるマウスは飼育したことがないとし、若山研究室が提供したマウスとは別のマウスで作製された疑いを示唆していた。

 しかし、STAP細胞論文を2日に撤回した英科学誌ネイチャー上で、著者らが説明した撤回理由には「(STAP幹細胞に)挿入された遺伝子の部位は若山研究室にあるマウスと一致する」という趣旨の記載があった。

 若山教授ら複数の関係者によると、会見後、この遺伝子のあった場所が15番染色体ではない可能性が判明したという。ただ、若山研究室の関係者は、STAP幹細胞が若山研究室にあったマウスに由来する可能性があっても、そのマウスは若山研究室から小保方氏に渡していないとし、「結論の根幹には影響しない」と語った。

 小保方氏側は、マウスも細胞も若山研究室からしか入手していないとしている。

ネイチャー「STAPの致命的問題を見破れず」

読売新聞 2014年7月4日(金) 配信
 英科学誌ネイチャーは4日、文章の盗用や画像の不正使用について十分なチェックが行われないままSTAPスタップ細胞論文が掲載に至った経緯を分析した記事をホームページに掲載した。

 記事は、ネイチャー編集部とは独立したニュース部門の記者が執筆した。記事によると、編集部は掲載前、文章の盗用を検出するコンピューターソフトを使ってチェックしたが、STAP論文が文章を丸写しした元の論文は、当時、このソフトの検索対象に含まれておらず、丸写しの部分を見つけることができなかった。また、同誌はすべての画像をチェックしているわけではなく、STAP論文の画像もチェック対象外だった。

 編集長は記事中で「我々(編集者)や論文を審査する査読者は、論文の土台を壊す致命的な問題を見破ることができなかった」と説明している。

「ES細胞混入」指摘 サイエンス、12年投稿審査 STAP論文問題

毎日新聞社 2014年7月5日(土) 配信

万能細胞:STAP論文問題 「ES細胞混入」指摘 サイエンス、12年投稿審査

 STAP細胞の論文不正問題で、小保方(おぼかた)晴子・理化学研究所研究ユニットリーダー(当時は客員研究員)らが、2012年7月にほぼ同じ内容の論文を米科学誌サイエンスに投稿した際、審査した査読者からES細胞(胚性幹細胞)が混入した可能性を指摘されていたことが、毎日新聞が入手した資料で明らかになった。今年1月に英科学誌ネイチャーに掲載された論文(今月3日号で撤回)では、公開されたデータの解析などからES細胞の混入が疑われている。サイエンスは、査読者の研究の信頼性を疑う複数の意見を反映する形で論文掲載を見送った。

 ◇意見反映、掲載見送り

 サイエンスの同じ査読者は、遺伝子解析の画像に切り張りがあることも指摘し、改善を求めていた。この画像は不正論文にもそのまま掲載され、理研調査委員会が改ざんと認定した。

 ES細胞混入の可能性は、論文を掲載したネイチャーの査読者も指摘。疑惑が深まる中、重要な指摘を軽視し続けた著者らの姿勢が、改めて問われそうだ。

 科学誌は、投稿された論文を複数の外部専門家に読んでもらい、意見を参考に掲載の可否を決める。査読者の氏名は明かされないが、コメントは掲載しない場合も著者側に送られる。

 小保方氏らは今回の成果と同じ趣旨の論文を、▽2012年4月にネイチャー▽同年6月に米科学誌セル▽同年7月にサイエンス――と、「3大誌」と呼ばれる有名科学誌に投稿したが、いずれも掲載されなかった。毎日新聞は、小保方氏らが最初にネイチャーに投稿して以降の関連資料を入手。論文の趣旨は、いずれもほぼ同じだった。

 資料によると、査読者たちは、「新たな万能細胞」の存在自体への疑問や、データの不十分さへ多くの指摘をしていた。小保方氏らは、緑色に光る細胞の画像を万能性に関する遺伝子が働いた証拠として掲載していたが、サイエンスの査読者からは「死にかけた細胞が光る現象ではないか」などと疑う意見が出された。

 掲載されたネイチャーには13年3月に投稿。この論文から理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹・副センター長が執筆に参加した。笹井氏はネイチャーなど有名誌に何度も論文が掲載された経験を持ち、論文を大幅に改良したとされる。【八田浩輔、須田桃子】

過去の教訓生かされず STAPでネイチャー反省

共同通信社 2014年7月4日(金) 配信

 英科学誌ネイチャーは4日、撤回に至ったSTAP細胞論文の問題は、過去の論文不正問題の教訓が生かされず、理化学研究所の笹井芳樹(ささい・よしき)副センター長ら共著者の名声だけで掲載を決めてしまったために起きたとする分析記事を掲載した。

 今回の問題は、2005年に発覚した韓国ソウル大の黄禹錫(ファン・ウソク)元教授による人クローン胚性幹細胞(ES細胞)の捏造(ねつぞう)問題に続く苦い教訓になったとしている。

 執筆した記者は、論文掲載を決めた編集部とは独立して、STAP論文問題を取材した。

 記事によると、編集部は、過去の論文から表現の盗用がないかを調べるコンピューターソフトを使って調べたが、STAP論文がほかの論文から出典を明示せずに引用した部分は発見できなかった。その論文が当時、ソフトに組み込まれていなかったためだ。

 また、編集部は投稿された論文から無作為に選んで画像を調べているが、STAP細胞論文は対象となってなかった。

 ソウル大の捏造問題をきっかけに、ネイチャー誌は「インパクトの大きい研究成果ほど、厳しくチェックする」との編集方針を掲げた。これに基づき過去には論文掲載前に時間をかけて遺伝子を調べるケースもあったが、STAP細胞論文では厳しい精査はしていなかったという。

iPSで副作用予測、新薬開発の費用軽減 NEDOなど

毎日新聞社 2014年7月3日(木) 配信

副作用予測:「iPS」使い 新薬開発の費用軽減 NEDOなど

 ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を使い、心臓に起きる医薬品の副作用を予測できる国内初のシステムを開発したと、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などが2日発表した。薬の開発段階で不整脈や心不全などの危険性が迅速に判定でき、創薬の費用軽減につながるという。

 医薬品開発は、動物試験やヒトでの臨床試験で安全性を確かめる。だが、動物とヒトでは薬への反応が違う場合があり、臨床試験は費用が高く被験者に副作用のリスクもある。

 新システムは、心筋細胞から発せられる電気信号を計測し、薬の副作用による異常を検知する仕組み。心筋細胞以外にも応用可能だ。

 NEDOが約30億円を拠出し、医薬品開発支援企業のLSIメディエンスなどが開発した。同社は今月、製薬企業からの受託ビジネスを始める。

 現在は国際的なガイドラインで動物実験や臨床試験が義務付けられ、新システムでの安全性評価だけでは新薬として承認されない。NEDOの山崎知巳(ともみ)バイオテクノロジー・医療技術部長は「将来的には、動物実験や臨床試験に代わる評価手法として、日本から提案していきたい」と話した。【千葉紀和】

増える疑義に当惑 理研調査委、追い切れず 白紙・STAP論文:/2 

毎日新聞社 2014年7月4日(金) 配信

白紙・STAP論文:/2 増える疑義に当惑 理研調査委、追い切れず

 理化学研究所のSTAP細胞論文に関する調査委員会メンバーだった岩間厚志・千葉大教授は3月初めごろ、「レター」と呼ばれる2本目の論文の画像に引っかかりを覚えた。「このデータ、おかしくないか?」

 STAP細胞を培養した幹細胞に胎盤になる性質があることを示す画像だった。だが撮影に使った装置の操作に慣れている岩間氏は、必要な補正がされていないことに気付いた。補正するとデータの示す意味が変わり論文の前提が崩れるのでは――。そんな危惧が頭をよぎり、委員会で取り上げることにした。

 調査委は、論文発表から約半月後の2月18日に設置された。当初、理研が判定を求めた疑義は3項目だけで、論文撤回に至るような深刻さはなかったという。

 だが、調査を始めてみると違った。小保方(おぼかた)晴子・理研研究ユニットリーダーの実験ノートの記載はメモ書き程度で、実験データを追えない。小保方氏の研究室には、共用のデスクトップパソコンが1台もなく、私有のノートパソコンに残る論文は上書きが繰り返され、論文の作成過程が記録されていなかった。ずさんなデータ管理が「不正」の実態を見えにくくしていた。

 岩間氏が気付いた画像の疑義は結局、調査対象にはならなかった。新たな調査項目の不正を判定するには、基になったデータを一から解析し、小保方氏に改めて聞き取りする必要があった。それらに積極的な協力を得られる保証はなく、早い結論を求める社会の重圧を感じていた委員に、「あまり時間はかけられない」という認識があったためだ。

 また、調査委の結論は関係者の懲戒処分に直結し、裁判になる可能性もある。不正認定は自然と慎重になった。論文の疑義が増え続ける中、調査委の対象は6項目にとどまった。調査委最終報告後の4月15日、理研研究者だけを集めた調査委の報告会では、他の疑義を取り上げない調査委の姿勢に疑問の声が上がった。石井俊輔委員長(当時)は「訴訟で逆転されると『何をやっていたのか』ということになる」と説明、対象など絞ったことへの理解を求めた。

 調査委は5月7日、小保方氏の不服申し立てを退け、調査を終えた。「幕引きを急いだ」との批判も出た。だが、関係者によると、調査終了後に理研理事会で報告した際、委員の一人が調査対象以外の疑義について「自ら調べるべきだ」と要望したという。それに川合真紀理事は「対処したい」と応じたものの、進言は2カ月近く放置された。

 調査委メンバーには今、全容解明への期待と、対応が後手に回り続ける理研への失望が入り交じる。残された疑義に関し、新たな調査委が組織される可能性が出てきた。外部識者として調査委員を務めた3人は、いずれも周囲に「もう(調査委員は)引き受けたくない」と語っている。=つづく

血管の再生妨害ホルモンを特定、糖尿病、金沢大教授ら

毎日新聞社 2014年7月3日(木) 配信

糖尿病:金沢大教授ら、血管の再生妨害ホルモンを特定

 金沢大の篁(たかむら)俊成教授(恒常性制御学)らの研究グループは2日、糖尿病患者の体内で増え、傷付いた血管の再生を妨げるホルモンを特定したと発表した。糖尿病による合併症で手足の切断を余儀なくされている患者は年間で数千人いるとされる。研究グループでは、このホルモンの分泌や作用を抑える薬剤を開発すれば、合併症の新たな治療につながるとしている。欧州糖尿病学会誌「ダイアベトロジア」電子版に同日付で掲載された。

 人には負傷した際、周辺に新たな血管を作って血流を回復させる再生機能がある。しかし、糖尿病患者ではこの機能が低下して血液が行き渡らず、患部が腐敗することがある。グループは2010年、糖尿病患者の血中に、肝臓でつくられる「セレノプロテインP」と呼ばれる分泌たんぱくが通常の1・5倍以上多いことを突き止め、血管に及ぼす影響を調べてきた。

 分泌量を遺伝子操作で倍に増やしたマウスでは、傷の治り具合が通常のマウスに比べて約20%遅かった。逆に半分に減らしたマウスでは、通常より約30%回復が早かった。さらに他の実験で、セレノプロテインPが、血管を作り出す「血管内皮細胞」の働きを鈍くすることが分かったという。これらの実験結果から、研究グループは、セレノプロテインPが血流悪化に伴う糖尿病の合併症を引き起こしていると判断した。【横田美晴】

延命中止の指針を統一 3学会案、終末期判断や意思確認

朝日新聞 2014年7月3日(木) 配信

 日本救急医学会などの3学会は、死期が迫った終末期の患者の治療で、一定の手続きを踏めば、人工呼吸器などの生命維持装置を外すことができるとする指針案をまとめた。今年度中に正式に決める。3学会にはそれぞれに指針や勧告があり、内容に微妙な違いがあった。医療現場が混乱しないように統一を図った。

 指針案をまとめたのは、日本救急医学会、日本集中治療医学会、日本循環器学会の3学会。救急医学会が2007年にまとめた指針を基本とすることにした。

 指針案は終末期を「適切な医療をしても死が不可避な場合」と定義。人工的な装置に依存し回復不能で移植手術などができない、治療を続けても近く死亡が予測される場合などとした。

 患者が終末期の状態になった場合、医師や看護師らのチームが本人や家族に終末期であると説明。患者が積極的な治療を望まないことを確認し、家族が反対しなければ、人工呼吸器や人工透析、栄養補給などを中止できるとした。

 患者に直接確認できない場合は、家族に希望を推察してもらい、本人にとっての最善策を話し合って決める。やりとりを後から確認できるようカルテに記録し、保管する。

 これまでは終末期の判断や意思の確認法などが学会ごとに違っていた。救急医学会は複数の医師が判断するとし、集中治療医学会は家族の意思を12時間以上の間隔を置き再度確認するなどとしていた。

 技術の進歩で、人工心肺装置をつけ、意識はあるものの終末期と判断される患者もでてきた。指針案はこうした患者も対象とした。動揺する家族の心のケアの必要性も新たに明記した。

 指針作りを手がけた日本医科大の横田裕行教授は「指針は患者や家族の思いを尊重し、対応するための手段だ」と話す。(辻外記子)

脳死肺の反転移植に成功 国内初、岡山大病院

共同通信社 2014年7月4日(金) 配信

 岡山大病院は3日、脳死したドナーの左肺を反転させて右肺として移植する手術を、肺の難病の中国地方の60代男性に実施し、成功したと発表した。脳死下で摘出された肺の反転移植に成功したのは国内初。

 ドナーは大阪府立急性期・総合医療センターに入院していた50代女性で、男性には左肺のみが提供された。

 執刀した呼吸器外科の大藤剛宏(おおとう・たかひろ)准教授らによると、男性は肺が硬くなり縮んで働かなくなる特発性間質性肺炎と2010年に診断され、右肺の機能が著しく低下。比較的機能が高い左肺と合わせれば十分肺が働くと判断し、右肺の機能を優先して回復させるため反転に踏み切った。

 提供肺は肺水腫の状態だったが、術後の経過は良好で、肺水腫もほぼ回復。3カ月ほどで退院できる見込みという。

 大藤准教授は手術後に記者会見。今回の意義について「反転移植ができることで、これまで肺が無駄になったケースでも移植が可能になる場合があり、患者のチャンスを広げられる」と話した。

 大藤准教授によると、海外ではフランスで同様の手術の実施例がある。生体での反転肺移植は、京都大が成功したと今年5月に発表している。

中性子で頭頸部がん破壊 川崎医大病院が治験開始

山陽新聞 2014年7月3日(木) 配信

 放射線を使った次世代のがん治療法「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」による難治性頭頸部(けいぶ)がんの臨床試験(治験)を川崎医科大付属病院(倉敷市松島)が始めた。世界で初めて開発された中性子を発生させる医療用加速器を使用。がん細胞をピンポイントで破壊するため、従来の放射線治療に比べ安全で副作用が少ないと期待される。早ければ5年後の実用化を目指す。

 この治療法は、がん細胞に集まる性質を持つホウ素化合物を点滴で体内に注入。弱い中性子(放射線の一つ)を照射すると、がん細胞に取り込まれたホウ素が反応し、そこで発生するアルファ線ががん細胞のみを破壊する。

 喉頭(こうとう)がんや舌がんといった頭頸部がんは、手術で切除すると会話や食事に支障が出ることもあり、患者は放射線治療を選択することが多い。ただ従来は正常な細胞を傷つけてしまい副作用が懸念されていた。BNCTは、組織層を越えて広がり境界が不明瞭な浸潤がんや、再発がんにも有効とされる。

 川崎医科大付属病院放射線治療科では、2003年から平塚純一教授らが難治性頭頸部がんと皮膚がん患者に臨床研究としてBNCTを実施してきた。今回の治験は手術、抗がん剤など標準的な治療では効果が期待できない患者が対象。平塚教授らが患者と一緒に京都大原子炉実験所(大阪府熊取町)へ移動し、最大45分の照射を1回行う。

 平塚教授は「これまでの臨床研究では、約半数で腫瘍が消失し、8年以上の生存が可能になった例もある。頭頸部がんは機能や容姿の面からもQOL(生活の質)を低下させない治療法の開発が急務で、BNCTが一般治療となれば患者にとって福音となる」としている。

 BNCTは1968年に研究用原子炉を使ってスタート。京都大原子炉実験所と日本原子力研究開発機構(茨城県東海村、休止中)で行われてきた。

 病院向けの機器は住友重機械工業が開発。2008年、京都大原子炉実験所に設置され、12年秋から脳腫瘍の一つ再発悪性神経膠腫(こうしゅ)(グリオーマ)の治験を開始。今春から難治性頭頸部がんが加わった。

 取り組みは内閣府が推進する「先端医療開発特区(スーパー特区)」にも採択されている。

 ホウ素中性子捕捉療法用加速器 核燃料などを使う原子炉に代わり、陽子を加速して飛ばす装置。円形や直線の加速器で発生させた陽子をベリリウムやリチウムなどの金属に当てた時に生じる中性子を利用する。照射する中性子は治療に適したエネルギーに減速させる。原子炉より操作が簡単で、設置面積(縦15メートル、横18メートル程度)が小さいため、特別な施設は不要になり病院内にも置ける。

糖尿病の足の壊疽、原因解明 金沢大チーム、ホルモンが血管新生阻害

北国新聞 2014年7月3日(木) 配信

 金大医薬保健研究域医学系の金子周一、篁(たかむら)俊成両教授らの研究チームは2 日までに、糖尿病患者の肝臓で過剰に分泌される特定のホルモンが、新しい血管を作る「 血管新生」を妨げることを突き止めた。足が壊疽(えそ)したり、皮膚の傷が治りにくく なったりする合併症の原因と考えられる。このホルモンの働きを低下させる薬剤の開発が 進めば、糖尿病が引き起こす合併症の新たな治療につながると期待される。

 成果は2日、欧州糖尿病学会誌「ダイアベトロジア」の電子版に掲載された。

 血管を作る働きを阻害するのは「セレノプロテインP(SeP)」と呼ばれるホルモン 。動物実験などの結果、血管新生を促す「血管内皮細胞増殖因子」の働きを低下させるこ とが分かった。

 研究チームの御簾(みす)博文特任助教によると、遺伝子操作でSePが過剰なマウス は、そうでないマウスより皮膚に付いた傷が治癒するまでのスピードが約20%遅かった 。

 別の実験では、SePを先天的に半減させたマウスと、通常のマウスを使った。それぞ れの太ももを縛って血管を詰まらせ、血流が回復するまでの時間を測ったところ、SeP が少ないマウスの方が血流が早く元に戻った。

 これらの結果から、研究チームは、人体でもSePを減少させることができれば、血管 を作る働きを促進できると判断。現在、SePの働きを低下させる抗体を使い、臨床研究 を進めている。

 御簾特任助教は「糖尿病で足を切断する人は年間数千人に上る。新しい薬が実用化され れば、予防できるかもしれない」と話した。

がん治療、人工知能「ワトソン」が後押し ゲノム・文献探り「最適」判断

朝日新聞 2014年7月3日(木) 配信

 遺伝情報と膨大な医学文献をもとに、がん患者一人ひとりに最適な治療法を人工知能で瞬時に見つけ出すプロジェクトに米IBMが乗り出す。ヒトの全遺伝情報(ゲノム)が簡単に読み取れるようになり、個々人の病気の進行や治療薬の効果を予測できるようになってきた。最新の科学的根拠を最大限生かせるよう、医師の判断を支援する。

 活用する人工知能は、2011年に米国の人気テレビ番組で人間のクイズ王2人を破った「ワトソン」。プロジェクトではまず、IBMと提携する米ニューヨークの医療機関「ニューヨークゲノムセンター」が、入院患者からがんと正常な細胞を採取してゲノムを読み取る。これをクラウドコンピューターに組み込んだワトソンに入力する。

 ワトソンは2300万本もの公開論文の要約を集めたネット上のデータベース「メドライン」、遺伝子変異や医薬品などのデータベースを検索。「機械学習」と呼ばれる人工知能の手法などを使い、特定の病気に関連の深い遺伝子やたんぱく質を関連づけ、治療法の手がかりを探す。

 細胞内では、無数のたんぱく質が信号をやりとりしている。この複雑なネットワークと患者のゲノム情報とを照合。がん細胞の自殺を促す信号の経路を活発にさせたり、がん細胞に栄養を供給する血管を増殖させる経路を遮断したりするなどの治療戦略を立てる。必要な薬をリストアップし、薬が効くしくみや認可状況も示す。

 責任者の同社ワトソン研究所計算生物学センターのディレクター、アジェイ・ロユル氏によると、最新の医学知識に基づく「精密な医療」を実現するのが目標。「これまでは治療法の選択に1カ月かかっていたが、がんはその間にも進行する。『月』から『日』単位に短縮したい」と話す。

 発案者で日本IBMの小山尚彦さんは「判断の根拠となる文献が明示されるので説得力があり、患者への説明にも役立つ」と話す。

 半年以内に臨床研究を始めるべく、医師が使い方の研修を受けている。対象は脳腫瘍(しゅよう)の一種で進行が早い「神経膠芽腫(こうがしゅ)」。現在の標準的な治療が効かない患者に順次実施するという。

 IBMは今年1月、人工知能の活用を重点化する経営方針を発表。2千人規模の「ワトソングループ」を社内に設置し、10億ドルを投じて研究開発を進める。その大きな柱が医療応用だ。ゲノムの読み取り技術が進むにつれて積み上がる遺伝情報を活用し、医療ビジネスにつなげる狙いだ。

 ■個別化医療に貢献

 文献や遺伝子情報など、医学の「ビッグデータ」を活用する試みは増えつつある。米国に本拠を置く学術情報サービス会社トムソン・ロイターは、遺伝子変異と病気や治療効果などとの関連をとりまとめて製薬企業や研究機関に提供している。

 同社ライフサイエンス事業部の新保秀永ディレクターによると、医学文献のほか、遺伝子変異の公開情報などをコンピューターで検索、博士号を持つスタッフによる論文の精査も加えて提供している。「今後、健康診断の情報や電子カルテと組み合わせれば、個別化医療、予防医療に役立つだろう」と話す。

 医学のビッグデータ活用に詳しい北海道大情報科学研究科の田中譲特任教授は「素人でも最適な治療法を見つけ出せる日がいずれ来るのではないか。医療現場で、自分や家族の治療計画を主体的に選び取るのに必要な技術だ」と指摘する。(ニューヨーク=嘉幡久敬)

 ◆キーワード

 <人工知能「ワトソン」> 1997年に人間のチェスのチャンピオンを破ったIBMのコンピューター「ディープブルー」の後を継ぐ形で開発された。クイズの設問に対し、「自然言語処理」という手法を使って日本語や英語といった言葉を処理、データベースを検索して正解を探し出す。今回は、クイズ王になった当時から計算速度が大幅に向上し、医療応用に合うよう最適化したという。

多数の誤りと米共著者 細胞の存在には自信

共同通信社 2014年7月3日(木) 配信

 【ワシントン共同】STAP細胞論文の撤回を受け、共著者の米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授は2日、声明を発表し「これまでに特定された多数の誤りが、全体として論文の信頼性を損ねることを懸念した」と撤回に同意した理由を説明した。

 ただ、STAP細胞の存在については「STAP細胞現象そのものに疑いを投げかける情報はまだ存在しない」と強調。「下村博文文部科学相らがSTAP細胞の考え方を再現するのに十分な時間を与えてくれたのには勇気づけられる。私たちが仮説を立てたSTAP細胞の概念が理化学研究所やその他の人々によっていずれ立証されると信じている」と訴えた。

 バカンティ氏は「これまでに起きたことに深く悲しみ、理研の報告書などによって示された誤りや懸念について深く考慮した結果、撤回に同意した」としている。

 一方、ハーバード大医学部の広報責任者は2日、共同通信の取材に「私たちの注意を引いた疑念は精査する」との従来のコメントを繰り返し、内部調査を続けていることを示唆した。

##バガンティー師は、信用できるのか?確か博士号を持っていないのでは。

実験は独立、監視下で 小保方氏着手は9月ごろ 期限前に打ち切りも

共同通信社 2014年7月3日(木) 配信

 理化学研究所は2日、小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダー(30)が参加するSTAP細胞が存在するかどうかの検証実験の進め方について、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)内に新たに実験室を設け、すでに検証を進めているチームからは独立して第三者などの監視下で実施すると明らかにした。

 小保方氏の参加は7月~11月末の予定で、準備段階を経て9月ごろから本格着手するのが目標。

 実験を統括するセンターの相沢慎一(あいざわ・しんいち)特別顧問は、最初の段階でSTAP細胞が存在する可能性を小保方氏が示せない場合は、期限の11月末より前に実験を打ち切ることもあると説明した。

 一方で、STAP細胞が確認できた場合は国内外の研究者に同様の検証実験を実施してもらう。

 相沢氏は「本人が参加して、どうしても再現できない、というところまでやらせてもらいたい」とし、STAP細胞の有無の判断は「われわれは実験の結果を報告するだけで、判断は理研の改革推進本部に委ねる」と話した。

 理研によると、実験室は丹羽仁史(にわ・ひとし)プロジェクトリーダーの検証チームとは別の建物に設置し、今週中にも完成予定。電子カードで入退室の記録を管理し、出入り口や室内にカメラを設置し24時間モニターで監視するほか、鍵付きの実験器具を用意するなど透明性を確保する。理研職員や外部の第三者も立ち会い、不正が起きないようにする。

 小保方氏が参加した検証実験の結果は11月末ごろに公表する予定。

【岡山】がん告知 患者負担減に効果

読売新聞 2014年7月3日(木) 配信

 ◇国立研究施設・岡大

 ◇医師模擬演技研修受講で

 国立がん研究センター(東京都中央区)と岡山大の研究グループは、がんの治療にかかわる医師がコミュニケーション研修を受けることで、がん告知などで患者の感じるストレスを和らげる効果が生まれることを確認したと発表した。患者の生活の質(QOL)向上に役立つ可能性があり、同グループは10万人の医師への普及を目指している。(安田弘司)

 修了した医師に「沈黙して気持ちに配慮する」「気持ちを支える言葉をかける」といった患者に寄り添う共感行動が増えることに加え、患者の気持ちに影響することを科学的に証明したのは初めてという。

 研修プログラムは、医師役・模擬患者・指導役を1グループとして実施。診断結果や再発の告知、抗がん剤治療の中止といったケースを想定したロールプレイ(模擬演技)を計8時間こなすほか、患者ら500人以上の調査を基に▽患者の気持ちへの配慮▽情報の伝え方▽話しやすい場の設定--などについて、参加者らで2時間、討論し合う。

 研究では、映像で記録した、研修前後に行った医師の模擬面接について、心理学の専門家が分析し、使った言葉や行動を点数化して変化を調べた。また、患者側にも気分や満足度などの評価をしてもらった。

 この結果、患者の気持ちに配慮する「沈黙」や、患者の受け答えが「はい」「いいえ」などに制限されず、話しやすい質問が増えるといった変化がみられた。患者側の回答からはつらい気持ちを示す記述が減り、医師への信頼感もアップしたとのデータが得られた。

 具体的には、死を意識して不安に思う進行期のがん患者に対し、研修前は口ごもるだけだった医師が研修後、患者に共感し、「今の体のだるさでは、そう思うのは当然ですよね」「今一番気がかりにしていることは何でしょうか」などと尋ねることができるようになるという。

 プログラムは、2010年まで同センター東病院(千葉県柏市)で勤務した同大学の内富庸介教授(精神神経病態学)らが1999年から欧米の先進事例を参考にして開発に着手。がん宣告後1年以内の自殺者の割合が全国平均の20倍以上に上るのに加え、ストレートに診断情報を伝える欧米式は、情報量よりも気持ちなどを重視する日本に合わないと、試行錯誤を重ねた。

 研修は、患者側の意向を尊重した治療などを求める2006年成立の「がん対策基本法」を受け、国の委託事業として同グループを中心に07年度から実施。13年度までに、全国の医師計869人がプログラムを修了し、指導者になるための40時間のトレーニングを済ませた医師も131人まで増えた。

 研究リーダーを務めた内富教授は「カウンセリングの専門家ではない医師でも、研修で効果を得られると確かめられた意義は大きい。研修の普及を目指し、拠点病院での研修の必須化などを呼びかけたい」と話した。成果は、米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー」電子版に掲載された。

生後すぐに精巣凍結→解凍し子ども誕生 マウスで成功

朝日新聞 2014年7月2日(水) 配信

 生まれたばかりのマウスの精巣組織を凍結保存し、解凍後にその組織からつくった精子で子どもを誕生させることに成功した、と横浜市立大などの研究チームが1日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズ電子版に発表した。

 小児がんの治療の影響で不妊症になる恐れのある男児が将来、自身の子どもを得られるようにする技術の開発につながる可能性があるという。性機能が未成熟な男児では、精子を取り出して凍結保存することができないためだ。

 研究チームによると、この方法で生まれたマウスに異常はみられず、その子どものマウスも異常はなかったという。

 横浜市立大の小川毅彦教授(泌尿器病態学)は「人間では精巣組織を培養して精子をつくることができていない。できるようになれば、小児がんの男児が、子どもを得る可能性を残す有望な方法になる」と話している。(合田禄)

ノバルティス社を起訴 誇大広告罪、元社員再逮捕

共同通信社 2014年7月2日(水) 配信

 ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンの臨床研究データ改ざん事件で東京地検特捜部は1日、京都府立医大の研究チームが発表した論文で虚偽のデータに基づく図表を掲載させたとして、薬事法違反(誇大広告)の罪で法人としての同社を起訴した。元社員白橋伸雄(しらはし・のぶお)容疑者(63)も起訴し、別の論文でも改ざんをしたとして誇大広告容疑で再逮捕した。

 ノバルティスは「度重なる元社員の逮捕と会社の起訴を重く受け止め、おわびする」とのコメントを出した。

 関係者によると、白橋容疑者はいずれの論文も「改ざんしていない」と否認している。

 白橋容疑者の再逮捕容疑は、ディオバンが別の降圧剤より冠動脈疾患の患者に有効だとする論文で、脳卒中の発生数などのデータを操作したほか、虚偽の数値を使った図表をチームに提供し、12年に海外の医学誌のウェブサイトに掲載させた疑い。

 起訴状では、同様の改ざんでディオバンに有利な記載をした論文を11年に別の医学誌に発表させたとしている。

 厚生労働省は今年1月、ノ社に対する告発状を提出したが、特捜部は1日までに、東京慈恵医大の研究でも改ざんがあったとする容疑を除いて受理した。

 薬事法は社員が業務に関して違法行為をすれば法人も罰金刑を科せると規定し、誇大広告罪は200万円以下の罰金。

小保方氏が理研に出勤 STAP検証、本格化 3カ月ぶりに姿

共同通信社 2014年7月2日(水) 配信

 STAP細胞論文問題で、理化学研究所の小保方晴子(おぼかた・はるこ)研究ユニットリーダー(30)が2日、STAP細胞が存在するかどうかの検証実験に参加するため、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)に出勤した。報道陣の前に姿を見せたのは4月9日の記者会見以来、約3カ月ぶり。小保方氏の参加で、検証実験が本格化する。

 小保方氏は午前10時55分ごろタクシーで到着。白いパーカ姿で、報道陣が「小保方さーん」と呼び掛けても応えることなく、足早にセンターに入った。代理人弁護士は2日、大阪市内で取材に応じ、小保方氏が出勤前に電話で「頑張ってきます。しっかりやります」と話したと明らかにした。

 理研は小保方氏の懲戒委員会の審査中断を決めており、これに対して人工多能性幹細胞(iPS細胞)による世界初の臨床研究を進めるセンターの高橋政代(たかはし・まさよ)プロジェクトリーダーが研究中止の検討に言及。世界的な注目を集める研究にも影響が出始めた。

 検証実験のチームは2日午後に、小保方氏が参加した検証実験の流れや、不正が起きないよう透明性を確保する具体的な方法などを説明する。参加は7月1日~11月30日までの5カ月間で、実験をビデオで記録するなど透明性を確保する。初日は「健康状態が良くない」として出勤を見送っていた。

 検証実験は論文の共著者でセンターに所属する丹羽仁史(にわ・ひとし)プロジェクトリーダーらが中心になって4月から進めており、これまで小保方氏は実験そのものには立ち会わず助言をしていた。検証実験は来年4月ごろまでかかる見通しで、7月末~8月上旬にも中間報告を発表する予定。

北里大・大石氏、認知症薬物療法の適正化「薬学的診断で推理・助言を」

薬事日報 2014年7月2日(水) 配信

 北里大学医学部精神科学診療講師の大石智氏は6月29日、横浜市で開かれた日本地域薬局薬学会で講演し、わが国の認知症医療が薬物療法偏重の傾向にあると指摘。安易な処方によって患者の行動障害等に大きな影響を与えていると警鐘を鳴らし、薬剤師が薬学的診断に基づく推理、助言を行うことで、認知症の患者ケアと薬物療法の適正化に役割を果たすよう求めた。

 アルツハイマー型認知症は、「加齢」が最大の危険因子とされ、今後も高齢化による老年人口の増加が見込まれる中、さらに患者増が予想されている。アルツハイマー型認知症の中核症状といわれる認知機能の低下は、神経病理学的変化から生じるが、大石氏は「中核症状は、慢性進行性に経過し、回復することは難しい」と指摘。これら症状に対し、現在国内で発売されている4種類の抗認知症薬について「効果は限定的」との見方を示し、低下した認知機能を取り戻すのではなく、アセスメントして補うことがカギになるとの認識を示した。

 実際、国立長寿医療研究センター研究所の柳澤勝彦氏は、抗認知症薬に関して2011年に発表した論文で「少なくともアルツハイマー型認知症の進行を抑制する効果があると結論できる科学的根拠はなしと言わざるを得ない」と結論づけている。

 一方、患者と家族に苦悩をもたらすとされる認知症の行動障害と心理症状(BPSD)について、神経学的変化の関与はあるとしながらも、身体的要因や心理社会的要因、性格など、様々な要因がかかわって生じると説明。「医師は神経病理学的変化を重視し、薬剤をどんどん使うことで改善を期待しがち」としつつ、「認知症患者の自尊感情の傷つきや役割の喪失、それに伴う不安、戸惑いに理解を示し、寄り添うことが重要」との考えを強調した。また、抗認知症薬の使用による副作用を指摘し、安易な処方を行う薬物療法偏重の現状が認知症の中核症状、BPSDに大きな影響を与えていることに注意を促した。

 認知症の援助においてBPSDに対するベンゾジアゼピン系薬剤等の向精神薬は「第二選択」とし、「重要なのは対人関係性の悪化と身体状況の変化であり、患者に敬意を持って援助することが大切」と訴えた。

 その上で、大石氏は、抗認知症薬の使用による副作用の予兆に対し、薬剤師が薬学的診断に基づく推理、助言を行うことが求められると期待感を表明。

 「薬物療法の開始、増量、減量後の変化を、薬物動態学をもとに推理することが大きな力になる」と役割発揮を促した。「併用による影響を推理したり、薬理学的診断のフィードバックも求められる役割。遠慮なく疑義照会をしてもらい、患者ケアを適正に行っていくことが求められる」と述べ、認知症薬物療法の適正化に向けて薬剤師の役割が重要と強調した。

 薬剤師の役割を効果的に発揮するためには、医師やケアマネジャー等と「介入内容と援助の目標を共有すること」とし、地域の認知症ケアに連携していくことが重要と訴えた。

「速やかに証明できる」 小保方氏の弁護士

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 理化学研究所がSTAP細胞の検証実験に小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏(30)を参加させると発表したことを受け、代理人を務める三木秀夫(みき・ひでお)弁護士は30日夜、大阪市内で、「(小保方氏本人が参加することで)速やかに証明していけると考えている」と自信をのぞかせた。「本人の体調は万全ではないが、心身ともに集中できる状態で実験に臨みたいと考えている」とも話した。

 三木弁護士によると、小保方氏は現在も入院中。「体調に不安はあるが、支障があるほどではない」と説明した。

 4月以降に発覚した論文の新たな疑問点に関し、理研が予備調査を始めたことについては「コメントしない」と話した。

 三木弁護士は30日午前、英科学誌ネイチャーがSTAP細胞の論文を近く取り下げる見通しになったことについても取材に応じ、「日本を中心に世界中のバッシングを受けている今の状況は残念だ」と話し、撤回についてはコメントしないとした。

別の論文も改ざん容疑 ノ社元社員、再逮捕へ

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 ノバルティスファーマの降圧剤ディオバンの臨床研究データ改ざん事件で、元社員白橋伸雄(しらはし・のぶお)容疑者(63)が京都府立医大の別の論文でも改ざんデータに基づく図表を掲載させた疑いが強まり、東京地検特捜部が薬事法違反(誇大広告)容疑で再逮捕する方針を固めたことが1日、関係者への取材で分かった。

 特捜部は1日午後、白橋容疑者を同法違反の罪で起訴する。

 京都府立医大の研究チームは2004年以降、ディオバンを投与した患者グループと別の降圧剤のグループで、脳卒中や狭心症などの発症状況を比較する研究を本格的に開始。08~12年、ディオバンの方が脳卒中などを減らせるとする主要論文のほか、肥満や糖尿病などの高血圧患者にも有効だとする関連論文を相次いで発表した。

 特捜部は6月11日、11年に発表された関連論文で脳卒中の発生数などのデータを操作し、虚偽の数値を使った図表を論文に掲載させた疑いで白橋容疑者を逮捕した。関係者によると、特捜部の調べに「改ざんはしていない」と否認している。

東大に徹底調査を要求 認知症研究で厚労相

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 東京大などによるアルツハイマー病の大規模な臨床研究「J―ADNI」に不適切なデータ管理があった問題で、田村憲久厚生労働相は1日の閣議後の記者会見で「場合によっては補助金返還(の請求)も考えていく」と述べ、東大に徹底した調査を求めた。

 田村氏は「データ自体がかなりずさんという話もある。補助金を出すのに値しない事業となる可能性もある」と話した。

 研究には国内の38施設が参加し、アルツハイマー病を発症するまでに脳で起きる変化を調べた。東大は6月、データに不適切な修正があったとする調査結果を公表したが、田村氏はさらに詳細な調査が必要との認識を示した。

科学的事実明らかに STAP検証で文科相

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 下村博文文部科学相は1日の閣議後の記者会見で、理化学研究所が進めるSTAP細胞の検証実験に小保方晴子(おぼかた・はるこ)氏が参加することに「科学的事実が明らかになるように期待したい」と話した。

 理研がSTAP論文の新たな疑問点への予備調査を始めたことには「もっと深刻に受け止めて対処することが必要だ」と述べ、対応の遅れを批判した。

 下村氏は予備調査の状況によっては、理研を特定国立研究開発法人に指定する法案の提出にも影響が出るとの見解も示した。山本一太科学技術担当相も「(予備調査を含め)問題の検証をきちんとやるべき。法案提出の一つの目安だ」と述べた。

エボラ出血熱の流行拡大 ギニアとリベリア

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 【コナクリ、モンロビア新華社=共同】西アフリカで流行しているエボラ出血熱についてギニアのラマ保健相は6月29日、国内で感染が確認された患者は286人に達し、うち182人が死亡したと発表した。このうち医療関係者は27人が感染し、20人が死亡した。

 一方、隣国リベリアの保健省も6月29日現在で感染が確認された患者は90人に上り、うち医療関係者5人を含む49人が死亡したことを明らかにした。死者の地域別内訳は北部ロファ郡が27人、西部のモンセダド、マージビ両郡がそれぞれ20人、2人となっている。

妊娠中の運転は慎重に 事故率上昇、カナダ研究

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 妊娠中の車の運転は慎重に―。カナダ中東部オンタリオ州の医師らのチームが、州内で出産した50万人余りの女性について調べたところ、妊娠中期の自動車の運転は、妊娠する前や出産後と比べて重大事故の発生率が高まっていたことが分かったとして、カナダ医師会雑誌に論文を発表した。

 対象は2006~11年に出産した18歳以上の女性計50万7262人。本人が運転して自分が救命救急医療を受けるような重大事故があったかを、出産の4年前から出産1年後にかけて調査した。

 その結果、妊娠前のそうした事故は計6922件あり、千人当たりの年間発生率に直すと4・55だった。

 妊娠期間を約3カ月ずつ初期、中期、後期と三つに分けて発生率を見ると、初期は妊娠前と変わらなかったが、中期は6・47で、妊娠前の1・42倍だった。後期は出産が近づくほど発生が減り、出産後も妊娠前より発生率が低かった。

 一般につわりなどの症状がなくなり、安定している人が多い妊娠中期になぜ事故が増えたか、理由ははっきりしない。しかし、体が明確に変化しているのに、本人が出産間近な時期ほど慎重に行動していない可能性などが考えられる。

 今回の研究は、出産に至った妊婦だけが分析の対象で、妊婦自身や胎児が死亡するような、より深刻な自動車事故は対象外であるため、実際のリスクはもっと大きい可能性があるという。

 チームは「今回の結果は、妊娠中は運転をやめようということを示しているのではない。交通ルールを守り、慎重な運転をすれば事故は防げる」と強調している。

心臓手術 3症状合併 1歳5カ月、神戸の横谷柚希ちゃん成功 兵庫県立尼崎病院「成功は国内初」

毎日新聞社 2014年7月1日(火) 配信

心臓手術:3症状合併 1歳5カ月、神戸の横谷柚希ちゃん成功 県立尼崎病院「成功は国内初」 /兵庫

 県立尼崎病院は30日、生まれつき心臓の弁が欠損・閉鎖し、呼吸困難で入院していた神戸市の横谷柚希(ゆずき)ちゃん(1歳5カ月)の手術に成功したと発表した。三つの症状を合併した状態で、計3回の手術を受けた。同病院は「世界でもほぼ前例がなく、手術成功は国内で初めて」としている。

 柚希ちゃんの症状は、右心房から右心室への弁が閉鎖した三尖弁閉鎖▽右心室と左心室の壁に穴が空く心室中隔欠損▽右心室から肺動脈への弁がない肺動脈弁欠損。本来とは流れが違う血液が、肺動脈と右心室との間を逆流することで肺動脈が太くなり、気管支を圧迫し呼吸困難に陥っていた。執刀医の藤原慶一・心臓血管外科部長によると、肺動脈弁欠損を合併した三尖弁閉鎖の手術例は国内にもあるが、心室中隔欠損も合併した例は珍しいという。

 柚希ちゃんは出生前の2012年秋、胎児心臓エコー健診で、心臓に穴が空いているのが見つかった。(1)出生4日目の昨年1月、尼崎病院で、呼吸困難を軽減するため、肺動脈を細くするなどの手術を受けた。それでも肺動脈が拡大したため、(2)昨年7月、左右の肺に続く動脈を細くし、首から戻ってくる上大静脈につなぐ(3)6月3日、下大静脈を肺動脈につなぐ――手術をして根治した。

 記者会見で、藤原部長は「胎児の時に症状が見つかったのが良かった。関係医と連携し、周到に準備できたのが成功の要因ではないか」と振り返った。会見には柚希ちゃんを抱いた母淳子さん(39)も出席。「最初は、なんでうちの子がこんなことに、と考えた。今は先生に感謝の一言です。これからは家族で穏やかに暮らしたい」と話した。【米山淳】

〔阪神版〕

脳内連携の不足で自閉症 MRI使い調査、福井大

共同通信社 2014年7月1日(火) 配信

 福井大などの研究チームは、自閉症の症状がある男性と、ない男性を安静にした状態で、磁気共鳴画像装置(MRI)で脳が活動する様子を比較した結果、症状がある男性は脳内にある二つの特定部位の連携が弱いことを突き止め、6月30日までに英科学誌電子版に発表した。

 この研究チームは既に、この二つの特定部位が他人の考えを推測したり、自分を省みたりする際に連携して活動することを確認しており、福井大の小坂浩隆(こさか・ひろたか)特命准教授は「さらにデータを集めれば、MRI画像を自閉症の診断材料に加えることが期待できる」と話している。

 従来は、患者が話したり、作業に従事したりしている様子を精神科医などが観察して症状の有無を判断していたが、MRIを使えば、より客観的に診断できる可能性があるという。

 今回の研究では、自閉症の症状がある16~40歳の男性19人と、症状がない同年代の男性21人の脳内活動をMRIを使って調査。撮影したMRI画像をコンピューターソフトで解析し、脳内の各部分の連携がうまくいっているかどうかを調べた。

STAP論文問題 ネイチャー「3日号で撤回」 理研の責任消えず

毎日新聞社 2014年7月1日(火) 配信

万能細胞:STAP論文問題 ネイチャー「3日号で撤回」 理研の責任消えず

 STAP細胞の論文不正問題で、英科学誌ネイチャーが3日号で関連論文2本を撤回する見通しとなり、「生物学の常識を覆す」として世界の注目を集めた研究成果が白紙に戻ることになった。論文撤回によって、STAP細胞は存在しなかったことになるが、多くの著者が所属する理化学研究所には不正の全体像を明らかにする社会的責任が残る。

 科学の世界では、どんな大発見も論文発表されて初めて成果として認められる。STAP細胞論文が撤回されると、他の研究チームが将来、全く同じ手法で万能細胞を作製した場合、その成果は小保方氏ら今回のチームのものではなく、新たに作製したチームのものになる。

 ただし、特許については、論文の撤回で出願が無効になるわけではなく、仮に他のチームが成功した場合には、特許を巡る争いになる可能性もある。

 一方、STAP細胞研究は、理研の運営費交付金など公的研究費を使って進められ、論文発表の際に理研が大々的に広報した。論文が撤回されても理研の責任までは消えない。

 ウェブ上で公開された遺伝子データや残された細胞の解析からは、STAP細胞の正体がES細胞(胚性幹細胞)だった可能性が指摘される。また、不正認定されていない2本目の論文でも、複数の不正行為が疑われている。「そもそもSTAP細胞が一度でも存在したことがあったのかどうか」という社会の疑問に決着をつけることは喫緊の課題だ。

 理研は現在、発生・再生科学総合研究センター(CDB)でSTAP細胞を作製する検証実験を進めている。理研は論文以外の手法も含めた実験計画を立てているが、専門家からは「不正の有無を明確にするため、論文で発表した通りの方法で実施を」との声が上がる。残存試料や生データの解析から論文の作成過程を明らかにする、徹底した「論文検証」も全容解明に欠かせない。【須田桃子、八田浩輔】

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