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医療情報97

医療情報96
20140916~

代々木公園と別のウイルス デング熱、静岡県の男性 国内感染150人に

共同通信社 2014年9月30日(火) 配信

 厚生労働省は29日、デング熱に感染した静岡県の20代男性から検出されたウイルスの遺伝子配列が、これまでに代々木公園などで感染した患者のものと異なることが判明したと発表した。

 異なる遺伝子配列のウイルス検出は初めて。厚労省は、代々木公園周辺を中心に広がった症例とは別のルートで感染したとみている。海外で感染して帰国後に発症する人は年間約200人に達しており、複数の経路での感染が国内で起きていることを裏付けた。

 国立感染症研究所によると、代々木公園、新宿中央公園、明治神宮外苑、千葉市稲毛区などで感染した8人の患者から検出したウイルスの遺伝子が一致しており、厚労省は国内感染の大半は、代々木公園周辺で感染した人から広がったとみている。

 静岡県の男性は、10日に発症したとして同県などが18日に発表した。最近の海外渡航歴はなく、9月上旬に東京都内を訪れた。9~10日に県東部の勤務先で蚊に刺されたといい、感染場所は特定されていなかった。

 厚労省によると、東京都の男性3人が新たにデング熱に感染したことが確認され、国内感染は150人となった。

エボラ死者、3091人に…加速度的に拡大

読売新聞 2014年9月29日(月) 配信

 【ジュネーブ=石黒穣】世界保健機関(WHO)は26日、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の感染による死者数が23日時点で3091人に達したと発表した。

 死者数は9月初めに2000人を超えて以降、約20日間で1000人増となり、加速度的に拡大が続いている。

 感染状況が深刻なギニア、リベリア、シエラレオネの3か国の感染者は6553人に上り、3083人が死亡した。このうち、リベリアの死者は1830人を数え、全体の6割近くを占めた。ただ、9月初めまでに8人が死亡したナイジェリアや、感染者が確認されていたセネガルでは、この3週間、感染者が出ておらず、封じ込め策が一定の効果を上げているとみられる。

 WHOなどの研究チームは、感染者が11月初めまでに2万人に上り、死者は1万人を超えると推計。感染が広がっている3か国では、感染者の隔離などが追いつかず、死者数の増加に歯止めがかからない状況だ。

 一方、WHOは26日、試験中のワクチンについて、来年1月から投与できるとの見通しを示した。回復患者の血清を投与し、免疫力を高める治療法も推進するという。

塩分、指針の2倍摂取 WHO、各国に対策促す

自閉症スペクトラム障害 脳画像で早期発見 福井大・金沢大などチーム

読売新聞 2014年9月30日(火) 配信

 対人関係などに困難を抱える、発達障害の一種「自閉症スペクトラム障害(ASD◎)」を画像で判別できるようになってきた。従来の診断方法だけでは見落としたり、誤診を招いたりしたが、画像診断装置の進歩で、障害の傾向を数値で表せるようになった。ASDは、幼児期にコミュニケーションの訓練を始めれば、ある程度は社会性が向上するとされており、画像装置での早期発見が期待される。 (村上和史)

◇診断の壁 

 福井大や金沢大などのチームが研究を進めている。

 チームを率いる福井大の小坂浩隆・特命准教授によると、従来のASD診断は、問診や行動観察を重ねて確定させる。ただ、患者の個性と区別できる客観的な指標がないため、長期間見過ごされたり、うつ病などと誤診されたりするケースが後を絶たなかったという。

 客観的な診断指標が求められる中、2000年頃から、脳血流が増えた部分を赤色で示す機能的磁気共鳴画像(fMRI)などを使って脳活動を探る研究が盛んになってきた。しかし、目を閉じた時など、安静時には血流を検出できない上、頭を使うテストが必要だったため、幼少期の診断には不向きとされた。

◇技術の進歩 

 事態を打開したのは、07年頃の技術革新だった。fMRIで微弱な血流の変化も分かるようになり、他人と比較して自らの考え、行動を振り返る際に働く「後部帯状回」という脳後方の部位と、相手の言葉や表情を理解する「内側前頭前野」という脳前方の部位が、安静時にもわずかに活動することが判明した。

 いずれもASDとの関連が疑われていた部位で、チームは一般男性21人と、ASDの男性19人の脳画像をfMRIで撮影し、比較した。

 1人当たり8分間で約200枚撮影し、そのうち、後部帯状回で血流が見られた時のカットを重ねて1枚に加工。さらに、その画像上で内側前頭前野が赤く映った面積の割合も計算し、離れたところにある二つの部位がどの程度、同時に働くかを調べた。

 すると、ASDでは内側前頭前野が赤くなった面積の割合は平均30%と関連が薄かったのに対し、非ASDでは、2倍以上の67%だった。内側前頭前野で血流が見られた際、後部帯状回が赤くなるという逆のパターンでも同様の結果が出たという。

 小坂特命准教授によると、ASDでは二つの部位が連動しにくいことを示し、「この差が大きいほどASDの程度が重くなる傾向も出た」という。研究内容をまとめた論文が6月に英国の発達障害専門誌電子版に掲載された。

 ◇障害早く疑えていたら・・・患者・家族ら願い切実

 ASD患者や家族にとって、障害の早期発見、診断方法確立への願いは切実だ。

 「会話の相手が怒っても、理由が分からないことがある」。福井県内の就労支援事業所で働くASDの男性(31)は、ほとんど目を合わせることなく話した。

 男性は、相手の気持ちを想像するのが極端に苦手という。ASDと診断されたのは4年前で、それまでは人とコミュニケーションが取りにくいのは個性だと思い込んでいたという。

 長男(24)がASDの女性(50)も「息子が小学生の頃、学校になじめない原因は性格や個性と思っていた。もっと早く障害を疑えていたら、あまり悩まずに済んでいたかも」と話す。

 今回の研究で使われているfMRIは5、6歳になれば撮影は可能で、チームは今後、若年層などのデータも集めてASDを疑うための基準値を探る。ASDに詳しい弘前大の中村和彦教授は「研究が進めば、治療効果を確認する指標になるのでは」と指摘する。

 ◇治療法は

 Q 自閉症スペクトラム障害(ASD)とは何か。

 A かつては自閉症やアスペルガー症候群などを「広汎性発達障害」と総称していたが、昨年国際的な診断基準の変更に伴って現在の名称になった。スペクトラムは自閉傾向の強弱の個人差が大きいことを示している。

 Q ASDの診断法は。

 A 複数回の診察で本人や家族からコミュニケーションの内容などについて聞き取ったり、日常の行動を観察したりする。ただ、個性と発達障害との境界が曖昧で、大人になってから診断が確定するケースも多い。

 Q 治療法は。

 A 現在、治療薬はないが、会話や動作を学習させたり、友だちとの関係作りを指導したりする療育を幼少期から続けることで、社会性の向上が期待できる。

ASDの人らの脳活動を調べる小坂浩隆特命准教授(奥)ら(福井大病院で)

 ◎ASD=Autism Spectrum Disorder

エボラ死者、3091人に…加速度的に拡大

読売新聞 2014年9月29日(月) 配信

 【ジュネーブ=石黒穣】世界保健機関(WHO)は26日、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱の感染による死者数が23日時点で3091人に達したと発表した。

 死者数は9月初めに2000人を超えて以降、約20日間で1000人増となり、加速度的に拡大が続いている。

 感染状況が深刻なギニア、リベリア、シエラレオネの3か国の感染者は6553人に上り、3083人が死亡した。このうち、リベリアの死者は1830人を数え、全体の6割近くを占めた。ただ、9月初めまでに8人が死亡したナイジェリアや、感染者が確認されていたセネガルでは、この3週間、感染者が出ておらず、封じ込め策が一定の効果を上げているとみられる。

 WHOなどの研究チームは、感染者が11月初めまでに2万人に上り、死者は1万人を超えると推計。感染が広がっている3か国では、感染者の隔離などが追いつかず、死者数の増加に歯止めがかからない状況だ。

 一方、WHOは26日、試験中のワクチンについて、来年1月から投与できるとの見通しを示した。回復患者の血清を投与し、免疫力を高める治療法も推進するという。

岡山)早食いの人は「太りやすさ4.4倍」 岡大が立証

朝日新聞 2014年9月30日(火) 配信

 早食いは、やっぱり肥満になりやすかった――。岡山大学が、岡山大生約1300人を入学から3年間追跡し、立証した。肥満でなかった人が、早食いを続けるうちに肥満していくことを追跡し確かめた研究は少なく、貴重だという。

 岡山大の森田学教授(予防歯科)らは、2010年春に入学した新入生約2千人のうち、(1)3年間健診を欠かさず受けた(2)もともと肥満してはいなかった、という条件を満たした1314人を対象に調査した。

 研究チームは、学生に「脂っこいものをよく食べる」「食事が不規則」「朝食を抜く」「腹いっぱいになるまで食べる」など12項目について質問し、肥満度との関係を統計学的に解析した。「肥満」かどうかは、身長と体重から計算するBMIという指数が25以上の人とした。

 その結果、3年間でBMIが25以上になった人は38人いた。男性は女性の2・8倍肥満化しやすく、「早食いだ」と答えた人は、そうでない人より4・4倍も肥満しやすいことがわかった。

 調査・解析に当たった歯科医師で大学院博士課程2年の山根真由さんは「今後、早食いを改善すれば肥満は解消するのか、そして日常生活でできる早食いの改善法、などを研究していきたい」と話す。

 研究結果は米科学雑誌に掲載された。(中村通子)

福井)ASD児、ホルモン機能不全か 福井大教授ら確認

朝日新聞 2014年9月30日(火) 配信

 自閉症やアスペルガー症候群などの「自閉症スペクトラム障害」(ASD)の子どもは、ホルモンの一種「オキシトシン」が正常に働いていない可能性があることを、福井大の友田明美教授(小児発達学)らの研究グループが確かめた。スイスの科学誌「フロンティア・イン・ニューロサイエンス」電子版に17日付で掲載された。

 研究グループは、視線や愛着行動などに関与するとされるオキシトシンに着目。ASDでない60人とASD児19人を対象に、画像を指さしての視線の動きや唾液(だえき)に含まれるオキシトシン濃度の関連性を調べた。

 その結果、通常は指さし部分に視線が集まる傾向は濃度と比例するが、ASD児は濃度が高まっても視線が集まる傾向が高まらなかった。ASDとオキシトシンの機能不全の関連性をさらに研究する。友田教授は「唾液なら採取しやすい。視線計測などと組み合わせればASDの早期発見の一つの指標になりうる」と話した。(堀田浩一)

9人が原因不明のまひ症 米の小児科病院

共同通信社 2014年9月29日(月) 配信

 【ニューヨークAP=共同】米コロラド州オーロラにある小児科病院で子ども9人が、原因不明のまひ症状の治療を受けている。9人は約2週間にわたり発熱と呼吸疾患を示した後、四肢の脱力などのまひ症状に見舞われた。

 米疾病対策センター(CDC)は26日、このうち8人を検査した結果、4人からエンテロウイルス68を検出したことを明らかにした。

 同ウイルスは、まひ症状を引き起こすが、公衆衛生当局者らは別の原因も考えられるとして、究明を進めている。また、9人中8人はポリオ(小児まひ)の予防接種を受けているため、今回の症状がポリオだとは考えられないという。

ワクチン年明け本格使用も エボラ熱、高まる期待論

共同通信社 2014年9月29日(月) 配信

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は28日までに、西アフリカで流行するエボラ出血熱の開発中のワクチンについて、安全性が確認されれば年明けにも患者らに本格使用できるとの見通しを示した。死者が3千人を超え、感染拡大に歯止めがかからない中、ワクチンや血清を用いた治療への期待が日増しに高まっている。

 「全てがうまくいけば、来年早々にはワクチンの本格使用を開始できる可能性が出てきた」。WHOのキーニー事務局長補が26日、ジュネーブで記者団に語った。WHOによるとエボラ熱の感染拡大をある程度抑える効果が期待できるという。

 現在、使用が検討されているのは2種類のワクチン。うち英製薬大手グラクソ・スミスクラインと米国立衛生研究所(NIH)が共同開発しているワクチンは、年明けまでに1万人分が使える状態になるとしている。

 WHOは、ワクチンの安全性を確認した上で、11月にも医療関係者らへの使用を開始し、年明けには一般の患者にも門戸を広げたい考えだ。

 ただ、キーニー氏はワクチンの安全性について「サルへの実験では非常に良い結果が得られているものの、サルは人ではない」として、慎重に見極める方針だ。

 米疾病対策センター(CDC)は、対策が強化されなければ感染者数が来年1月までにリベリアとシエラレオネだけで55万~140万人に達すると推計。今後うまく封じ込められるかどうかは、ワクチンや治療薬の開発の進展が大きな鍵を握っているとされる。

 エボラ熱感染後に回復した患者の血液や血清を用いた治療法も期待されている。ただ、エイズウイルス(HIV)やマラリアに感染していないかどうか十分にチェックする必要があることや、高度な施設や人材を要することなど、なお多くの課題が指摘されている。

エボラに日本の薬初投与 仏に提供、インフル治療用

共同通信社 2014年9月29日(月) 配信

 富士フイルムは26日、グループ企業の富山化学工業が開発したインフルエンザ治療薬ファビピラビル(販売名・アビガン錠)が初めてエボラ出血熱の患者に投与されたと発表した。患者はフランス人の女性看護師。

 ファビピラビルはインフルエンザの治療薬として今年3月に国内で承認された。ウイルスの増殖に必要なタンパク質の機能を抑えるもので、エボラ出血熱に対する承認は得ていないが、エボラウイルスを感染させたマウスに投与すると治療効果が見られたとの論文が発表されている。

 富士フイルムは今月初め、フランスの政府機関から要請を受け、日本政府と協議の上で薬を提供した。

 今回の患者は、流行地のリベリアで医療活動中にウイルス感染が判明。フランスの病院へ移送された後、19日から他の未承認薬とともに服用を始めた。25日時点で治療は続けているという。富士フイルムはフランスへの提供量やエボラ出血熱治療としての使用法を明らかにしていない。

 薬の提供要請は他の国や医療機関からも寄せられており、検討を進めているという。

4本の腕と4本の脚を持つ赤ちゃん、手術成功 ウガンダ

朝日新聞 2014年9月29日(月) 配信

 アフリカ東部ウガンダの病院で、4本の腕と4本の脚がある状態で生まれた男児の手足の切除手術が行われ、成功した。医師団は「元気に成長するだろう」としており、両親は「みんなに助けてもらった。将来は医師か人の命を守る警察官になってほしい」と話している。

 手術を受けたのは、ポール・ムキサちゃん。母のアウィノさん(28)は5月27日、首都カンパラから車で4時間ほど離れたウガンダ東部の村でポールちゃんを産んだ。新生児の下腹部に2本の腕と2本の脚が付いていることが分かると、村中大騒ぎに。「悪霊の呪いだ」と言われて殺されそうになったが、知人が救急車を呼んでくれ、カンパラの国立病院に運ばれた。

 担当したカケンボ・ナセル外科医(37)によると、ポールちゃんの体重は当時5・8キロもあり、「自然分娩(ぶんべん)で産めたこと自体がミラクルだった」。検査した結果、双子の一方の胎児の発達が止まり、もう一方の胎児と結合した「寄生性双生児」という珍しい症例であることがわかった。結合した胎児には頭部や心臓はなく、腕と脚が成長していた。ポールちゃんは胎児と骨盤を共有し、心臓と肝臓が左右逆についていた。

 医師団はポールちゃんが長時間の手術に耐えられるよう、体重が10キロになるまで待ち、8月18日に約3時間の手術で計4本の腕と脚を切除した。大量出血や合併症もなく、今月17日、医師団や看護師に見送られて無事退院。現在、村の外れの小屋で両親や4人の兄弟と暮らしている。

 カケンボ外科医によると、ウガンダでは近年、結合双生児の誕生が相次いでいる。原因は不明だ。同病院には3年間で7組の結合双生児が運び込まれており、6組が死亡。1組がエジプトに搬送され、現在も生存しているという。(カンパラ=三浦英之)

お酒に弱い人、心臓も? 心筋梗塞、重症化の傾向

朝日新聞 2014年9月28日(日) 配信

 お酒に弱い体質の遺伝子型を持つ人は、心筋梗塞(こうそく)になったときに心臓のダメージが大きくなりやすいとする研究結果を、米スタンフォード大のチームがまとめた。ヒトのiPS細胞を使った実験で確かめたという。論文を米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版に発表した。

 お酒に強いか弱いかは、悪酔いの原因となる物質アセトアルデヒドを分解する酵素をつくる遺伝子の型に左右される。遺伝子に変異があって、その酵素をうまくつくれないタイプの人はお酒に弱くなる。こうしたタイプは東アジアの日本人や韓国人、中国人に多い。

 チームは、東アジア系でお酒に弱い遺伝子タイプの5人と、そうではない5人の皮膚の細胞からiPS細胞をつくり、心筋細胞に変化させて性質を調べた。この酵素は心筋梗塞になったときに出てくる活性酸素の解毒にもかかわっていて、お酒に弱いタイプでは心筋細胞でもこの酵素がうまく働かず、細胞が死にやすくなっていることがわかったという。

 お酒に弱い人は心筋梗塞などが重症化しやすい傾向にある、と臨床医の間では経験的に受け止められていた。これまでのマウスの実験では、この酵素に心筋細胞を守る働きがあるかどうかははっきりしていなかった。(竹石涼子)

塩分、指針の2倍摂取 WHO、各国に対策促す

共同通信社 2014年9月26日(金) 配信

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は25日の声明で、世界の成人1人当たりの塩分摂取量が1日約10グラムに上り、WHOが指針として推奨する5グラム未満の約2倍に達すると警告、対策を急ぐよう各国に促した。

 WHOは、2025年までに塩分摂取量を世界全体で30%削減できれば、数百万人が心臓病などで命を落とすのを防げるとしている。厚生労働省の13年の発表によると、12年の日本人の平均摂取量は成人男性が11・3グラム、成人女性が9・6グラム。成人全体では10・4グラムだった。

 具体的には、食品製造・販売業者に減塩に取り組むよう促す政策を各国が掲げることや、食品に塩分量明記を徹底することなどを求めた。

 WHOは13年1月、塩分摂取量を成人は1日5グラム未満にすべきだとの指針を公表。子どもはさらに少なくするよう求めている。

 WHOによると、塩分の過剰摂取は心臓発作で死に至る危険があり、5グラム未満に摂取を抑えれば、血圧の抑制も認められるという。

##日本人は、アメリカやヨーロッパ人より、そんなに心臓病が多いのですかね?

エボラ熱死者3千人に迫る WHO、ギニアは安定傾向

共同通信社 2014年9月26日(金) 配信

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は25日、西アフリカで流行するエボラ出血熱の死者(疑い例を含む)が21日時点で計2917人に達したと発表した。感染が特に深刻な3カ国のうち、リベリア、シエラレオネは依然として感染の拡大が続いているが、ギニアは「安定傾向がみられる」としている。

 WHOは20日時点の死者を計2811人としていた。1日で約100人増加した計算となる。

 21日までに感染が確認されたか疑われる患者は、ナイジェリア、セネガルを加えた5カ国で計6263人。死者の内訳はリベリア1677人、ギニア635人、シエラレオネ597人、ナイジェリア8人。

 WHOは、リベリア、シエラレオネ、ギニアではベッド数が計2100以上不足していると指摘、国際社会に一層の支援を求めた。

デング熱ウイルス抑える蚊 リオで研究者が放出

共同通信社 2014年9月26日(金) 配信

 【リオデジャネイロAP=共同】ブラジル・リオデジャネイロ研究者らは24日、デング熱ウイルスの働きを抑える「ボルバキア」と呼ばれる細菌に感染させた蚊の群れを同市内に放した。

 実験を行ったのは国立研究機関「オズワルドクルス財団(FIOCRUZ)」の研究チームで、将来的にはすべての蚊に「ボルバキア」を感染させることでデング熱を根絶するのが狙い。デング熱は蚊が媒介する感染症で、世界中で毎年約3億9000万人が感染しているとみられている。

 同様の取り組みはオーストラリア、ベトナム、インドネシアでも行われている。

デング熱、手探りの対応 感染確認1カ月、代々木公園閉鎖続く

朝日新聞 2014年9月26日(金) 配信

 約70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱。感染源とされる東京・代々木公園は大半が閉鎖されたまま感染確認から1カ月を迎える。都心の憩いの場でなぜ広がったのか。行政の対応に不備はなかったか。6年後に五輪を控えた首都に新たな課題が浮上している。▼1面参照

 ■「危険、海外並みか」

 「代々木公園のこの8月は海外の流行地を旅行するのと同じぐらい感染リスクが高かったかもしれない」

 厚生労働省の担当者はこの1カ月を振り返る。

 最も早く発症した人は8月12日。感染から発症までの時間(多くは3~7日)や、蚊でウイルスが増える時間(1週間程度)を考えると、海外でデング熱に感染した人が7月下旬から8月初めに代々木公園で複数の蚊に刺されたと推定される。最初の感染例が発表された8月27日より前から公園にはウイルスを持った蚊が相当いて、感染者を増やしていたとみられる。

 国立感染症研究所ウイルス第一部第2室の高崎智彦室長は「代々木公園で感染した人が、症状が出る1、2日前に、感染を知らずに他の場所で再び蚊に刺された可能性が高い」とみる。

 代々木公園以外で感染した患者が最初に発症したのは8月29日。最初の発表より前に、新宿中央公園などに感染源の飛び火が始まっていたとみられる。

 ■「初の事態に焦り」

 厚労省から都に代々木公園での国内感染の疑いが内々に伝えられた8月26日。都は急きょ、代々木公園内10カ所に蚊を採取する仕掛けを設けた。だが、雨の影響で35匹しか捕獲できず、いずれもウイルスは不検出だった。この時の調査が、公園を閉鎖せずに駆除する都の方針を決定づけた。

 都は同28日、最初に感染が確認された3人が蚊に刺されたと証言した渋谷門を基点に、国立感染症研究所の半径50メートルとするマニュアル案より少し広めの半径75メートルで殺虫剤をまいた。

 だがその後、代々木公園を訪れた感染者が全国で急増。園内10カ所で9月2~3日に採取した蚊のうち4カ所でウイルスが検出され、都は4日、公園の大部分の閉鎖に踏み切った。それ以降、3週連続で園内の蚊からウイルスが検出されている。

 感染研の担当者は「8月末の段階で、代々木公園で刺された場所の近くで、もっと効果的な方法で蚊が多く生息する場所を調べて駆除していれば、その後の感染者が減らせた可能性がある」と話す。

 一方、都の担当幹部は「8月末段階で頼れるのはマニュアル案だけ。初めての事態に焦り、対応に限界があった」と打ち明ける。

 感染研は9月12日にマニュアルを改定。調査・防除の範囲を半径100メートルに広げ、公園全体で蚊が多く生息する場所を調べた上で駆除することを明記した。

 感染研の沢辺京子昆虫医科学部長は「情報共有などで不十分な点はあったと思うが、同じ事を繰り返さないように、経験を生かすことが大事だ」と話す。

 ■来年の感染防止、越冬卵対策カギ

 ヒトスジシマカは卵で冬を越す。卵にウイルスがうつることはまずない。だが、感染研の沢辺部長は「来年の流行のリスクを減らすには、蚊自体が増えないように卵を産ませない対策が大切だ」と指摘。2001年、多くの感染者が出た米ハワイでは、成虫だけでなくボウフラへの対策をとった結果、翌年初めには流行を終息させられた。

 20年夏に五輪開催を控え、東京都は19日、蚊を媒介とする感染症対策会議を設置。来夏に向けた対策を年内にまとめる。都は5日から代々木公園内に約200カ所ある園内の側溝にボウフラの成虫化を防ぐ薬剤を入れ始めた。

遺伝性がん患者からiPS作製成功…京大チーム

読売新聞 2014年9月26日(金) 配信

 珍しい遺伝性のがん「VHL病」の患者から採取した細胞でiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に京都大のチームが成功したと、横浜市で開催中の日本癌がん学会で26日発表する。

 iPS細胞を利用し、5年以内に治療薬の候補物質を見つける計画という。

 この病気は、がんを抑制するVHL遺伝子の変異が原因で起きる。脳や脊髄、網膜の血管腫、腎臓がんなどが多発する。国内患者数は約1000人。現在はがんが見つかるたびに、手術で摘出する以外に治療法がない。抗がん剤の研究開発はマウスなどの実験動物で行うが、VHL病の特徴を再現したマウスはなく、研究が困難だった。

 京都大医学研究科の中村英二郎・特定准教授らは、iPS細胞は元の細胞と同じ遺伝情報を持つため、遺伝性の病気を再現できることに着目。手術を受けた患者から皮膚細胞の提供を受け、京都大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)との共同研究でVHL遺伝子の変異のあるiPS細胞の作製に成功した。

 今後、iPS細胞をがん細胞に変化させ、様々な薬を投与して有効な治療法を特定し、患者への臨床試験(治験)につなげる。

 中村特定准教授は「希少がん研究の先鞭せんべんをつけたい」と話している。

後発薬、味で勝負 抹茶・ココア…各社開発にしのぎ

朝日新聞 2014年9月26日(金) 配信

 良薬、口にも甘し――最近話題の「国語の乱れ」ではない。苦い薬を飲むのは苦痛という患者の声に応えようと、後発薬メーカー各社が「おいしい薬」づくりに力を入れているのだ。

 見た目は何の変哲もなく、白く丸い錠剤。口に含むと、抹茶味(脳卒中薬)や、オレンジヨーグルト味(胃腸薬)がして驚かされる。後発薬(ジェネリック)大手の沢井製薬の製品の一例だ。

 いずれもラムネ菓子のように口の中で溶かして飲む薬。子ども向けのドライシロップにはストロベリーやバナナ、お年寄りが飲むことが多いものにはメントールと「苦みをうまく消すだけでなく、薬を飲む年齢層に応じて味つけも変えている」(製剤研究部の菊岡広晃グループマネジャー)。

 菊岡さんら約40人の研究員が働く大阪市内の研究室で欠かせないのが「味覚センサー」だ。開発中の薬にプリンを混ぜたり、乳酸菌飲料を加えたり。配合を変えながら、試作を100回以上重ねることも。5年前に導入すると、またたく間に業界に広まった。

 東和薬品が2012年に発売した認知症の薬は、おかゆに混ぜて飲めるように梅味をつけた。日医工(富山市)の胃腸薬はいちごヨーグルト味。それに対抗し、テバ製薬(名古屋市)は大人でも飲みやすいようビターココア味を出した。

 各社が味つけを競うのは後発薬の普及が進んだためだ。ある製薬幹部は「後発薬メーカーは他社と差をつけるため、おいしい薬をつくるのに必死」と明かす。

 (福山亜希、伊沢友之)

肺下葉分割移植初成功 「いとおしい笑顔」母の喜び 岡山大病院「サイズの壁」越える

毎日新聞社 2014年9月25日(木) 配信

生体肺移植:肺下葉分割移植初成功 「いとおしい笑顔」母の喜び 岡山大病院「サイズの壁」越える /岡山

 体格の合うドナーが現れなくても、小さな子が肺移植を受けられる――。岡山大病院(北区鹿田町2)が母親の左肺「下葉」を分割し、2歳の子の両肺として移植する手術を世界で初めて成功させた。執刀医の大藤剛宏・肺移植チームチーフは「今まで不可能と思われていた乳幼児への移植に、希望を示せた」と達成感をにじませた。【五十嵐朋子、原田悠自】

 乳幼児にとって、肺移植のチャンスは限られている。2010年の改正臓器移植法により、脳死と判定された子どもからの臓器提供が可能となったが、体格の合うドナーが現れる確率は依然として低い。大人の生体肺移植では肺の一部「下葉」を切り取って移植するが、乳幼児には大きすぎる。他に治療法がなくても、移植を諦めざるを得ない子が多いのが現状だ。

 「サイズの壁」への挑戦は、以前から続いていた。岡山大病院は昨年7月、五つある肺のパーツのうち、最も小さい右肺「中葉」を母親から3歳の子へ移植することに世界で初めて成功。だが、今回、中葉でも2歳の子には大きすぎた。肺移植チームは、気管の形などから、分割するなら左下葉が最適と判断した。

 この手法は難易度が高く、これまで実施例がなかった。切り分けた両方が肺として機能するためには、血管や気管を傷つけないよう細心の注意を払う必要があるからだ。手術では、大藤さんが数時間をかけ、血管の位置を確認しながら慎重に電気メスで切断した。

 男の子の新しい肺は、元の肺の約2倍に相当する大きさ。それでも無事に機能し、手術から約2週間後の13日、人工呼吸器が外れた。22日には酸素吸入も必要なくなった。週明けには集中治療室から一般病棟に移る予定で、1カ月後には退院できる見通しだという。男の子の母親は「再び息子のいとおしい笑顔が見られて喜びをかみしめています。小さな体でよく頑張ってくれた」とコメントを出した。

 前例のない手術に次々と挑む肺移植チーム。大藤さんは「経験を積む中で、今回の手法も可能と思えるようになった」と移植チームの成長を語る。「『難しいから』と断るのは簡単だが、患者は命を落とすことになる。肺の病に苦しんでいる子どもたちの希望になれば」と力を込めた。

胃がんの8割がピロリ菌 除菌で3~4割減少 国際がん機関が報告書

共同通信社 2014年9月25日(木) 配信

 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC、本部フランス)は24日、胃がんの8割がピロリ菌の感染が原因で、除菌で胃がんの発症を3~4割減らせるとの報告書を発表した。国内事情に応じて、除菌による胃がん予防対策を検討するよう各国に求めた。

 IARCは1994年にピロリ菌を発がん要因と分類したが、胃がんの主要な原因であると認めたのは初めて。特に、日本人に多い胃の入り口(噴門部)以外の胃がんでは、9割の原因であると推測されるという。

 報告書は国際的な専門家で構成される作業部会が、従来の研究結果や疫学調査を精査してまとめた。全胃がんの78%、噴門部以外の胃がんの89%がピロリ菌の慢性感染が原因だと考えられるという。抗生物質を使った除菌で発症が大幅に抑制できるが、抗生物質の耐性菌が増えるなどのマイナス面も指摘した。

 このため、患者数やピロリ菌検査・除菌の費用、医療対策の優先度など各国の事情に応じて対策を検討すべきだとした。

 報告書によると、胃がんは2012年に世界で約100万人が発症し、約72万人が死亡、がんの死因としては第3位となっている。日本では年間約5万人が死亡し、がん死因では肺がんに次いで2位。

世界に先駆け保険適用 関係者談話

共同通信社 2014年9月25日(木) 配信

 国際がん研究機関の報告書作成に参加した北海道大の浅香正博(あさか・まさひろ)特任教授(がん予防内科)の話 ピロリ菌が胃がんの主要な原因であることを、国際機関が今回初めて断定し、胃がんの予防に除菌の効果を認めた点が重要だ。また、日本で2013年に世界に先駆けて、慢性胃炎患者に対する除菌が健康保険でできるようになったことを評価してくれた。国内では保険適用後、除菌した人が年間100万人を超えた。2020年には胃がんによる死亡数が大幅に減ってくると期待している。

区域移植に二つの意義 子どもの移植機会増やす

共同通信社 2014年9月25日(木) 配信

 岡山大病院が世界で初めて成功した、肺として機能する最小単位の「区域」に肺を分割して移植する手術。脳死による子どもからの臓器提供が少ない中、生体間での移植を受ける機会が増やせることに加えて、大人の肺提供者(ドナー)と、幼い患者の肺のサイズが大きく異なっても移植できるという、二つの意義がある。

 2010年に施行された改正臓器移植法で、本人が生前に拒否していなければ、家族の承諾で15歳未満でも脳死による臓器提供ができるようになったが、特に幼児からの提供は極めて少ない。

 しかし生体肺移植なら、適合する健康な提供者さえ見つかれば提供が可能。さらに、これまでサイズが大きく異なる肺の移植は困難とされてきたが、最小単位の「区域」で移植できるようになったことで、岡山大病院が13年7月に世界で初めて成功した、肺の中葉部分を摘出して移植する生体肺中葉移植よりも幅広く、サイズの違いに対応できる。幼児に移植できる肺のドナーは、格段に増えたことになる。

 今回執刀した呼吸器外科の大藤剛宏(おおとう・たかひろ)准教授は24日の記者会見で「海外ではそもそも区域単位での移植という発想すらない」と成果を強調した。

被災後の糖尿病患者の悪化リスク、予測可能に 東北大研究グループの調査で

河北新報 2014年9月24日(水) 配信

 東北大大学院医学系研究科の今井淳太講師(代謝学)らの研究グループは、東日本大震災で被災した糖尿病患者を調査し、特定の化合物の血中濃度が低い患者ほど震災後に症状が悪化する傾向が顕著だったことを突き止めた。災害時に優先的にケアする必要がある糖尿病患者の事前予測につながる研究成果として、注目される。

 今井講師らは2011年4~6月、宮城、福島両県の被災者497人を調査。その結果、空腹時にアミノ酸の化合物「C―ペプチド」の血中濃度が低い患者のグループは、高い患者のグループに比べて震災後、血糖値の上昇幅が大きくなり、症状悪化のリスクが高まっていたことが分かった。

 日常の診療でC―ペプチドの血中濃度を調べておけば、災害後に症状が悪化する患者を把握することができる。

 今井講師は「災害が起きると医療資源が不足する。状態が悪化する患者が前もって分かっていれば、限られたスタッフや薬を効率的に活用することができる」と説明する。

 今井講師らは今後、災害時の精神的ストレスと血糖値の関係を研究し、C―ペプチドの血中濃度が低い患者の血糖値が災害後に上がる仕組みの解明を目指す。

 今回の研究成果は23日付の米国の糖尿病学会誌電子版に掲載された。

肺腺がん、「XAGE」抗原が生存に関与 川崎医福大教授らのグループが証明

山陽新聞 2014年9月24日(水) 配信

 川崎医療福祉大の中山睿一教授(腫瘍免疫学)と川崎医科大の岡三喜男教授(呼吸器内科学)らの共同研究グループは、肺腺がんに特異的に現れる抗原「XAGE」に対する免疫反応が、完治が難しい進行がんと診断された後でも機能しており、患者の生存期間に深く関わっていることを5年間にわたる追跡調査で証明した。がんの進行を遅らせるワクチンの開発につながるといい、グループは成果を活用した新たな免疫療法も検討している。 肺がんの中で最も多いのが気管支の末梢部分に発生する肺腺がん。中山教授らは、肺腺がん細胞の40―50%にXAGEが存在することを約10年前に発見していた。

 一般に、がん細胞は自分の細胞が変化(がん化)したため、抗体が異物と認識できず免疫反応が起こりにくいという。抗原があれば、それが“目印”となって抗体となるリンパ球が活性化し、がんの進行は抑制される。

 グループは2007年以降、川崎医科大付属病院で進行した肺腺がんと診断された患者145人を対象に、XAGEの有無と免疫反応などを観察。診断後の生存期間の中央値を比較したところ、免疫反応があるグループは33・3カ月、ないグループは15・1カ月だった。

 一方、がん細胞の周りには免疫の働きを抑えようとする「制御性T細胞」が多数集まっていることも確認した。「がん細胞排除の障害になっている可能性がある」として、制御性T細胞を取り除く抗体薬を投与する医師主導臨床治験を13年2月から始めている。

 岡教授は「XAGEを使った新型ワクチンの開発を進め、制御性T細胞を除去する治療と併用した複合型免疫療法も実現させたい」と話している。

 成果は25日に横浜市で開催される日本がん学会総会で発表する。米国がん学会の公式学術誌、世界肺がん学会誌にも掲載される。

どうなるエボラ 「薬で流行阻止できず」 専門家に聞く 「医療新世紀」

共同通信社 2014年9月24日(水) 配信

 西アフリカでのエボラ出血熱の拡大が止まらない。世界保健機関(WHO)は来年2~5月の流行終息を目指すとの行程表を8月末に公表し国際社会に支援の拡大を求めたが、患者は2万人を上回る恐れがあるとWHOはみる。医療が整った先進国で流行する可能性は低いが、デング熱対策に悩む日本にも新興感染症の脅威は人ごとではない。エボラをめぐる疑問点を専門家らに聞いた。

 ▽防御の基本

 エボラウイルスは発病した患者の血液や体液に混じって排出されるため、それらに触れなければ感染しないとされる。葬儀で死者の体に触る風習が流行拡大の要因といわれるが、防護服に身を包んでいるはずの医療従事者の死亡も多い。

 「防護服をもっと厳重にすればという問題ではない。手を洗うなど基本的な防御策を徹底しにくいことが重大」と話すのは、WHOチームの一員として7月にシエラレオネの病院で患者治療に当たった東京都保健医療公社豊島病院の足立拓也(あだち・たくや)医長(感染症内科)だ。

 支援があっても物資不足は深刻で、ゴーグルを塩素消毒して再利用するスタッフもいた。人手不足のため消毒液の補充がない日も。そんな中、患者の血液や排せつ物にさらされる医療者は、わずかな気の緩みも感染リスクに直結する。

 一方、ウイルスは遺伝子変異を起こしやすい。現在はウイルスが傷口や粘膜から体内に入って感染するが、今後、空気感染するように変わる恐れはないのか。

 エボラウイルスに詳しい高田礼人(たかだ・あやと)北海道大教授は「そこまでの変異は極めて考えにくい」と話す。だが、変異によって現在の診断法で検出しにくくなるなどの支障が出る恐れは十分ある。

 ▽未知数

 「企業とも協力し、未承認薬を提供する用意がある」。菅義偉官房長官が8月25日に発表した。富士フイルム傘下の富山化学工業が開発したファビピラビルのことだ。

 日本で今年3月にインフルエンザ治療薬として承認された薬だが、少数のマウスの実験でエボラに効果がみられたとの論文が発表され、にわかに注目が集まった。どの程度期待できるのか。

 専門家らはまず「薬で流行は阻止できない」と口をそろえる。インフルエンザ治療のための臨床試験(治験)は行われたが、エボラ患者への有効性は未知数。エボラ治療では服用量がインフルより多いとみられるため、安全性データもそのまま使えるわけではない。

 富士フイルムによると、製造済みの錠剤の在庫はエボラでの使用を想定しても2万人分以上あり、有効期限(5年)も問題ないという。米国でサルを使った実験が進行中と報じられており、結果が注目される。

 ▽関心低下

 今回の流行は昨年12月に始まり、3月に急拡大した。現地で活動する非政府組織はWHOの対応の遅れを批判している。

 新型肺炎(SARS)が世界に広がった2003年、WHOで対策を担当した押谷仁(おしたに・ひとし)東北大教授(微生物学)は「WHOが新興感染症対策に使える資金や人員は以前より減っており、その影響は否定できないと思う」と話す。

 国境を越えて広がる感染症への関心はSARSを契機に高まったが、09年に「新型」として流行したH1N1型インフルエンザがそれほど重大な打撃をもたらさなかったこともあり、主要国の関心は低下した。さらに経済悪化で各国に資金的な余裕もなくなった。

 押谷さんは「世界規模の感染症リスクはむしろ増大しており、態勢を保つ必要性は明白だ。しかし現在の経済情勢で現実にどこまで資金を確保できるかという問題はある」と難しさを指摘する。(共同=吉本明美)

肺の一部分割し2歳児に 岡山大が移植成功、世界初

朝日新聞 2014年9月24日(水) 配信

 母親の左肺の一部を「区域」と呼ばれる小さな単位に分割して、2歳児の両肺に移植する手術が岡山大学病院で実施された。「区域」は肺として機能できる最小単位。2歳児は自力で呼吸できる状態まで回復しており、執刀した大藤剛宏(おおとうたかひろ)准教授は「手術は成功した」と話している。区域単位の肺移植に成功したのは世界で初めてという。

 大藤さんによると、患者は埼玉県に住む2歳9カ月の男児。国内では最年少の肺移植となる。手術は8月31日に約11時間かけて実施。9月13日に人工呼吸器を外し、22日には酸素吸入器も使わなくなった。

 男児は今年5月ごろ特発性間質性肺炎を発症。8月中旬には人工呼吸器を使っても重度の酸欠になるほど悪化し、両肺の移植が必要になった。当初、大人2人から肺を一部ずつ提供してもらう想定だったが、検査の結果、母親以外に適合する人がいなかった。

 そこで、母親の左肺の「下葉」という部分を、区域単位に切り分けて移植した。肺として機能させるため細かな血管などを傷つけないよう分割したという。

 肺は左右で計五つの部分から成り、生体移植では通常その一つを移植するが、乳幼児の小さな体には収まらないことが多い。大藤さんは「肺の機能を維持したまま、小さなサイズにすることで、不可能と思われていた小さな命を救えるようになる」と話している。ただ、男児が大きく成長して肺の容量が足りなくなれば再移植が必要になる可能性もある。(錦光山雅子)

「STAP細胞、ESと酷似」理研研究員が論文

読売新聞 2014年9月24日(水) 配信

 STAPスタップ細胞の論文問題で、STAP細胞とされる細胞の遺伝子データを解析したところ、別の万能細胞であるES細胞(胚性幹細胞)に酷似した特徴を持っていたと、理化学研究所の遠藤高帆たかほ上級研究員が日本分子生物学会誌(電子版)に発表した。

 この論文によると、STAP細胞では、通常2本セットになっている染色体の数が、8番染色体だけ3本になっている異常が見つかった。この異常があるマウスは胎児の段階で死んでしまうはずだが、STAP論文の筆頭著者だった小保方晴子・理研ユニットリーダーらは生後約1週間のマウスからSTAP細胞を作製したと主張している。

 この異常はES細胞ではよく見られる。遠藤氏は「ES細胞に非常によく似た性質を持つ細胞と結論できる」と指摘している。

京大、iPS影響力世界2位…ハーバードに次ぐ

読売新聞 2014年9月24日(水) 配信

 世界的に注目を集める再生医療の研究で、京都大がiPS細胞(人工多能性幹細胞)の分野で大学・研究機関別の影響力が米ハーバード大に次いで世界2位であることが、世界最大級の学術論文データベースを持つ情報サービス会社「エルゼビア」(本社・オランダ)と読売新聞社との共同調査でわかった。

 ただ、再生医療全体でみると、京大は17位、東京大は54位、大阪大は93位、名古屋大は94位で、日本は存在感を十分に示せなかった。影響力トップはハーバード大で、上位20のうち17を米国の大学・機関が占めた。シンガポール国立大が26位、韓国・ソウル大が40位、中国・上海交通大が80位になるなど、アジア各国の健闘も目立った。

エボラ熱患者、最悪140万人に 米機関が試算

朝日新聞 2014年9月24日(水) 配信

 米疾病対策センター(CDC)は23日、西アフリカで猛威を振るうエボラ出血熱について、適切な措置がとられなかった場合、来年1月中旬の感染者が55万~140万人に達する可能性があるとの試算を発表した。一方、患者の7割が隔離施設などで適切な治療を受ければ、流行は終息する、との見通しも示した。

 CDCは、リベリアとシエラレオネの両国について、今年8月下旬までの感染者数や増加傾向をもとに分析。感染者が140万人に達する最悪ケースは、世界保健機関(WHO)が公表している人数より、実際には2・5倍の感染者がいる場合を想定したもの。オバマ大統領が今月16日に発表した米兵約3千人を現地に派遣する支援策などは考慮されていない。

 WHOは当初、6~9カ月以内に感染者が2万人に達するとしていた予測を「11月上旬」に前倒ししている。CDCの今回の予測も従来の予測を上回るペースで増えていることを示したものだ。WHOが23日に発表した西アフリカの感染者数は、これまでに計5864人。(ニューヨーク=小林哲)

下肢静脈瘤 「肥満」で「立ち仕事」リスク3倍 島根大チーム、初の疫学調査で分析

毎日新聞社 2014年9月22日(月) 配信

下肢静脈瘤:「肥満」で「立ち仕事」リスク3倍 島根大チーム、初の疫学調査で分析 /島根

 足の静脈に血液が溜まり、むくみや痛みなどの症状が出る「下肢静脈瘤(りゅう)」について、島根大疾病予知予防プロジェクトセンターなどの研究チームが国内で初めて疫学調査を行った。その結果、肥満で長時間の立ち仕事の経験がある人は、そうでない人に比べて3倍超のリスクを抱えていることが分かった。成果は皮膚科学専門誌に近く掲載される。

 下肢静脈瘤は足の血液の流れが停滞し、静脈の拡張や蛇行が生じる病気。足に流れた血液が心臓に戻る際、重力に逆らって上昇することを可能にしている静脈の「逆流防止弁」が機能しなくなるために起きる。根治には手術が必要だが、病気が広く知られておらず、見過ごされるケースもあるという。

 同センターの研究グループは2012年度、雲南市内に住む45歳以上の男女318人(平均年齢70歳)を対象に調査。超音波エコーを使って機能障害の有無を確認し、肥満の程度を知るBMI(体格指数)や立ち仕事の経験、喫煙などの生活習慣も尋ねた。

 その結果、約2割の人に機能障害のあることが判明。更に解析すると、▽BMIが1高くなるごとに1・14倍の有病リスクが生じる▽歩行を伴わない1日5時間以上の立ち仕事の経験がある人は、そうでない人より1・98倍のリスクがある――などの結果が出た。BMI25以上の肥満の人で、紡績工場やレジ打ちといった立ち仕事の経験もある人は、そうでない人より3・42倍のリスクを抱えていた。

 研究に関わった新原寛之医師(皮膚科)は「肥満は有病リスクだけでなく、症状を悪化させる要因にもなる。立ち仕事の人は合間に歩いたりすれば、リスクを下げることが期待できる」と話している。【金志尚】

豚コラーゲンで角膜素材 再生医療に応用へ

共同通信社 2014年9月22日(月) 配信

 農業生物資源研究所(茨城県つくば市)と東京大病院の研究チームは19日、目の角膜の再生医療に向けた新素材を豚のコラーゲンから開発することに成功したと発表した。人の角膜細胞を新素材に重ねて患者に移植する治療法の実用化に取り組むという。

 黒目の部分に当たる角膜は、外側から上皮、実質、内皮の3層で構成される。内皮細胞は再生能力がなく、加齢などで細胞数が極端に減ると、視力が低下する水疱(すいほう)性角膜症になる。主な治療法は角膜移植だが、世界的に提供者不足が課題となっている。

 チームは、豚のコラーゲンを材料に、角膜の曲面に沿った半球面状の透明な膜を作ることに成功。ウサギの目への移植実験では、炎症などの副作用が起きにくいことを確認した。人の内皮細胞は大量に培養することができるため、提供者不足の解消が見込まれるという。

 同研究所の竹沢俊明(たけざわ・としあき)上席研究員は「実用化が進めば、同じ品質の角膜素材をより多くの患者に届けることができる」と話している。

国連、エボラ熱対策を主導 異例の派遣、各国支援調整

共同通信社 2014年9月22日(月) 配信

 【ニューヨーク共同】西アフリカで猛威を振るうエボラ熱の感染を封じ込めるため、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が派遣を発表した「国連エボラ緊急対応支援団」は、欧米など各国の支援が円滑に進むよう、現場活動を調整する役割を想定している。共同通信が18日入手した潘氏の書簡によると、潘氏は安全保障理事会の議長国、パワー米国連大使に対し、支援を「主導する」と決意を表明した。

 外交筋によると、国連事務総長が感染症の大規模な流行への対応のため、支援団派遣を決めるのは極めて異例という。国連総会(193カ国)は19日、派遣を歓迎し、全加盟国に「全面的支援」を求める決議案を採択する。

 エボラ熱をめぐっては、米国が輸送部隊を含め軍の約3千人を動員し、100床のベッドを持つ治療施設を計17設営する方針を表明。キューバも165人の医療従事者を派遣すると発表するなど国際社会の支援表明が相次いでおり、「重複」(潘氏)を避けるため、支援団が調整に当たる。

 書簡の中で、潘氏は支援団が「地域での活動基盤」を構築し、支援する国々と「緊密に連携する」と説明している。

 書簡によると、支援団は感染国周辺の西アフリカに本部を設置。感染者の多いリベリアなど3カ国に現地事務所を置く。全体の人数や予算規模には言及していない。

 リベリアのヌガフアン外相は18日、安保理の特別会合で演説し、医療関係者も多数が感染、通常の医療態勢に影響が出ていると訴え、支援拡大を国際社会に要請した。

上野公園でデング熱感染か 埼玉の20代女性、閉鎖せず

共同通信社 2014年9月22日(月) 配信

 東京都は19日、台東区の都立上野公園で、埼玉県の20代女性が蚊に刺され、デング熱に感染した可能性があると発表した。13日に発症、症状は重くないという。公園は閉鎖しない。

 都や台東区によると、女性に海外渡航歴はなく、蚊からデングウイルスが検出された代々木公園(渋谷区)も訪れていないが、7日に上野公園の大噴水周辺のベンチで蚊に刺されていた。

 都は19日、園内に注意喚起の看板を設置、蚊の多かった木陰や茂みに殺虫剤をまいた。台東区が蚊を採集し、ウイルスの有無を調べる。

 上野公園は代々木公園から約8・5キロ離れている。上野公園を中心としたエリアには博物館や美術館、上野動物園の施設が集中、週末を中心に家族連れでにぎわう。都によると、いずれも営業は通常通り続ける見通し。

 上野公園を19日に訪れていた人たちからは、不安の声が漏れた。長男(1)と食事していた足立区の主婦植松(うえまつ)あゆみさん(28)は「都内のあちこちで発生していて心配。早く帰った方が良いかも」と話した。

 20、21日に上野公園で開く「ネパールフェスティバル」の準備をしていた実行委員の男性(64)は「アルバイトやお客さんにも注意を呼びかけたい」と話し、人出への影響を心配していた。

 環境省は19日、新宿御苑(新宿区など)の蚊からデングウイルスを検出したと発表した。ウイルス検出は代々木公園に次いで2カ所目。7日から閉鎖しており、人への感染は確認されていない。

 厚生労働省は19日、国内でデング熱に感染した患者が17都道府県の計141人になったと発表した。18日の発表より8人増えた。重症化した患者はいないという。

エボラ感染50万人超も 最悪ケースで米当局試算

共同通信社 2014年9月22日(月) 配信

 【ワシントン共同】米通信社ブルームバーグなどの米メディアは20日、西アフリカで流行するエボラ出血熱の感染者数が、最悪のケースで来年1月末に50万人を超える可能性があるとする米疾病対策センター(CDC)の試算を伝えた。

 流行の封じ込めに向けた各国の追加対策が講じられなかった場合を想定したコンピューター予測の結果。ただ、米国がすでに軍の3千人を動員して感染国を支援すると表明。国連主導で各国の支援団を派遣する動きもあり、来週以降に正式公表される試算では数字が変わる可能性がある。

 世界保健機関(WHO)は先月、6~9カ月後の封じ込めまでに感染者が2万人を超える可能性があるとしたが、その後も感染者増加が止まらない状況。WHOの報道官はブルームバーグに対し、この数字はすでに現実を反映していないことを認めた。

 WHOによると、疑い例を含むエボラ熱の感染者はこれまでに5500人を超えた。うち2600人以上が死亡している。

攻撃的な性質、生まれつき チンパンジー、京大解明

共同通信社 2014年9月22日(月) 配信

 チンパンジーが、他の個体の命を奪うほど攻撃的になるのは、多くの食べ物や配偶者を手に入れるために獲得した生まれつきの性質だとする研究結果を京都大や米ハーバード大のチームがまとめ、19日発表した。成果は英科学誌ネイチャーに掲載された。

 チンパンジーでは集団の内外における殺害行為や共食いが観察されているが、原因は特定されていなかった。京大の古市剛史(ふるいち・たけし)教授(霊長類学)は「攻撃性は、森林破壊や密猟など人間によるストレスが原因との仮説もあったが裏付けは得られなかった。人の殺人行動を考える上で重要な発見」と話す。

 チームは、1960年代からアフリカで観察された152件のチンパンジーによる殺害行為を調査。多くの場合、雄が集団で関わり、殺されるのは、遺伝的に関係のない他集団の雄だった。

 他集団の雄を殺害した後、縄張りを引き継ぎ、食べ物や雌を独占する例も少数だが確認。同じ集団内で、特に雌と多く交尾する雄を殺す場合も観察された。

 また、ウガンダにある人為的な影響が少ないとされる地区でも、他の地区より多くの殺害行為が発生していた。

 チームは、将来の繁殖の機会を増やすため、雄がライバルとなる他の雄を殺害する傾向を進化させてきたと指摘。その傾向が種の間で広まったとみている。

がん成長関与の遺伝子特定 三重大、治療薬開発に期待

共同通信社 2014年9月22日(月) 配信

 がん細胞が成長する際に、栄養を取り入れる血管を増加させる遺伝子を三重大大学院医学系研究科のグループが新たに特定し、20日までに欧州生化学学会学術誌オンライン版に発表した。グループの田中利男(たなか・としお)教授(薬理学)は「この遺伝子の働きを阻害する新たな治療薬の開発が期待される」と話している。

 研究グループによると、がんは成長のための栄養補給路として新たな血管を盛んに作り出す性質がある。これまでに血管新生には「血管内皮増殖因子(VEGF)」という遺伝子が関わっていることが分かっており、VEGFの作用を阻害する薬が開発されているが、効かない患者がおり、副作用の報告もあった。

 グループは今回、人間と約8割の遺伝子配列が同じ小型熱帯魚ゼブラフィッシュの改良種を利用。前立腺がんの細胞を移植したところ、「ZMYND8」という遺伝子が増えると血管新生が起きやすくなることが分かった。この遺伝子の働きを薬で妨げると、血管新生も抑えられた。

 人のへその緒の血管の細胞を使った実験でも同様の成果があった。

 注)欧州生化学学会学術誌はFEBS Letters

精子の元の細胞、放射線への強化に成功 京都大

読売新聞 2014年9月21日(日) 配信

 放射線などに弱い精子のもとになる細胞(精子幹細胞)の抵抗性を高めることにマウスの実験で成功したと京都大医学研究科の篠原隆司教授らが米科学誌ステムセル・リポーツ電子版に発表した。研究が進めば、小児がんを放射線などで治療した後の男児が大人になった際、不妊症になるのを防げる可能性があるという。

 普通の細胞は、放射線や抗がん剤でDNAに傷が付くと、p53という遺伝子が働き、傷ついた部分が修復される。しかし精子幹細胞ではこの遺伝子が働かないと考えられていた。

 ところが、篠原教授らがマウスの精子幹細胞を培養して放射線を当てる実験を行うと、この遺伝子は活発に働いた。ただ、その結果、2種類のたんぱく質が細胞内で大量に作られ、細胞が死んでしまうことがわかった。これらのたんぱく質を遺伝子操作で作れなくすると放射線や抗がん剤に対する精子幹細胞の抵抗性は3-8倍強くなったという。

 小児がんは完治するケースが増えているが、放射線治療後の男児の場合は精子欠乏症になり、不妊の原因となる場合がある。大人の患者と違って治療前に精子を保存しておくことができないという問題もあった。

iPS備蓄が普及の鍵 京都大が計画進める

共同通信社 2014年9月19日(金) 配信

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜細胞を初めて移植された患者が退院した。今回は患者自身の皮膚細胞を素材にしたが、将来、医療として普及するには、iPS細胞をあらかじめ作って備蓄しておく「iPS細胞ストック」の利用が必要となりそうだ。

 患者の体の細胞からiPS細胞を作って移植に使えば拒絶反応の心配はほぼない。しかし理化学研究所の高橋政代(たかはし・まさよ)プロジェクトリーダーらによると、今回はiPS細胞を作るのに4カ月、それを網膜細胞に成長させ、移植用のシートを作るのに6カ月かかった。いわばオーダーメードの細胞治療で、費用も数千万円と高額だ。

 そこで、健康な人の細胞から高品質で安全なiPS細胞を作って冷凍保存しておき、医療機関などの要請があれば提供するのがストック計画だ。京都大の山中伸弥(やまなか・しんや)教授らが進めている。けがから1カ月以内に細胞移植が必要となる脊髄損傷の治療など急ぐケースに対応したり、細胞を扱う施設の維持費を削減したりできると期待される。

 ただし、拒絶反応を抑えるには免疫型の相性を合わせることが必要だ。数万種類もの免疫型の中には、多くの型に移植できるまれな型がいくつかあり、こうした型を持つ人たちを探して血液の提供を受け、iPS細胞を作製する。2017年度中に日本人の3~5割、22年度には8~9割が利用できるストックにするのが目標という。

iPS手術の患者が退院 「経過は良好」

毎日新聞社 2014年9月19日(金) 配信

iPS細胞:網膜移植、70代患者が退院 「経過は良好」

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から網膜の細胞シートを作り、目の難病の患者に移植した世界初の臨床研究で、理化学研究所と先端医療振興財団は18日、移植手術を受けた70代の女性患者が神戸市中央区の先端医療センター病院を退院したと発表した。合併症はなく経過は良好で、移植した細胞シートはそのままの位置にとどまっている。【根本毅】

乾いても死なない遺伝子 ユスリカのゲノム解読

共同通信社 2014年9月16日(火) 配信

 からからに干からびても死なない昆虫「ネムリユスリカ」のゲノム(全遺伝情報)には、ストレスから体を守る遺伝子が多重化して存在していたと農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などの研究チームが12日、英科学誌電子版で発表した。

 これらの遺伝子を利用すれば、血液や受精卵などの細胞を、冷凍や冷蔵しなくても乾燥保存できる手法の開発につながる可能性があるという。

 アフリカ大陸に生息するネムリユスリカの幼虫は、乾燥させると休眠状態となり、水に戻すと蘇生する。乾燥時には高温や低温、放射線などにも強い耐性を持つ。

 研究チームは、ゲノムの塩基配列をほぼ解読した。乾燥に強くないヤモンユスリカのゲノムと比較したところ、ネムリユスリカには乾燥時に活発に働く遺伝子が、何個も繰り返し並んだ部分があった。これらの遺伝子には、細胞膜やタンパク質を乾燥から保護したり、乾燥して老化したタンパク質を元に戻したりする働きがあった。

 遺伝子の一つは、もとは細菌の遺伝子。ネムリユスリカは過去にこの細菌に感染し、進化の過程で遺伝子を取り込んで乾燥に強くなったとみられる。

 同研究所の黄川田隆洋(きかわだ・たかひろ)主任研究員は「保存や使用が簡単なインスタント細胞の実現が期待できる」と話している。

 注)科学誌はネイチャーコミュニケーションズ

神経残す子宮頸がん手術 島根大導入、妊娠率向上に

共同通信社 2014年9月16日(火) 配信

 島根大病院(島根県出雲市)は、子宮を温存する子宮頸(けい)がん手術で、子宮につながる自律神経を残しながら、頸がんができた子宮頸部を摘出する手法を14日までに導入した。

 自律神経があると受精や妊娠に有利に働くとされ、手術後の妊娠率の向上が期待できる。

 産科婦人科の京哲(きょう・さとる)教授が金沢大に在籍中の2013年9月に開発し、これまでに3例で成功したとしている。ことし4月、京教授が島根大に赴任し、実施できるようになった。島根大によると、世界的にも報告がない手法という。

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が主な原因。若者での発症が増えており、手術では、頸がんのある子宮頸部を切除し、残った子宮体部と膣(ちつ)を縫合して子宮を温存し、妊娠できるようにする「広汎子宮頸部摘出術」の重要性が高まっている。この摘出術では子宮につながる自律神経は頸部切除の際に一緒に切れてしまうが、京教授は残す手法を開発した。

 手術の対象は、子宮頸部にある腫瘍の大きさが2センチ以下で、リンパ節への転移がない早期の患者。4~5時間かかる通常の手法の手術より、2~3時間長くなる。妊娠中の手術も可能という。

 京教授は「島根県はもとより県外の患者も受け入れる。がんになっても安心して子どもを産めるようにしたい」と話す。

iPS細胞:初の移植手術 夢の治療、見えた光 「苦しむ人減らして」黄斑変性患者、普及願い

毎日新聞社 2014年9月13日(土) 配信

iPS細胞:初の移植手術 夢の治療、見えた光 「苦しむ人減らして」黄斑変性患者、普及願い

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った細胞が12日、世界で初めて患者に移植された。2007年に京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授がヒトでの開発成功を発表してから7年。今回の臨床研究対象の加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)の患者だけでなく、他の難病の患者からも歓迎や期待の声が上がる。臨床研究の責任者の一人、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーは、笑顔を見せると同時に「標準的な治療になるよう頑張る」と表情を引き締めた。

 「画期的な治療法が実現し、私のような人が一人でも少なくなれば」。滲出(しんしゅつ)型の加齢黄斑変性を患う東京都葛飾区柴又、自営業、吉川(よしかわ)優子さん(64)は、iPS細胞による臨床研究の成功に期待する。右目の視界が暗く、物がゆがんで見える――。長年、症状に悩まされているためだ。

 19年前、異変に気付いた。台所でジャガイモの皮をむいていると、急に手元が暗く、見えにくくなった。「もう年だし、老眼かな」。軽い気持ちで病院を受診したが、検査の結果、2カ所目の病院で右目の加齢黄斑変性と診断された。

 夫が経営する会社で経理を担当していたが、症状が進み、パソコンで給与明細表が見られなくなった。「画面を見つめても、ゆがんでぐちゃぐちゃに見えてしまって」。今は症状に慣れ、日常生活に大きな支障はない。だが、危険を避けるため夜の外出や自転車の運転は控えている。

 出血があるため、月1回の診察は欠かせない。悪化すると、網膜に異常な血管ができるのを抑える治療薬を投与する。眼球に直接注射するため、いつも抵抗を感じている。

 今一番不安なのが、もう一方の左目も黄斑変性になることだ。両目とも黄斑変性になった知人がいるからだ。「両目が見えなくなることを考えると怖い。なるべく早く、新しい治療法を実用化してほしい」。吉川さんは切実に願っている。

 ◇他の難病も応用期待

 別の難病の患者からも期待の声が上がる。

 脳の神経細胞が減って手足の震えや筋肉のこわ張りなどの症状が出るパーキンソン病を患い、全国パーキンソン病友の会事務局長を務める桜井時男さん(78)は「今回の臨床研究が成功すれば、パーキンソン病の臨床研究にも弾みがつく。早期に治療法を確立させ、苦しんでいる人たちの症状が和らぐよう、全国に広めてほしい」と期待を込めた。

 また、脊髄(せきずい)損傷の治療の臨床研究も準備が進む。全国脊髄損傷者連合会の妻屋明(つまやあきら)代表理事(73)は「iPS細胞を使った初めての治療は、手術が終わった後どうなるかは分からず、がん化のリスクなど心配もある」としながらも、「うれしいニュース。脊髄損傷の臨床研究も期待したい」と話した。

 筋肉が骨に変形する難病、進行性骨化性線維異形成症の患者で、研究のため山中教授に体細胞を提供した兵庫県明石市立明石商業高校2年、山本育海(いくみ)さん(16)は「臨床に入ったのはすごいことだと思う。ただ、病気の中には体にメスを入れられない患者もおり、iPS細胞を使った新薬研究も頑張ってほしい」と期待を込めた。【畠山哲郎、駒崎秀樹】

 ◇高橋リーダー「一つの答え」

 手術終了後、高橋政代プロジェクトリーダーらは神戸市内のホテルで記者会見し、「全国の患者の思いを受け止めてやってきた。患者の期待、希望に一つの答えを示せた」と笑顔を見せた。高橋リーダーは黒のワンピースに白の上着姿。手術を実施した先端医療センター病院の平田結喜緒(ゆきお)・病院長と、執刀した栗本康夫・眼科統括部長が同席した。

 手術について、高橋リーダーは「大満足の結果」としたうえで、目の難病を抱える全国の患者に対し「希望を持ちつつ、現状で最善を尽くしながら(病気による)障害を克服してほしい」とエールを送った。さらに京都大の山中伸弥教授に対しては「さまざまな場面で応援メッセージをもらい、精神的に助けてもらった」と語った。【吉田卓矢、遠藤孝康】

 ◇5年で利用、宣言し挑戦

 高橋政代プロジェクトリーダーは大阪府豊中市出身。京都大学医学部を卒業し、京大医学部助手などを経て、2006年からCDBへ。兼任する先端医療センターなどで眼科医として毎週診察する一方、ES細胞(胚性幹細胞)などを使い、傷んだ網膜を細胞移植で再生させる研究を続けてきた。昨年末、英科学誌ネイチャーが発表した「2014年に注目すべき5人」の1人に選ばれている。

 高橋リーダーによると、06年に京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授がマウスの細胞でiPS細胞を作製したことを聞き、「自分の研究に使える」と直感。細胞をもらうために連絡をとるようになった。「5年でヒトに利用できるようにします」。翌年、高橋リーダーは山中教授に言い切った。高橋リーダーは当時について「患者本人の細胞を使うiPS細胞なら5年で可能という確信があった」と語った。【斎藤広子】

##次は、網膜色素偏性症が対象になるでしょう。その後に、私のレーベル描画対象になればいいですねえ。

視覚体験不足で認知力低下 神経回路網発達せず

共同通信社 2014年9月16日(火) 配信

 自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)のチームが幼少のラットを、暗室や物体を見せない環境で育てる実験をした結果、視覚体験の不足が脳の認知能力を低下させる仕組みを確認したと、13日までに米科学誌電子版で発表した。

 吉村由美子(よしむら・ゆみこ)教授(神経生理学)は「幼少期に多様な物や動きを見ることが、脳が視覚情報を混同することなく処理するために重要だと示された」と話している。

 チームは、出生直後のラットを、正常な環境で育てるグループのほか、暗室で飼育するグループ、明るさの変化はあるものの物の形などの視覚情報が遮断されたグループに分類。生後22~28日まで育てた後、それぞれ大脳の神経細胞に電気を流し、その応答から回路網の形成状況を調べた。

 すると、正常な環境で育ったラットでは、脳内で多数の神経細胞が結合し、回路網が発達していたが、暗室で育ったラットは開眼直後の未成熟な脳のままで、回路網が作られていなかった。

 視覚が遮断されたラットは、回路網はできているが神経細胞がばらばらにつながり、組織的にまとまって機能しない状態となっていた。

 注)米科学誌はジャーナル・オブ・ニューロサイエンス

##これは、先天全盲を否定することにならないのか。

エボラ出血熱、1人から1~2人感染 東大研究科が試算

朝日新聞 2014年9月13日(土) 配信

 2千人超が死亡したエボラ出血熱の感染の中心地、リベリアとシエラレオネ、ギニアでは6月以降、患者1人からさらに平均で1~2人にうつる状態になっているとする分析結果を、東京大医学系研究科の西浦博准教授(理論疫学)らがまとめた。感染を半分以下に抑えれば、流行を収束できる可能性があるという。12日付の欧州科学誌ユーロサーベイランスに発表した。

 西浦さんらは、世界保健機関が8月30日までに発表した患者(疑いも含む)3069人の情報をもとに、患者1人から新たな感染者がどれだけ出ているかを国別に導き出した。1人以上になると流行が拡大し、1人未満になると収まる。

 西浦さんは、分析結果では、感染が拡大しているこの3国でも2人を上回る状態にはなっていないと指摘。「エボラ出血熱は血液などの体液に触れなければ感染しない。感染者に触れる場合は手袋やガウンを身につけるなど、予防対策が徹底できれば流行は抑えられる」と話す。

 一方、今の状態が年末まで続くと、感染者は西アフリカで約8万~28万人に増える恐れがあるという。(大岩ゆり)

iPS手術、理研のCDBへの手厚い支援も、京大iPS研・山中所長会見

毎日新聞社 2014年9月13日(土) 配信

iPS細胞:初の移植手術 研究7年、臨床へ道 京大iPS研・山中所長会見

 iPS細胞から作った細胞を移植した世界初の手術実施を受け、京都大iPS細胞研究所長の山中伸弥教授(52)は12日、記者会見した。再生医療実現への大きな一歩に「高橋政代先生らのこれまでの長い努力の結晶。手術が成功し、ほっとした」と喜ぶと同時に「臨床研究はこれからが本番。ここからが本当のスタート」と語った。【野口由紀、富永浩三】

 山中教授は高橋政代プロジェクトリーダーから、臨床応用への目標時期を聞かされ、「はっきりとした期間を聞き、びっくりしたが、着々と準備が進み、まさに有言実行。チーム高橋の底力だ」とたたえた。

 会見には、高橋リーダーの夫で、パーキンソン病治療の臨床研究に向けた準備を進める高橋淳・同研究所副所長(52)も同席した。今回の臨床研究では理研と京大で情報共有しながら準備を進め、細胞の遺伝子解析を山中所長らが担当した。

 高橋副所長は「安全性に対し慎重に行くという姿勢を間近に見てきた。安全性のデータの重要性を改めて感じている」と語った。手術が近づくにつれ、高橋リーダーから緊張が見てとれたといい、「ずっと励ましてきた。おめでとう、お疲れさんと言葉を掛けたいが、これがスタート。自分も気を引き締めていきたい」と話した。

 ◇神戸発の新しい技術貢献を期待--市長コメント

 iPS細胞を核とした医療関連産業の集積を図る神戸市の久元喜造市長は「基礎研究の成果が臨床応用につなげられたことは、大きな成果。神戸発の新しい医療技術が貢献することを期待している」とコメント。市医療産業都市・企業誘致推進本部の担当者は「手術が無事終わって、本当にうれしい」と語った。また、井戸敏三兵庫県知事も「神戸医療産業都市推進の成果で、同様の病気に苦しむ方々に希望の光を与える」とのコメントを発表した。【神足俊輔】

 ◇理研CDB、手厚く支援

 半年以上にわたって理研を揺るがせているSTAP細胞の論文不正問題。高橋政代プロジェクトリーダーは一時、理研幹部への不信感をあらわにしていたが、この日の記者会見では「理研本部が人を派遣するなどサポート体制を厚くしてくれた」と話し、理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の同僚にも「皆と前向きに進んでいきたい」と言葉を贈った。

 STAP細胞論文を巡って、理研は6月末、筆頭著者の小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の検証実験参加や懲戒処分停止を発表。これに対し高橋リーダーはツイッターで「理研の倫理観にもう耐えられない」「まだ始まっていない患者さんの治療は中止も含め検討する」などと立て続けに投稿した。

 CDBの30代の研究室リーダーは「理研への風当たりが強まり、高橋さんも心を悩ませていた」と振り返る。

 8月5日には研究に大きな役割を果たしたCDBの笹井芳樹副センター長(当時)が自殺。笹井氏は、高橋リーダーの京都大時代の同級生で、網膜色素上皮細胞シート作製の基盤となる技術をES細胞(胚性幹細胞)で開発するなど研究を支えてきた。ある理研関係者は「技術的、プロジェクトの運営面で彼の存在は大きかった」と影響を指摘する。

 今回の手術を執刀した先端医療センター病院の栗本康夫・眼科統括部長も笹井氏らと同級生で「笹井氏の研究なくしてはこのプロジェクトは存在し得なかった」とのコメントを発表した。【斎藤広子】

iPS細胞使い初手術 がん化解明、なお課題 費用1人数千万円

毎日新聞社 2014年9月13日(土) 配信

クローズアップ2014:iPS細胞使い初手術 がん化解明、なお課題 費用1人数千万円

 「治療につなげる道のりは長いが頑張ろうと思う」。理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)の高橋政代プロジェクトリーダーは、「世界初」の手術をそう振り返った。iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った研究は着実に前進し、日本の技術の高さを世界に示した。今回の臨床研究の意義と次への課題を探った。【須田桃子、斎藤広子】

 ほぼ無限に増やすことができ、体のさまざまな組織の細胞に変化させられるiPS細胞は、2006年の発表以降、「再生医療の切り札」として大きな期待を背負ってきた。

 同様の性質を持つES細胞(胚性幹細胞)は、受精卵を壊して作るという倫理的な問題のほか、患者自身の細胞から作製できないため移植時の拒絶反応を避けられない。また、体内にある「体性幹細胞」は、現在の技術では大量に増やすことが難しい。このため、期待されながらいずれも広がっていない。

 国内の再生医療推進を担う科学技術振興機構の大型プロジェクトで統括責任者を務める斎藤英彦・国立病院機構名古屋医療センター名誉院長は「日本が世界に先駆けてiPS細胞を臨床まで持ってきた意味は大きい」と評価する。また、安倍政権も再生医療を成長戦略の柱の一つに据え、「世界初」を見越して制度改正を着々と進める。再生医療を推進する関連法が今年11月に施行される予定だ。

 一方、臨床研究1例目の実施を目指す中で、課題も浮かんだ。手術実施に事実上のゴーサインが出た8日夜の厚生労働省の審査委員会。非公開の会合を終えて会議室から出てきた委員は「おめでとうございます」と言葉を掛け合いながら、ほっとした表情を浮かべていた。前回までの議論で、今回の臨床研究に使うiPS細胞が、がんになる可能性についての評価が割れ、議論が長引いていたことが背景にあった。

 人工的に遺伝子を導入して作るiPS細胞は、がんになりやすいとされる。多くの工夫でがん化の危険性は大幅に下がったが、解析結果が最初に報告された7月30日の会合では、委員から厳しい質問が相次ぎ、結論がまとまらなかった。急きょ設定された8日の会合には、iPS細胞の生みの親の山中伸弥・京都大教授が出席し、自ら移植用細胞の全遺伝情報(ゲノム)の詳細な解析結果を報告した。高橋リーダーは12日の記者会見で、「安全性の確認は慎重に進めねばと、ひしひしと感じている」と強調した。

 だが、ゲノムを詳細に調べると、どんな細胞にもわずかな変異があるという。それが将来のがん化にどう影響するかは分かっていない。関係者の一人も「詳細な解析結果があっても、判断基準はない」と漏らす。また患者自身の細胞からiPS細胞を作り、そこから移植用細胞を作る方法の治療では、1人当たり3000万円程度、今回のような詳細解析をすればさらに約5000万円かかる。斎藤名誉院長はこれらの課題を認め、「危険性はゼロにはできないが、ゲノム異常とがんの関係などを明らかにしていきたい」と話す。

 ◇次はパーキンソン病

 「iPS細胞がついにヒトの治療に使われた素晴らしい日。理研チームは全く道のないところに道を作った」。iPS細胞から目の角膜を作る研究を進める大阪大学の西田幸二教授(眼科学)は、高橋リーダーらの手術に期待を込めた。

 西田教授によると、角膜損傷の治療では死亡した人から提供される角膜移植があるが、提供者不足や拒絶反応が課題だ。iPS細胞はこれらを一気に解決する可能性があるという。

 今回の加齢黄斑変性以外にも、iPS細胞を使った「再生医療」の研究が全国の研究機関で進む。

 文部科学省は昨年2月、iPS細胞を使った再生医療実用化の工程表を公表した。同省によると、加齢黄斑変性以外では、パーキンソン病(ドーパミン産生細胞)▽血小板減少症(血小板)▽重症心不全(心筋)――の三つの研究が先行している。このほか、脊髄(せきずい)損傷(神経幹細胞)や網膜色素変性(視細胞)などがある。

 一方、目以外の組織では、桁違いに多い細胞の培養・移植が必要となるうえ、がんができた場合に取り除くことがより難しい。このため、大量培養技術やできた細胞の品質管理の手法の確立が課題となる。

 高橋リーダーの夫で、パーキンソン病治療の研究を進める京都大iPS細胞研究所の高橋淳教授は今年3月、これらの課題をクリアできたと発表した。高橋教授らのグループは2015年初めにも厚労省に臨床研究の申請をし、16年の移植実施を目指す。

 今回の臨床研究は患者本人の細胞からiPS細胞を作ったが、今後は京都大iPS細胞研究所の「iPS細胞ストック(備蓄)事業」で保存するiPS細胞が主流になりそうだ。

 移植時に拒絶反応を起こしにくい白血球型(HLA型)の日本人を探して細胞の提供を受け、iPS細胞を事前に作製、保存する。同研究所は昨年12月、第1号の備蓄用iPS細胞を作製したと発表した。同研究所は、22年度末までに日本人の大半に適用できるストックにすることを目指す。

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 ■ことば

 ◇iPS細胞(人工多能性幹細胞)

 皮膚などの体細胞に、特定の遺伝子を導入し体のさまざまな組織になる能力を持たせた細胞。2006年、山中伸弥・京都大教授らのチームがマウスの細胞から作製したと発表、07年にヒトの皮膚細胞でも成功したと報告した。山中教授は12年のノーベル医学生理学賞受賞。

まずは安全性の確認 iPS使った移植手術

共同通信社 2014年9月16日(火) 配信

 【解説】人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った細胞を患者に移植する世界初の手術が行われた。現在は細胞や手術の安全性を調べることを主な目的とする研究で、1例目の手術は無事終わったが、成果の確認はこれからだ。主導する理化学研究所の高橋政代(たかはし・まさよ)プロジェクトリーダーは「普通の治療になるには10年以上かかる」との見方を示している。

 高橋さんらはiPS細胞から作った細胞をマウスに移植する動物実験を繰り返し、腫瘍ができないことを確認してきた。しかし移植した組織が炎症を起こさないか、患者の体内で意図しない増殖をしないか、人間の患者で確かめなければ治療に結びつかない。症例の蓄積と丁寧な追跡、情報公開が重要となる。

 今後は、視力回復が可能か、どんな患者なら効果が見込めるかといった評価のほか、組織の中にもともとある幹細胞を使った別の手法による再生医療と比べた安定性、費用面の検証も必須だ。

 手術を担当した栗本康夫(くりもと・やすお)医師は12日の記者会見で「名人芸が必要な手術ではいけない」と指摘した。網膜の出血や剥離の危険性がある難易度の高い手術、扱いの難しい細胞シートなど、医療として普及する技術になるには、まだ改善点は多い。

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